タクシーと配車サービス、車齢の上限を15年に

【クアラルンプール】 公共陸運局(APAD)は3日、タクシーおよび配車サービス業界の支援を目的に車齢の上限を15年とすると発表した。

タクシーおよび配車サービス車共に、乗客の安全のため電子化自動車検査センター(Puspakom)の車検取得が条件となっている。配車サービス車両については全国的に適用されるが、タクシーについては半島部と基準が異なるサバ州、サラワク州、ラブアンのみ2023年1月1日時点で車齢10年に達した車両が対象となる。タクシーの車齢上限は現在、半島部では10年となっているが、サバ州では20年、サラワク州では18年となっている。

APADは、車齢上限の引き上げについて、運輸省による国内の公共交通システムを改善し、タクシーおよび配車サービス業界を支援するという方針の下で実施すると説明。タクシー・配車サービス産業のサービス向上に繋がることを見込んでいるとした。

タクシーや配車サービスの運転手からは、歓迎する声が出ているもの、マレーシア配車サービス運転手協会(Mehda)は古い車両の走行が認められることで需要を供給が上回る可能性があるとして、裏目に出ないことを願っているとのコメントを発表した。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月4日、フリー・マレーシア・トゥデー、4月3日)

マレーシアとインドの企業間取引でインドルピーが使用可能に

【クアラルンプール】 在マレーシアインド高等弁務官事務所は1日、マレーシアとインドの企業間取引の決済通貨としてインド・ルピー(INR)の使用が可能になったと発表した。

在マレーシアインド高等弁務官事務所によると、インド準備銀行が2022年7月にINR建ての請求・決済を承認したことに基づく決定。両国の貿易業者は、基軸通貨を使用せずINRで直接取引できるようになり、為替相場の変動による差損益リスクの軽減が期待できる。他通貨も引き続き利用可能。また、インド国際銀行(M)(IIBM)で、INR建てのボストロ口座(銀行間取引で資金決済を行う先方の決済口座)を開設する。

インド・マレーシア間の貿易額は2021ー22年度に194億米ドル(856億リンギ)に達している。決済通貨の追加により二国間貿易額がさらに増加することが期待されるという。
(ザ・サン電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、4月1日、フリー・マレーシア・トゥデー、4月1日)

鶏卵のレイホン、日本ハムのマレーシア撤退でJV完全子会社化

【クアラルンプール】 鶏卵のレイホンは、日本ハム(本社・大阪市北区)との間の合弁会社(JV)NHFマニュファクチャリング (M)の株式51%を買収し、完全子会社化すると発表した。日本ハムはマレーシアから撤退する。


レイホンが3日付けでブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、レイホンと日本ハムは2016年にJVを設立。日本ハムが51%、レイホンが49%の株式を所有し、日本の技術を活用したハラル(イスラムの戒律に則った)食品を製造し、中東や東南アジア地域への輸出を目指していたが、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大に伴い計画を達成できなかったことから、日本ハムはマレーシア事業からの撤退を決定した。


 またレイホンは、製造工場を日本ハムから引き継ぐと明らかにした上で、同工場がレイホンの輸出ビジネスにとり将来的に大きな役割を果たすとした。NHFの2023年2月末時点の純資産がマイナス2,120万リンギと負債を抱えているため、取得価格は1リンギとなる。
(エッジ、4月3日)

死刑のみの刑罰規定を撤廃、下院で事実上の死刑廃止を可決

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 死刑のみが刑罰となっている殺人やテロなど11の犯罪について裁判官に減刑裁量を与える、実質的な死刑の廃止に向けた2つの法案が3日、下院議会で可決した。上院での審議を経て国王の同意を得て発効される。

「2023年強制死刑廃止法案」は、裁判官に死刑を義務付けた犯罪で有罪判決を下す際に死刑以外の刑を命じる裁量権を与えるもの。裁判官は死刑や終身刑の代替として、禁固30ー40年と12回以上の鞭打ちを選択することを可能になる。

また「2023年死刑および終身刑改正 (連邦裁判所の暫定的管轄権) 法案」は「2023年強制死刑廃止法案」に伴って確定している刑の見直し権限を連邦裁判所に付与するもので、3月31日時点で1,318人に上っている死刑囚に適用される見通し。死刑執行は政府が法案の検討に入ってから停止されている。

法案を提出したラムカーパル・シン副首相府相(法務担当)は、「死刑自体はある程度残るが、今後は以前とは異なる方法で実施されることになる」と言明。犯罪被害者に対して死刑は思ったほどの抑止効果はないと説明したとした上で、被害者の補償など司法制度改革にはまだ多くの課題があると述べた。

不動産開発のシェンタイ、大阪支店を24日に開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 不動産開発会社のシェン・タイ・インターナショナル(STI)は3日、日本支社となるシェンタイ・ジャパン マーケティング・インターナショナル(本社・東京都)が4月24日に大阪支社を開設すると発表した。

STIは2012年に女性弁護士リョン・サーレイ氏によって設立され、現在はマラッカ州において、高さ最高320メートルの9つのタワーが連なる5・6つ星ホテル、レジデンス、オフィス、高級ショッピングモールなどを有する大型複合施設「ザ・セイル」の開発を手がけている。

STIは2020年9月に日本支社を開設し、マレーシア不動産情報や、移住、ビジネス進出、長期滞在ビザの取得などについてのワンストップなサポートを日本の顧客に提供してきた。今回大阪支社を大阪市西区に開設し、「ザ・セイル」などの不動産投資や、資産形成・海外移住のサポートに力を入れる方針だ。

中国から19件、1700億リンギの投資を確保=アンワル首相

【北京】 中国を公式訪問したアンワル・イブラヒム首相は1日、中国企業との間で覚書(MoU)19件を締結し、総額1,700億リンギとなる投資を確保したと発表した。中国からの投資額としては過去最高となる。

アンワル首相は北京で開催された「マレーシア中国ビジネスフォーラム」の基調講演で、中国からの投資は、マレーシアに対する投資家の信頼を示すものだと言明。▽国民車メーカー・プロトンの親会社DRBハイコムと中国の自動車メーカー吉利汽車の親会社である浙江吉利との間でのペラ州タンジョン・マリムにおける自動車ハイテクバレー開発▽マレーシア・中国商工会議所(MCCC)と中国商工会議所との間での機械・電子製品輸出入▽デジタルウェイ・グループ、中国絲路集団(CSRG)、中国カイロス・キャピタルの3社間での廃棄物発電所の開発に向けたデジタル開発ファンド共同設立ーーなどについて、合意が得られたと述べた。また、中国の一帯一路構想(BRI)における協力関係を深め、グリーン開発やデジタル経済といった成長分野での経済協力を拡大していくとし、他の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国とも緊密に協力し、中国ASEAN自由貿易協定(ACFTA)の全参加国が利益を得られるようにすると述べた。

中国は2009年以来14年連続でマレーシア最大の貿易相手国。二国間の貿易総額は2022年に4,871億リンギに達している。外国直接投資(FDI)額でトップで、2022年のFDI総額2,646億リンギのうち21%を占めている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月2日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、4月1日)

岩崎通信機、マレーシア生産子会社の全株式を台湾企業に譲渡

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 岩崎通信機(本社・東京都杉並区)は3月31日、推進中の中期経営計画における生産効率化施策の一環として、2023年7月末でネグリ・センビラン州に拠点を構える生産子会社・岩通マレーシアの全株式を譲渡すると発表した。

情報通信機器の生産高が減少傾向にあるため、現在2拠点で行っている情報通信機器の生産を福島県の主力工場1カ所に集約し、生産効率を高める。株式譲渡先は、電子部品製造の台湾企業ワルシン・テクノロジー(華新科技)のグループ会社シリテック。機構部品の生産や生産受託事業に携わるシリテックは、ペナン州に工場を有しており、岩崎通信機はワルシン・グループから各種生産部材を調達している。

株式譲渡に伴い、岩通マレーシアは2023年8月より連結対象から除外される。岩崎通信機は今後、ワルシン・グループからの電子部品の採用を拡大し、サプライチェーンの安定化を目指すと共に、技術的交流からスタートしビジネス協業のシナジー展開を模索していく方針だ。

マレーシアとシンガポールのQRコードを統一化、決済が容易に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシアとシンガポールのQRコードが統一化された。これによりシンガポールでマレーシアにおけるのと同様にQRコードでの決済が可能になり、シンガポールの居住者もマレーシアで同様の決済が可能になる。両国の中央銀行が共同声明で31日、発表した。

両国は連携をさらに拡大する計画で、年末をめどに口座振り込みや個人間送金も可能にする。資金受け取り手の携帯電話番号と統一化QRコードだけで送金が可能になる。

統一化されたのは銀行間決済システムを運営するペイメント・ネットワーク・マレーシア(ペイネット)が管理するQRコード「ドゥイットナウ」と、シンガポールの同様の機関が管理するNETS・QRコード。これを1枚のQRコードに統一し、決済に対応する。

パンデミック以前の両国の往来数は年1,200万人で、その多くはマレーシアからシンガポールへの通勤者。
統一化サービスにマレーシアから参加しているのはホンリョン銀行、マラヤン・バンキング、イーウォレットのブーストなど。シンガポールからはDBS、OCBC、UOBの3大行が参加している。

TXPメディカル、マレーシアで救急医療DXを推進

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 医療データのプラットフォーム構築・提供のTXPメディカル (本社・東京都千代田区)は、2022年8月よりスタートした「マレーシアの3次医療機関における救急医療DX実証事業」で、病院前救急診療から病院診療までデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進しており、マレーシア救急診療のオペレーションの質向上の有用性を検証していると明らかにした。

同社が3月31日に発表した声明によると、マレーシアの実証事業対象病院において、救急車での搬送にて利用する「NSERモバイル」、患者向け問診システムである「TXPセルフ・アセスメント・システム」、病院内でデータを受け取り、電子カルテとの連携・業務支援を行う「ネクスト・ステージER」 (NSER) を利用して、救急医療データのワンストップ連携が行われ始めている。

「NSERシリーズ」は医療データの分断を解決し、医療現場のDXを実現するためのプロダクトとして開発されたもので、日本の質の高い救急医療を海外に輸出して世界の救急医療にも貢献したいという思いから同プロジェクトがスタート。実証事業対象病院への度重なるヒアリングや現地調査を通じて、マレーシアでの詳細なニーズを確認した上で、約4カ月をかけて現地にローカライズしたプロダクト開発を行った。昨年12月からは各病院で「NSERシリーズ」のトライアル利用を開始。トライアル利用開始後もプロダクトは改善をさらに重ね、OCRや音声入力機能はマレーシアの言語において問題なく利用され、その適用性も確かめられた。特に同社開発のOCR機能は、マレーシアの救急医療に関わるスタッフにおいても好評で、氏名の文字数が多いマレーシアでは大変有効であることが確認されているという。

TXPは今後、同検証で得られた定量的・定性的な結果を踏まえ、プロダクトを更にブラッシュアップし、国内外の医療データのインフラ実現と、日本・東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済産業協力関係の強化に向けて研究開発および事業開発を継続していく方針だ。

ヘルスケアのIHH、メンタルケアのインテレクトに出資

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 インテレクト・ジャパン(本社・東京都港区)は3月31日、同社の100%出資元であるインテレクト(本社・シンガポール)がマレーシアのヘルスケアプロバイダーであるIHHヘルスケアから出資を受けると共に、IHHが運営する病院ネットワークの患者、法人顧客、従業員に対して、インテレクトが提供するメンタルマネジメント・ソリューションの提供並びに、IHH向けメンタルマネジメント・ソリューションの開発およびカスタマイズを行うと発表した。

IHH向けメンタルマネジメント・ソリューションの第一弾として、IHHが運営する病院ネットワークの一つである「グレンイーグルス・ホスピタル・シンガポール」のマタニティ患者に対してインテレクトのメンタルマネジメント・ソリューションの提供を開始する。

インテレクト・ジャパンは、IHHからの出資および医療従事者、患者向けのメンタルマネジメント・ソリューションの共同開発・カスタマイズは、医療従事者だけでなく、医療を受ける全ての人が早期にメンタル不調に気がつき、適切な治療を受けることで、早期に改善施策を講じることが出来るようになると説明。ウェルビーイング経営を志す全ての企業に加え、病院やクリニックなどの医療機関、医療従事者に対してのメンタルヘルスケア・ソリューション「インテレクト」による「セルフケアプログラム」と「コーチング」提供を通じ、医療従事者及び、医療を受ける全ての人々にメンタルサポートを提供していく方針だ。