トヨタのハイラックス、昨年の盗難被害最多で370台

【クアラルンプール】 マレーシアで昨年最も盗難被害に遭った自動車はトヨタのピックアップトラック「ハイラックス」で370台だった。保険会社の統計に基づくものとして、英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」が報じた。

そのほか、▽ウィラ(プロトン)142台▽フォーチュナー(トヨタ)123台▽イスワラ(プロトン)92台▽サガ(同)92台――がトップ5になった。盗難被害件数は2023年の4,370台に対し、昨年は3,925台と約1割減少した。

自動車盗難・事故削減協議会(VTAREC)のコーディネーター、マス・ティナ氏は「国産車の場合、古いモデルが多く、盗難後に解体されスペアパーツとして国内で転売されるケースが多い。国産車以外は、国外に密輸されると考えられる」と分析する。

二輪車ではヤマハの「135LC」の528台が最多で、▽Y15ZR(ヤマハ)327台▽ウェーブ(ホンダ)194台▽125(ヤマハ)109台▽C100(ホンダ)105台――と続いた。

物理的な鍵ではなく、小型のリモコンキー(キーフォブ)が主流になっており、ハッキングしてロックを解除し、そのままエンジンを始動して盗み去る手口が多いため、車の場合はハンドルロックや、「ファラデーバッグ」などと呼ばれる信号遮断機能のあるものに鍵を保管するなどの対策が効果的という。二輪車の場合は、チェーンで車両を固定するよう呼びかけている。

また、事故に遭う頻度が高かったものとして自動車では▽マイヴィ(プロドゥア)2万4,628件▽サガ(プロトン)1万6,159件▽シティ(ホンダ)1万3,388件――となった。二輪車ではヤマハの135LCの約3,000件と、Y15ZRの2,154件で、バイク事故全体の3割近くを占めた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月5日)

米国がマレーシアとの交渉継続で合意、関税引き下げに光明

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、5日に開催された国家経済に関する特別国会で、米国がマレーシアとの協議を継続することで合意したと表明した。協議はまだ初期段階で何ら合意には至っていないが、米国が関税引き下げに方針転換する可能性は残されているという。

アンワル首相は、先ごろトランプ米大統領がマレーシアを含む185カ国に高率の相互関税を課すと発表し、その後発動を90日間延期すると方針修正したことに言及。「まだ予備的協議だが、米国政府がマレーシアとさらなる交渉を続けることに同意しており、相互関税を引き下げる可能性があることを強調したい」と述べた。

その上でアンワル首相は、これまでに講じてきた措置に加え、現在の世界情勢を踏まえ、短・中期的に経済の安定を維持し、国益を守るための戦略を策定する予定だと言明。具体的な戦略には、輸出業者、特に中小企業への支援、承認されたプロジェクトの実施促進、国の回復力と競争力を強化する経済改革などが含まれるとした。

またアンワル首相は、「米国からの輸入品に対してマレーシアが47%もの高関税を課している」とする米国側の主張を「事実ではない。関税率は平均5.6%だ」と改めて否定。外交努力にもかかわらず米国による24%の高率な相互関税問題が解決されなければ、今年のマレーシアの経済成長を圧迫する可能性があるとし、「2025年度予算で示した4.5―5.5%の国内総生産(GDP)成長予測は達成できない可能性が高い。財務省とマレーシア中央銀行は状況を注視しており、最終的な米国の関税政策及び米国との交渉の結果がより明確になった時点で、マレーシアの経済成長予測を修正する」と述べた。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、5月5日)

ペナン新フェリーサービス、開業17カ月で利用者500万人達成

【バターワース】 ペナン港の運営会社、ペナン・ポート(PPSB)は、2023年8月7日の開業以来、ペナン島と本土を結ぶ新造フェリーの利用者数が累計500万人を達成したと発表。4月30日にパンカラン・スルタン・アブドル・ハリム(PSAH)フェリーターミナルで記念式典を開催した。

PPSBのV・サセダラン最高経営責任者(CEO)によると、500万人の利用者のうち74%にあたる370万人は徒歩の乗客で、残りの24%(130万人)は二輪車(オートバイ及び自転車)利用者だった。利用者の約95%は通勤客で、5%は観光客で占められた。今年の年初3カ月間の乗客総数は前年同期の70万353人から6%増加し、74万705人に達した。

サセダラン氏は、運航コストの高さからフェリー事業はまだ利益を上げていないとした上で、利用者の増加によって赤字が徐々に減っていくとの楽観的見方を示した。今後は高速電車運行サービス(ETS)のダイヤに合わせて運行スケジュールを変更するなど、マレーシア観光局と協力してペナン州を訪れる観光客にフェリーの存在をアピールする方針だという。

2023年に就役した4隻の新造フェリーは、ピーク時には20分間隔、オフピーク時には30分間隔で、1日68往復運航している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、5月5日)

ジェトロ、脱炭素分野でマレーシアへの投資増加を予想

【クアラルンプール】 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、脱炭素分野を中心に今年の日本からマレーシアへの投資がさらに増加すると見込んでいる。ジェトロ・クアラルンプール事務所の高野光一所長が国営「ベルナマ通信」のインタビューで見解を述べた。

高野所長は、ジェトロとマレーシア日本人商工会議所(JACTIM)が共同で実施した2025年度の日系企業アンケート調査結果に基づいて説明。2024年下期の業況判断DIはマイナス11.5と、前年下期のマイナス22.1から改善し、さらに2025年にはマイナス4.5ポイントへの改善が予想されるとした。

また、今年はマレーシアで、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に続き、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合も開催され、脱炭素化分野に関して注目が高まると指摘。再生可能エネルギーや、二酸化炭素回収・貯留(CCS)、水素などのプロジェクトが一層活発化する可能性を示した。そのほか、石油・ガス、半導体、バイオテクノロジー、ヘルスケア分野などへの投資の増加が見込まれるとした。

米国による関税措置による世界経済の不確実性にも触れ、ASEAN内で議論に向け、マレーシア政府のリーダーシップに期待。日系企業アンケートから「環境・社会・ガバナンス(ESG)関連投資の明確化、税制優遇措置の拡充、規制変更時の徹底した事前通知に対する強い要望がある」と付け加えた。
(ベルナマ通信、5月5日)