【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は16日、2025年第1四半期(1ー3月)の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比プラス4.4%だったと発表した。4月に統計局が発表した事前予測値から変化はなかった。
堅調な消費者需要と設備投資に支えられて、14四半期連続でプラス成長を維持したが、鉱業輸出の減少が主な要因となって輸出の伸びが鈍化したことで前期の4.9%を下回った。サービス業が引き続き経済成長を牽引し、鉱業・採石業を除くすべてのセクターがプラス成長を記録した。需要面では、民間最終消費支出と総固定資本形成が成長を牽引した。
サービス業は卸売・小売業、運輸・倉庫、ビジネス・サービスの業績向上により、前期の5.5%には及ばなかったものの5.0%のプラス成長となった。セクター別の成長率が最も高かったのは建設業で、すべてのサブセクターの堅調な伸びに支えられ、前期のプラス20.7%は下回ったものの14.2%と大幅成長となった。
製造業は電気・電子・光学製品(7.8%増)、植物性・動物性油脂・食品加工(9.2%増)、石油・化学品・ゴム・プラスチック製品(2.6%増)が下支えし、前期(プラス4.2%)とほぼ同水準の4.1%のプラス成長となった。農業は前期のマイナス0.7%からプラス0.6%に改善したが、鉱業は原油・コンデンセートと天然ガスが減少したことから、前期のマイナス0.7%からマイナス2.7%に減速した。
国内需要は前期のプラス6.4%からプラス6.0%に下がり、民間消費と民間投資はそれぞれ5.0%、9.2%成長となった(前期はプラス5.3%、プラス12.7%)。公共支出は前期のプラス4.0%からプラス4.3%に加速。公共投資もプラス10.0%からプラス11.6%に加速した。前期はプラス8.7%だったモノとサービスの輸出はプラス4.1%に、輸入もプラス5.9%からプラス3.1%にそれぞれ減速した。
中銀は声明の中で、2025年の成長については、世界的な政策不確実性の高まりが世界需要を圧迫する中で、貿易摩擦の激化が国内の成長見通しに影響を与えるだろうと指摘。当初の予測である4.5―5.5%よりも若干低い成長率となる可能性が高いとした。その上で、米国の「相互関税」実施に先立ち、電気・電子などの輸出活動の前倒しや観光客の増加によってある程度緩和される可能性があるとし、底堅い国内需要も引き続き成長を支えるだろうとした。