GDP成長目標は依然達成可能、四半期報告会見で貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は15日、貿易に関する第2四半期の成果報告会見の席上、世界貿易は減速の兆候が見えるが、国内総生産(GDP)の成長目標(4-5%)は達成可能との認識を示した。

ザフルル氏によれば、米国の関税猶予措置のため一部の貿易は前倒しされた可能性があるが、この先数カ月、貿易の勢いは持続が予想されるという。関税をめぐる米国との交渉では、薬品、半導体など一部の産業部門で税率が10%に下げられる可能性がある。

マレーシアは輸出市場の多様化と貿易ガバナンスの強化に引き続き取り組んでおり、政府支援の貿易イベントによる輸出総額は、2025年上半期に28億8,000万リンギに達した。5,000万リンギの補助金により、貿易額は227億リンギ増加すると見込まれている。

重要な節目となったのは、6月23日のマレーシアと欧州自由貿易連合(EFTA)加盟4カ国(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)との経済連携協定(MEEPA)の調印で、これにより4カ国との貿易関係が拡大した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ビジネス・トゥデー、7月15日)

KLIAターミナル1、混雑緩和に向けた改修工事が完了

【クアラルンプール】 空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)が、今年上半期に3,000万リンギを投資し進めていたクアラルンプール新国際空港(KLIA)ターミナル1の改修が完了。さらに来年のマレーシア観光年に向け、予算に上限を設けることなく旅客体験の向上を目指す。

上半期の改修は、処理を迅速化し混雑緩和するのが主な目的。「上半期のKLIAの旅客数は3,010万人で、前年同期比で9.9%増加しており、空港サービスを向上させることは特に重要」と説明する。

まずモバイルチェックインユニットを備えた自動手荷物預け機5台を導入。従来のカウンターでの手続きと比較し、1時間あたり最大10倍の手荷物処理能力を備えるという。

国内線保安検査場のレーンに関しても、荷ほどき・再梱包用の専用エリアを新設したことなどで、処理能力は1時間あたり770人から1,569人に増加し、平均待ち時間は5分未満に短縮される。国際線出発にも、6つの手動によるカウンターに代わり、9つのセルフスキャン式搭乗券レーンが設置された。また最新の手荷物カート5,000台も導入された。

また乳幼児や高齢者、身体障害者らのアクセシビリティ向上にも配慮。優先レーンの入国審査カウンター2つを新設したほか、スペースを広くした専用駐車場などを整備した。おむつ交換室も2カ所開設したのに加え、8月までにさらに3カ所追加。救急救命士チームを配置し、緊急対応能力も強化した。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、7月15日)

米国製AIチップ迂回輸出の証拠は確認されず=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、米国の輸出規制対象製品である高性能人工知能(AI)チップがマレーシアなどを経由して中国に密輸出されているとの疑惑について、現時点で証拠は確認されていないと述べた。

ザフルル氏は、投資貿易産業省(MITI)が税関、マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)、警察、業界関係者と密接に連携して調査を進めていると説明。「現時点では証拠は見つかっていないが、米国政府や主要テクノロジー企業と連携し協力して調査を行っている。もし証拠が見つかれば、適切な措置を取る」と述べた。

ザフルル氏はまた、数百万個のチップが密輸出されているという主張を否定し、「マレーシアでのデータセンターの急成長によってAIチップの需要が高まったことが、懸念を引き起こしている可能性がある」と指摘。「マレーシアでのAIチップ需要が急増していることは否定できないこれが特にマレーシアが密輸出しているとの懸念を引き起こしているのだと思う」との見解を示した。

MITIは14日、米国からの高性能AIチップの輸出、積み替え、通過に関わるすべての活動が、即日「戦略貿易許可証」取得義務の対象となると発表した。2010年戦略貿易法(STA2010)第12条(キャッチオール規制条項)に基づく措置。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、7月15日)

外国資本制限ある業種の規制緩和を検討=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、米国との貿易交渉の一環として、現在外国資本制限が課せられている業種について規制緩和を検討する可能性があると述べた。ただこの問題については影響を受ける業界と協議する必要があるとし、具体的な対象分野は明らかにしなかった。

マレーシアは、製造業などではほぼ自由化されているが、金融サービスや通信など、戦略的とみなされる分野における外資規制を設けている。米国との交渉ではこうした非関税障壁が重要な争点となっており、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証や政府調達など、マレーシアの国益に関わる重要な問題が対立軸論となっている。

ザフルル氏によると、特定分野において外資株主に対する出資制限を設けている問題は、貿易交渉の中で提起された。今月初め、米国はマレーシア産品すべてに25%の輸入関税を課すと発表したが、8月1日の発効前に交渉の余地があることも示唆している。

ザフルル氏は、「多くの機関や省庁が関わる問題なので、時間が必要だ」と述べ、先週の米国貿易代表との会議では新たな条件は提示されなかったものの、非関税障壁が依然として懸念材料であると強調した。
(ザ・スター電子版、マレーシアン・リザーブ、エッジ、ベルナマ通信、7月15日)