ファイアフライ、ジェット機の国内線をスバンからKLIA1へ移転

【クアラルンプール】 マレーシア・アビエーション・グループ(MAG)傘下の航空会社ファイアフライは30日、セランゴール州のスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)を利用していたジェット機での国内線をクアラルンプール新国際空港(KLIA)ターミナル1に移転すると発表した。

変更は8月19日からで、グループのネットワーク最適化計画の一環という。ターボプロップ機での路線は引き続きスバンから運行される。

具体的には、タワウ線が19日、クチン線とコタキナバル線が21日、シンガポール(セレター)線22日、ジョホールバル線23日から、それぞれ変更になる。影響を受ける予約客には変更や払い戻しに応じる。

また新たに、コタバル線とトレンガヌ線を30日から、シブ線を9月3日から開設する。ペナン線については23日から、従来の週2便から週6便に増便。11月までに週10便への増便を計画している。

同社は現在、ナローボディ・ジェット機(ボーイング737-800型機)5機と、ターボプロップ機(ATR72-5009型機)9機を運航している。昨年8月、ペナンとコタキナバルを結ぶ2路線でスバン空港でのジェット機運航を始めたが、1年での見直しとなった。

スバン空港に関しては、エアアジアも4月に撤退。騒音対策として午後10時―午前6時の深夜帯は飛行禁止となっているほか、ターミナルの混雑を防ぐため1時間あたり1機のジェット機しか発着できないなどの制約があるため、赤字を招き、MAGにとって大きな負担になっていたとみられる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、7月30日)

IMFがGDP成長予想を上方修正、関税措置に言及

【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)は29日公表の世界経済見通し報告で、マレーシアの今年の国内総生産(GDP)増加率予想を、4月に示した数値より0.4ポイント高い4.5%に修正した。来年のGDP成長についても4.0%へ0.2ポイント上方修正した。

マレーシアの主要貿易相手国である中国の今年のGDPについても4.0%から4.8%へ上方修正。上半期の成長が予想以上だったことと、対米関税が引き下げられたことが理由だ。

IMFは、世界的に不確実性がみられるが、各国は透明な貿易の枠組みを推進することで、政策が原因の不確実性を減らすべきと米国の関税措置に言及。国際貿易システムが現状の形態では機能しない場合、現実に即した協力が望ましいとした。

さらに、2国間交渉は貿易上の緊張を和らげることができ、貿易障壁の引き下げを目指すのが望ましいが、そうした交渉は国内政策が原因の対外収支の過剰な不均衡など、緊張の根本原因に対処することが最終目的であるべきとの見解を示した。
(ビジネス・トゥデー、7月30日、ザ・スター電子版、ベルナマ通信、7月29日)

セカンドハートがリバネスから資金調達、マレーシアの基盤を強化

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 糖尿病合併症である足病変の重症化予防に取り組むヘルステック・スタートアップのセカンドハート(本社・京都府長岡京市)は、リバネスキャピタル(本社・東京都新宿区)から資金調達し、マレーシアでの事業基盤を強化すると発表した。

リバネスが運営する「ジャーミネーションファンド1号投資事業有限責任組合」を引受先とする第三者割当増資による資金調達を実施した。今回の資金調達により、当社が開発・提供する足病診療支援プラットフォーム「Steplife(ステップライフ)」の機能強化を加速させるとともに、喫緊の課題である東南アジア諸国連合(ASEAN)地域、特にマレーシアにおける事業基盤の構築と臨床的価値実証(PoC)を本格化させ、糖尿病による足切断ゼロ社会の実現に向けた歩みを強めていく。

具体的には▽マレーシアにおけるPoC(臨床的価値実証)の推進▽ASEAN市場向けプロダクト開発の加速▽グローバル事業開発体制の強化――を図っていく。

第13次5カ年計画を発表、年4.5―5.5%の経済成長目指す

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は31日、下院議会で次期5カ年計画である「第13次マレーシア計画」(13MP、対象期間:2026ー2030年)の概要を発表した。

向こう5年で年率4.5―5.5%の国内総生産(GDP)成長を目指す。財政赤字の対GDP比は2024年の4.1%から3%以下に抑えること、政府債務の対GDP比を60%以下とすることを目指す。

向こう5年の政府の開発支出は4,300億リンギ、年平均860億リンギと見積もっている。政府の開発支出の仕向け先は、経済部門が2,270億リンギ、社会部門が1,330億リンギ(うち教育部門が670億リンギ、保健部門が390億リンギ)、安全保障部門が510億リンギ、行政部門が170億リンギ――となっている。

なお政府は13MPを実現するためには総額6,110億リンギの開発資金が必要とみており、政府の開発予算のほか、政府系企業(GLC)と政府系投資会社(GLIC)から1,200億リンギ、官民連携(PPP)イニシアチブを通じた民間部門から610億リンギの調達を見込んでいる。

13MPではまた、民間投資については年平均6%成長、公共投資については同3.6%成長を予想。総輸出については年平均5.8%成長、インフレ率については年平均2―3%と予測している。

アンワル首相は、マレーシアは2030年までに「包括的かつ持続可能な」人工知能(AI)国家になることを目指し、13MPに基づき政府は同国をデジタル技術革新と「マレーシア製」の製品・サービスの生産の地域拠点化すると述べた。

製造業については、特に半導体産業を改革して高付加価値ハイテク(HVHT)製品の生産を増やすなど、電気・電子(E&E)サブセクターを強化する取り組みを通じて引き続き強化するとした

労働者の給与と非金銭的報酬の両方を含む従業員報酬については、現在のGDPの3分の1強の水準から40%への引き上げを目指す。 世帯平均月収については2030年までに1万2,000リンギに引き上げ、絶対的貧困率については4.7%に引き下げることを目指すという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、7月31日)