サラワク州で500ヘクタールのカカオ農園を開発=農園一次産業省

【クアラルンプール】 農園・一次産業省は、第13次マレーシア計画(13MP、対象期間2026-30年)に基づき、サラワク州をマレーシアの主要生産拠点とするため新たに500ヘクタールのカカオ農園を開発する方針だ。チャン・フーンヒン副大臣が下院議会質疑で明らかにした。

チャン氏によると、サラワク州政府およびマレーシア・カカオ委員会との協力により、サラワク・カカオ開発プログラムが来年開始される見込み。同省は、請負業者の選定、参加者の登録、アウトソーシングによるカカオ栽培の開発など、植栽活動に3年間で1ヘクタールあたり3万5,000リンギを充当する。

同省は13MPに基づき、サラワク州内の600ヘクタールに及ぶ既存の小規模農家800戸に対しても、1ヘクタールあたり年間3,000リンギの予算で農業資材と機材を提供する予定だ。

同省は第12次マレーシア計画(12MP、対象期間2021-25年)にて、マレーシア・カカオ委員会を通じてサラワク州で700万リンギ相当の5つの主要プログラムを既に実施しており、これにはアサジャヤ・セブヤ・シムンジャン地域を対象とする生産効率向上のためのカカオ増収プログラム、高級フレーバーおよびオーガニックカカオ栽培資材開発プログラム、311.4ヘクタールに及ぶ329戸の農家を対象とした近代化プログラムが含まれる。
(ザ・サン、ベルナマ通信、10月9日)

マ・日国際工科院、14日に展示会「MJIIX 2025」を開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マレーシア工科大学・マレーシア日本国際工科院(MJIIT)は、「マレーシア―日本産業&革新展示会2025」(MJIIX 2025)を14日に開催すると発表した。

同イベントのテーマは「産学官連携で広がる新たな可能性」で、マレーシアと日本の産業界を中心に、大学や関係機関も参加し、イノベーション、人材育成、そして持続可能な社会の実現に向けた協力を促進することを目的としたもの。デジタル化、脱炭素、グリーンイテクノロジーなど、両国が共に取り組む課題をテーマに、研究成果の展示や企業との交流、学生による研究発表などが行われる。

主な内容は▽研究・技術展示(MJIITの研究室や企業が最新の技術・研究成果を紹介)▽産業界との交流セッション(企業と研究者のネットワーキング、共同研究の可能性を探るための対話)▽学生研究コンペティション(マレーシア日本人商工会議所基金の支援下での学生による創造的・研究アイデア発表)▽ネットワーキングコーナーにおける学生・企業・卒業生の交流――。

【イスラム金融の基礎知識】第578回 FINDEX2025にみる東南アジアの銀行利用(2)

第578回 FINDEX2025にみる東南アジアの銀行利用(2)

Q: マレーシアの銀行利用の状況は?

A: 世界銀行グループが7月に公表したFINDEX2025によれば、マレーシアは他の主要国と同様2011・14・17・21・24年の調査結果が公表されている。このうち、2014年と2024年を比較してみたい。年平均5%の経済成長から一転、コロナ禍とそこからの回復をみた期間を通じての、個人の銀行口座保有率の変化である。

2014年の従来型銀行・イスラム銀行を問わず銀行口座保有率(15歳以上)は81%だった。2024年の同比率は89%なので、10年間で8ポイント増加したことになる。ただ、同比率は2021年には88%であったため、2010年代後半に銀行保有者が増え、ここ3年は頭打ちの状態のようだ。

2024年の属性別の保有率をみてみると、全体の89%より高い90%を超える属性は、都市居住者(90%)、有職者(92%)、所得階層上位60%の層(93%)、中等教育卒かそれ以上の学歴保有者(92%)である。「都市に住む高学歴で平均以上の所得がある有職者」ほど、銀行口座を保有する傾向にあると言える。

他方、10年間で8ポイント以上増加した属性は、初等教育卒かそれ以下の学歴保有者(16ポイント増)、15~24歳(11ポイント増)、女性(10ポイント増)であった。「低学歴で若年の女性」の銀行口座の保有が10年で顕著に進んだと言えそうだ。この間、男性の保有率は6ポイントの増加であった。この結果、2024年の保有率は男性89%・女性88%となり、性別間の格差はほぼなくなった。なお、2024年にもっとも保有率が低い属性が、初等教育卒かそれ以下の学歴層(74%)である。今後マレーシア全体において、さらなる銀行口座保有率増加を目指すのであれば、この層に対していかに銀行がリーチしていくかが課題といえよう。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。