【クアラルンプール】 政府は高度人材や投資家向けのビザ要件などを見直す方針だ。2026年度予算案でアンワル・イブラヒム首相が明らかにした。

まず、高度人材向けの居住者パス(RPーT)について、従来は雇用パス(EP)を通じ3年間のマレーシアでの就労実績が確認されていたが、今後は確認不要になる。引き続き収入要件などはあるが、RPーTが認められれば、10年間、滞在・就労が可能になる。

また、今年4月に導入された投資家向けビザについては、これまでは希望者からの申請に基づく形だったが、今後はマレーシア投資開発庁(MIDA)がより積極的に関与し、電気・電子(E&E)など主要産業の潜在的投資家にビザ取得を働きかけていくという。このマルチエントリービザは、有効期間は6カ月で、必要に応じて6カ月間の延長が可能とされてきたが、延長手続きの簡素化を進め、最長12カ月の滞在をより容易にする。

さらに、東南アジア諸国連合(ASEAN)内での熟練人材の移動促進に向け、「ASEANビジネス・エンタイティ」(ABE)制度を導入。他国で取得した資格の認証簡素化など、中規模企業を中心に地域展開を支援していく。

また、マレーシア国民の配偶者と死別や離婚した外国人で子供がいる場合、居住者パスを申請すれば、5年間の滞在・就労が可能となる。従来は滞在資格を失い身分が不安定になりがちだったため、人道的な配慮が講じられることになった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月9日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、10月10日)