【クアラルンプール】 環境ベンチャーのイノカ(本社・東京都文京区)は10日、マレーシア・トレンガヌ大学(UMT)とサンゴ研究を共同で推進する覚書(MoU)の締結を発表した。
2019年創業のイノカは、海洋環境を陸上の水槽で再現する「環境移送技術」を手掛ける。2022年には閉鎖環境下でサンゴの人工産卵に成功した。
今回、マレーシア子会社のイノカ・アジアを通じ、MoUを締結した。背景として、東南アジアのサンゴ礁は世界のサンゴ礁の約3割を占めるが、その約85%が絶滅の危機に瀕していることが挙げられる。こうした課題を解決するには、実際の環境を再現して対策を考えることが不可欠となる。このため、海洋科学・沿岸生態系の研究の実績を誇るUMTと提携。同社の技術を活用しながら、サンゴ実験を進める。また、マレーシア水産局に対する実験許可申請などでもUMTが支援・協力する。
イノカは昨年10月にも子会社を通じ、マレーシア科学大学(USM)との間で、藻類・海草に関する共同研究強化でMoUを締結。マレーシアで展開してきた活動をさらに発展させ、東南アジアでの海洋保全と研究基盤構築を加速させていきたいとしている。