EONキャピタル、自動車ローンのデジタルプラットフォーム構築

【クアラルンプール】 プロトン、三菱自動車、いすゞ自動車などのブランドを扱う自動車ディーラーEON(エダラン・オートモビル・ナショナル)の金融部門子会社、EONキャピタルは自動車ローンがオンラインで申請できるプラットフォーム「トラス」の運用を開始した。

自動車購入希望者、自動車販社、銀行を一つのシステムでつなぎ、ローン申請を簡素化する。提携銀行はバンク・ムアマラット、マラヤン・バンキング(メイバンク)、Amバンクで、購入希望者は3行に同時にローン申請ができ、書類がそろっていれば最短30分で申請が処理される。

EONキャピタルは保険会社とも提携した。購入希望者はメーカーの保証期限から、最長2年の保証延長を申し込むことができる。プラットフォームには「カーキュレーター」と呼ぶ機能も組み入れ、購入予定者の予算にあった車両を推奨するツールとなっている。
(マレーシアン・リザーブ、9月9日)

農水省、日本料理の調理技能認定制度説明会を開催へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 農林水産省は、日本料理の調理技能認定制度説明会及び調理実演会を9月18日にクアラルンプール(KL)市内のレストランで開催する。

農水省は、日本食・食文化の海外発信を強化するため「海外における日本料理の調理技能の認定に関するガイドライン」を定め、日本料理に関する知識及び調理技能が一定のレベルに達した海外の外国人日本食料理人を民間団体等が自主的に認定する制度を設けている。

調理実演会では、KLの人気の寿司レストラン「織部」のマスターシェフで日本食普及の親善大使を務める川崎直也さんが実演を行う。

ホンダのEV「e:N1」25台、KTMBの会議の公式車両に

【クアラルンプール】 ホンダ・マレーシアは、マレーシア国鉄(KTMB)と提携し、KTMBの主催で開催中の「第45回ASEAN鉄道CEO会議(ARCEOs)」の公式車両として、バッテリー電気自動車(BEV)「e:N1」25台を提供している。

ARCEOsはクアラルンプールのルネッサンスホテルで8―12日、開催されている。マレーシアのほか、タイ、インドネシアなど東南アジア諸国連合(ASEAN)の7カ国の鉄道会社の代表者らが参加しており、e:N1はその輸送に使われる。ホンダの矢﨑成司 社長兼最高経営責任者(CEO)は提携について「持続可能なモビリティの推進に向け、鉄道業界と自動車業界の強力な相乗効果を象徴している」としている。

e:N1は同社初のBEVとして今年5月に発売された。中国からの輸入完成車(CBU)。発売以来、関心は高いものの納入台数が限られていたため、会場周辺では実際に目にした車愛好家らの話題となり、PRの絶好の機会になっている。
(ポールタン、カーズ・オートメディア、9月9日、ソヤチンチャウ、9月8日)

 

ペトロン、年末までに最大50カ所の給油所を新規開設へ

【クアラルンプール】 フィリピン系の石油販社、ペトロン・マレーシア・リファイニング&マーケティングは、年末までにマレーシア全国で40―50カ所の給油所を開設する計画だ。急成長地域における事業基盤を固める戦略の一環だとしている。

ペトロンによると、新設高速道路や急成長を遂げる住宅街がマレーシアの燃料小売市場を様変わりさせており、ガソリンスタンド運営業者の間では競争が激化しているという。

ペトロン・マレーシアのゼネラルマネジャーのモハメド・ニザム・マンソル氏は、計画中の新給油所の半分はすでに着手中で、土地の承認とプロジェクトスケジュール次第では来月末までに完成する予定だと言明。「マレーシアは継続的に成長している市場であり、高速道路や住宅街などまだ同社の給油所が設置されていない地域が数多くある」、「今回のネットワーク拡大により、ペトロンは事業範囲を拡大し、消費者にさらなる価値を提供できるようになる」と述べた。

ペトロンは現在、サバ州とサラワク州を含むマレーシア全土で816の給油所を運営している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月7日)

サイムモーターズが創立45周年、記念セールなどを展開

【クアラルンプール】 創立45周年を迎えたサイム・モーターズは、国内最大の自動車販売店として、12月にかけてさまざまな記念イベントを実施する。

サイム・モーターズは、コングロマリットのサイム・ダービーグループとして1980年に設立された。1990年代にかけて、全国規模での顧客基盤拡大に注力し基盤を築き、2000年代に入りプレミアム車など幅広いセグメントに進出し、急成長を遂げた。

また2023年にはUMWグループを買収し、UMWトヨタ・モーターとダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)を傘下に収めた。また2022年には中国・比亜迪汽車(BYD)と提携し、国内市場でいち早く電気自動車(EV)の販売を開始した。現在はこのほか、BMW、ミニ、ジャガー、ポルシェ、ボルボ、フォード、現代(ヒョンデ)などのブランドも手掛けている。

グループのジェフリー・サリム・デイビッドソン最高経営責任者(CEO)は「モーター事業はグループにとって重要な成長の原動力となってきた。今後は特に電動モビリティとアジア太平洋市場全体において、新たな機会を切り拓いていきたい」と語った。

10月には45時間連続のセールイベントが予定されているほか、9月から12月にかけて毎月プレゼント企画やスポーツイベント、オーケストラによるコンサートなども計画されている。
(カーシフ、9月3日、ポールタン、9月4日、モタオート、9月5日)

格安航空スクート、スバン空港の利用拡大の方針

【クアラルンプール】 シンガポール航空(SIA)の格安航空子会社スクートは、セランゴール州のスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)の利用を拡大する意向だ。

スクートは昨年9月、26年ぶりとなるスバン空港のナロージェット機乗り入れ再開に合わせ、シンガポール―スバン線を就航。エアバスA320型機を使用し、毎日運航している。レスリー・タン最高経営責任者(CEO)が英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」の取材に対し、同路線は非常に好調で、マレーシア航空当局の承認が得られることを前提に、増便に前向きな姿勢を示した。

スクートはクアラルンプール新国際空港(KLIA)からもシンガポール便を運航しているが、タン氏は「どちらの空港がいいか、乗客は柔軟に選べるようになる」と述べた。

スバン空港に関しては、今年に入りエアアジアとファイアフライが相次いで撤退。ジェット機を運航しているマレーシアの航空会社は、バティック・エアのみになっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレーシアン・リザーブ、9月8日)

静岡わさびフェアのマレーシア開催、農水省補助事業に採択

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 伊豆わさび漬組合(所在地・静岡県三島市)は、2025年9月1日ー10月24日の日程で静岡県伊豆地域の老舗14社共同による「静岡わさびフェアinマレーシア」をクアラルンプール(KL)で開催する。同イベントは農林水産省補助事業「令和6年度補正予算・加工食品クラスター輸出緊急対策事業」に採択された。

「静岡わさびフェアinマレーシア」は、マレーシア初の十割そば店舗×展示スペース併設型店舗である「元年堂」パブリカ店で開催する。従来の展示会形式にとどまらず、現地卸業者と連携し、小売店やレストランへ直接アプローチを行い、生活者の声を起点に“持続可能な輸出モデル”を構築するという。

店舗フェアでは、元年堂の特別メニューにわさび加工食品を使用、アンケート取得200人を目標とする。また100社以上の取引実績を持つ卸業者と連携し販路を確立。現地小売・レストラン5社への営業代行を行う。さらにインスタグラム・TikTokを使った多言語発信(英語・マレー語)によるデジタルマーケティング、ハラル(イスラムの戒律に則った)認証や商習慣をテーマに輸出人材育成・相談会を開催する。

航空旅客数、2025年7月に930万人を突破=CAAM

【プトラジャヤ】 マレーシア民間航空局(CAAM)は、マレーシア国内空港の旅客数が2025年7月に930万人を記録し、ほぼ新型コロナパンデミック前の水準に戻ったと明らかにした。

前月比では3.9%、前年同月比では5.3%それぞれ増加した。第2四半期の旅客数は前年比10.5%増の2,650万人となり、パンデミック前の水準の99.3%に達した。年初7カ月では6,120万人となり、CAAMは年間予測の1億580万人―1億1,290万人に向かって着実に進んでいるとしている。

7月の国際線旅客数は470万人に達し、前月比9.6%増、前年同月比3.4%増となり、新型コロナ前の2019年7月の水準の98.7%に達した。国内線旅客数は主に6月のスクールホリデーや祝日の影響で、前月比1.3%減の460万人となったが、前年同月比7.4%増を達成し、パンデミック前の94.8%に達した。

CAAMのノラズマン・マハムード最高責任者(CEO)は、国際旅客の増加は座席数の拡大、中国とインドからの観光客に対する政府の30日間ビザ免除、そしてコタキナバル-大邱、スバン-バンコク、クアラルンプール-パレンバンといった新規路線の開設によるものだと指摘した。

主な空港で旅客数が増加し、クアラルンプール新国際空港(KLIA)第1・第2ターミナルは4.4%増、セナイ国際空港は9.7%増、コタキナバル国際空港は7.2%増、ランカウイ国際空港は6.6%増、ペナン国際空港は4.0%増、クチン国際空港は0.2%増となった。

貨物輸送量は、年初に関税引き上げを受けた前倒し輸送が行われたが、輸送パターンが正常化したことで前年比2.8%の減少となったものの、7月には前月比11.4%増の9,300万キログラムと回復した。
(ザ・サン、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、9月4日)

国土交通省、ニライ技能短大で物流人材育成支援事業を実施

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ネグリ・センビラン州のニライ技能短期大学(ニライ・ポリテクニク)でこのほど、国土交通省の物流人材育成支援事業として、約120人の学生に対する集中講義が行われた。

同省の5日の発表によると、集中講義は8月18日から7日間実施された。同省の職員から日本の物流政策や、コールドチェーン物流サービスに関する取り組みについて説明があったほか、佐川グローバルロジスティクス(本社・東京都品川区)の社員が講師として協力。日本の物流現場で採り入れられている、整理、整頓、清掃、清潔、躾という「5S」を意識した業務改善を実技形式で紹介したり、学生たちによるディスカッション形式での新規提案などが行われた

同省では、東南アジア諸国連合(ASEAN)での物流マネジメント人材を育成するため、SGH財団(事務局・京都市下京区)の協力のもと、2015年から同事業を実施。今年はマレーシア以外に、ラオス、ベトナムでも実施した。

【総点検・マレーシア経済】第529回 ペトロナス、2025年前期の決算を発表。最近の状況は?

第529回 ペトロナス、2025年前期の決算を発表。最近の状況は?

8月29日、国有石油会社ペトロナスは2025年上半期の業績を発表しました。2025年上半期の売上高は1,326億リンギとなり、前年同期の1,736億リンギから大幅に減少しました。410億リンギ(24%)の売上減少のうち148億リンギは2024年5月に完了した南アフリカのエンゲングループ事業売却による影響ですが、それを除いても売上は16.5%減となっています。エンゲンの影響を除外した税引き前利益は378億リンギで、前年同期の488億リンギから23%の減少となっています。

図1はペトロナスの各事業部門の売上比率を横軸に、利益率を縦軸にとったものです。この図から分かるのは、ペトロナスの上流部門は高収益、ガス・海運部門のマージンも大きい一方で、下流部門が赤字を出している点です。一方で、ペトロナスの売上比率は上流、ガス・海運、下流がほぼ3分の1ずつを占めるバランスの取れたものになっていることが分かります。どこか一つの部門の好不調が全収益に大きな影響を与えることを防いでいると言えます。

下流部門が赤字に転落している理由としては、石油製品・化学製品のマージン悪化と販売量の減少が報告されています。マージンの悪化については、中国の過剰生産の影響が少なからずあります。図2はポリエチレン・ポリプロピレンの近年の輸出額をマレーシア、中国、日本について比較したものです。2021年以降、中国からの輸出が爆発的に増えていることが分かります。

以上のように、ペトロナスの収益基盤は安定していますが、下流部門については中国の過剰生産もあり、しばらくは苦しい状況が続きそうです。一方で、ペトロナスの財務状況は良好で、こうした状況下でも政府への配当を一定規模で続ける余裕はあります。6月にペトロナスのタウフィックCEOが従業員の10%をリストラすることを発表しましたが、間接部門の規模の適正化が主目的で、経営状況は引き続き健全であることが確認できます。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp