外国人観光客誘致、26年には4700万人を目標=副首相

【プトラジャヤ】 政府は、観光客の滞在期間延長と消費額の増加を目指す「マレーシア観光年(ビジット・マレーシア・イヤー2026=VM2026」の一環として、今年は4,300万人、2026年には4,700万人の外国人観光客の受け入れを目指す方針だ。

アハマド・ザヒド・ハミディ副首相は、2日に開催されたVM2026全国委員会の会合後、キャンペーン成功に向けた▽ブランディングとマーケティングキャンペーンの強化による需要創出▽航空会社、旅行代理店、地域の入国地点との戦略的パートナーシップによるマレーシア訪問客の増加▽エコツーリズム、ショッピングツーリズム、ニッチなアトラクションといった効果の高い分野への注力――の3つの主要戦略を発表した。

ザヒド氏は、特に中東が異常気象に見舞われる時期に中東の観光客を誘致するために、季節ごとの観光プロモーションを実施することの重要性を強調。「提案されている取り組みの一つは、マレーシア・ミッドナイトセールを強化し、マレーシアを最高のショッピングツーリズムとして位置付けることだ」と述べた。

2024年にマレーシアを訪問した外国人観光客は3,800万人に達し、前年比31.1%増となった。一方、国内観光客は2億6,010万人に達し、同21.7%増となった。
(ザ・サン、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、9月2日)

KLIAエアロトレインの深夜帯の保守が完了、24時間運行を再開

【クアラルンプール】 空港運営会社マレーシア・エアポート・ホールディングス(MAHB)は、クアラルンプール国際空港第1ターミナル(KLIA1)メインターミナルとサテライトターミナルを結ぶKLIAエアロトレインが8月18日から31日までの2週間にわたる深夜帯のメンテナンスを終え、24時間運行を再開したと発表した。

2週間の深夜帯のメンテナンスは7月の運用開始以降に収集された運用データに基づき、システムの信頼性と応答性を微調整するために行われた。請負業者のアルストムもこの期間を利用して信号ソフトウェアのアップデート試験を行った。メンテナンス期間中はシャトルバスがメインターミナルとサテライトターミナル間の旅客輸送を行った。

KLIAエアロトレインは4億5,600万リンギをかけて刷新され7月1日に完全運行を再開したが、早々に度重なるトラブルに見舞われた。7月4日には大雨でトンネル内に水が溜まり、運行開始からわずか3日間で一時運休に追い込まれた。
(エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、9月3日)

マツダの新高級SUV「CXー80」「CXー60」販売開始

【クアラルンプール】 マツダ車の販売を手掛けるベルマツ・モーターは3日、6人乗り高級クロスオーバーSUV「CXー80」を発表。6月から先行予約を受け付けていた5人乗りの「CXー60」とともに、正式に発売を開始した。両車種ともにマレーシア市場初投入で、注目される。

新たに発表されたCXー80は、全輪駆動(AWD)のプラグインハイブリッド車(PHEV)モデル。2.5リットル直列4気筒ガソリンエンジン「SKYACTIVーG 2.5」と、17.8キロワット時(kWh)のリチウムイオンバッテリーを組み合わせた電動モーターを搭載する。8速オートマチックトランスミッションを採用。パワートレイン全体での最高出力は323馬力(328PS)、最大トルクは500Nmで、最高速度は195キロメートル(km)となる。電動モーターのみでの航続距離は、欧州基準(NEDC)で最大65km。

車内は2列目が左右独立式のキャプテンシート、3列目は2人掛けのベンチシートになっている。ボディーカラーは、メルティングカッパーメタリック、ロジウムホワイト、アーティザンレッド、プラチナクォーツ、ジェットブラックの5色展開。日本からの完全輸入車(CBU)で、マレーシア半島での価格は33万1,610リンギ(保険料込み)になる。
(ポールタン、ジグホイールズ、ローヤット・ドットネット、9月3日)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第907回:中小企業の両利き経営(10)デジタル化と高度人材

第907回:中小企業の両利き経営(10)デジタル化と高度人材

前回は、ステークホルダーからの圧力や、環境意識の向上を求める消費者の需要の高まりに後押しされて、中小企業はグリーンイノベーションに取り組むことが多いこと、しかしながら、中小企業は、グリーンイノベーションに必要なデジタルプラットフォームの導入のために必要なリソース、スキル、コミットメントが不足するなど、特有の課題に直面していることを述べました。

そのため、デジタル技術に明るい高度人材の採用は、急進的なイノベーションを補完する可能性があります。高度人材は、高度な論理的思考力と意思決定能力を持つとともに、中小企業の短期的および中期的な業績よりも、長期的な発展に関心を持つ傾向があります。加えて、急速な変化に早く適応でき、デジタル化を通じて得られた外部知識を吸収し、社内のイノベーションプロセスに統合することができます。したがって、デジタル化の重要なポジションに彼らを配置することで、デジタル技術に関連する新しい知識を理解して統合し、新しい製品、プロセス、またはその他の形態のイノベーションを開発するための変革が可能になります。

ギリシャの製造業企業(主に中小企業)1,014社を対象とした調査では、人的資源を含む吸収能力がデジタル能力とイノベーションパフォーマンスを仲介することが示されました。さらに、デジタル化により社内外のコミュニケーションが改善され、より多くの教育を受けた従業員がイノベーションに必要な新しい知識やリソースにアクセスできるようになることで、効率と生産性が向上し、イノベーションにより多くの時間を割くことができるようになることが示されました。デジタル化により日常業務の負担が軽減されることで、高度人材はより多くの非日常業務を引き受けながら、新しいアイデアの生成が刺激され、発散的な思考を増やし、イノベーションに貢献する可能性があります。

 

Kokubun, K. (2025). Ambidextrous SMEs for a Sustainable Society: A Narrative Review Considering Digitalization, Open Innovation and Green Innovation. Preprints. https://www.preprints.org/manuscript/202504.0009/v2

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

 

AIを活用したホテル「ウィンダム iシティ」、12月に開業

【クアラルンプール】 不動産開発のアイ(I-BHD)は、米系ウィンダム・ホテルズ・アンド・リゾーツと提携。セランゴール州シャアラムに、人工知能(AI)を活用したホテル「ウィンダム iシティ」を12月に開業する。

ホテルはアイが開発を進めるスマートシティ「iシティ」内の55階建ての建物の39―55階を占める形で開業。200室で、キッチン付きの1ベッドルームから3ベッドルームで構成される。ウィンダムは2億リンギを投資したという。

さらに、同じ建物の12―38階はサービス付きレジデンス「ウィンダム・スイーツ・iシティ」となり312戸が入居する。建物全体の設備管理にAIが活用されるほか、ホテルではコンシェルジュや配膳などのサポート業務へのロボット活用も予定されている。

またホテルの開業に合わせ、マレーシア初のAI・ロボティクス体験センター「iシティAIワールド」もオープン。同施設は、ロボット開発を手掛ける上海智元新創技術(AgiBot)との提携によるもので、iシティの中核と位置付けられている。アイのリム・キムホン会長は「ホスピタリティとテクノロジーが一体化した未来の姿を提供していく」としている。

両社は昨年12月にクアラルンプール中心部に「ウィンダム・スイーツKLCC」を開業。屋内型テーマパーク「ウィンスポーツ」などが人気を集めている。72エーカーにも及ぶiシティでも同様のテーマパークやヘルスケア施設を展開するなど提携を強化していく計画だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月2日)

クラン港、初の世界トップ10コンテナ港入り

【クアラルンプール】 クラン港(セランゴール州)が「ロイズ・リスト2025」のトップ100コンテナ港ランキングで10位にランクインし、初めてトップ10入りを果たした。クラン港は2022年に13位、2023年に11位と着実に順位を上げていた。

クラン港の2024年のコンテナ取扱量は1,464万4,527TEU(20フィート標準コンテナ換算)で、前年(2023年)の1,406万1,000TEUから4.1%増加した。

マレーシア運輸省は、クラン港の取扱能力を強化するための継続的な取り組みを反映したものであり、2025年の取扱量は1,500万TEU近くにまで増加すると予想されると言明。「ウエストポートのターミナル拡張により2028年までに処理能力が倍増する予定であり、ノースポートのバースのアップグレードとキャリー島の大規模プロジェクトにより、最終的には2060年までに国内の処理能力が年間3000万TEUに増加する」と述べた。

マレーシアではクラン港のほか、タンジョン・プルパス港(PTP、ジョホール州)が取扱量が1,225万TEUで15位に入った。両港を合わせると世界5位の水準となる。

日本勢は東京港の45位が最高で、横浜港は70位、神戸港は75位、名古屋港は76位、大阪港は87位だった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、9月1日、ロイズ・リスト発表資料)

99スピードマート、福州に中国初店舗をオープン

【クアラルンプール】 コンビニエンスストアチェーンを展開する99スピード・マート・リテール・ホールディングスは、8月31日に福建省福州市に中国初店舗をオープンしたと発表した。投資額などの詳細は明らかにしていない。

99スピード・マートがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明の中で、「福州市内に試作店舗を開設し、段階的に拡大していく計画だ」とし、「今回の出店は2025年12月期のグループの収益や純資産に重大な影響を与えることはないと予想している」とした。

マレーシアの華字紙の報道によると、中国事業は99スピードマートが全額出資することになるという。

99スピードマートは6月末現在、マレーシア全土で2,894店舗を展開している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、9月2日)

いすゞマレーシア、クアンタンに新しい3Sセンター開設

【クアンタン】 マレーシアいすゞは、パハン州クアンタンに新たな3S(販売、サービス、部品交換)センターをオープンした。新店舗はセマンブ工業地帯に位置しており、代理店のダイナミック・モーターズによって運営される。ショールームは毎日営業、サービスセンターは月曜日から土曜日まで営業している。

敷地面積は3,500平方メートルで、管理事務所が入っている中二階を含む建屋面積は1,700平方メートル。1階は顧客を迎える専用フロアで、建物内には各種ソフトドリンクを取りそろえた冷蔵庫やコーヒーマシン、リラックスできる回転椅子、カフェスタイルの椅子、テーブルを備えたラウンジがある。管理事務所は中2階にある。

ピックアップトラックのD-Maxシリーズに加え、いすゞの中型トラックのフォワードシリーズや大型トラックのギガシリーズを含む、いすゞ車全シリーズの販売とサービスを取り扱う。ショールームには、展示車両2台を収容できるスペースがあり、電子カタログやバーチャルリアリティ(VR)設備が用意されている。

いすゞマレーシアの山口朋之 最高経営責任者(CEO)は、「この最新のいすゞ3Sセンターのような店舗で顧客がより高いレベルの対応とサービスに満足して貰うことを願っている」と述べた。
(ポールタン、カーシフ、8月29日)

カジャンとアンパンを結ぶEKVEが開通、1カ月間通行料無料

【クアラルンプール】 セランゴール州の東側で開発中の高速道路イースト・クランバレー・エクスプレスウェイ(EKVE)の第1区間が8月29日、正式に開通。9月30日までの1カ月間、通行料が無料になる。

EKVEの第1区間は、カジャン近郊のスンガイ・ロン・インターチェンジと、北側のアンパン・インターチェンジを結ぶ約24キロメートル(km)で、片側2車線の計4車線道路。両インターチェンジは料金所が併設され、間にはさらに2つのインターチェンジと、2つの休憩所を備える。既存ルートに比べ最大約20分間短縮されるという。またスンガイ・ロン・インターチェンジを通じ、チェラス・カジャン高速道路(CKE)を経て、スンガイ・ベシ―ウル・クラン高速道路(SUKE)へもアクセスできる。

8月29日に開通式典が行われ、アンワル・イブラヒム首相が1カ月間の料金免除を発表した。

EKVEは第2区間として、ゴンバックのウカイ・ペルダナまでの北側約15kmの区間が延伸される予定で、将来的にはクアラルンプール外環状道路(KLORR)の一部となる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、ザ・スター、8月29日)

KLIA、車両アクセス管理システムの試験運用を開始

【クアラルンプール】 クアラルンプール国際空港(KLIA)は、新しい車両アクセス管理システム(VAMS)の試験運用を開始した。車両の路肩での長時間駐停車を防止することで構内の渋滞を緩和し、ターミナルへのアクセスをよりスムーズにするのが狙い。

空港運営会社マレーシア・エアポート・ホールディングス(MAHB)は声明の中で、ターミナル1のレベル5(出発降車場)とレベル3(到着乗車場)での試験運用を9月1日から2025年11月30日まで実施すると発表した。ターミナル2でも試験運用を9月15日から11月30日まで実施する。

VAMSシステムはターミナルの降車もしくは乗車レーンに車両が入る際にタッチ・アンド・ゴー(TNG)カードあるいはクレジットカードを使用し、エリア内の滞在が10分間を超過した場合に罰金を科すというもの

ただし試験運用期間中は罰金は課さず、交通パターン、運転者の行動、そしてシステム全体のパフォーマンスを観察し、完全導入に向けた最適な猶予期間と罰金体系を決定することに重点を置くという。
(ザ・サン、エッジ、ベルナマ通信、8月30日)