サイゼリヤ、マレーシアに100%子会社を設立へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 外食大手のサイゼリヤ(本社・埼玉県吉川市)は19日、マレーシアに100%子会社を設立することを決定したと発表した。

マレーシア法人の名称は、マレーシアサイゼリヤとなる見通し。資本金は約3億円 (予定)で、 2025年9月の設立を予定している。マレーシアでレストラン「サイゼリヤ」を展開し、更なる事業の拡大を図る。レストランの開業予定については明らかにしていない。

サイゼリヤは中国、香港、台湾に法人を設立しており、東南アジア諸国連合(ASEAN)ではシンガポールとベトナムに法人を設立。同社のウエブサイトによると、シンガポールで37軒、ベトナムではホーチミンに1軒をそれぞれオープンしている。

中国移動通信が仮想事業者に、マキシスの回線を利用

【クアラルンプール】 通信事業者のマキシスは、チャイナ・モバイル・インターナショナル(CMI)が仮想移動体通信事業者(MVNO)としてCMリンクのブランドでマレーシアにおいて事業を展開することに関し提携協定を交わした。CMIは世界最大の通信事業者、中国のチャイナ・モバイル(中国移動通信)の子会社で、MVNOとしてすでに英国、シンガポール、日本、タイ、イタリアに進出している。

両社は昨年8月、5G(第5世代移動通信)やデジタル革新での協力で合意し、覚書を交わしていた。

MVNOは自社で通信設備を持たず、大手移動通信事業者から回線を借りて通信サービスを提供する事業者。CMIは光ファイバーやモバイルネットワークなどマキシスの回線を利用しサービスを提供する。

CMリンクでは、1枚のSIMカードで複数の回線を利用できるサービスや、中国・マレーシア間での情報共有サービスを提供し、マレーシア在住の、あるいはマレーシアに渡航する中国人学生や専門職者のニーズに対応する。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、報道資料、8月18日)

Uモバイル、ベルジャヤタイムズスクエアでビル内5Gサービス開始

【クアラルンプール】 国内2つ目の5G(第5世代移動通信)ネットワーク業者、Uモバイルは18日、本社が入居するクアラルンプールのショッピングモール、「ベルジャヤ・タイムズ・スクエア」内で5G設備の運用を開始した。マレーシア初の、5Gサービスがビル内のどこでも利用可能なショッピングモールとなった。サービスの名称はウルトラ5G。

ウーン・ウーイユエン最高技術責任者(CTO)は開始式で「来年中に170の建物でウルトラ5Gを利用できるようにする。4年以内には最多600の建物に整備する」と述べた。

ベルジャヤ・タイムズ・スクエアでの開始式では、全長800メートルの、ひねり回転のある室内コースターのライブ配信を行った。現在、クアラルンプール国際空港、病院、コンベンションセンターなど重要施設での設備据え付けも行っている。
(ベルナマ通信、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ビジネス・トゥデー、8月18日)

MAHB、KLIAで年内に外国航空会社12社の就航を目指す

【セパン】 空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)は、クアラルンプール新国際空港(KLIA)で年内に外国航空会社12社の就航を目指し、アジア太平洋地域の主要ハブ化戦略を推進している。最高航空戦略責任者のメガット・アルディアン氏が、英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」のインタビューで明らかにした。

メガット氏によると、外国航空会社12社のうち、すでに8社の新規就航が確定。そのうち▽ブリティッシュ・エアウェイズ▽スリランカのフィッツエア▽中国雲南省を拠点とする雲南祥鵬航空(ラッキーエア)▽中国海南省を拠点とする海南航空▽中国・上海を拠点とする吉祥航空――の5社はKLIAに就航しているという。
中国市場については、マレーシアのビザなし滞在期間が90日に延長されたことを受け、旅行需要がパンデミック前の水準に回復しつつあるという。インドと中東も急成長を遂げている市場で、KLIAにまだ就航していないヨーロッパの航空会社数社などとともに協議を進めている。

新航空会社を探す一方で、既存の航空会社とは、増便や、ナローボディ機からワイドボディ機へと機種を大型化するなど、輸送能力増強に向けた交渉を継続。特に乗客の移動傾向などをデータで示し、交渉を行っているという。

さらにKLIAの第3ターミナル建設については、長期マスタープランの一部であるとしつつ、「当面KLIA(ターミナル1とターミナル2)におけるサービスの向上、効率化、そして最適化の実現に注力していく」と述べた。

また航空貨物でも国際宅配大手のDHL、フェデックス・エクスプレスなどが拠点を構え、電子機器や生鮮食品、越境EC向け小口貨物などの取扱量が増加傾向にあり、さらに力を入れていくという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月18日)

第2四半期の経常収支、黒字が265億リンギに拡大

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局によると、2025年第2四半期の経常収支は265億リンギの黒字で、前期の166億9,700万リンギから黒字幅が大幅に増加した。

モノの貿易収支の黒字が前期の384億9,100万リンギから170億500万リンギに減少。一方、サービス収支の赤字は前期の34億3,300万リンギから32億7,300万リンギに減少した。

第一次所得収支の赤字は前期の171億3,500万リンギから88億8,700万リンギに微増、第二次所得収支の赤字は前期の12億2,700万リンギから45億8,000万リンギに増加した。

金融収支の赤字は前期の203億1,400万リンギから22億500万リンギに減少。直接投資の純流入は前期の120億9,400万リンギから、22億600万リンギに減少した。一方、証券投資は前期の483億2,500万リンギの純流出から164億4,400万リンギの純流入に転換。金融派生商品は12億8,700万リンギの純流入(前期は17億1,700万リンギの純流出)、その他の投資は221億3,800万リンギの純流出(同176億3,400万リンギの純流入)となった。

 

豪州産牛肉の無監査疑惑、イスラム開発局が否定

【プトラジャヤ】 マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)のシラジュディン・スハイミー局長は、豪州産牛肉がJAKIMの監査なしにマレーシアに輸入されているとの拡散動画の内容を否定。マレーシアに輸出されるすべての食肉および食肉加工品の屠殺および加工プロセスは、マレーシアと豪州の両国が定めた基準と規制に従って行われていると強調した。

ソーシャルメディアで拡散している問題の動画は「JAKIMはオーストラリア産の輸入肉をめったに監査せず、マレーシア人は死骸を食べている」とのタイトルが付けられたもの。2022年に撮影されこのほど再共有されたもので、不正確な情報が含まれており国民を誤解させる可能性があるという

シラジュディン氏は、「JAKIMは豪州キャンベラのマレーシア高等弁務官事務所にハラル(イスラムの戒律に則った)担当官事務所を設置し、マレーシア家畜サービス局(DVS)の認可を受けた屠畜場および食肉加工工場の定期的かつ継続的な監視を行っている」と言明。「豪州農林水産省(DAFF)も輸出用ハラル食肉の調理プロセス全体に関する規制を実施しており、豪州政府の輸出規制を満たしマレーシアのハラル基準を含む輸入国の要件を満たした製品のみが輸出許可される」と説明した。
(ザ・サン、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月15日)

インド人会議が野党連合と協議、BN離脱を検討か

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム政権に協力する国民戦線(BN)所属のインド系政党、マレーシア・インド人会議(MIC)のヴィグネスワラン党首は、野党連合・国民同盟(PN)と非公式協議を行ったことを明らかにした。BN離脱及びPN入りを視野に入れた動きとみられる。

アンワル政権内における冷遇に対する不満やBNの中核である統一マレー国民組織(UMNO)に対する不満が党内部から噴出しているためで、同じくBN構成党である華人系政党、マレーシア華人協会(MCA)もBNからの離脱を仄めかす動きをとっており、かつては隆盛を誇っていたBNが分裂の危機を迎えている。

2022年総選挙では、過半数を取れなかったアンワル氏率いる希望同盟(PH)に対してBNが協力することでアンワル政権が誕生した。大連立の中心となったUMNOは閣僚ポストを7つも与えられたものの、UMNOは2議席しか取れなかったMCA、1議席しか取れなかったMICにはポストを分け与えなかった。

PH構成党から選出された華人閣僚は複数いるが、インド・タミル系の閣僚は1人しかおらず、MICは特に民族政党としての存在意義が問われる事態となっている。こうしたことを背景にこのままBNに属していてもジリ貧になるとの懸念の声が党内から上がっているという。

政治アナリストらはMCAとMICが揃ってBNを離脱した場合、それぞれ独立系政党として活動していく可能性もあるが、PNに合流する可能性も高いとみている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、シナル・デイリー、バイブス、8月16日)

セパンサーキットCEO、F1開催復帰に意欲も困難認める

【クアラルンプール】 セパン・インターナショナル・サーキット(SIC)のアザン・シャフリマン・ハニフ最高経営責任者(CEO)は、「マレーシアがF1レースの開催を取りやめたことは間違いだったと考えている」と述べた上で、開催復帰の意欲はあるが容易ではないとの考えを示した。

セパンでF1レースが初めて開催されたのは1999年で、最後に開催されたのは2017年。当時のナジブ・ラザク首相の決定で2018年以降、F1レース開催から撤退した。開催中止の決定理由として、高額な開催費用、世界的な関心の低下、チケット販売の不振などが挙げられた。

シャフリマン氏は、F1の枠をめぐる待機リストがあるためセパンでのレース開催復帰は非常に困難だと言明。更に開催費用も非常に高額で、オーナーのリバティ・メディアから、レース参加費として7,000万米ドルの見積もりが出されていると述べ、加えて開催毎に1,000万―2,000万リンギの準備費用がかかると述べた。

その上でSICが現在、ドルナスポーツとモトGP開催権の契約更新交渉を準備していることを明らかにし、「過去の過ちを繰り返したくない。F1開催権を手放してしまった今、取り戻すのは非常に困難だ。モトGPでも同じ過ちを繰り返さないことを願っている」と述べ、モトGPについては開催を続けたいとの考えを示した。

シャフリマン氏はさらに、F1開催復帰への強い関心はあるものの、適切な対応が必要だと言明。「F1の毎年開催を復活させるには総額3億リンギ以上の費用がかかるし、多くの国々が開催順番を待っているので容易ではない。しかしもし我々が本当に真剣に取り組むのであれば、話し合いが始められるかもしれない」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、8月16日)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第906回:中小企業の両利き経営(9)デジタル化、 グリーンイノベーションと持続可能性

第906回:中小企業の両利き経営(9)デジタル化、 グリーンイノベーションと持続可能性

前回は、デジタル化が、時間、資金、人材といったリソースが少ない中小企業が外部知識を獲得し、知識基盤を強化するのに役立つというお話でした。経営者と従業員がデジタル化に向けた意思統一をすることが、その後の両利き経営やデジタル能力の向上、さらにはイノベーションのために不可欠といえます。

さらに、デジタル技術の活用は企業の持続可能性を向上させる可能性があります。中小企業は世界の産業汚染の60~70%を占めているにもかかわらず、大企業に比べて環境意識が低く、環境技術や法律に関する知識が不足しているとされています。しかしながら、ステークホルダーからの圧力や、環境意識の向上を求める消費者の需要の高まりに後押しされて、中小企業はグリーンイノベーションに取り組むことが多いようです。この時、企業は、デジタルツールを使用することで、資源の使用状況をリアルタイムで監視し、プロセスを最適化し、廃棄物を削減し、環境効率を向上させることができます。例えば、ブロックチェーンはリサイクル原材料が使用されていることを証明するために使用されています。したがって、デジタル化は、資源利用の最適化、循環型経済および持続可能なビジネスモデルの実装を促進することで、環境パフォーマンスを向上させることができます。

しかし、中小企業はデジタルプラットフォームの導入において、必要なリソース、スキル、コミットメントが不足しているなど、特有の課題に直面しています。そのため、人的ネットワークは重要なリソース源となり、中小企業が貴重な機会を発見するのに役立ちます。例えば、使用済み、リサイクル、回収された材料からなる生産投入物を取り扱い、それを顧客価値に変換するプロセスを設計するには、材料の継続的な循環と廃棄物の削減・排除という観点から、材料の利点と限界を理解しているパートナー、専門家、顧客の関与が必要です。

 

Kokubun, K. (2025). Digitalization, Open Innovation, Ambidexterity, and Green Innovation in Small and Medium-Sized Enterprises: A Narrative Review and New Perspectives. Preprints. https://doi.org/10.20944/preprints202504.0009.v1

 

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第905回:中小企業の両利き経営(8)両利きとデジタル化

第905回:中小企業の両利き経営(8)両利きとデジタル化

前回は、グリーンイノベーションについてでした。両利きは持続可能性にプラスの影響を与え、それが新製品の成功とグリーンイノベーションにプラスの影響を与える可能性があります。しかし、グリーンイノベーションの導入には、オープンイノベーションと同様にコストがかかります。

コスト削減戦略の最も重要な方法の一つがデジタル化です。デジタル化は、時間、資金、人材といったリソースが少ない中小企業が外部知識を獲得し、知識基盤を強化するのに役立ちます。漸進的イノベーションと比較して、より高度なイノベーション型である急進的イノベーションは、より多くの暗黙知と外部の異種リソースを必要とし、企業の既存の知識基盤をはるかに超える可能性があります。この場合、デジタル化は中小企業に、市場で入手可能な情報を選別し、業界の最先端を見極める貴重な機会を提供します。これにより、中小企業はより積極的に急進的イノベーションを実施できるようになります。さらに、パートナーと動的な情報や知識を共有することで、新たなアイデアやコンテンツが生まれ、企業のイノベーション・パフォーマンスの向上につながります。

さらに、限られたリソースしか持たない中小企業はリスク許容度が低く、漸進的イノベーションに比べて不確実性とリスクが大きい急進的イノベーションを避けるインセンティブが生じます。デジタル化は、企業が不確実性を発見、特定、回避し、リスクの程度を軽減するのに役立ちます。その結果、中小企業が急進的イノベーションを実行することが促進されます。

ドイツの様々な業種の中小企業1,474社を対象とした研究とフィンランドの中小企業204社を対象とした研究の結果は、組織の両利き性がデジタル志向と成長戦略の関係を媒介することを示しました。これらは、両利き性はデジタル化を伴う場合、より高いパフォーマンスにつながる可能性が高いことを示唆しています。しかし、デジタル化と両利き性の順序は逆になることもあります。イスタンブールの中小企業366社を対象とした研究では、デジタル変革が中小企業の両利き性と競争優位性の関係を部分的に媒介していることが示されました。同様に、2019年の世界銀行ビジネスサーベイと、2020年と2021年に21か国の8,928社を対象に実施された追跡調査を使用した研究では、組織の両利き性がデジタル能力を通じて間接的にイノベーションに影響を与えることが示されています。これらの調査結果は、組織の両利き性がデジタル能力を強化することで、企業の競争優位性を高めることができることを示唆しています。以上の一連の研究は、デジタル「志向」(すなわち、デジタル化へのコミットメント)が両利きを予測する可能性があり、両利きがデジタル「変革」とデジタル「能力」を予測する可能性があることが示されています。

これらの研究は、両利きの組織がいつ、どのようにデジタル化を導入すべきかについて重要な示唆を与えてくれます。すなわち、経営者と従業員がデジタル化に向けた意思統一をすることが、その後の両利き経営やデジタル能力の向上、さらにはイノベーションのために不可欠といえます。

 

Kokubun, K. (2025). Digitalization, Open Innovation, Ambidexterity, and Green Innovation in Small and Medium-Sized Enterprises: A Narrative Review and New Perspectives. Preprints. https://doi.org/10.20944/preprints202504.0009.v1

 

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)