KKマート店舗に火炎瓶、イスラム主義者らも非難声明

【イポー=マレーシアBIZナビ】 ペラ州南部ビドーで26日早朝、ミニマートチェーン、KKマートの店舗に火炎瓶が投げ込まれる事件が発生。警察が捜査に乗り出した。KKマートは「アッラー」という文字がプリントされた靴下を販売していたとして、統一マレー国民組織(UMNO)青年部などから様々な抗議活動を受けている。

防犯カメラの映像によると、午前5時35分ごろ、黒っぽい色の乗用車が店の前に乗りつけ、乗っていた男が灯油が入っていたとみられる火炎瓶を投げ込んで逃走した。火炎瓶は店の前に落ち、ガラスが飛び散り、爆竹のような爆発物が見つかったものの、発火はしなかった。逃げた車には配送サービスのララムーブのステッカーが貼られていたという。

KKマート批判者らは同店チェーンに対する非買運動などを呼び掛けているが、火炎瓶のような暴力事件に発展したのはこれが初めて。これにはUMNO青年部のアクマル・サレー部長やイスラム原理主義政党、汎マレーシア・イスラム党(PAS)も非難声明を出している。

なお同問題を巡っては、KKマートや靴下の委託販売元の幹部が刑法違反で裁判所に告発されている。

加ブラックベリー、KLにサイバーセキュリティーセンターを開設

【クアラルンプール】 カナダのブラックベリーは26日、クアラルンプール(KL)にサイバーセキュリティ・センター・オブ・エクセレンス(CCoE)を正式に開設した。同社はかつては携帯端末のメーカーだったが、現在はサイバーセキュリティに注力している。

CCoEではサイバーセキュリティ・トレーニングやサイバー脅威情報を提供し、マレーシアや域内のパートナーがインド太平洋地域のサイバー脅威に適切に対応できるよう支援していく。また、「ブラックベリー・サイバーセキュリティ・カリキュラム」を提供し、国内で約1万2,000人不足しているとされるサイバーセキュリティ専門家の育成を支援する。ブラックベリーのサイバーセキュリティ製品やサービスに関するトレーニングコースのみではなく、米SANSインスティテュートやカナダのロジャース・サイバーセキュア・カタリストなどが提供する専門性の高いコースも用意する。女性のサイバーセキュリティ技術者に対する奨学金や大学向けに学生教育プログラムを提供する計画もあるという。

ブラックベリーのCCoE開設は昨年10月、同社サイバーセキュリティ部門のジョン・ジャンマッテオ社長がアンワル・イブラヒム首相を表敬訪問した際に発表されており、同11月に米サンフランシスコで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場で契約が締結された。
(ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、3月26日)

JX石油開発、ペトロナスとCCS技術を活用したガス田新規開発へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 JX石油開発(本社・東京都千代田区)は26日、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の上流部門子会社ペトロナス・チャリガリとの間で、マレー半島沖の高濃度二酸化炭素(CO2)を含む未開発の5ガス田群(BIGST)を対象とした共同操業協定(JOA)を締結したと発表した。アクティブパートナーとして開発計画の作成に積極的に関与していく。

JX石油開発は100%子会社JXニッポン・オイル&ガス・エクスプロレーションを通じ、ペトロナスとの間で、BISSTの生産分与契約(PSC)を締結し、同ガス田の権益を取得している。BIGSTの権益構成は、JX石油開発が50%、ペトロナス・チャリガリが50%となっている。

JX石油開発は、2020年4月から約1年半をかけ、エネルギー・金属鉱物資源機構と共同で、CO2回収・貯留(CCS)技術を用いた既発見未開発ガス田の低環境負荷での開発実現を目指す共同研究を実施した。この共同研究が高く評価され、2022年12月に、CCS を伴う形でのBIGSTの開発技術提案をペトロナスに行うこと、および権益取得の検討を進めることについて覚書を締結していた。今回、PSCおよび JOAを締結のうえ、開発・生産に向けた具体的な検討を進める運びとなった。

BIGSTは豊富な天然ガス埋蔵量(約4兆標準立方フィート)を有することが確認されていたが、ガスと共に高濃度のCO2を含むことから、これまで開発が見送られてきた。天然ガスとともに産出されるCO2を分離・回収して近隣の減退ガス田に圧入することで、BIGSTの新規開発の実現を目指す。

「アッラー」靴下問題、KKマートのCEOらを起訴

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ミニマートチェーンのKKマートで、「アッラー」の文字がプリントされた靴下が販売されていた問題で、同社の創始者であるチャイ・キーカン最高経営責任者(CEO)と妻のロー・シウムイ取締役が26日、セランゴール州シャアラムの初等刑事裁判所に起訴された。両被告とも罪状を否認しているが、有罪となれば1年以下の禁固刑、罰金、もしくは両方が科される。

靴下をKKマートに販売委託していた、ジョホール州バトゥパハのサプライヤー、シン・ジエン・チャン社のソー・チンフアット取締役と妻のコー・リーフイ氏も同日、教唆罪で起訴された。

問題の靴下はKKマートに委託販売していたもので、くるぶしの辺りにアルファベットで「ALLAH」とプリントされていた。バンダル・サンウェイの店舗で消費者によって撮影された画像がソーシャルネット上で拡散。「イスラムに対する冒涜」といった批判の声と共に、KKマートの不買運動を呼び掛ける声がイスラム政党などから上がった。

■KKマートはサプライヤーに損害賠償請求■
KKマートは25日、ブランド毀損および事件を受けての上場中止による損失を被ったとして、シン・ジエン・チャン社とソー取締役を相手取って損害賠償請求訴訟をシャアラム高裁に起こした。

KKマート側は、ブランド毀損による損失額が1,050万リンギ、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)上場中止による損失額が2,030万リンギ、加えて週平均150万リンギの売上減があったと主張。また、シン・ジエン・チャン社にはアームカバーの委託販売を許可したが、靴下の委託販売は許可していなかったとし、KKマートが知らないうちに問題の靴下が店舗に陳列されたとしている。

一方、シン・ジエン・チャン社は、問題の靴下は中国浙江省の製造業者が製造したものだとした上で、「アッラー」文字を入れることは指示していないと主張。製造業者を訴える考えを示している。

暑く乾燥した天候は4月上旬には落ち着く=気象局

【クアラルンプール】 マレーシア全域で現在観測されている暑く乾燥した天候は、4月上旬には落ち着くと予想されている。

マレーシア気象局のムハンマド・ヘルミ・アブドラ局長は、昨年11月11日より始まった北東モンスーン期が終わり、3月29日から5月まではモンスーン移行期になると説明。高温で乾燥した天候はあと1週間程度続くと予想されるが、モンスーン移行期に降雨が増えれば、現在の高温も緩和されると述べた。

一方、モンスーン移行期には、大気の状態が不安定となり、大雨や強風、雷雨が発生しやすくなるとし、特にマレー半島西部や内陸部、サバ州西部、サラワク州中部・南部などの地域で、夕方から夜の早い時間帯に大雨や強風が発生することが多く、洪水や倒木、強度のない建造物の損壊などの被害を引き起こす可能性があるとした。

ムハンマド局長は、気象局の公式サイトやアプリ、ソーシャルメディアで発信する天気予報や警報などのほか、ホットラインに問い合わせるなど、常に気象の最新情報を確認して欲しいと国民に呼びかけた。
(ザ・サン電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月25日)

【マレーシア・トレンド・ウォッチ】半導体サプライチェーンにおけるマレーシアの存在

半導体サプライチェーンにおけるマレーシアの存在

英語有力経済誌フィナンシャル・タイムズ電子版が3月11日に”Malaysia: the surprise winner from US-China chip wars”というタイトルの記事を配信しました。「米中半導体戦争での意外な勝利者はマレーシア」という趣旨です。同記事には米国への半導体輸出国について言及があり、2023年2月時点を示すグラフでマレーシアが20%を占めていることが示されました。2位は台湾15.1%、3位ベトナム11.6%、4位タイ8.7%、5位韓国7.5%であり、日本は7位で3.5%でした。中国は6位で4.6%となっていますが、今後、米中の半導体戦争が継続する限りは減っていく可能性が高そうです。

マレーシアは半導体サプライチェーンの一角を形成していましたが、今回のように米国という重要市場に対してマレーシアが1位となることは、記事タイトルのとおり「surprise」と言えそうです。もちろん、半導体関連といっても幅があります。先進国には、いわゆる「川上」にあたる半導体素材や「川中」の製造設計が集中します。半導体素材は日本や韓国が強く、設計は台湾STMCのような会社が強くなっています。マレーシアは「川下」に当たる半導体産業が殆どです。

このようにマレーシアでの半導体産業が盛り上がっている理由は、これまでに一定の理工系人材を育ててきたことや投資環境の良さ、そして、長年の半導体を含めた製造業の産業集積を経ているからです。人口が3,000万人の中規模であるため、インドネシアやベトナムといった億単位の人口のある国に比べると、目立ち難い存在と捉えられてしまいがちです。大手IT企業のマレーシアへの投資ニュースは、NDVIAを始めとして続いており、今後、半導体サプライチェーンにおけるマレーシアの役割がより高まっていきそうです。

※本連載の内容は著者の所属組織の見解を代表するものではなく、個人的な見解に基づくものです。

川端 隆史(かわばた たかし)
マレーシア研究者。1976年栃木県生まれ。東京外国語大学マレーシア専攻卒業。1999 年から2010年まで外務省に勤務し、在マレーシア日本国大使館、 国際情報統括官組織などを歴任。2010年11月から15年7月までは SMBC日興証券でASEAN担当シニアエコノミスト。2015年8月に ソーシャルメディアNewsPicksと経済・産業情報プラットフォームSPEEDAを手がけるユーザベースに転身、2016年3月から同社シンガポール拠点に駐在。2020年12月から2023年3月まで米国リスクコンサルティングファームのクロールのシンガポール支社に勤務。共著書に「マハティール政権下のマレーシア」、「東南アジアのイスラーム」、「東南アジア文化辞典」がある。この記事のお問い合わせ は、takashi.kawabata★gmail.comまで(★を@に変更ください)

リザーバーリンク、ケダ州での太陽光発電で住商などとJV設立へ

【クアラルンプール】 石油・ガス関連サービスのリザーバー・リンク・エナジーは25日、ケダ州での太陽光発電に向け、合弁会社(JV)を設立すると発表した。

リザーバー・リンクがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、同社は20日付けで100%子会社であるリザーバー・リンク・リニューワブル(RLR)を通じ、住友商事、太陽光発電のMAQOエンジニアリング(MESB)、同SRMウタマ・セランバウ(SUS)との間で株主間契約を締結した。JVには住友商事が49%、RLRが29%、MESBが22%を出資する。

RLRと住友商事、MESBから構成される企業連合体が2023年8月に再生可能エネルギーの販売枠を規定する、環境天然資源気候変動省の「コーポレート・グリーン・パワー・プログラム(CGPP)」で、太陽光発電事業者として選ばれており、販売枠として約30メガワット(MW)が割り当てられている。
(ザ・スター電子版、エッジ、3月25日)

【人生の知恵・仕事の知恵】Enhance pockets of effective guidance

Enhance pockets of effective guidance

★相談へのアドバイス

先週、某国某社で報告の受け方について、マネージャー及びスーパーバイザーを対象にケーススタディーを使ってワンオンワンの研修を行いました。

ケースの一つとして、同じミスを繰り返す部下をどのように指導したら良いかという相談についてこたえるものを用意しました。作業書などの改善をアドバイスする受講者に対して、以下のように伝えました。

「作業書の改善も必要かもしれませんが、ミスの繰り返しを無くすことを保証するものではありません。」

もう一つのアドバイスとして、現場での具体的な指導が求められます。

 

★現場での指導を促す工夫

マレーシアも含めて海外では、日本のような部下指導の発想は皆無です。もしも部下の仕事力が基準にそぐわないのであれば、先述した通りマニュアルの改善をするか、もしくはそれもダメな場合は教育を担当する人事に下駄を預けるというのが一般的です。

なぜ、現場での上司からの直接指導が大切なのか、現地の上司にまず理解してもらう必要があります。

 

★フレーズの工夫

先週の別の研修では、部下へのフィードバックの方法の一つとして、If I were you という言い方をアドバイスしました。

直接部下に指示や指導をすることを苦手とする現地の人たちには、向いている表現でしょう。部下へのフィードバックのレパートリーを増やすことで部下への指導に幅を持たせることも、マニュアル指導からの脱却に有効です。

【湯浅忠雄氏による社員研修がKLで開催!】
2024年4月22日(月)「報連相とPDCA」
2024年4月23日(火)「問題発見と解決の技法」
2024年4月24日(水)「中間管理者の使命と役割」
2024年4月25日(木)「日本人管理者のためのマネジメント研修」
開催時間:各9:00-17:00
使用言語:英語(25日のみ日本語)
会  場:SENTRO ( KL セントラル近くMENALA ALLIANZ38F )
問合せ先:yuasatadao@gmail.com

 

湯浅 忠雄(ゆあさ ただお)
アジアで10年以上に亘って、日系企業で働く現地社員向けのトレーニングを行う。「報連相」「マネジメント」(特に部下の指導方法)、5S、営業というテーマを得意として、各企業の現地社員育成に貢献。シンガポールPHP研究所の支配人を10年つとめた後、人財育成カンパニー、HOWZ INTERNATIONALを立ち上げる。
【この記事の問い合わせは】yuasatadao★gmail.com(★を@に変更ください)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第871回:ライフスタイルとモチベーション(11)駐在員にとって大事な睡眠と食事

871回:ライフスタイルとモチベーション(11)駐在員にとって大事な睡眠と食事

前回は、良いライフスタイルを維持することで、健康が維持されるというお話でした。今回は、1月にマレーシアBIZナビ・ウィークリーの読者の皆さんに協力いただいたアンケート調査の結果の一部をご紹介します。

今回の研究では、ライフスタイルに関する7つの変数を盛り込みました。このうち、睡眠と食事が、文化的知性や心の知性を高めるうえで特に効果的であることが示されました。睡眠の質は、報酬の期待値と関連しています。そのため、睡眠不足の人は、そうしないことで得られる報酬を正しく評価できないことで、簡単に仕事を休んだり、予定や会議をキャンセルしたり、社会活動をサボったりしてしまいます(Palmer & Alfano, 2017)。こうした経験を繰り返す駐在員であれば、感情を利用したり、ストレスに耐えるような能力の不足を自覚したりしていても不思議ではありません。

また、食事のバランスは、認知やエピソード記憶と関連しています(Guasch‐Ferre & Willett, 2021)。エピソード記憶とは、時間や場所、そのときの感情を含むイベントの記憶のことです。そのため、食生活の不健康な人が、異文化体験やその時の感情の具体的な記憶が曖昧になり易く、そのことで、異文化についての知識や興味が下がり、また交流の際に適切な行動を取ることを苦手と感じていても不思議ではありません。

一方、運動は、今回の研究では文化的知性や心の知性との相関が見られませんでした。運動は、自制心や向社会的行動、対人コミュニケーションなどにポジティブな効果があること、また、個人で行うよりもチームで行うほうが効果が大きいことなどが、システマティックレビューで確かめられています(Teixeira et al., 2012)。しかし、しばしば差別を受けた少数民族が民族的な誇りを取り戻すためにスポーツチームに参加するように(Thorpe et al., 2014)、現地に馴染めない駐在員が日本人駐在員主催のスポーツコミュニティに参加し、そのことで、チーム内の団結心の向上と引き換えに、現地の文化への興味や、文化を相対的に見るためのメタ認知の発達を遅らせている可能性も考えられます。こうしたメリットとデメリットが打ち消し合うことで、サンプル全体としては文化的知性や心の知性との相関が確認できなかったのかも知れません。

現地との交流の妨げにならない限り、健康なライフスタイルは脳の働きを高め、現地経営に良い影響を与えます。皆さんも心がけてみてはいかがでしょうか。

Guasch‐Ferre, M., & Willett, W. C. (2021). The Mediterranean diet and health: A comprehensive overview. Journal of internal medicine, 290(3), 549-566. https://doi.org/10.1111/joim.13333
Palmer, C. A., & Alfano, C. A. (2017). Sleep and emotion regulation: An organizing, integrative review. Sleep medicine reviews, 31, 6-16. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2015.12.006
Teixeira, P. J., Carraca, E. V., Markland, D., Silva, M. N., & Ryan, R. M. (2012). Exercise, physical activity, and self-determination theory: a systematic review. International journal of behavioral nutrition and physical activity, 9, 1-30. https://doi.org/10.1186/s13643-023-02264-8
Thorpe, A., Anders, W., & Rowley, K. (2014). The community network: an Aboriginal community football club bringing people together. Australian journal of primary health, 20(4), 356-364. https://doi.org/10.1071/PY14051

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、東北大学客員准教授、国際経済労働研究所理事、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、産業創出学の構築に向けた研究に従事している。
この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

【総点検・マレーシア経済】第493回 マレーシアの2月の輸出は0.8%減、回復は確信できず

第493回 マレーシアの2月の輸出は0.8%減、回復は確信できず

3月18日、統計局はマレーシアの2024年2月の輸出を前年同月比0.8%減と発表しました。1月の輸出は8.7%増と11カ月ぶりのプラスに転じましたが、2月には再び前年同月を割り込みました。製造業の輸出は2.4%減、最大の輸出品目である電気・電子産業の輸出は前月の6.5%減から9.8%減へと下げ幅を拡大し、増加に転じる気配がありません。

図1〜3はそれぞれ中国、米国、シンガポール向けのマレーシアの2022〜24年2月の月別輸出の絶対額の推移を示したものです。2024年(青線)の中国向けの輸出は、1月、2月共に2022年(灰線)、2023年(黄線)を下回っており、ここ3年で最も低調な状況です。一方で、2024年米国向けの輸出は、1月、2月共に過去2年を上回って推移しており、堅調さを維持しています。シンガポール向けの輸出は1月は前年並みでしたが、2月は前年同月比15.2%減となりました。ただ、これには旧正月の時期(2024年は2月10日、2023年は1月22日)が関係している可能性があり、本当に悪いかは3月の数字を待つ必要があります。

こうした推移により、マレーシアの輸出先上位3カ国向けの輸出額はかつてないほど拮抗してきています。2022年2月には中国向け輸出を100とするとシンガポールが95、米国が68でした。2023年2月にはシンガポールを100とすると、中国向けが78、米国向けは67となっていました。2024年2月にはシンガポールを100とすると、中国向けが91、米国向けが87となっています。このところ非常に好調だったシンガポール向けが減少する一方で、米中が接近しています。2022年2月には中国向け輸出は米国向けの約1.5倍あったことを考えると、マレーシアの輸出先としての米中のバランスは大きく変化してきており、逆転も考えられる状況です。

熊谷 聡(くまがい さとる)
Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。
【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp