30日からモンスーン移行期に突入、雷雨などに注意=気象局

【クアラルンプール】 マレーシア気象局は26日、30日から南西モンスーン期から北東モンスーン期への移行期に入るとの予報を発表した。

移行期は11月まで続く見込みで、風が弱まり、湿った空気が停滞し、雷雲が発達しやすくなる。気象局は「特に午後から夕方にかけて、短時間で激しい雨と強風を伴う可能性がある」と指摘。鉄砲水や倒木、高潮など、マレー半島西部および内陸部、サバ州、サラワク州西部が影響を受けやすいとしている。

気象局の公式ウェブサイトや公式ソーシャルメディア・チャンネル、「myCuaca」モバイルアプリを通じ、最新情報をチェックするよう喚起を促している。
(ベルナマ通信、9月26日)

【イスラム金融の基礎知識】第577回 FINDEX2025にみる東南アジアの銀行利用

第577回 FINDEX2025にみる東南アジアの銀行利用

Q: 世界銀行がFINDEX2025を公表しましたが、内容は?

A: 世界銀行はFINDEX2025を7月に公表した。これは世界中の人々を対象として、銀行の利用状況をアンケート調査したものである。これまで2011年・14年・17年・21年・24年とコロナ禍の2020年を除き3年おきに調査を実施しており、今回のFINDEX2025は2024年の調査結果の公表である。

東南アジアでは毎回、ブルネイと東ティモールを除く9カ国が調査対象である。なおミャンマーは、今回調査は行われなかった。

「銀行や金融機関に口座を保有しているか?」という基本的な質問に始まり、有無の理由やサービスの種類・利用状況などを、年齢・性別・居住地・学歴・職の有無といった属性ごとにデータを集計・公開している。また今回新たに、スマートフォンに紐付いた電子マネーの利用状況についても、詳しく質問している。他方、以前には問われた「宗教上の理由で口座を持たない」といった宗教関連の項目が、今回はなくなった。

データによると、2024年の世界の銀行口座保有率は78.7%で、前回2021年の調査に比べて4.9ポイント増加した。東南アジア諸国でこの割合を上回っている国は、シンガポール(98.0%)、タイ(91.8%)、マレーシア(88.7%)の3カ国であった。他方、平均値は下回ってはいるものの過半数が保有している国はベトナム(70.6%)、インドネシア(56.3%)、フィリピン(50.2%)で、ラオスとカンボジアは40%以下であった(ミャンマーはデータなし)。

2021年と比較すると、3年間で世界平均と同等以上に割合が高まった国はインドネシア、ベトナム、カンボジアの3カ国のみで、他の国は前回と大きな変化はなかった。コロナ禍以前より高止まっていた国、コロナ禍でも保有者が増えた国など、傾向に差が表れる結果となった。(次回に続く)

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。

 

キリンビールがマレーシア子会社設立、10月に事業開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 キリンホールディングス(本社・東京都中野区)は25日、東南アジア市場におけるキリンビールの事業基盤の強化および持続的な成長を目指し、マレーシアに現地法人キリン・ブリュワリー・サウスイースト・アジア(KBSEA)を設立し、10月1日に事業を開始すると発表した。

KBSEAはキリンビールの100%子会社で、クアラルンプール(KL)に所在。東南アジアにおけるキリンビール事業の戦略立案、営業・マーケティング機能の強化、商品開発、品質管理、OEM事業推進などが事業内容となっている。

これまで東南アジアの酒類事業は、キリンホールディングスのシンガポール子会社である、キリン・ホールディングス・シンガポールを通じてシンガポールを拠点に展開してきたが、地域の成長ポテンシャルを最大化するため、キリンビールとして現地法人を設立し、一部機能を新会社へ移管する。キリンホールディングスは、これにより機動的な経営判断と現地市場での顧客ニーズへの迅速な対応を実現するとしている。

KBSEAは、東南アジアにおけるマーケティング戦略の立案やブランドマーケティング、現地代理店との連携を強化し、地域に根差した事業運営を推進していく。さらに商品ポートフォリオの拡充や新商品の開発、OEM事業の展開を通じて、今後伸長が見込まれる東南アジア地域において持続的な成長と競争力の強化を目指すという。

RCEP閣僚会合、27年をめどに協定内容の見直しで合意

【クアラルンプール】 日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国で構成する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は25日、クアラルンプール(KL)で閣僚会合を開催。米国の関税措置を背景に、RCEPを通じ、自由で公正なルールに基づく多国間貿易体制を推進していくことなどを確認した。

閣僚会合では、武藤容治経済産業相が共同議長を務めた。RCEPを強化し、地域内の企業がRCEPの恩恵を最大限に活用できるよう全力で取り組むことを表明。また、香港やスリランカ、バングラデシュ、チリの4カ国が加盟に関心を示しており、2027年をめどに協定内容を見直すことなどでも合意した。

RCEPは2020年に署名(発効は22年)され、現在、日本やASEAN諸国のほか、中国、韓国、オーストラリアなどが参加。世界最大の自由貿易圏を目指している。
(ザ・バイブス、9月26日、ベルナマ通信、9月25日)

中国のAI活用ウェルネスティー専門店「鵲堂羽坊」、KLに開業

【クアラルンプール】 人工知能(AI)を活用した健康・ウェルネスティー専門店「鵲堂羽坊」が、クアラルンプール(KL)郊外のショッピングモール「パビリオン・ブキジャリル」にオープンした。

鵲堂羽坊のマレーシア店は、中国の南京大経鵲堂羽坊健康科技のマレーシア子会社「大経TCM」が運営。2024年に南京で開業され、マレーシアが海外初進出になる。

店舗では、脈と舌による健康評価にAIを活用。生活習慣データとも組み合わせ、体の状態に合わせたハーブティーや、ホリスティックサービスを提供する。

鵲堂羽坊はグローバル展開を計画しており、今後、マレーシアで25店舗程度の展開が見込まれる。「中国での研究開発に基づくブランド基準を継続的に輸出し、すべての国際店舗において革新性と一貫性を確保していきたい」としている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月24日)

RON95補助金、次段階では高所得者を除外へ=首相補佐官

【イポー】 全マレーシア国民を対象に9月30日から実施される新たな「RON95」レギュラーガソリン補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」について、次段階では上位15%を占める高所得者(T15)が対象から除外される見通しだ。

ムハンマド・カミル・アブドル・ムニム首相補佐官は、「BUDI95」については燃料補助金の公平性と効率性を改善するために受給対象を段階的に見直す計画の一環だと説明。第1段階では外国人のみが除外され、身分証明書と運転免許証を所持するすべてのマレーシア国民が1リットルあたり1.99リンギで購入できるようにすることに重点を置いているとした上で、「我々は第1段階の実施状況を注意深く監視し、どのように機能するかを評価してから次の段階に進む」と述べた。

ムハンマド・カミル氏はまた、混乱や国民の反発を避けるため政府は段階的なアプローチを取っていると強調。「一度に実施したらどうなるか想像して欲しい。問題や技術的な課題が発生するだろう。しかし段階的なプロセスにより、歳入への影響を最小限に抑えながら制度を改善できる」と述べた。

購入上限の設定については、広範な協議を経て平均消費量を200―220リットルと想定し、少し引き上げて300リットルの上限を設定したと説明。「これ以上引き上げても苦情は出るだろう」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・サン、マレー・メイル、ベルナマ通信、9月24日)

「日馬フードイノベーション推進フォーラム」、在馬大使館と共催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 サステナブル・フード・アジア(Sustainable Food Asia、本社・東京都港区)は、11月27日に在マレーシア日本国大使館と「日馬フードイノベーション推進フォーラム」をクアラルンプール(KL)の大使公邸で開催すると発表した。

フードテック分野でマレーシア市場に関心を持つ日本のスタートアップ企業とマレーシアの有力企業との連携を目的としたマッチングイベントで、日本のスタートアップのマレーシア・東南アジア諸国連合(ASEAN)市場への進出、マレーシア・ASEAN大手食品企業との共創機会を創出するのが狙い。

イベントでは▽日本のスタートアップによる企業紹介プレゼンテーション▽マレーシア企業による企業紹介▽試食交流会▽マッチング形式の商談会――を予定しており、これに合わせて参加を希望する日本のスタートアップを5社程度をめどに募集する。

応募条件は▽フードテック・サステナブルフード分野での事業展開を行っていること▽マレーシアを含むASEAN地域への進出・販路開拓に関心があること▽マレーシアにて試食提供可能な商品があること▽英語での商談が可能なこと――で、参加料は無料。渡航・滞在費などは自己負担となる。

イケアマレーシア、国内の全飲食施設がハラル認証を取得

【クアラルンプール】 スウェーデン系家具メーカー、イケア・マレーシアは24日、国内のすべてのレストランなどでイスラム開発局(JAKIM)からハラル(イスラムの戒律に則った)認証を取得した、と発表した。

イケアによると、1996年のマレーシア初進出以来、ハラル認証を受けた食材の調達から、厨房における許可されていない食材の使用禁止などを実施してきたが、正式なハラル認証は取得していなかった。取得にあたり、食材のトレーサビリティ(追跡可能性)、厨房のワークフロー、従業員の研修などの厳格な検査が行われたという。

同社小売部門責任者のマルコム・プルイス氏は「今回の認証は、信頼、文化、そしてコミュニティへの敬意を反映したもので、地元の価値観や期待を尊重した食事の提供をさらに強化していく」としている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレー・メイル、9月24日)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第909回:中小企業の両利き経営(12)グリーン・イノベーションとオープン・イノベーション

第909回:中小企業の両利き経営(12)グリーン・イノベーションとオープン・イノベーション

前回は、財務資源を確保することで、企業は競争優位を構築するために必要なイノベーションに戦略的に投資することが可能になるというお話でした。今回は、グリーン・イノベーション(地球に優しい技術に関するイノベーション)とオープン・イノベーション(様々な主体との協力によるイノベーション)の関係についてです。

グリーン・イノベーションは、オープン・イノベーションを促進する可能性があります。なぜなら、環境に配慮したビジネス戦略を追求するには、中小企業がそうした活動に関心と知識を持つステークホルダーと連携する必要があるからです。例えば、エクアドルの中小企業543社を対象とした調査では、自然、気候変動、汚染、生物多様性、原材料・水・エネルギーの無駄の削減といった環境保護への取り組みは、外部の情報源(顧客、研究機関、ネットワーク、大学など)からの知識獲得、従業員の研究開発への参加、特許やロイヤリティの活用、競合他社との相乗効果やパートナーシップの形成といったオープン・イノベーション活動を促進し、イノベーションのパフォーマンスを高めることがわかりました。

一方、インドネシアの中小企業を対象とした調査では、オープン・イノベーションは多様なステークホルダーとの連携を促進することで、グリーン・イノベーションにプラスの影響を与える可能性があることが示されました。関連して、マレーシアの中小企業345社を対象とした調査の結果は、中小企業がオーケストレーションを通じて持続可能性と競争力のトレードオフに対処できる可能性を示唆しています。さらに、290人の中国企業幹部を対象とした調査に基づく研究では、社内の情報共有と社外との連携を強化することが環境イノベーションの促進に不可欠であると結論付けられています。

グリーン・イノベーションとオープン・イノベーションが相互に強化し合う正のフィードバック・ループを形成することで、企業の両利き能力や持続可能性が高まることが期待できます。

本連載記事に関係する論文が、以下のURLから全文無料でアクセス可能です(2025 年 11 月 13 日まで)。

https://kwnsfk27.r.eu-west-1.awstrack.me/L0/https:%2F%2Fauthors.elsevier.com%2Fa%2F1lqFZArcH5v%257EhR/1/010201997bdd92dc-2f55d85f-3f6a-4e09-a50f-d2029cba34fb-000000/-j2abMH3tXcKZD4AoMaphgExEJk=445

Kokubun, K. (2025). Ambidextrous SMEs for a sustainable society. A narrative review considering digitalization, open innovation, human resources and green innovation. Next Research, 100839. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S3050475925007067

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)

ネグリセンビラン州ニライに「オートシティ」を建設へ

【ニライ】 ネグリ・センビラン州は、「ニライ・スマートシティ」(面積728.43ヘクタール)開発プロジェクトの第1期として10億リンギ規模の近代的な自動車産業ハブ「オートシティ」を建設する予定だ。ニライ・リソーシズ・グループが23日に開催した「ニライ・スマートシティ」起工式でアミヌディン・ハルン州首相が明らかにした。

オートシティは、自動車ショールーム、スペアパーツ販売店、サービスセンター、自動車エステティックトリートメント施設、テクノロジーを駆使したライフスタイルスペースを備えた近代的な自動車ハブとして機能する。国際的な自動車ブランドを誘致するほか、地元企業が自動車サプライチェーンとエコシステムに参加する機会も提供する。技術、サービス、物流、マーケティング、管理の分野で5,000人以上の雇用が創出される見込みだという。

アミヌディン氏は、同プロジェクトが「ニライ・スマートシティ」内の他の地区における電気自動車(EV)製造、医療、教育、倉庫、住宅といった分野での開発を促進すると期待されていると述べた。
(エッジ、マレー・メイル、ベルナマ通信、9月23日)