ベルジャヤが開発の沖縄高級ホテル、マレーシア輸出入銀が融資

【クアラルンプール】 マレーシア輸出入銀行は、ベルジャヤ・ランドのシンガポール子会社ベルジャヤ・オキナワ・インベストメント(S)に7,000万米ドルのイスラム式融資を実行した。ベルジャヤ・ランドが沖縄県恩納村で建設中の高級ホテル、「フォーシーズンズ・リゾート・アンド・プライベート・レジデンス沖縄」の建設費に充当する。

開発用地は13万平方メートルで、米軍恩納通信所跡地。ホテル127室、コンドミニアム124室、自分の別荘のように利用できる一棟貸し切りのプライベートビラ28戸で構成する。3月初旬に起工式を行っており、27年7月に完工の予定。総工費は約1,000億円。

輸銀は過去にもベルジャヤ・ランドの海外事業に融資を行ったことがある。輸銀はマレーシア企業の海外でのプレゼンス強化を後押しする役割を担っており、今後もマレーシア企業の海外事業を支えるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、ビジネス・トゥデー、11月5日)

炭素税を1トン15リンギ、マレーシア政府が検討か=消息筋

【シンガポール/クアラルンプール】 マレーシア政府は、二酸化炭素を大量に放出する産業に課す炭素税の価格として、1トン当たり15リンギを検討しているもようだ。ブルームバーグが消息筋の話として報じた。これに対し政府は、価格は未定と否定している。

ブルームバーグによると、政府は利害関係者と協議を持っているが、まだ継続中の作業であり、計画は変わる可能性もあるという。東南アジアではシンガポールが先陣を切り2019年に炭素税を導入。最初の5年間は1トン5シンガポールドル(約16リンギ)に設定した。現在は同25シンガポールドル。マレーシアの炭素税の枠組みでは、企業は特定の排出枠を割り当てられ、上限を超えると炭素税を課せられる。

ブルームバーグの報道に対しアミル・ハムザ第2財務相は金融フォーラムで、炭素税額を決定するための詳細な調査をまだ行っていないと述べた。政府は炭素税の法的根拠として立法措置をまず取り、排出の枠組みを確定させてから税額設定の作業に進むという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月6日、エッジ、11月5日)

ソフト開発のネオジャパン、JACTIMの会員サイトを刷新

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ソフトウェア開発のネオジャパン(本社・横浜市西区)は5日、同社製品が、マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)の会員ポータルサイトに導入されたと発表した。

導入されたのは、グループウェアの「デスクネッツネオ」と、ノーコード業務アプリ作成ツール「アップスイート」。マレーシア子会社のネオレカ・アジアを通じて行われ、10月から本稼働を開始した。

JACTIMは1983年に設立され、マレーシア経済振興に向けた日系企業のビジネスセンターとして、会員企業の交流やビジネス支援などを行っている。会員数は600社を超えるが、従来の会員ページは動作の重さや不具合などの課題を抱えていたという。今回の刷新で、複数のサービスに分散していた業務を集約し、情報共有の効率化と業務プロセスの改善を図った。

2019年創業のネオレカは今年6月、ジョホール州政府傘下の投資誘致機関「インベスト・ジョホール」と提携し、東南アジア地域における営業や人材育成などの拠点となるCoE(センターオブエクセレンス)を設立するなど、事業拡大を目指している。

マレーシアの児童人口は903万人、就学率と犯罪率は低下

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マレーシア統計局(DOSM)が発表した「マレーシア児童統計2024年版」によると、2025年時点での推定児童人口(18歳未満)は903万人で、総人口3,423万人の26.4%を占めた。

総児童人口のうち、男児は466万人、女児は437万人、5歳未満の児童は231万人で6.7%を占めた。最も児童人口の割合が高いのはプトラジャヤ連邦直轄地で39.9%、これにクランタン州(33.5%)、トレンガヌ州(32.9%)、ラブアン連邦直轄地(30.2%)と続いた。一方、最も低かったのはクアラルンプール(KL)連邦直轄地(20.9%)で、ペナン州(22.1%)、ペルリス州(23.0%)が続いた。

児童人口ではセランゴール州は181万人と最も多く、ジョホール州(109万人)、サバ州(110万人)が続いた。一方、ラブアンは3万人と最も少なかった。

保健面では、2024年の乳児予防接種率は主要5ワクチン全てで前年比(2023年)で低下した。ポリオ、三種混合ワクチン(DTP)、インフルエンザ様腸炎(HIV)、B型肝炎の接種率はそれぞれ6.1ポイント低下、BCGは0.3ポイントの微減となり、予防医療における懸念すべき低下を示す結果となった。

教育分野では、登録保育施設(TASKA)の数は全国で1.4%増加し、3,198施設となった。ジョホール州は29.4%で最も増加率が高く、一方、プトラジャヤはマイナス21.0%と最も大きな減少を示した。

就学率はマイナス0.2%の497万516人とわずかに減少した。最も減少が大きかったのは高等中等教育の生徒数で前年から3.0%減少し、71万6,700人となった。一方、初等中等教育の生徒数は1.2%増加した。

子どもの犯罪件数は前年比4.2%減の2,627件となった。犯罪件数の82.2%はブミプトラ(マレー人と先住民の総称)で、次いで華人が9.0%、インド系が4.9%をそれぞれ占めた。

 

来年から印紙税が申告制度へ移行、税制上の重要な技術革新

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は4日、技術革新と誠実さを推進するイベントを開催し、組織としての方向性をまとめた5カ年計画(2026―30年)を発表した。計画の一環として26年1月から印紙税を申告納税制度に移行させるが、リム・フイイン副財務相は、税制改革における重要な進展だと強調した。

申告制度では、納税者が自身で税率を判断し、税額を算出し申告する。当局の手続きが短時間で済み、制度への信頼につながる。払いすぎた税の還付もより迅速になるという。

デジタルインボイスも2026年中に100%施行される。リム氏によると、デジタルインボイスを導入した事業体は10万6,000で、領収額は計6億7,500万リンギに上った。デジタルインボイスは効率改善に役立つだけでなく、透明性が高まるため、IRBおよび行政サービス全般に対する国民の信頼強化につながるという。
(マレーシアン・リザーブ、11月4日)

EV道路税、来年から出力別制度を導入し優遇措置を継続

【クアラルンプール】 投資貿易産業省(MITI)は、電気自動車(EV)の道路税免除が今年いっぱいで終了するのを受け、2026年1月1日から新たな道路税制度を導入し、EV普及を促進していく方針だ。

MITIによると、新制度ではモーター出力(kW)に応じた税率を適用する。税率を内燃機関車より低く設定することで、実質的なEV優遇にする見通しだ。

また普及に欠かせないEV用公共充電施設は9月30日時点で、5,149基に達した。内訳は、直流(DC)充電器が1,709基、交流(AC)充電器が3,440基となっている。DC充電器は急速充電が可能で、高速道路での需要増などを背景に、当初目標の1,500基を114%上回る結果となった。MITIは、現在登録されている約4万2,000台のバッテリー式電気自動車(BEV)に対応するのに十分としている。

一方で、今年中に1万基という政府の目標の51%にとどまっている。テンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相は、DC充電器の設置やメンテナンスに多額の費用がかかることや、設置許可に時間を要していることなどを課題として指摘。承認期間短縮に向けた全国的なガイドラインの作成など、すでに対策を進めていることを強調した。
(マレーシアン・リザーブ、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、10月30日)

ジョホールバルのモール「シティスクエア」、大規模再開発へ

【クアラルンプール】 ジョホール州で四半世紀あまり親しまれてきたショッピングモール「ジョホールバル・シティスクエア」(JBCS)は新ホテル開設など大規模再開発を実施する。完成は2027年第4四半期の予定で、営業を続けながらの改修になる。

JBCSの運営会社によると、再開発後の床面積は現在の4%増の56万8,927平方フィートになる。4万1,300平方フィートのヘルス&ウェルネス施設や、1万5,000平方フィートの子供向けアドベンチャーパークなど50以上の新規テナントの誘致を目指す。また、2028年にはモール上部にホテル併設型アパートメントの開業を予定している。

JBCSは1990年代半ばに建設され、マレーシア国鉄(KTMB)のJBセントラル駅に近接。さらにシンガポールを結ぶ高速鉄道輸送システム・リンク(RTSリンク)の新駅も近くに開設予定で、アクセスに優れた立地となっている。

JBCSは、マレーシアの大富豪として知られるロバート・クオック氏のグループ企業がもともと所有していたが、約20年前にシンガポール政府系資産運用会社のGICリアルエステートに売却。しかし、昨年になりクオック氏のグループ企業、オールグリーン・プロパティーズが約8億5,000万リンギで株式を買い戻していた。
(ザ・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、エッジ、11月3日)

フルタイム配車運転手へのガソリン補助金割当量を800リットルに

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は4日、レギュラーガソリン「RON95」の新補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」に基づくフルタイムの配車サービス運転手の月間割当量を、規定の走行条件を満たすことを条件に800リットルに引き上げると発表した。

空港タクシーも補助金支給対象に加える。下院議会の答弁に立ったアンワル首相は、月間割当量が600リットルでは不十分だというフルタイム運転手の意見を考慮したものだと説明。800リットルは走行距離5,000キロメートルに相当すると述べた。

フルタイム配車運転手の割当量引き上げは今回で2度目。政府は既に10月13日に約5万8,000人を対象に月間割当量を月300リットルから600リットルに引き上げていた。

アンワル首相はまた、ガソリン補助金統制制度(SKPS)に基づくRON95の補助金対象車両に空港タクシーを含めることを決定したと明らかにした。

アンワル首相によると、一般受給者の補助金付きRON95の月平均使用量はわずか98リットルで月間割当量の300リットルのわずか33%に過ぎず、上限を超えたのは受給者のわずか0.7%程度にとどまっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、11月4日)

ペトロナスが坑井廃止の分野で人材育成、学園創設

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は、坑井(井戸)の閉鎖・廃止に当たる技術者を育成するための学園、液圧改修ユニット(HWU)を設立した。この領域における国としての能力を高める。石油・ガス資源をペトロナスに代わり管理するマレーシア・ペトロリアム・マネジメント(MPM)が実際の業務に当たる。

採掘が終了した油井やガス井を、安全かつ環境に配慮して永久的に閉鎖・撤去する作業に当たる人材の育成で、石油・ガス上流部門に不可欠の要素だ。

MPMのバチョ・ピロン上級副社長は「マレーシア人技術者が主導的役割を果たすための学園で、ガス・石油産業エコシステムの強化にもなる」と述べた。

掘削業者のベレスト・エナジーが使用していた退役設備などを利用し、実践的訓練を施すほか、仮想現実シミュレーターなどデジタル技術も活用する。マレーシア・サバ大学、マレーシア工科大学、ペトロナス工科大学など有力大学とも連携する。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、11月3日)

プレミアム高速バスサービス「エアロライン」に1カ月の運行停止処分

【クアラルンプール】 公共陸運局(APAD)は、運行会社のズルコによる度重なる違反を受けて、プレミアム高速バスサービス「エアロライン」の運行を116から125日までの1カ月間停止すると発表した。運行免許停止・取消委員会が1021日の会合で、運行免許と車両許可の30日間停止を決めた。

APADによると、同社は運行免許を不正に使用し、許可されていない場所で乗客の乗降を行い、事前の承認を得ずに認可されたターミナル外で運行していた。今年初めに複数回の警告が出されていたにもかかわらず、23521日、1010日にも違反が発覚した。同社は認可されたターミナルへの移転を複数回勧告されていたものの、これに従わなかったため、APAD3月から10月の間に3通の説明要求書を発行していた。報道によると、ズルコは公式文書で違反を認めているという。

エアロラインは、クアラルンプール、ペタリンジャヤ、ペナン、ジョホールバル、シンガポール間で長距離バスを運行している。首都圏クランバレーではクアラルンプール(KL)の「コーラスホテル」、バンダル・ウタマの「ワン・ウタマ・モール」、ペタリンジャヤの「サンウェイ・ピラミッド」を乗降場所としており、交通ハブであるTBSターミナルへの移転を拒んだためだという。

(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、112日)