官民連携ファンドを設定、半導体産業の能力向上図る

【クアラルンプール】 マレーシア投資開発庁(MIDA)、マレーシア製造業者連盟(FMM)、プライベートエクイティーファンドのビンタン・キャピタル・パートナーズは半導体産業の企業を育成し、バリューチェーンを引き上げるための投資ファンド「ビンタン半導体インパクト・ファンドI」を設けることで合意し、覚書を交わした。

半導体産業を不確実な将来に備えさせるのが狙いで、MIDAの監督能力、FMMが持つ産業界ネットワーク、ビンタン・キャピタルの金融知識を融合させることで、国内企業の能力を世界レベルに引き上げる。信頼に足る半導体センターとしてのマレーシアの地位を強化し、投資誘致にもつなげる。国内企業が新規株式公開(IPO)に乗り出せるよう後押しする狙いもある。

社会、環境面では、「B Corp」認証の基準を守り、持続可能な社会の実現を促進する。「B Corp」認証とは、米国の非営利団体が運営する、社会や環境に配慮した企業を認証する制度。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、4月29日)

外食向け商材のオザックス、KLのホテル向け卸売企業を子会社化

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 外食産業向け紙・フィルム・消耗材などの専門商社オザックス(本社・大阪市中央区)は28日、クアラルンプール市(KL)に拠点を置くFKFホテル&レストラン・サプライズの株式80%を取得したと発表した。

FKFは2007年創業で、高級ホテルチェーンなどを顧客基盤とする、厨房機器、調理器具、食器などの業務用卸売企業。オザックスは海外事業の拡大を目指しており、マレーシアのホテル市場では、多くのグローバルホテルの開業が予定され2024年から2028年にかけて年率6%のベースで成長するといわれていることから、FKFの子会社化を決めた。

オザックスは今後も東南アジア市場で事業の拡大を図る。

売上サービス税の適用範囲拡大の実施が延期に=財務省

【クアラルンプール】 2025年度予算案演説の際に発表され、当初2025年5月に施行が予定されていた売上・サービス税の適用範囲拡大は、少なくとも1カ月延期される見通しだ。財務省の広報担当者が28日、発表した。

財務省は拡大される範囲と適用税率を最終決定するため、様々な業界との全国的な協議をすでに完了しているが、広報担当者は、「円滑な実施を確保するため、ガイドラインと対象範囲の見直しを進めている」と実施延期の理由を説明した。

マレーシア王立関税局(JKDM)のアニス・リザナ・モハマド・ザイヌディン局長は、新たな税制改正の官報公示を6月1日に行うよう財務省から指示を受けたことを明らかにした。官報公示は当初、今年第1四半期に行われる予定だった。官報公示が6月1日に変更されたことから、施行は早くても6月2日となる。

財務相を兼務するアンワル・イブラヒム首相は、昨年10月の予算案演説時にはSST適用範囲の具体的な詳細は明らかにせず、生活必需品以外のサーモンやアボカドといった輸入高級品を含む品目に対する売上税を引き上げるとのみ述べていた。サービス税についても範囲が拡大されることになっており、これまで免税対象となっていた企業間の商業サービス取引、特に手数料ベースのサービスが対象となる。

SST見直しについては、米トランプ政権による大幅な関税引き上げの影響を懸念するマレーシア製造業者連盟(FMM)やマレーシア華人商工会議所(中華工商聯合会、ACCCIM)といった産業団体から延期を求める声が上がっていた。
(ザ・スター電子版、エッジ、4月28日)

BATマレーシア、第3四半期までに電子たばこ製品販売を停止

【クアラルンプール】 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・マレーシア(BATマレーシア)は、電子たばこ製品の規制を盛り込んだ「2024年公衆衛生のための喫煙製品規制法」(法律852)を遵守するため、2025年第3四半期までにマレーシア市場における電子たばこ製品販売を段階的に停止すると発表した。

BATマレーシアは、「今回の移行では新規制を遵守しつつ電子たばこ製品の商業的評価を実施し、可燃性タバコの価値向上に引き続き注力していく」としている。
BATマレーシアは、世界トップ・シェアの電子たばこブランドを自称する「Vuse」をマレーシア市場で販売している。可燃性たばこではダンヒル、ピーター・スタイベサント、ロスマンズ、KYO、ラッキーズといったブランドを販売している。

電子たばこについては、先ごろズルケフリー・アハマド保健相が、昨年10月1日に施行された法律第852号に基づき、取締活動と規制強化を実施すると述べていた。同法は特に18歳未満の個人を対象としており、電子たばこや喫煙機器を含むあらゆる喫煙製品の購入、使用、販売を禁止している。
(エッジ、マレーシアン・リザーブ、4月28日)

世界銀行、マレーシアの今年GDP成長率を3.9%と予測

【クアラルンプール】 世界銀行は、厳しい世界経済環境を理由にマレーシアの経済成長が2025年に鈍化すると予測。3.9%との低めの最新の成長予想を示した。2024年のGDP成長率は5.1%だった。今年第1四半期は速報値で4.4%となっている。

世界銀行のマレーシア担当、アプルバ・サンギ主任エコノミストは、「あらゆる留意点を踏まえた予測」だとしている。世界銀行はマレーシアを含むアジア太平洋諸国の成長率見通しを発表し、中国は4%、インドネシアは4.7%、フィリピンは5.3%、カンボジアは4%、タイは1.6%、ベトナムは5.8%、としている。

世界銀行は、世界環境の悪化に起因する外的要因により、輸出が大きな逆風に直面するだろうと指摘。国内需要と個人消費は引き続き成長を牽引し、また民間投資は複数年にわたる継続的な投資と、既に承認されたプロジェクトの実施によって引き続き支えられると見込まれるが、主に貿易と投資をめぐる不確実性の高まりに起因する、いくつかの重大な下振れリスクにさらされているとした。マレーシアについては、国内リスクは国内政策によるインフレ圧力と、悪天候による供給混乱の可能性に起因しているとした。

今年のマレーシアの成長率については、国際通貨基金(IMF)が先ごろ4.7%から4.1%に引き下げたが、世界銀行による予測はIMFの予測よりもさらに低くなっている。マレーシア政府も最近の国際情勢を踏まえ、4.5―5.5%としていた公式成長率予測を下方修正する意向を示している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、4月26日)

KLタワーが再オープン、外国人向けチケットは20%超値上げ

【クアラルンプール】 一時閉鎖中だったクアラルンプール(KL)のランドマーク「KLタワー」が26日、再開。料金が見直され、外国人観光客向けには20%以上値上げされた。

KLタワーは、今年4月から運営会社が変更されたことに伴い、保守・改修工事のためとして17日から一時閉鎖されていた。新運営会社LSHサービスマスター(LSHSM)によると、オープンエアのスカイデッキや回転レストランの改修に2,000万リンギが費やされたという。今後も営業しながら、一部の改修工事は継続される予定。

また料金について、スカイデッキ(スカイボックス含む)のチケットは外国人観光客向けに値上げの一方で、マレーシア国民には値下げされた。外国人は大人140リンギ、子供80リンギと、20%以上の値上げだが、身分証カード「MyKad」を利用するマレーシア人は50リンギ、子供向けのMyKid利用者で28リンギとなり、約30%の値下げとなった。展望台のチケットは、MyKad利用者の30リンギ、MyKid利用者の20リンギは据え置かれたが、外国人は大人80リンギ(33%値上げ)、子供50リンギになった。

KLタワーは1日あたり1,000―1,500人の来場者があり、そのほとんどが外国人観光客。LSHSMのカイリル・ファイザル・オスマン最高経営責任者(CEO)は「今年は100万人の来場者数を目指す」としている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、4月26日、エッジ、ベルナマ通信、4月25日)

ペラ州議会補選、与党連合支援候補が当選

【クアラルンプール】 現職議員の死去に伴うペラ州議会アイル・クニン選挙区の補欠選挙の投開票が26日に行われ、与党連合・希望同盟(PH)と共闘する国民戦線(BN)に所属するモハマド・ユスリ・バキル氏(統一マレー国民組織=UMNO)が得票率60.7%で圧勝した。

統一マレー国民組織(UMNO)所属のイシュサム・シャハルディン議員(享年59)の死去を受けて実施されたもので、ユスリ氏はPHの支援もあり、野党連合・国民同盟(PN)が推したアブドル・ムハイミン・マレク氏(汎マレーシア・イスラム党=PAS)、諸派のマレーシア社会党(PSM)が推すバワニ・カニアパン氏を大差で破った。投票率は58.06%で2022年の前回選挙時から16.79%も下がり、選挙民の関心は薄かった。

2022年の総選挙ではBNが擁立したイシュサム氏のほか、PH、PN、PSM、政治連合「祖国運動」(GTA)が擁立した5人の候補者による争いとなり、イシュサム氏が38.73%の得票率で当選していた。

故イシュサム氏は元プロサッカー選手で、ペナンで行われたサッカーの試合中に倒れ、2月22日に亡くなった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、4月27日)

電子タバコ、セランゴール州が販売禁止を検討

【シャアラム/ペタリンジャヤ】 セランゴール州政府は電子タバコの販売禁止に乗り出す方針で、州公衆衛生・環境委員会の主導で、連邦政府機関を含めた利害関係者の会合を開く。ジャマリア・ジャマルディン委員長が明らかにした。

アヨブ・カン副警察長官が最近、電子タバコ吸引器具が合成薬品の吸引に乱用されているとし、各州政府に電子タバコの販売を規制するよう求めたことがきっかけ。これを受けセランゴール州のアミルディン・シャリ首相が、規制強化の用意があると発言していた。

セランゴール州当局は電子タバコ吸引器具の免許を交付しているが、電子タバコ製品(リキッド)は規制対象に含めていない。電子タバコではリキッドを気化し、冷えて霧状になったものを吸引する。

電子タバコを最初に禁止した州はジョホール州で、2016年に施行した。トレンガヌ州も8月から禁止する計画だ。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、4月25日)

マレーシアのインターネット世帯利用率は96.8%

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は24日、2024年の情報通信技術(ICT)の利用およびアクセスに関するレポートを発表。世帯における利用率は携帯電話が99.5%、インターネットは96.8%で、ともに前年から微増だったが、有料テレビに関しては67.1%と、前年から9.9ポイントの減少となった。

テレビ、ラジオの利用率も携帯電話と同じく99.5%、コンピューターが92.2%だった。個人の利用率でみると、インターネットが最も高く98.0%、携帯電話が99.5%、コンピューターが80.7%で、いずれも前年から0.1―0.3ポイントの微増となった。都市部と農村部で比較すると、コンピューターが都市部では86.5%だったのに対し、農村部では64.3%と、差が大きかった。

またインターネットの主な利用目的として、最も多かったのはソーシャルネットワークが99.7%(前年99.4%)で、動画・音楽のストリーミングやオンラインゲームが94.3%(同93.9%)、商品やサービスの情報収集で93.0%(同92.8%)と続いた。

GDP予想は下方修正の必要も拙速は避ける=中銀総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のアブドル・ラシード総裁は、米ワシントンで開催中の世界銀行・国際通貨基金(IMF)春季会合で、関税、貿易の先行き不透明感から、国内総生産(GDP)成長予想を下方修正する必要が生じるとの認識を示した。しかし修正は急がず、世界貿易の展開を見定めるという。BNMは4.5-5.5%の成長予想を立てていた。ロイターが伝えた。

トランプ米国大統領が発表した関税措置をめぐり、テンク・ザフルル投資貿易産業相とアミル・ハムザ第2財務相が訪米中で、ジェイミーソン・グリア通商代表と会談する。交渉がまとまらなければ、マレーシアの対米輸出は7月から24%の関税が適用される。

現在3%に設定している政策金利についてアブドゥル・ラシード氏は「経済成長に望ましい水準であり、インフレ見通しを考慮している。重要なのは物価の安定で、金融政策が不確実性を増幅する事態は望まない」と述べた。
(エッジ、ザ・スター電子版、4月24日)