プロドゥアのワイヤーハーネス保管倉庫が火災、約8割が焼失

【バタンカリ】 セランゴール州バタンカリにあるダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)のワイヤーハーネス保管倉庫が25日未明に出火し、約8割が焼失した。火事は午前5時45分に鎮火し、死傷者はいなかった。

セランゴール州消防レスキュー局によると、午前4時45分に火事の通報があり、クアラ・クブ・バル消防署から最初の消防車が午前5時7分に現場に到着。ブキ・セントーサ消防署とラワン消防署も加わって消防隊員26人で消火活動を行った。

焼失したのは縦100フィート、横80フィートのクラスA鉄骨構造の建物で、最初の消防隊が現場に到着した時点で既に炎に包まれていたという
(ザ・サン、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月25日)

JPモルガンと示談成立、1MDBスキャンダルめぐり

【クアラルンプール/ニューヨーク】 ナジブ・ラザク元首相の主導で設立されたワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)にからむ公金流用事件をめぐり、1MDBがJPモルガン・チェースを相手取りマレーシアで起こしていた訴訟で示談が成立した。

JPモルガンは14億リンギ(3億3,000万米ドル)を解決金としてマレーシア政府に支払う。示談成立に伴い、双方は1MDBをめぐるすべての訴訟を取り下げる。また双方は今後一切、解決金支払いを求めず、訴訟も起こさない。マレーシア、米国当局の調査で、2009年から14年にかけ少なくとも45億米ドルが1MDBから盗まれ、世界をまたにかけ流用、洗浄された。

1MDBは2011年、怠慢、契約違反、詐取共謀を理由に、JPモルガン、ドイツ銀行、英系クーツを相手取り、損害賠償訴訟を起こし、JPモルガン(スイス)には8億米ドルの支払いを請求した。

22日の示談発表に先立ち、スイス検察はJPモルガン(スイス)が、1MDBから流用された資金の洗浄を防ぐ合理的措置を講じなかったとして、300万フランの罰金を命令したと発表していた。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、8月22日)

豪州産牛肉の無監査疑惑、イスラム開発局が否定

【プトラジャヤ】 マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)のシラジュディン・スハイミー局長は、豪州産牛肉がJAKIMの監査なしにマレーシアに輸入されているとの拡散動画の内容を否定。マレーシアに輸出されるすべての食肉および食肉加工品の屠殺および加工プロセスは、マレーシアと豪州の両国が定めた基準と規制に従って行われていると強調した。

ソーシャルメディアで拡散している問題の動画は「JAKIMはオーストラリア産の輸入肉をめったに監査せず、マレーシア人は死骸を食べている」とのタイトルが付けられたもの。2022年に撮影されこのほど再共有されたもので、不正確な情報が含まれており国民を誤解させる可能性があるという

シラジュディン氏は、「JAKIMは豪州キャンベラのマレーシア高等弁務官事務所にハラル(イスラムの戒律に則った)担当官事務所を設置し、マレーシア家畜サービス局(DVS)の認可を受けた屠畜場および食肉加工工場の定期的かつ継続的な監視を行っている」と言明。「豪州農林水産省(DAFF)も輸出用ハラル食肉の調理プロセス全体に関する規制を実施しており、豪州政府の輸出規制を満たしマレーシアのハラル基準を含む輸入国の要件を満たした製品のみが輸出許可される」と説明した。
(ザ・サン、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月15日)

1MDB資金流用事件、総額297億リンギを回収

【クアラルンプール】 ナジブ・ラザク元首相の主導で設立された国策投資会社、ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)、同子会社SRCインターナショナルによる公金流用事件で、政府は財産回収信託口座を2018年に設けて以降、297億リンギの資金をこれまでに回収した。議員の質問に財務省が書面で回答した。

1MDB債務返済のため、1MDBに移転された資金は今年7月末の時点で約422億リンギうち約154億リンギが財務省と財務大臣法人による株主貸し付けで、約267億リンギが回収資金からのもの。約289億リンギが元本返済、132億リンギが利子支払いに充当された。

1MDBの残存債務はイスラム債の償還義務(約90億リンギ)で、2039年まで返済が続けられる。50億リンギが元本、約40億リンギが利子など。SRCに対し政府は53億5,000万リンギを移転した。元本、利子支払いに充当される。財務省は、資金回収には外国政府機関の協力が欠かせず、裁判手続きもあるため、まだ数年を要する複雑な作業だと説明した。

(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、8月14日)

MTUCの権力闘争が終結へ、ハリム氏が選挙で会長職に復帰

【ペタリンジャヤ=アジアインフォネット】 トップによる権力闘争が続いていた全国労組、マレーシア労働組合会議(MTUC)が特別代表者会議を開催し、ハリム・マンソール前会長が出直し会長選挙で新会長に選出された。これにより6年間にわたって続いていたMTUCの内紛は収束に向かうとみられる。

特別代表者会議はセランゴール州シャアラム高等裁判所の命令により開催されたもので、ハリム氏は正統性を主張して争っていたエフェンディ・アブドル・ガニ氏を7票の僅差で破った。

ハリム氏は2016年にMTUC会長に初当選し、2017―19年の任期を務めた。3年後の2019年の選挙では会長に立候補したエフェンディ氏とモハメド・ジャファル氏の票が同数となり、ハリム氏が「多数を獲得する候補者が出ない場合は前会長が引き続き会長職に就く」との会則をタテに自身を正統な会長と称したことで争いが勃発した

結局、内部分裂を嫌うジャファル氏がエフェンディ氏に当選を譲る意向を示していったんは落着に向かったが、当時のMTUC事務局と作業部会がハリム氏を不適格だとして同氏の2022年の選挙への出馬資格を剥奪したことでハリム氏サイドが態度を硬化。ハリム氏を支持する16の加盟労組が、エフェンディ氏が再選を果たした2022年の選挙無効を裁判に訴え出た。シャアラム高裁は2023年、選挙を無効と裁定し、現執行部は日常業務の遂行以外の政策決定、公式声明、労組代表としての活動を禁じられた。

プロトン、供給業者への未払金めぐり法廷闘争に

【クアラルンプール】 プロトン・ホールディングス傘下のプルサハーン・オートモビル・ナショナル(プロトン)は、202万リンギの未払金を巡って長年のサプライヤーであるUCMオートモーティブ・システムズとの間で法廷闘争となっている。経済紙「エッジ」が報じた。

プロトンにエアコン部品とトランスミッションクーラーを供給しているUCMは、2024年7月、プロトンに対し未払い請求書、利息、その他の費用として431万リンギの支払いを求める法定請求書(債務者に一定期間内の支払いを求める正式な文書)を提出した。こうした文書の提出は通常、債務が完済されない場合に債権者が債務者に対する清算を申し立てる前に行われる最初の法的手続きだという。

UCMがプロトンを相手取って裁判所に破産手続の開始を申し立てる構えを示しているのに対し、プロトンは欠陥部品が納品されたことなどを理由にUCMの主張する請求額に異議を唱え、裁判所が実際の債務額を決定するまでの間の清算申立ての差し止めを申し立てた。

係争中にプロトンは一部の支払いを行い、UCMは一定の相殺を認めたため、当初の請求額は約55万リンギに減額されたが、UCMはその後、さらに147万リンギを請求額に追加した。

2025年2月、シャアラム高等裁判所は、プロトンによる清算手続き阻止に向けた申し立てを却下。プロトンが追加分の147万リンギを含め202万リンギの債務を負っていることを認めた上で、UCMに対して遅延支払いに対する年10%の利息を請求する権利を認めた。

両社の紛争は、プロトンとサプライヤー間の緊張が高まる中で発生した。2023年11月、77社で構成されるプロトン・ベンダー協会はプロトンに対して部品製造コストの上昇を訴えた上で、プロトンが部品代金の値上げを拒否していることを批判する書簡を送付。その後、サプライヤーはプロトンが約束よりも少ない部品しか発注しなかったと主張した。
(エッジ、6月27日)

サイド・サディク元青年スポーツ相、汚職裁判で逆転無罪判決

【プトラジャヤ】 若手リベラル政治家による政党、マレーシア統一民主同盟(MUDA)を率いるサイド・サディク被告(元青年スポーツ相)に対する汚職裁判の控訴審判決が25日にあり、控訴裁は同被告に対し逆転無罪を言い渡した。

同裁判は、サイド・サディク氏が2021年当時所属していた統一プリブミ党(PPBM)の青年組織(アルマダ)の責任者であった際、会計担当ラフィク・ハキム・ラザリ氏に指示して、資金約100万リンギを不正に引き出した罪で起訴された事件に関するもので、2023年に行われた一審の高裁判決はサイド・サディク氏を有罪として、禁固7年、罰金1,000万リンギ、ムチ打ち2回を言い渡していた。

控訴審では、サイド・サディク氏が資金引き出しの権限を有しており、また引き出した資金は正当な用途に使われたとする弁護側の主張を認め、ラフィク氏の証言に頼った検察側の主張は認められないと判断した。ラフィク氏は後に汚職摘発委員会(MACC)による苛烈な取り調べにより自身が虚偽の証言を行ったことを認めている。無罪判決を受けてサイド・サディク氏はMUDA党首に復帰する見通し。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、6月25日)

携帯電話利用記録の提出、通信委が携帯各社に要求

【クアラルンプール】 マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)が携帯電話サービス各社に、年初3カ月間の携帯電話通話記録、インターネット利用記録の情報提出を要求していたことが分かった業界筋の情報として香港紙のサウスチャイナモーニングポストが伝えた。

エッジの取材に対しMCMCは当初、返答を控えたが、6日夜、情報提出を要請したことを明らかにした。政策決定に活用するための統計作成が目的だという。

エッジの調査によれば、地方議会、政府省庁、国関係機関が保管する重要情報が、一般市民がアクセスできるサーバー上で公開されたことがあり、政府はこうしたサイバー攻撃、個人情報の漏洩に神経質になっていた。また最近、サイフディン・ナスティオン内相のワッツアップのアカウントがハッキングされる事案があった。

MCMCは、情報通信技術(ICT)と観光分野の政策決定に生かすためだとした上で、個人を特定できる情報は入手していないと釈明した。ICT分野ではブロードバンド利用者数や地域別浸透率などを調べるという。

事業者のうちUモバイルとテレコム・マレーシアは、個人を特定できる情報は提供していないと説明した。

(ベルナマ通信、6月8日、ザ・スター電子版、エッジ、6月6日)

内外4行に行政処分、金融サービス法違反で

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は28日、外資系を含む4銀行を金融サービス法違反で罰金の行政処分に付したと発表した。

処分を受けたのはHSBCとそのイスラム銀行部門(罰金は合計326万リンギ)、マラヤン・バンキング(メイバンク)のイスラム銀行部門、メイバンク・イスラミック(同120万リンギ)、および開発銀行のバンク・ペンバングナン・マレーシア(約49万リンギ)。4行とも罰金は既に納付した。

HSBCは顧客の身元確認を怠った。実質的支配者(受益所有者)の身元確認要件に関する理解の欠如が立ち入り検査で判明した。顧客が制裁対象者でないことを確認する制裁スクリーニングでも過失があったという。

バンク・ペンバングナンでも顧客の身元確認と制裁スクリーニングで怠慢があった。行員の理解不足が原因だ。

メイバンク・イスラミックはBNMが管理する中央信用照会情報システムに対し、3人の顧客情報の提供を怠った。この結果、顧客の信用度を正確に判断できず、同行は損害を被った。
(エッジ、ベルナマ通信、BNM報道資料、5月28日)

IHH子会社 、第一三共に対する損害賠償請求額を約10倍に

【クアラルンプール=アジアインフォネット】  世界最大級の病院グループであるIHHヘルスケアのシンガポール子会社、ノーザンTKベンチャー(NTK)は、東京地方裁判所に起こしていた第一三共株式会社(本社・東京都中央区)に対する損害賠償請求額を200億円から約2,000億円に増額したと明らかにした。

同訴訟は、NTKによる印フォルティス・ヘルスケア(FHL)およびその子会社であるフォルティス・マラー・ホスピタルズ(FMHL)の公開買付による株式取得手続きを第一三共が妨害したとして、NTKが損害賠償の支払いを求めていたもの。

NTKは、外部専門家であるオズボーン・パートナーズによって作成された3つの仮説シナリオに基づく専門家報告書を東京地方裁判所に提出しており、新たな請求額は報告書のシナリオの最大額1,093億インドルピー(約57億リンギ、約1,998億円)に近い金額となる。

IHHは2018年、FHLが実施した投資誘致の入札で落札者となった。NTKは、インドの法令に基づきFHLに対する公開買付を実施することが義務付けられたが、第一三共がこれを不当に妨害し阻止したことでNTKは多大な損害を被ったと主張している。