行方不明のMH370便、北京の地裁が遺族8人への賠償を命令

【北京】 2014年に行方不明となったマレーシア航空MH370便の乗客8人の遺族が起こしていた損害賠償請求訴訟で、中国・北京の地方裁判所(朝陽区人民法院)は5日、乗客1人あたり290万元(約41万米ドル)以上を支払うようマレーシア航空に命じた。

遺族は2023年11月に提訴。今回、葬儀費用や精神的苦痛などに対する賠償金として290万元の支払いが言い渡された。マレーシア航空はこの判決に対し現時点でコメントなどを発表していない。

MH370便は2014年3月8日、クアラルンプールから北京に向かう途中、乗員乗客239人を乗せたまま消息を絶った。乗客の3分の2にあたる154人が中国人で、事故後、遺族らにより78件の訴訟が起こされた。これまでに47件が取り下げられ、今回の8件をのぞく23件は係争中という。

MH370便に関しては、マレーシアの運輸省が今月3日、南インド洋で12月30日から55日間の海底捜索活動を再開すると発表したばかりだった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、12月8日)

警官装ったペナンの詐欺事件、日本人被告ら初公判で容疑認める

【ブキ・メルタジャム】 日本人を狙った特殊詐欺事件に関与した容疑で、ペナン州で逮捕された日本人男女14人と中国人4人の初公判が5日に行われ、被告人全員が容疑を認め、情状酌量を求めた。

被告人は25―51歳で、ペナン警察が先月20日、同州シンパン・アンパットのバンガロー2軒の家宅捜索した際、逮捕されていた。被告人は3カ月間、コールセンターのオペレーターとして勤務していたとされるが、実際には、警察官を装って日本に電話をかけ、1人あたり月5,000―8,000リンギをだまし取っていたとみられる。押収品には、日本語で書かれた台本25セット、携帯電話49台、パソコン、トランシーバーなどが含まれていた。
被告人は初公判で、警察の調べに対し容疑を認め全面的に協力したことなどを主張。これを受け裁判所は、1人につき8,000リンギ(現地保証人付き)の保釈金を設定した。次回の公判は2026年2月3日の予定。

先月5日にも、日本人を狙った「ロマンス詐欺」容疑で、セランゴール州カジャンで外国籍13人が拘束されるなど、摘発が相次いでいる。マレーシアの刑法420条(詐欺)に基づき有罪判決を受けた場合、1―10年の禁固刑に加え、鞭打ち刑と罰金刑が科せられる可能性がある。
(ベルナマ通信、12月5日)

邦人男性3人逮捕、タイからコカイン12キロ密輸の疑いで

【セパン】 マレーシア国境管理・保護庁(AKPS)は19日、クアラルンプール新国際空港(KLIA)ターミナル1でコカイン計12キログラム(240万リンギ相当)をタイから密輸入しようとした疑いで、日本人男性3人を拘束したと発表した。

調べによると、3人は17日深夜、タイ・バンコクからの便でスーツケース計6つを携えKLIAに到着。係官が荷物検査で不審な画像を発見し、スーツケースやバッグパックなどを確認したところコカインを発見したため、18日午前1時45分ごろ、逮捕した。税関麻薬課が引き続き経緯や背後関係などを捜査している。コカインは真空パックで密閉された上で表面を干しエビや干し小魚などで覆って隠蔽されていた。

マレーシアは薬物犯罪に厳しく、死刑が適用される可能性もあり、在マレーシア日本大使館はホームページなどで注意を呼びかけている。
(ザ・スター、ザ・サン、フリー・マレーシア・トゥデー、11月19日)

プレミアム高速バスサービス「エアロライン」に1カ月の運行停止処分

【クアラルンプール】 公共陸運局(APAD)は、運行会社のズルコによる度重なる違反を受けて、プレミアム高速バスサービス「エアロライン」の運行を116から125日までの1カ月間停止すると発表した。運行免許停止・取消委員会が1021日の会合で、運行免許と車両許可の30日間停止を決めた。

APADによると、同社は運行免許を不正に使用し、許可されていない場所で乗客の乗降を行い、事前の承認を得ずに認可されたターミナル外で運行していた。今年初めに複数回の警告が出されていたにもかかわらず、23521日、1010日にも違反が発覚した。同社は認可されたターミナルへの移転を複数回勧告されていたものの、これに従わなかったため、APAD3月から10月の間に3通の説明要求書を発行していた。報道によると、ズルコは公式文書で違反を認めているという。

エアロラインは、クアラルンプール、ペタリンジャヤ、ペナン、ジョホールバル、シンガポール間で長距離バスを運行している。首都圏クランバレーではクアラルンプール(KL)の「コーラスホテル」、バンダル・ウタマの「ワン・ウタマ・モール」、ペタリンジャヤの「サンウェイ・ピラミッド」を乗降場所としており、交通ハブであるTBSターミナルへの移転を拒んだためだという。

(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、112日)

KLで反米デモ、トランプ大統領訪馬に合わせ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ドナルド・トランプ米大統領が東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に合わせて訪馬するのに合わせ、パレスチナ・ガザを侵攻したイスラエルを支持する米国とトランプ大統領の入国を認めるマレーシア政府を相手どった抗議デモが24日と26日にクアラルンプール(KL)で行われた。

24日午後の抗議デモはイスラム原理主義野党・汎マレーシア・イスラム党(PAS)青年部が主催したもので、在マレーシア米国大使館前に700人あまりが集まり、「トランプを拒否せよ」、「帰国せよ」などと書かれたプラカードを掲げてシュプレヒコールを上げた。中にはパレスチナ国旗を掲げ、「ヒズボラ万歳」、「ハマス万歳」などと叫ぶ参加者もいた。

26日は午前にBDSマレーシアが主催する抗議集会がムルデカ広場で行われ、約200人の抗議者がパレスチナ国旗を振り、「パレスチナを解放せよ」、「虐殺を止めろ」といったスローガンが書かれたプラカードを掲げた。同抗議集会は当初アンパン・パークで行われる予定だったが、警察が周辺を封鎖したことから急遽ムルデカ広場に変更となった。

同日午後にはアンパン・パークで反帝国主義運動(Gegar)、マレーシア虐殺反対学生連盟(SAGM)、パレスチナのためのマレーシア抗議運動(MP4P)などが共同でマレーシア政府に対する抗議デモを開催した。公的にパレスチナ支持を表明しているにもかかわらずイスラエル関連企業との金融関係を維持しているとしてマレーシア政府を非難する内容で、約200人が参加した。

連邦歳入の40%はサバ州の権利、コタキナバル高裁判決

【コタキナバル】 連邦政府歳入の連邦政府と州政府間の配分に関するサバ州弁護士会が起こした訴訟で、コタキナバル高等裁判所は、現行の連邦政府とサバ州政府との取り決めは憲法違反であり、連邦政府は40年近く、歳入の40%はサバ州の権利との規定に違反してきたとの判断を示した。被告は連邦政府と州政府で、連邦政府側は控訴する見通しだ。

判決では、連邦政府歳入の40%はサバ州に支払われるべきとし、1974年から2021年までの配分額を算定する義務が連邦・州政府にあるとした。セレスティナ・スチュエル・ガリド裁判官は判決で、連邦政府と州政府の取り決めは連邦憲法に違反しており、権限を逸脱していると述べた。

マレーシアの歳入源と歳入配分は連邦憲法により定められており、特にサバ州とサラワク州に対しては道路整備補助金など特別な取り決めが設けられている。
(マレー・メイル、ザ・スター電子版、ジェセルトン・タイムズ、10月17日)

プロドゥアのワイヤーハーネス保管倉庫が火災、約8割が焼失

【バタンカリ】 セランゴール州バタンカリにあるダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)のワイヤーハーネス保管倉庫が25日未明に出火し、約8割が焼失した。火事は午前5時45分に鎮火し、死傷者はいなかった。

セランゴール州消防レスキュー局によると、午前4時45分に火事の通報があり、クアラ・クブ・バル消防署から最初の消防車が午前5時7分に現場に到着。ブキ・セントーサ消防署とラワン消防署も加わって消防隊員26人で消火活動を行った。

焼失したのは縦100フィート、横80フィートのクラスA鉄骨構造の建物で、最初の消防隊が現場に到着した時点で既に炎に包まれていたという
(ザ・サン、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月25日)

JPモルガンと示談成立、1MDBスキャンダルめぐり

【クアラルンプール/ニューヨーク】 ナジブ・ラザク元首相の主導で設立されたワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)にからむ公金流用事件をめぐり、1MDBがJPモルガン・チェースを相手取りマレーシアで起こしていた訴訟で示談が成立した。

JPモルガンは14億リンギ(3億3,000万米ドル)を解決金としてマレーシア政府に支払う。示談成立に伴い、双方は1MDBをめぐるすべての訴訟を取り下げる。また双方は今後一切、解決金支払いを求めず、訴訟も起こさない。マレーシア、米国当局の調査で、2009年から14年にかけ少なくとも45億米ドルが1MDBから盗まれ、世界をまたにかけ流用、洗浄された。

1MDBは2011年、怠慢、契約違反、詐取共謀を理由に、JPモルガン、ドイツ銀行、英系クーツを相手取り、損害賠償訴訟を起こし、JPモルガン(スイス)には8億米ドルの支払いを請求した。

22日の示談発表に先立ち、スイス検察はJPモルガン(スイス)が、1MDBから流用された資金の洗浄を防ぐ合理的措置を講じなかったとして、300万フランの罰金を命令したと発表していた。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、8月22日)

豪州産牛肉の無監査疑惑、イスラム開発局が否定

【プトラジャヤ】 マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)のシラジュディン・スハイミー局長は、豪州産牛肉がJAKIMの監査なしにマレーシアに輸入されているとの拡散動画の内容を否定。マレーシアに輸出されるすべての食肉および食肉加工品の屠殺および加工プロセスは、マレーシアと豪州の両国が定めた基準と規制に従って行われていると強調した。

ソーシャルメディアで拡散している問題の動画は「JAKIMはオーストラリア産の輸入肉をめったに監査せず、マレーシア人は死骸を食べている」とのタイトルが付けられたもの。2022年に撮影されこのほど再共有されたもので、不正確な情報が含まれており国民を誤解させる可能性があるという

シラジュディン氏は、「JAKIMは豪州キャンベラのマレーシア高等弁務官事務所にハラル(イスラムの戒律に則った)担当官事務所を設置し、マレーシア家畜サービス局(DVS)の認可を受けた屠畜場および食肉加工工場の定期的かつ継続的な監視を行っている」と言明。「豪州農林水産省(DAFF)も輸出用ハラル食肉の調理プロセス全体に関する規制を実施しており、豪州政府の輸出規制を満たしマレーシアのハラル基準を含む輸入国の要件を満たした製品のみが輸出許可される」と説明した。
(ザ・サン、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、8月15日)

1MDB資金流用事件、総額297億リンギを回収

【クアラルンプール】 ナジブ・ラザク元首相の主導で設立された国策投資会社、ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)、同子会社SRCインターナショナルによる公金流用事件で、政府は財産回収信託口座を2018年に設けて以降、297億リンギの資金をこれまでに回収した。議員の質問に財務省が書面で回答した。

1MDB債務返済のため、1MDBに移転された資金は今年7月末の時点で約422億リンギうち約154億リンギが財務省と財務大臣法人による株主貸し付けで、約267億リンギが回収資金からのもの。約289億リンギが元本返済、132億リンギが利子支払いに充当された。

1MDBの残存債務はイスラム債の償還義務(約90億リンギ)で、2039年まで返済が続けられる。50億リンギが元本、約40億リンギが利子など。SRCに対し政府は53億5,000万リンギを移転した。元本、利子支払いに充当される。財務省は、資金回収には外国政府機関の協力が欠かせず、裁判手続きもあるため、まだ数年を要する複雑な作業だと説明した。

(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、8月14日)