ムヒディン元首相に対する汚職裁判が開始、首相経験者で2人目

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ムヒディン・ヤシン元首相(第8代首相、野党連合・国民同盟=PN前議長)の汚職を巡る裁判が9日、クアラルンプール高等裁判所で開始された。首相経験者が汚職で告発されるのはナジブ・ラザク第6代首相(現在収監中)に次いで2人目。ムヒディン氏はすべての罪状について無罪を主張しており、裁判で争っていく構えだ。

ムヒディン氏が告発されているのは、職権乱用4件と「ジャナ・ウィバワ」計画に関連したマネーロンダリング3件の合計7つの罪状。ムヒディン氏が地位を濫用し、当時党首を務めていた統一プリブミ党(PPBM)のために、コロナ禍の経済対策である「ジャナ・ウィバワ」計画に基づく政府プロジェクトに関連する複数の企業から総額2億3,250万リンギの賄賂を受け取った罪に問われている。

訴状によると、ムヒディン氏は2023年、ブカリー・エクイティ、ネプトゥリス、マムフォーの3社、そしてエンプロザーブ・グループのアズマン・ユソフ社長個人から賄賂を受け取ったとして4件の罪に問われている。ムヒディン氏はまた、2021年2月から2022年7月にかけてPPBMの銀行口座にそれぞれ1億2,000万リンギと7,500万リンギ、500万リンギの不正に受け取った金を不正に入金したとして、3件のマネーロンダリングの罪にも問われている。

検察側は冒頭陳述で、支払われた賄賂はムヒディン氏の私腹を肥やすためのものではないことを認めた上で、「被告人がPPBM党首と首相を兼任していなければ、PPBMは献金を得ることはなかった。ムヒディン氏は間接的な利益があった」と主張した。

ラフィジ前経済相が汚職疑惑の捜査対象に、英アームとの契約巡り

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ前経済相がマレーシア汚職防止委員会(MACC)の捜査対象に含まれている。アザム・バキMACC委員長は4日、記者会見を開き、ラフィジ・ラムリ氏の補佐だったジェームズ・チャイ容疑者を、政府とソフトバンク・グループ傘下の英アーム・ホールディングスとの11億リンギの契約に絡む権力、詐欺、統治容疑で指名手配したと発表した。

MACCは既に経済省、マレーシア投資開発庁、投資貿易産業省の職員12人に証言を求めており、経済大臣だった者にも証言を求めると語った。アザム・バキ氏は「関係省庁から重要な書類を押収した。閣議でのプレゼンテーションも調査する」と述べた。

マレーシアは半導体チップの後工程では強みを持つが、前工程が弱く、設計能力の強化を狙いに昨年3月、アームと契約を交わし、アームからの支援の見返りに10年間で2億5,000万米ドルを支払うことで合意した。

シンガポールのテレビ局CNAの取材に対しラフィジ氏は「政治的動機に基づく捜査。自分がアザムの停職を公の場で求めたことへの報復だ」と語った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、CNA、ロイター通信、3月4日)

産地偽装ドリアン「ムサンキング」、中国当局と連携し監視強化

【クアラルンプール】 他国産のドリアンが、マレーシア産最高級品種「猫山王(ムサンキング)」として中国などで販売される問題が顕在化している。これを受け、モハマド・サブ農業食糧安全相は25日の下院議会で、地理的表示(GI)保護制度に基づき、中国当局と連携し監視を強めていると説明した。

GIは、地域ならではの農林水産物や食品ブランドを守るための国際的な枠組み。マレーシアは2000年に法制化し、積極的に活用を進めてきた。2014年に登録されたムサンキングをはじめ、ブラックソーンなど現在ドリアンでは4品種が登録されている。

しかし、タイやベトナム産のドリアンがムサンキングとして中国で販売されているとの報告が近年増加。マレーシアを経由して輸出することで偽装しているケースもあるという。

サブ氏は議会で、「他の国が自国のドリアンをムサンキングと呼ぶことはできない」と強調。正規品はMyベスト認証として、農夫のイラストが書かれた黄色と黒色のラベルが貼付されていると補足した。GIを管轄する連邦農業マーケティング庁(FAMA)や、マレーシア検疫検査局(MAQIS)、中国税関総署(GACC)が連携し監視体制を強め、マレーシアのブランドを保護していくとした。
(ザ・スター、マレー・メイル、2月25日)

ジョホール州で建設中のデータセンター、住民による初の抗議活動

【ジョホールバル】 ジョホール州ゲラン・パタで建設中のデータセンターに対し、近隣住民50人余りが粉塵被害を訴え建設現場で抗議活動を行った。健康被害の恐れや、上水供給に対する不安を訴えている。データセンター建設への抗議活動は国内で初めて。ブルームバーグが報じた。

中国の中聯雲港数据科技(Zデータ)のデータセンターで、開発用地をZデータに売却した不動産開発のトロピカナが建設を請け負っている。ジョホール州ではデータセンター建設がブームだが、ほとんどは工業団地やプランテーション跡地など住宅地から離れている。しかしゲラン・パタの建設地は住宅地から約1キロと近い。

着工は2025年初頭だったが、同年末、工事管理が貧弱として現地当局が2週間の工事停止命令を出した。近隣住民の不満も高まり、42歳の住民は「毎日車を洗浄しなければならない。きれいな空気は全く吸えなくなった」と語った。ほかの住民も、洗濯物を外に干せないほど粉塵で空気が汚染されていると主張している。

同データセンターの隣接地ではNTTデータによるデータセンターが計画されているが、着工はまだだ。
(エッジ、2月7日)

ナジブ元首相の新たな1MDB裁判、15年の有罪判決

【クアラルンプール】 クアラルンプール高等裁判所は12月26日、政府系ファンド1MDBの汚職事件をめぐる一連のナジブ・ラザク元首相の裁判で、新たな4件の職権乱用と21件の資金洗浄の罪についていずれも有罪を認定し、禁固15年、罰金114億リンギを言い渡した。

ナジブ元首相は先に結審した裁判で禁固12年の有罪判決を受けており、2022年から刑に服している。12年の刑は恩赦委員会により6年に半減されており、2028年8月23日に刑期が終了し、その後、今回の刑が執行される。

高裁判決言い渡しまで7年の審議を要した。ナジブ元首相は「魔女狩りであり、政治的動機に基づくもの」と容疑を否定したが、コリン・シークエラ裁判官は「被告のこうした主張は、被告が1MDBにおける立場を乱用したとの冷厳な事実により否定された」と述べた。ナジブ元首相側は控訴する方針だ。

1MDBはナジブ被告が首相時代に創設された政府系ファンドで、諮問委員会の議長を務めていた。捜査当局によれば、1MDB経由で少なくとも45億米ドルが不正に流用され、ナジブ元首相の口座にも巨額の資金が振り込まれた。ゴールドマン・サックスやハリウッドのセレブも巻き込んだ世界最大級の汚職事件となっている。
(BBC、アルジャジーラ、12月26日、エッジ、12月29日)

ナジブ元首相の自宅軟禁は認めず=高裁判決

【クアラルンプール】 汚職の罪で収監中のナジブ・ラザク元首相が「残りの刑期を自宅で過ごすことを認めるアブドラ前国王の追加命令書が存在していた」と主張していた裁判で、クアラルンプール高等裁判所は22日、追加命令は連邦憲法の範囲を超えたものであり無効だとしてナジブ氏側の訴えを棄却した。

高裁のアリス・ローク裁判長は、「君主には恩赦を与える特権があるものの、それは連邦憲法、特に恩赦権に関する憲法第42条の制約内でなければならない」とし、国王が恩赦委員会から独立して決定を下すことはできないと指摘。またこうした案件での国王命令の前例はないとし、「同追加命令は刑罰の性質を大きく変えるものであり、恩赦委員会で審議されるべき」と述べた。このままではナジブ氏は2028年8月23日まで刑務所に収監されることになるため、原告の弁護団はさらに上告する方針だ。

政府系ファンド、ワン・マレーシア・デベロプメント(1MDB)に絡む複数の汚職の罪に問われたナジブ氏は、2022年8月23日に刑が確定して収監された。しかしその約1年半後の2024年2月、連邦直轄地恩赦委員会が、ナジブ氏側から出されていた恩赦請求を受け入れて禁固12年の刑を半分の6年に減刑し、2億1,000万リンギの罰金も5,000万リンギに大幅減額した。

さらにナジブ氏側は、アブドラ元国王の追加命令書の存在を認める内容の証言に基づき、高裁に同命令書の存在の法的確認と命令内容の履行を求めたが、2024年7月の判決では「命令書に関する主張は伝聞に過ぎない」との理由で請求は棄却されていた。
(エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、ニュー・ストレーツ・タイムズ、12月22日)

行方不明のMH370便、北京の地裁が遺族8人への賠償を命令

【北京】 2014年に行方不明となったマレーシア航空MH370便の乗客8人の遺族が起こしていた損害賠償請求訴訟で、中国・北京の地方裁判所(朝陽区人民法院)は5日、乗客1人あたり290万元(約41万米ドル)以上を支払うようマレーシア航空に命じた。

遺族は2023年11月に提訴。今回、葬儀費用や精神的苦痛などに対する賠償金として290万元の支払いが言い渡された。マレーシア航空はこの判決に対し現時点でコメントなどを発表していない。

MH370便は2014年3月8日、クアラルンプールから北京に向かう途中、乗員乗客239人を乗せたまま消息を絶った。乗客の3分の2にあたる154人が中国人で、事故後、遺族らにより78件の訴訟が起こされた。これまでに47件が取り下げられ、今回の8件をのぞく23件は係争中という。

MH370便に関しては、マレーシアの運輸省が今月3日、南インド洋で12月30日から55日間の海底捜索活動を再開すると発表したばかりだった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、12月8日)

警官装ったペナンの詐欺事件、日本人被告ら初公判で容疑認める

【ブキ・メルタジャム】 日本人を狙った特殊詐欺事件に関与した容疑で、ペナン州で逮捕された日本人男女14人と中国人4人の初公判が5日に行われ、被告人全員が容疑を認め、情状酌量を求めた。

被告人は25―51歳で、ペナン警察が先月20日、同州シンパン・アンパットのバンガロー2軒の家宅捜索した際、逮捕されていた。被告人は3カ月間、コールセンターのオペレーターとして勤務していたとされるが、実際には、警察官を装って日本に電話をかけ、1人あたり月5,000―8,000リンギをだまし取っていたとみられる。押収品には、日本語で書かれた台本25セット、携帯電話49台、パソコン、トランシーバーなどが含まれていた。
被告人は初公判で、警察の調べに対し容疑を認め全面的に協力したことなどを主張。これを受け裁判所は、1人につき8,000リンギ(現地保証人付き)の保釈金を設定した。次回の公判は2026年2月3日の予定。

先月5日にも、日本人を狙った「ロマンス詐欺」容疑で、セランゴール州カジャンで外国籍13人が拘束されるなど、摘発が相次いでいる。マレーシアの刑法420条(詐欺)に基づき有罪判決を受けた場合、1―10年の禁固刑に加え、鞭打ち刑と罰金刑が科せられる可能性がある。
(ベルナマ通信、12月5日)

邦人男性3人逮捕、タイからコカイン12キロ密輸の疑いで

【セパン】 マレーシア国境管理・保護庁(AKPS)は19日、クアラルンプール新国際空港(KLIA)ターミナル1でコカイン計12キログラム(240万リンギ相当)をタイから密輸入しようとした疑いで、日本人男性3人を拘束したと発表した。

調べによると、3人は17日深夜、タイ・バンコクからの便でスーツケース計6つを携えKLIAに到着。係官が荷物検査で不審な画像を発見し、スーツケースやバッグパックなどを確認したところコカインを発見したため、18日午前1時45分ごろ、逮捕した。税関麻薬課が引き続き経緯や背後関係などを捜査している。コカインは真空パックで密閉された上で表面を干しエビや干し小魚などで覆って隠蔽されていた。

マレーシアは薬物犯罪に厳しく、死刑が適用される可能性もあり、在マレーシア日本大使館はホームページなどで注意を呼びかけている。
(ザ・スター、ザ・サン、フリー・マレーシア・トゥデー、11月19日)

プレミアム高速バスサービス「エアロライン」に1カ月の運行停止処分

【クアラルンプール】 公共陸運局(APAD)は、運行会社のズルコによる度重なる違反を受けて、プレミアム高速バスサービス「エアロライン」の運行を116から125日までの1カ月間停止すると発表した。運行免許停止・取消委員会が1021日の会合で、運行免許と車両許可の30日間停止を決めた。

APADによると、同社は運行免許を不正に使用し、許可されていない場所で乗客の乗降を行い、事前の承認を得ずに認可されたターミナル外で運行していた。今年初めに複数回の警告が出されていたにもかかわらず、23521日、1010日にも違反が発覚した。同社は認可されたターミナルへの移転を複数回勧告されていたものの、これに従わなかったため、APAD3月から10月の間に3通の説明要求書を発行していた。報道によると、ズルコは公式文書で違反を認めているという。

エアロラインは、クアラルンプール、ペタリンジャヤ、ペナン、ジョホールバル、シンガポール間で長距離バスを運行している。首都圏クランバレーではクアラルンプール(KL)の「コーラスホテル」、バンダル・ウタマの「ワン・ウタマ・モール」、ペタリンジャヤの「サンウェイ・ピラミッド」を乗降場所としており、交通ハブであるTBSターミナルへの移転を拒んだためだという。

(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、112日)