スーパーマックスのゴム手袋、米国への輸出再開が許可

【クアラルンプール】 ゴム手袋製造大手のスーパーマックス・ コーポレーション(SCB)は20日、米国への自社製使い捨て手袋の輸出再開が18日付けで米国当局より許可されたと明らかにした。再開対象には▽スーパーマックス・グローブ・マニュファクチャリング▽マクスター・グローブ・マニュファクチャリング▽マックスウェル・グローブ・マニュファクチャリングーーの完全子会社3社が含まれる。

SCBがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、強制労働の項目で改善がみられたことを理由に米国税関・国境警備局(CBP)がSCBに対して出していた違反商品保留命令(WRO)を修正し、米国の法律に準拠していることを条件にSCBと子会社が製造した使い捨て手袋の輸入を許可すると発表した。

CBPは2021年10月21日、SCBおよび子会社の調査の過程で国際労働機関(ILO)が定めた11項目の強制労働指標のうち10項目で違反が確認されたとして、スーパーマックス製品に関するWROを発出。SCBはWROへの対応として、サプライチェーンにおいて指摘を受けた項目を是正する措置を講じたことをCBPに証明したとしている。
(ザ・スター、ザ・サン、9月21日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、9月20日、SCB発表資料)

カントリーガーデンの経営難、L&Gは合弁には影響ないと強調

【クアラルンプール】 中国の不動産開発大手、碧桂園(カントリー・ガーデン)の経営難が懸念されていることに関連して、マレーシアの不動産会社、ランド・アンド・ジェネラル(L&G)は、カントリー・ガーデンと合弁で進めているセランゴール州セメニエのプロジェクトへの影響はないと強調した。

L&Gのロウ・ゲイテック社長は、プロジェクト全体の4分の3がすでに完成しており、またカントリー・ガーデンとは財務的に独立していると強調。カントリー・ガーデンの経営問題が同プロジェクトにマイナスの波及効果をもたらすのではないかとの懸念の声を一蹴した。

L&Gがカントリー・ガーデンと合弁で進めているのは、「ダイヤモンド・シティ」と命名された総面積167エーカーのタウンシップ開発で、2014年に開始された。L&Gが45%、カントリー・ガーデンが55%をそれぞれ出資している。

プロジェクトはA、Bの区画に分かれており、A区画はすでに完了。B区画は1、2、4期がすでに完成し、5期も建設予定の201戸の80%に当たる163戸が販売済みとなっているという。
(エッジ、9月19日)

ITコンサルの米アバナード、東南アジア初の生成AIラボを設立

【クアラルンプール】 米アクセンチュアとマイクロソフトの合弁会社でITコンサルに携わる米アバナードは、東南アジア初の生成人工知能(AI)ラボをクアラルンプール・オフィス内に設置したと発表した。

アバナードは声明で、ラボでは生成AIソリューションを実験・共創し、データからビジネス価値を引き出すことで、組織のAI対応を支援すると述べた。さまざまな職位の従業員の生産性向上を目指し、マイクロソフトのクラウド上で生成AIソリューションを開発する。また、データとの対話、顧客対応音声の分析、テキスト入力による画像生成などに関するワークショップやデモを開催し、顧客企業がAIソリューションを体験できる機会を提供する。

アバナードの東南アジア責任者であるババ・カプール氏は、AIが産業を再構築し、人とテクノロジーの関係を再定義する中、ラボは未来の仕事像を想像する場として機能し、「マレーシアと東南アジア地域の可能性を解き放ち、AI革命の最前線に位置づける」という同社の取り組みを強化すると述べた。

マイクロソフト・マレーシアのK.ラマン社長は、生成AIの出現により、組織はより創造的で生産的、効率的になり、有意義なイノベーションが促進できるとし、マレーシア国内外で組織へのAI導入を進める上で、アバナードと協業できることを嬉しく思うと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月19日)

プロトン、スマート車の現地組立生産に向けて覚書締結

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、中国のスマート・オートモービルとの間で、ペラ州タンジョン・マリム工場でのスマート車の現地組立(CKD)の可能性を探るため、覚書(MoA)を締結した。

プロトンは2022年1月にも、スマートとの間で東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるスマート車の販売の可能性を探るため契約を締結。同年8月にはマレーシアとタイにおけるスマート車の販売に向け、販売代理店契約を交わしていた。
新たに交わした契約により、両社はスマート車のCKDに向けて協議を行い、協力関係を新たなレベルに引き上げる。

一方で、スポーツ車(SUV)タイプの電気自動車(EV)「スマート#1」の予約受付が19日に開始された。「スマート#1」の販売は、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国の中で初となる。バリエーションは「プロ」、「プレミアム」、「ブラバス」の3種で、保険なしの価格は20万から25万リンギ程度と推定されている。
(ポールタン、9月19日)

BMWマレーシア、年初8カ月のEV販売台数は1600台超

【クアラルンプール】 独系BMWグループ・マレーシアは18日、今年1ー8月に「BMW」、「MINI」、「BMW モトラッド」ブランドの電気自動車(EV)を1,600台以上販売したと発表した。昨年通年でのEV販売台数は1,557台だったため、すでにそれを上回ったことになる。

マレーシア公式オープンデータ・ポータルの8月末時点でのBMWのEV販売データによると、大型高級セダン「7」シリーズで初のEVとなる「i7」は今年150台を販売。スポーツ多目的車(SUV)「iX」は880台、SUV「iX3」は108台、5月に発売開始されたコンパクトSUVの「iX1」は291台、4ドアクーペ「i4」は120台がそれぞれ販売されている。

BMWグループ・マレーシアはまた、10月1日ー12月31日に「BMW」と「MINI」のEVを購入した先着200人に「EV充電無制限パッケージ」を提供すると発表。12カ月間、ジョムチャージ、チャージEV、ジェンタリが提供する全国のEV施設において、登録車両に対して無制限に充電ができるもので、料金は「BMW」では2,400リンギ、「MINI」では1,800リンギとなる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月19日、エッジ、ポールタン、9月18日)

今年のハラルショーケース、成約額が31億リンギに

【クアラルンプール】 9月12ー15日の日程で開催されたハラル(イスラムの戒律に則った)製品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)2023」で、成約額が目標額の25億リンギを24%上回る31億1,000万リンギに達した。

今年で第19回目の開催となった世界最大のハラル見本市であるMIHAS2023は、マレーシア貿易開発公社(Matrade)が主催するもの。マレーシアの輸出業者向けに2023年9月11日に開催された国際調達プログラム(INSP)と、9月12ー15日に開催された44カ国の出展者が参加する見本市の2つのプログラムで構成され、予備的計算によると、INSPの成約額は12億2,000万リンギ、見本市の成約額は18億9,000万リンギに達した。バーチャルINSP商談会は11月30日まで行われるため、成約額はさらに上積みされるとみられる。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、「マレーシアのハラル産業マスタープラン2030では、ハラル産業の貢献度について2030年までにマレーシア国内総生産の11%に相当する2,660億リンギを目標としている」と述べた。
MIHAS2023には、100カ国以上から合計3万8,566人が来場し、当初予想の3万5,000人を上回った。うち2万9,090人が直接参加し、9,476人がバーチャルで参加した。 対面のINSPは、マレーシア企業469社と、11社のプレミアムバイヤーを含む44カ国の231人の海外バイヤーが合計2,788件の商談を行った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、9月19日)

希土類元素の埋蔵量は1兆リンギ相当=パハン大准教授

【クアラルンプール】 マレーシア・パハン大学のモハマド・ユスリ・ユヌス准教授は、放射性のない希土類元素(NR-REE)の国内埋蔵量は推定1,610万トンあり、1兆リンギの収入を国にもたらすことができると主張した。

代表的元素はプラセオジム、ネオジム、ジスプロシウムの3つで、電気自動車や風力タービン、家電のモーターに使われる強力磁石の生産に欠かせない。市場価格は1トン当たりそれぞれ57万7,212リンギ、59万3,336リンギ、196万リンギに上り、トレンガヌ、クランタン、ペラ、パハン、ケダの各州に埋蔵されているという。

鉱物持続可能性・資源回収センター長でもあるモハマド・ユスリ氏はウトゥサン・マレーシア紙の取材に対し、パハン州ゲベンにある豪州系ライナスの希土類加工工場の経験からマレーシアは学び、国産の加工工場を開発すべきと指摘。パハン州ガンバンや同州北部に埋蔵されている希土類元素は100年以上採掘が可能だとし、同州だけで毎年数十億ドルの収入になるため開発すべきと述べた。

アンワル・イブラヒム首相は最近、乱開発を避けるため希土類元素の輸出を禁止する方針を明らかにしている。希土類の採掘は森林保護区や環境上重要な森林では禁止されている
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メール、9月15日)

 

独自のカーボンクレジットの導入、ジョホール州が計画

【イスカンダル・プテリ】 ジョホール州政府は州議会に、州独自のカーボンクレジット(温室効果ガスの排出削減証明)の導入案を提出した。一定の水準を超え二酸化炭素を排出する事業体に、超過分を税として納入することを求める内容だ。税収増が狙い。

提出に当たった気候変動災害対策特別委員会のアヌアル・アブド委員長によると、徴収した税は気候変動がもたらす災害への対策費として利用する。納税先は州政府に限定せず、連邦政府になる可能性もあるという。

アヌアル氏によると、特別委員会はまた、マレーシア気象局が州内全域に、気象データを自動的に集める測候所を設置できるよう、気象局に資金を出すことも提案している。
(マレー・メイル、9月14日)

プロトンが「X90」をリコール、配線の欠陥で発火の恐れ

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは13日、今年5月に発売した同社初のハイブリッド車であるスポーツ車(SUV)「X90」について、配線の欠陥で発火する恐れがあるとしてリコールすると発表した。「X90」は8月末までに累計2,944台が販売された。

プロトンは、社内調査でアース接続の一つに問題がある事が判明したとした上で、「継続的に大きな電流が流れると接続部分が過熱し、防音材に近いため熱事故が発生する可能性がある」と説明。懸念の声が上がっていた車載の48ボルト・マイルドハイブリッドバッテリーが原因ではないと強調した。

「X90」の所有者には、プロトンのディーラーから個別に連絡があり、車両を検査のために持ち込むよう指示がある。必要に応じて、熱リスク排除のためにサービス・センターによる修理作業が行われるという。
(マレー・メイル、ポールタン、9月13日)

GSTの再導入前に、富裕層の補助金削減が必要=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は、物品・サービス税(GST)について、GSTは最も効率的かつ透明性の高い税制であると認めたものの、導入時期については、もう少し時間が必要だとし、まずは富裕層の補助金を削減しなければならないとの見解を示した

シンクタンクの米ミルケン研究所が開催した「第10回アジアサミット」において、ブルームバーグのインタビューに応じたアンワル首相は、マレーシアはアジアの中で補助金支出額が最も高い国の一つであるとした上で、政府は出来るだけ早く補助金を削減する必要があるとした。

一方で投資について、アンワル首相は、1990年代に成功した例を挙げて、誘致を確実にするため政策を明確にすることに重点を置いているとコメント。適切な政策と明確な経済政策により1990年代よりも良い結果を出すことができると述べた。
(エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、9月13日)