レアアース原料の輸出禁止、年内に開始する見込み=環境相

【クアラルンプール】 ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相は13日、希土類元素(レアアース)採掘の標準運用手順(SOP)について、年内に施行される見通しだと明らかにした。アンワル・イブラヒム首相が11日の下院議会で「国産レアアース原料の輸出を禁止する」と述べたことを受けてのもので、輸出禁止についてSOPに明記されると見られる。

ニック・ナズミ大臣は、レアアースに関するSOPは閣議ですでに承認され、10月2日に開催される鉱物資源産業開発調整委員会でSOPの全国展開に関して協議される予定だと述べた。SOPの一部は天然資源環境気候変動省とその傘下の鉱物地球科学局、その他の開発関連部分は経済省、投資貿易産業省などが管轄するとしている。
(エッジ、9月13日)

人工島のマラッカゲートウェイ、開発再開へ

【マラッカ】 430億リンギを投じマラッカ州沖に人工島を建設する「マラッカ・ゲートウェイ」の推進母体であるKAJデベロップメント(KAJD)は、「マラッカ・ゲートウェイ」の開発を再開すると発表した。

マラッカ・ゲートウェイは、2014年に建設が開始され、2025年までの完成を目指していたが、開発に参加していた中国電力建設が撤退し、2020年には工事の遅延を理由としてマラッカ州政府から建設中止命令が出されていた。KAJDは2022年3月に州政府の承認を得て、1島(PME1)の開発を再開。アンソニー・ローク運輸相も2023年3月、PME1の国際クルーズ船ターミナル(MICT)建設に向けて交渉を開始すると明らかにしていた。

KAJDのダイン・A・マレク会長は声明で、MICTからインフラ建設を再開するとし、MICTは国際クルーズ船やフェリーがマラッカに寄港する際の唯一の港になると言明。クルーズ船により、毎年約350万人の観光客が訪れることが期待できるため、地域経済に寄与しながら、世界で最も有名な観光地のひとつであるマラッカをアピールし、観光活動を増加させていくとしている。
(エッジ、9月11日)

レアアース原料輸出禁止へ、国内産業促進に向け=首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は11日の下院議会で、資源の流出を防ぎ国内産業を促進するため、国産の希土類元素(レアアース)原料の輸出を禁止する方針であることを明らかにした。ただ禁止時期については言及を避けた。

アンワル首相は、輸出禁止措置により資源の搾取と損失が回避され、国に最大の利益が保証されるとした上で、「国内での原料加工が促進され、国に追加の収入がもたらされるだろう」と言明。レアアース産業において上流、中流、下流部門を統合した詳細かつ包括的なビジネスモデルが作り出されるだろうとし、「レアアース産業が持続可能で環境に優しい非放射性レアアース(NR-REE) をベースとした新たな持続可能な成長源として浮上するだろう」と述べた。

アンワル首相は、レアアース産業が2025年までに国内総生産(GDP)に95億リンギの貢献をもたらし、7,000人分の新規雇用を創出すると予想されていると言明。また持続可能性と責任の原則に基づいて鉱業の包括的な発展を推進するため、国家鉱物政策を起草すると述べた。

マレーシアのNR-REEについては、ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相が6月、推定埋蔵量が1,610万トンで推定市場価値は8,096億リンギに達すると明らかにしていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月12日、フリー・マレーシア・トゥデー、ロイター、9月11日)

ペトロナス傘下ジェンタリ、クチンにEV充電施設を設置

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリは、完全子会社であるジェンタリ・グリーン・モビリティを通じ、サラワク州営電力会社のサラワク・エナジー(SEB)と提携し、電気自動車(EV)充電施設をサラワク州クチンに設置した。

設置場所はクチンの複合施設「ICOMスクエア」。充電器は3基で、そのうち2基は180キロワット(kW)のDC急速充電が可能となっている。9月中は試験運用を実施し、24時間365日運用する。

ジェンタリ・グリーン・モビリティは7月にEV充電スポット管理アプリ「ジョムチャージ」を提供するEVコネクションおよび石油・ガス(O&G)のインソン・ホールディングス完全子会社であるインソン・グリーン・テクノロジー(M)と提携し、3社の充電施設の横断利用を開始しており、クチンのジェンタリ充電施設利用者は、充電アプリの「セテル」と「ジョムチャージ」を通じて全国600カ所の充電施設も利用できるようになる。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ボルネオポスト、9月7日)

プロトン、1ー8月の販売台数が10万台を突破

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、2023年1ー8月の合計販売台数が前年同期比19.6%増の10万4,602台となり、前年より1カ月早く5年連続で10万台を突破したと明らかにした。市場シェアは推定20.8%。

8月単月の自動車販売台数(輸出を含む)は、1万3,955台となった。総需要量が7万4,200台と見込まれることから市場シェアについては18.8%と推定している。

販売台数が最も多かったのはAセグメントセダン「サガ」の6,585台で、セグメントにおける2位を維持。年初8カ月では4万5,836台となった。2番目に多かったのはBセグメントスポーツ車(SUV)「X50」(2,558台)で、セグメントでトップ。年初8カ月では2万2,750台となった。3番目に多かったBセグメントセダン「ペルソナ」は2,028台となり、年初8カ月では1万6,561台となった。

最新モデルのDセグメントSUV「X90」は719台、Cセグメント多目的車(MPU)「イゾラ」が409台で、それぞれセグメント・トップとなった。年初8カ月ではそれぞれ2,944台、3,150台となった。このほかCセグメントSUV「X70」は1,002台(年初8カ月は7,999台)、Bセグメントハッチバック「アイリス」は654台(年初8カ月は5,362台)となった。

販売会社プロトン・エダルのロスラン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は、最近セランゴール州シャアラムの社内試験施設が試験所や校正機関の正確さを認定する国際規格「ISO17025」の認定を受けたことや、電気自動車(EV)分野への参入が間近に迫っていることもあり、より良い製品とサービスを目指す同社の努力は今後も継続されるだろうと言明。通年での前年を上回る通年販売記録達成に向けて順調に進んでいると述べた。

韓国のNX3ゲームズ、クアラルンプールに地域本部を開設へ

【クアラルンプール】  韓国のゲーム会社NX3ゲームズは、来年までにクアラルンプール(KL)に地域本部を開設する見通しだ。

韓国を公式訪問中のファーミ・ファジル通信デジタル相が7日にNX3ゲームズの本社を訪問した際、同社経営陣から地域本部開設の意向を示されたという。NX3ゲームズは米国に拠点を構えており、マレーシアが海外進出2カ国目となる見込み。

ファーミ大臣は、NX3ゲームズとマレーシア・デジタル経済公社(MDEC)と間の協力関係についても検討が行われているとし、KL拠点には、ゲーム配信、研究開発、コンテンツデザインの3部門が設置される予定だとした。

NX3ゲームズのテレンス・キム最高コンテンツ責任者(CCO)は、マレーシア進出によりゲーム産業での大きな可能性が見いだせるとし、KLでの事業拡大のチャンスに興奮していると述べた。

ファーミ大臣はまた、韓国ゲーム会社のスマイルゲートも訪問し、マレーシアでの事業拡大を呼びかけたと述べた。スマイルゲートは3月に米サンフランシスコで開催された「ゲーム開発者会議2023」でMDECと会談し、協力関係強化について合意したという。
(エッジ、ベルナマ通信、9月7日)

マレーシア航空親会社、ブラヒムズの機内食部門買収を検討

【クアラルンプール】 マレーシア航空の親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)は、先ごろ機内食サービス契約を打ち切ったブラヒムズ・フード・サービス(BFS)の経営権取得を選択肢の一つとして検討していることを明らかにした。

マレーシア航空(MAB)は現在BFSの株式の30%を保有しており、ブラヒムズ・ホールディングス(BHB)が残りの70%を保有している。MAGグループのイザム・イスマイル社長は、BFS買収について同グループが機内食事業を継続する上での選択肢のうちの一つだと説明。BFSの残余株70%をBHBから購入することを検討していると述べた。

BFSの評価を行うために、すでにBHBとMABの両社により共同評価者としてデロイトが任命されており、2週間以内に評価作業が完了する予定。 これに基づきMAGはBFSの株式取得に関してBHBとの交渉を続行するかどうかを決定する。

イザム社長によると、MAGはこのほか多様な機内食サービス会社を採用することや、長期的に独自の機内食サービス会社を立ち上げることを選択肢として検討している。支配株を持つことを条件に国際的な機内食サービス会社との合弁設立にも前向きだという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、9月5日)

マレーシア航空、8月末で機内食のブラヒムズとの契約打ち切り

【クアラルンプール】 マレーシア航空の親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)は、8月31日付けで機内食サービスのブラヒムズ・フード・サービシーズ(BFS)との契約を打ち切ったと発表した。

BFSは26年にわたり、マレーシア航空に機内食サービスを提供していた。英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」は今年6月、マレーシア航空が「都合による解約」条項を新契約に追加したことにBFSが反発し、契約の延長が危ぶまれていると報道していた。財務省が間に入り、交渉継続のため6月末から8月末まで、2カ月間の契約延長を求め、両社は合意していたという。

MAGはBFSとの契約終了で影響を受ける路線については、グループ企業の協力を得て代替の機内食を提供すると言明。空港ラウンジを運営するMASアワナなどから食料品・飲料を調達し、航空機地上支援会社のアエロダラット・サービシズが機内積み込み業務を行うとした。クアラルンプール国際空港(KLIA)敷地内に臨時配送センターも設置したという。その他の路線については、現在機内食を提供しているポス・アビエーションが引き続きサービスを提供するとしている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月31日、エッジ、8月30日)

フォレストシティの開発、完成しない可能性も=アナリストら

【クアラルンプール】 経営悪化が囁かれている中国の大手デベロッパー、碧桂園控股(カントリー・ガーデン)がジョホール州沖の人工島で開発中の「フォレスト・シティ」プロジェクトについて、不動産アナリストは、不動産価値が下落しており、完成しない可能性もあるとの見解を示している。

シンガポールを拠点とするカリル・アディス・コンサルタンシーの創設者である不動産専門家のカリル・アディス氏は、カントリー・ガーデンの経営難がフォレスト・シティの流通市場を混乱させていると警告。フォレスト・シティの1ベッドルームのアパートは、当初2020年に1平方フィートあたり約1,200リンギ(257ドル)で発売されたが、現時点での転売価格は1平方フィートあたり541リンギ(116ドル)まで下落していると述べた。フォレスト・シティは15%しか完成しておらず、カントリー・ガーデンの経営難により開発計画がさらに遅れる可能性もあるとしている。
マレーシア不動産業者協会のタン・キエンアウン会長も、カントリー・ガーデンの経営難はフォレスト・シティの資産価値に「間違いなく影響を及ぼす」とし、プロジェクトが継続されても当初の計画通りには完成しないだろうと述べた。

フォレスト・シティはジョホール海峡を埋め立て造成した4つの人工島(面積は合計30平方キロ)に、20年かけ商業ビル、住宅を総合的に建設する総工費1,000億米ドルの大規模開発。中国政府が2016年に発表した資本持ち出し規制により中国人バイヤーのキャンセルが相次いだこと、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大の影響などから経営に打撃を受けていた。アンワル・イブラヒム首相が先に救済措置の一環として、投資誘致に向け、金融特区を設けると発表していた。
(ベナル・ニュース、8月29日)

新産業マスタープラン2030を発表、330万人の雇用創出目指す

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は1日、向こう7カ年の「新産業マスタープラン2030」(NIMP2030)を発表。目標達成に向けて7年間で推定950億リンギの投資が必要になると述べた。330万人の雇用創出を目指す。

「NIMP2030」は経済の複雑化、国内の産業連携の強化、世界のバリューチェーンにおけるマレーシア産業の上位位置づけなどの戦略を通じて、長期的かつ持続可能な成長に向けたマレーシアの産業能力と回復力を構築することが目標。投資の大部分をプライベートエクイティ(PE)、資本市場、金融市場からの民間投資で賄い、残り10%あまりをNIMP産業開発基金とNIMP戦略的共同投資基金を通じて、政府が支援する。

具体的には、製造業の付加価値を2030年までに6.5%増の5,875億リンギに増やすことを目指す。 (空白削除)「NIMP2030」により、電気・電子(E&E)、化学、電気自動車(EV)、航空宇宙、医薬品、鉱物・金属などの先端材料など影響の大きい分野において61%の増加を見込む。雇用に関しては、2023年から年率2.3%の成長が見込まれ、2030年までに330万人分の雇用創出を図る。これらの施策により、製造セクターの給与中央値が年率9.6%上昇し、2021年の1,976リンギから2030年には4,510リンギへ128%増となるとしている。

また目標を達成するため、▽経済の複雑性を促進し、産業を変革し、より洗練された製品を生産する▽テクノロジーやデジタルトランスフォーメーション(DX)を取り入れ、革新や生産性の向上に取り組む▽持続可能な実践と環境に優しい取り組みを通じてネットゼロを推進する▽サプライチェーンの安全保障を実現することで経済の安全性や包括性を守るーーの4つのミッションを掲げている。

「NIMP2030」のその他のインセンティブについては、10月に予定されている2024年度予算案で発表される。