KLIAでターミナル間のシームレスな乗り継ぎシステムを開発へ

【セパン】 空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)は、クアラルンプール新国際空港(KLIA)のターミナル1とターミナル2間のシームレスな乗り継ぎを可能にするシステム開発に取り組んでいる。MAHBのモハメド・イザニ・ガニ社長が18日、明らかにした。

乗り継ぎのために2つのターミナル間を移動する必要がある乗客は現在、到着ターミナルから出発ターミナルに移動後、保安検査を改めて受け直す必要がある。このため、MAHBは運輸省と協力して、新システムの開発を進めており、現在PoC(概念実証)段階という。第1フェーズでは、バス送迎などのエアサイドシャトルサービスのあり方や、ターミナル間の乗客移動にかかる時間テストなどに重点を置く。第2フェーズでは最適な荷物の取扱手順の評価を予定している。

シームレスな乗り継ぎシステムが実現されれば、乗客の利便性が増すだけでなく、航空便にターミナルを割り当てる際の柔軟性を高めることができ、KLIAで運航する航空会社の増加も期待できる。ただ、検討すべき課題が多いことから具体的なスケジュールは発表されていない。

こうした取り組みはさらなる旅行客の増加に対応するためのものでマレーシア国内の地方空港との乗り継ぎは大きな課題となっている。MAHBは、15億5,000万リンギをかけ、最も利用者数の多い地方空港の一つ、ペナン国際空港(PIA)の拡張プロジェクトも進めている。プロジェクトは3期に分けて実施され、2028年6月までの完了を目指している。完成後の年間旅客数は現在の650万人から1,200万人になると見込まれる。このほか、コタキナバル国際空港などでも拡張が進められている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、7月18日)

ペナンのLRTムティアラ線に工事開始許可、23日から土木工事

【ジョージタウン】 財務省傘下の鉄道資産保有会社、MRTコーポレーションはSRSコンソーシアムに、ペナン島における初の軽便鉄道(LRT)ムティアラ線第1期の工事開始を許可した。SRSは23日から土木工事に着手する。

ムティアラ線は、国際空港に近い人工島から東海岸沿いにジョージタウンを経て、海峡を越え、本島側バタワースに至る全長29.5キロメートルの軌道交通で、駅舎数は21。第1期は24キロメートルで、人工島からジョージタウンまで。土木工事では道路拡幅、杭打ち、公益設備の移転などが行われる。本格工事は2026年後半から。

SRSはガムダが60%、ロー・フォイエン・ホールディングスと不動産開発のアイデアル・プロパティ・デベロップメントがそれぞれ20%、出資する連合体。

MRTはMMSBコンサルトをプロジェクトコンサルタントに指名したことも発表した。設計から運行、整備まで事業全体の安全性、法令順守をチェックする。

海峡を渡って本土側と結ぶ第2期は現在、入札が行われている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、7月17日)

米ボーイングがKLに新オフィスを開設、重要拠点と位置づけ

【クアラルンプール】 航空機大手の米ボーイングは16日、クアラルンプール(KL)に新オフィスを開設した。

新オフィス開設について、同社は「アジア太平洋地域最大級の航空市場を有するマレーシアにおいて、顧客サポート、航空安全、持続可能性、そしてサプライチェーンへの取り組みを推進するための重要な拠点になる」と説明している。
開設式典には、リュー・チントン副投資貿易産業相らが出席。マレーシアが掲げる「航空宇宙ブループリント2030」推進におけるボーイングの継続的な支援に感謝の意を表明した。

同社は新オフィス以外に、クアラルンプール新国際空港のサービスオフィスや、東南アジア初となる完全子会社のボーイング・コンポジッツ・マレーシアを通じ、航空機モデル向け複合材部品工場をケダ州で運営している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、7月16日、ボーイング発表資料)

GDP成長目標は依然達成可能、四半期報告会見で貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は15日、貿易に関する第2四半期の成果報告会見の席上、世界貿易は減速の兆候が見えるが、国内総生産(GDP)の成長目標(4-5%)は達成可能との認識を示した。

ザフルル氏によれば、米国の関税猶予措置のため一部の貿易は前倒しされた可能性があるが、この先数カ月、貿易の勢いは持続が予想されるという。関税をめぐる米国との交渉では、薬品、半導体など一部の産業部門で税率が10%に下げられる可能性がある。

マレーシアは輸出市場の多様化と貿易ガバナンスの強化に引き続き取り組んでおり、政府支援の貿易イベントによる輸出総額は、2025年上半期に28億8,000万リンギに達した。5,000万リンギの補助金により、貿易額は227億リンギ増加すると見込まれている。

重要な節目となったのは、6月23日のマレーシアと欧州自由貿易連合(EFTA)加盟4カ国(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)との経済連携協定(MEEPA)の調印で、これにより4カ国との貿易関係が拡大した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ビジネス・トゥデー、7月15日)

KLIAターミナル1、混雑緩和に向けた改修工事が完了

【クアラルンプール】 空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)が、今年上半期に3,000万リンギを投資し進めていたクアラルンプール新国際空港(KLIA)ターミナル1の改修が完了。さらに来年のマレーシア観光年に向け、予算に上限を設けることなく旅客体験の向上を目指す。

上半期の改修は、処理を迅速化し混雑緩和するのが主な目的。「上半期のKLIAの旅客数は3,010万人で、前年同期比で9.9%増加しており、空港サービスを向上させることは特に重要」と説明する。

まずモバイルチェックインユニットを備えた自動手荷物預け機5台を導入。従来のカウンターでの手続きと比較し、1時間あたり最大10倍の手荷物処理能力を備えるという。

国内線保安検査場のレーンに関しても、荷ほどき・再梱包用の専用エリアを新設したことなどで、処理能力は1時間あたり770人から1,569人に増加し、平均待ち時間は5分未満に短縮される。国際線出発にも、6つの手動によるカウンターに代わり、9つのセルフスキャン式搭乗券レーンが設置された。また最新の手荷物カート5,000台も導入された。

また乳幼児や高齢者、身体障害者らのアクセシビリティ向上にも配慮。優先レーンの入国審査カウンター2つを新設したほか、スペースを広くした専用駐車場などを整備した。おむつ交換室も2カ所開設したのに加え、8月までにさらに3カ所追加。救急救命士チームを配置し、緊急対応能力も強化した。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、7月15日)

東海岸への高速電車サービス延伸計画なし=運輸相

【クアラルンプール】 アンソニー・ロ―ク運輸相は、現在半島西海岸を縦断している高速電車サービス(ETS)を東海岸地域に延伸する計画は当面ないと明言した。

東海岸地域における既存の鉄道路線が単線で電化されていないためで、現在マレーシア国鉄(KTMB)がディーゼル機関車(DMU)による客車運行を行っている。

ローク氏は「その代わり東海岸鉄道線(ECRL)プロジェクトによって、この地域が高速鉄道サービスを受けることになる」と言明。ETSについては引き続き西海岸に重点を置き、ペルリス州パダン・ベサルとジョホール州ジョホールバルを結ぶ路線を運行すると述べた。

ローク氏はまたKTMBの通勤、ETS、貨物サービスは未だ完全な収益性を達成していないため、改善の必要性があると言明。ただ政府系企業(GLC)であるKTMBは、利益よりも社会責任を最優先に考えていると指摘した。
(ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、7月14日)

 

6月の新車販売、プロドゥアが2万2328台でトップ維持

【クアラルンプール】 道路運輸局(JPJ)の統計によると、2025年6月のブランド別自動車販売台数はダイハツ系プロドゥアが2万2,328台でトップを維持した。プロドゥアの年初6カ月の販売台数は16万6,188台となった。

7位までは前月から順位に変化はなかった。6月の2位はプロトンの1万638台で、年初6カ月は6万9,771台となった。3位はトヨタの9,946台(累計5万7,370台)で、4位はホンダの4,495台(累計3万5,471台)、5位はJAECOO(チェリー自動車傘下ブランド)の1,609台(累計9,175台)、6位は電気自動車(EV)専業のBYDの1,045台(累計5,400台)、7位は三菱の888台(累計6,724台)、8位はチェリーの884台(累計4,991台)が続いた。中国の奇瑞汽車(チェリー)傘下ブランド「JETOUR(捷途)」が初登場で18位(270台)に入った。

車種別で6月単月トップはプロドゥア「ベザ」(6,150台)で、2位は「アジア」(5,207台)。3位にはプロトン「サガ」(5,195台)が入った。4位以下はプロドゥア「マイヴィ」(4,183台)、プロドゥア「アルザ」(2,807台)、プロドゥア「アティバ」(2,675台)、トヨタ「ヴィオス」(2,273台)、トヨタ「ハイラックス」(2,196台)、ホンダ「シティ」(1,643台)、トヨタ「アルファード」(1,490台)となった。

EVでは最も売れたプロトン「e.MAS7」(604台)もトップ20に入れなかった。
(ポールタン、6月11日)

人材開発公社、半導体業界向け産業技能開発枠組みを発表

【クアラルンプール】 人材開発公社(HRDコープ)は、半導体業界向けの産業スキル・フレームワーク(IndSF)を正式に発表した。マレーシアが世界的な半導体人材拠点を目指す国家戦略の一環であり、同分野における初の体系的なスキル開発指針となる。

同枠組みはマレーシア半導体産業協会(MSIA)および主要業界関係者とのパートナーシップにより策定された。急成長する半導体業界の即時的なニーズに対応した職業経路と訓練基準を定めている。国家半導体戦略(NSS)に整合する形で設計されており、マレーシアの産業変革と人材育成の連携を意図している。

IndSFは工学分野および技術分野の2つの主要領域に焦点を当てており、初級から専門職まで、9つの重要分野にわたるキャリア進展の道筋を提示している。これにより、教育機関や訓練提供者、現場の専門職が、業界の変化に応じた育成プログラムやキャリア開発計画を策定する際の基準として活用できるという。

MSIAのウォン・シュ―ハイ会長は、「この枠組みは国家半導体戦略の実現に不可欠であり、業界のニーズと人材育成のギャップを埋める鍵である」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、7月11日)

DHLが5カ年工程表、”マレーシアは世界ネットワークに不可欠”

【クアラルンプール】 国際輸送・物流サービスのDHLは9日、この先5年間の事業工程表「2030年戦略」を公表。マレーシアはDHLの世界ネットワークに不可欠の構成部分で、貿易の流れや供給網の多様化の恩恵を受けられる戦略的位置にあるとマレーシアの重要性を強調した。

DHLは、電子商取引処理、国際貨物急送など主要部門のうち4部門の本拠をマレーシアに置いており、データセンター、シェアードサービス(間接部門の業務集約)ハブを利用し、後方支援業務も行っている。

同戦略でDHLは、マレーシアには競争力とビジネスの潜在性があるため、業務能力、サービスをさらに強化すると表明した。

米政権が発表したマレーシアに対する一律25%の関税について、ジュリアン・ネオ代表(マレーシア・ブルネイ地区)は「関税の影響は我々が考えるほど深刻ではない。アンワル首相は新たな市場開拓を進めており、マレーシア企業も追随すべきだ。東南アジアは人口6億8,000万人の巨大市場だ」と述べ、中小企業に進出を促した。
(ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、7月9日)

米国の25%関税、対米輸出の5割を占めるペナン州が懸念

【ジョージタウン】 米国がマレーシアからの輸入品に25%の関税を課すと発表したことで、マレーシアの対米輸出の半分以上を担うペナン州で懸念が高まっている。

チョウ・コンヨウ州首相は、今年年初5カ月でマレーシアの対米輸出総額の55%に相当する520億リンギをペナンが占めたと言明。これらの輸出の大部分はペナンで事業を展開する米国の多国籍企業によるもので、主に完成品や部品を親会社に輸出していると述べた。

ペナンの対米輸出の77%は電気機械・機器で、特に半導体産業が大きな割合を占めている。半導体は現在関税の対象外となっているものの、25%の関税賦課は依然として経済リスクをもたらすと懸念される。輸出志向の強いペナン州経済に影響を及ぼすと予想されるという。また東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の貿易のダイナミクスを歪め、地域全体の将来の投資決定に影響を与える可能性があるという。

その上でチョウ氏は、「マレーシア政府は米国と継続的に協議を行い、関税率の引き下げ交渉を進めることが急務」と指摘。マレーシアの貿易競争力を維持するためには、非関税政策や貿易障壁への対処にも注力する必要があるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、7月8日)