サンウェイの不動産部門、セランゴール州ラワンで工業団地開発へ

【クアラルンプール】 サンウェイの不動産部門サンウェイ・プロパティーは2日、完全子会社サンウェイ・ラワン・シティ(SRCSB)を通じ、カウサー・エクイティーズからセランゴール州ラワンのクアンにある245エーカーの区画を1億1,500万リンギで取得する売買契約を締結した。工業団地の開発を目指す。

サンウェイの完全子会社サンウェイ・シティとアマル・リソーシズが土地取得・開発を担当する。両社はSRCSBを合弁会社(JV)とする契約を同日締結している。

工業団地は、工場、倉庫、商業施設で構成され、最先端インフラや堅牢なインターネット接続、持続可能な機能を統合したエコシステムの確立を目指す。推定総開発価値(GDV)は20億リンギ以上。クアラルンプール(KL)ークアラ・セランゴール高速道路(LATAR)に隣接し、KL中心部から車で35分、クアラルンプール国際空港やクラン港からも1時間以内の距離にあり、既存のクアン工業地区やラワン工業団地を補完できるという。

サンウェイ・プロパティのサレナ・チア社長は、今回の土地買収は、テクノロジー、持続可能性、イノベーションを統合し、未来志向の工業団地を開発することを目的としているとし、「デジタル時代における企業の進化するニーズに対応しながら産業部門におけるイノベーション、テクノロジー、持続可能な開発を推進する」という自社の取り組みにも沿っていると述べた。工業団地の開発により、イノベーション、経済成長、雇用創出、投資誘致に貢献したいとしている。
(ザ・サン、ザ・スター、8月4日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、8月3日)

 

独インフィニオン、パワー半導体増産に向けクリム工場を再拡張

【クアラルンプール】 半導体大手の独インフィニオン・テクノロジーズは3日、パワー半導体製造能力増強に向け、ケダ州クリムで操業している同社工場を大幅に拡張し、世界最大規模の直径200mm炭化ケイ素 (SiC)ウエハー(基板)生産施設を増設すると発表した。

同社は2022年2月に20億ユーロ(95億リンギ)を投じ、クリム工場の第3モジュールを増設すると発表していた。第3モジュール第2期として、今後5年間に最大50億ユーロ(249億リンギ)を追加投資する。

200mmSiCへの転換により、オーストリアのフィラッハ工場と合わせ、10年以内に年間約70億ユーロの売上を見込んでいる。インフィ二オンが掲げる、「10年以内にSiC市場シェア30%を獲得」という目標にも貢献できるという。

インフィニオンのヨッヘン・ハネベック最高経営責任者(CEO)は、SiCウエハーは、自動車だけでなく、太陽光発電、エネルギー貯蔵、電気自動車(EV)急速充電器などにも幅広く用いられており、クリム工場の拡張により、市場のリーダーとしての地位を確立できると述べた。

アンワル・イブラヒム首相は声明で、インフィニオンをはじめとするドイツ老舗企業のマレーシアへの継続的な投資は、包括性と持続可能性を前提とした、新経済成長計画に対する信頼の証であると述べた。

インフィ二オンの今年第3四半期の売上高は、前年同期比13%増の40億9,000万ユーロ(44億7,000万ドル)。今年通年での投資額は、約30億ユーロ(149億リンギ)を見込んでいる。
(ザ・スター、8月4日、フリー・マレーシア・トゥデー、ロイター、ベルナマ通信、8月3日、インフィニオン発表資料)

ニシンとフードパンダ、食品配送での電動バイク利用を促進

【クアラルンプール】 調理器具メーカーのニ・シン・グループの完全子会社ニ・シンEVテック(NH EVテック)は2日、食品配送サービスのフードパンダを運営するデリバリー・ヒーロー・マレーシア(フードパンダ・マレーシア)との間で、1日付けで業務提携契約を締結したと発表した。

NH EVテックが国内販売を担当する、中国東莞市台鈴車業(TAILG)製電動二輪車(EVバイク)「イーバイソン」の利用を促進する。NH EVテックはフードパンダに「イーバイソン・ボールド」を無償で2台提供し、フードパンダの配送ドライバー数万人に対し、EVバイク購入時の割引を提供する。

NH EVテックのクー・チーコン社長は、業務提携は両社にとり、環境・社会・企業統治(ESG)推進を後押しするもので、気候変動対策では、志を同じくする企業やコングロマリットと協力するのが早道だとコメント。政府も、ICE(内燃機関)バイクからEVバイクへの移行を支援しており、税制優遇措置や充電インフラの設置も進んでいるとした。

フードパンダ・マレーシアのサヤンタン・ダス最高経営責任者(CEO)は、食品配送サービスをより持続可能で環境に優しいものにしたいとし、今回の提携により、ドライバーにEVバイク利用のインセンティブを提供でき、政府目標の「2040年までに150万台のEV導入」やICE車からの脱却にも貢献できると述べた。フードパンダでは、持続可能性への取り組みとして、配達にバイクを必要としない徒歩配送プログラムも導入している。
(エッジ、8月2日)

スーパーのマイディン、全国15店舗にソーラーパネル設置へ

【ペタリンジャヤ】 スーパーマーケット「マイディン」を運営するマイディン・モハメド・ホールディングスは、全国15店舗へのソーラー・パネル設置を検討していると明らかにした。電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の太陽光発電部門GSPARXの協力を受け、2025年までに設置を完了する予定。

環境への配慮および社会的責任や環境・社会・企業統治(ESG)の推進を目的とした同社の「マイディン・プリハティン・#フォー・フューチャー」プログラムの一環。

1日に開催された、同プログラムの立ち上げ式典に臨席したニック・ナズミ環境天然資源気候変動相は、マイディンの取り組みを称賛。持続可能な未来の実現に向けた重要な一歩であるとし、より良い未来と市場競争力を両立させるマイディンのESGを重視した取り組みが、他組織の模範になることを願っていると述べた。

マイディンのアミール・アリ・マイディン社長は、ソーラーパネル設置は「2030年までにエネルギー消費量と炭素排出量を15%削減する」という同社の目標達成に貢献するとし、マイディンではプラスチック使用量を減らすことで「2030年までに廃棄物量50%削減」も目指していると述べた。
(ザ・スター、8月2日)

サイパーク、再生エネ事業でセランゴールFCと提携

【クアラルンプール】 再生可能エネルギー(RE)のサイパーク・リソーシズは、プロサッカークラブであるセランゴールFCの投資部門、RGFCベンチャーズと合弁で特別目的会社を設立すると発表した。合弁会社の資本金や設立日時、会社名などは明らかにされていない。

サイパークがブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、合弁会社にはサイパークが80%、RGFCが20%出資する。サイパークはRGFCと、先に発表された「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」に沿って、セランゴール州内でのRE発電所の開発、ネットメータリング(NEM、太陽光発電と消費電力を相殺する仕組み)を通じた太陽光エネルギー住宅事業などの事業機会を探るための事業探求覚書(MOBE)を締結した。

両社はまた、セランゴール州内の環境・社会・企業統治(ESG)関連のエンジニアリング調達・建設の機会を模索し、太陽光発電所、廃棄物発電所、住宅用RE設備などのプロジェクトの実施を共同で行う意向だ。
RGFCにとっては、セランゴールFCがサッカー以外の収入を得ることで財政の持続可能化を図るメリットがある。
(ザ・スター、8月2日、エッジ、8月1日、サイパーク発表資料)

独ボッシュ、ペナンに半導体のテストセンターを開所

 【ペナン=マレーシアBIZナビ】 独系ロバート・ボッシュは、半導体とセンサーのテストを行うバックエンドサイトをペナン州バトゥ・カワン工業団地に開設した。投資額は6,500万ユーロ(3億2,320万リンギ)。さらに今後10年半をかけて段階的に2億8,500万ユーロ(14億リンギ)を追加投資する計画だ。
テストセンターの床面積は1.8万平方フィートで、主に半導体の最終テストを実施する。同社は現在、半導体の最終テストを、ドイツのロイトリンゲン、中国の蘇州、ハンガリーで行っており、同センターはボッシュにとり東南アジアで最初のテスト施設となる。2030年代半ばまでに最大で400人分の雇用創出が見込まれている。

ボッシュは、ペナンにはサプライヤーや半導体企業があり、半導体のエコシステムがあること、半導体に関する高レベルの知識を持った熟練労働者がいること、ビジネスパートナーや顧客との距離が近く配送時間を短縮できることなどから投資先にペナンを選んだ。

 1日に開催された開所式に参加したペナン州のチョウ・コンヨウ首相によると、ボッシュはこれまでにペナンで、自動車エレクトロニクス、電動工具、自動車のステアリングの生産施設を開設しており、今回開所したテストセンターは、4カ所目の施設となった。

マクドナルドマレーシア、100店舗に太陽光発電設備を設置へ

【クアラルンプール】 マクドナルド・マレーシアは、電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の太陽光発電部門であるGSPARXと提携し、2024年12月までに100店舗に屋根置き太陽光発電(PV)設備を設置する計画だ。

同社は28日、GSPARXとの間で再生可能エネルギー(SARE)供給契約を締結した。GSPARXは発電容量2.5メガワット時(MWh)のPVシステムを管理する。これにより、マクドナルドは電気料金をおよそ700万リンギ節約できるようになるという。店舗へのPV設備の設置は、今年6月からスタートしており、39カ所の店舗に設置した。設置費用は300万から400万リンギ。

マクドナルドは2017年に、炭素排出量を削減するため5カ年計画を開始。PV設備以外にも太陽熱温水器、発光ダイオード(LED)街路灯などの設置を実施している。そのほかには廃棄物管理システムも導入しており、使用済みの食用油をバイオディーゼル燃料に精製し、配送トラックの燃料として利用しているという。

今後の取り組みとしてマクドナルドは、電気自動車(EV)充電ステーションの開発を計画しており、GSPARXと協力して2024年12月までに導入する計画だ。
(マレーシアン・リザーブ、7月28日)

「マダニ経済」基本計画発表、10年内にGDP世界30位目指す

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は27日、10月13日の来年度予算案に先駆けて国民所得の増加や国家経済の再構築などを目指した新たな経済マスタープラン「マダニ経済:国民力の強化」を発表した。

同10カ年計画では、▽国内総生産(GDP)の世界トップ30位入り▽世界競争力指数におけるトップ12位入り▽従業員報酬のGDP比45%への引き上げ▽女性の労働参加率の60%への引き上げ▽人間開発指数におけるトップ25位入り▽汚職認識指数におけるトップ25位入り▽財政赤字の対GDP比を3%以下に引き下げーーの7つの指標について10年内の達成を目指すとしている。

アンワル首相は、マレーシアをアジアの経済リーダーにするための経済再編が主な焦点であると強調。2022年時点で世界37位のGDP(世銀発表)について、「現状でも今後4ー5%の成長を維持し続けるだろうが、懸命に改革を実行すれば、5.5ー6%の成長も可能だ」とした。

アンワル首相は、マレーシアが依然として高コスト、低競争力、低賃金という悪循環に陥っているため、「ワワサン2020」(2020年までに先進国入りする国家目標)の願望や過去の壮大な約束は達成不可能だとした上で、長年にわたる劣悪な統治、経済構造の亀裂、エリートによる支配からの脱却を必要としていると指摘。「国の衰退の一因となった悪しき慣行や政策を未だに擁護する人々がいることは非常に残念だ」と述べた上で、「我々は国民により正直に、より勇敢に新たな現実を受け入れるよう呼びかけたい」、「我々は新たな経済枠組みを必要としている」と述べた。

アンワル首相はこのほか、年収10万リンギ以下の中間所得層(M40)と低所得者層(B40)の成人(21歳以上)を対象に各100リンギをイーウォレットを通じて給付すると発表。給付額は総額10億リンギに上る見込みだとした。政府は先ごろ、18歳から20歳の若者約200万人を対象に200リンギの給付を発表しており、今回の給付はそれに続くもの。

アンワル首相はまた、130万人の公務員を対象とした300リンギの給付、100万人以上いるとみられる退職公務員への200リンギの給付なども発表した。

物価上昇はさらに鈍化する、エコノミスト予想

【クアラルンプール】 消費者物価指数(CPI)は6月、10カ月連続で前年同月を下回り、物価上昇圧力が弱まっていることが示されたが、上昇はさらに鈍化するとエコノミストは予想している。

鈍化傾向があまり見えなかったコアCPI(CPIから、物価変動の激しい生鮮食品と価格統制品を除いた数値)の上昇率も6月は3.1%と、5月の伸び(3.5%)を下回った。

マレーシア科学技術大学のジェフリー・ウィリアムズ氏は「予見しうる将来、マレーシアは低率の物価上昇の時期に入る」と述べた。

上半期のCPI上昇率は3.2%で、バンク・ムアマラットのアフザニザム主任エコノミストは、燃料補助に大きな変化がない限り、下半期のCPI上昇率は2.7%に鈍化すると述べた。

ほかの多くの国でも物価上昇は鈍っており、エコノミストのマノカラン・モタイン氏によると、昨年はロシア・ウクライナ戦争や供給網の寸断が物価に影響したが、今年はこうした影響も弱まっており、物価上昇の鈍化につながったという。

アフザニザム氏は、物価上昇鈍化で金融引き締めの必要性は減じたと指摘。年内の利上げはないと予想している。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月25日)

ニシン、豪ブイモトの電動バイクを国内組立へ

【クアラルンプール】 調理器具メーカーのニ・シン・グループは、豪州の電動バイクメーカーであるブイモトと提携し、同社の電動バイクのマレーシアにおける組立、販売促進、流通を検討すると発表した。

ニ・シンが24日付けでブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に宛てた声明によると、完全子会社ニ・シンEVテック(NHEV)を通じ、ブイモトとの間で、電動バイクの組立、販売促進、流通を行うための事業協力に向けての覚書(MoU)を締結した。NHEVが有する、国内での企業対個人(B2C)、企業対企業(B2B)、企業対政府(B2G)販売チャネルを活用する。MoUの有効期間は2025年12月末まで。

NHEVのコー・チーコン社長は、両社の提携により国内二輪車EV市場でシェアを拡大できるとし、ブイモトが製造する高性能の電動バイクは、企業や政府機関などのセキュリティ強化に適していると言明。NHEVの取引先には、B2B、B2G分野の警察、軍隊、道路交通局、税関、港湾、警備会社などが含まれていると述べた。
ニ・シンによると、マレーシアは内燃機関二輪車市場として世界第12位であり、2014ー2022年に400万台が販売されているが、EVはそのうち1.7%に過ぎず、成長余地が大きいという。
(ザ・スター、7月25日、エッジ、7月24日)