マレーシア経済の完全回復は来年半ば=MICPA-MARC

【クアラルンプール】 マレーシア公認会計士協会(MICPA)とマレーシア・レーティング・コープ(MARC)は、新型コロナウイルス「Covid-19」で打撃を受けたマレーシア経済の完全回復に2022年半ばになるとの見通しを明らかにした。
両者が共同発表した「MICPA-MARC経済アップデート&アウトルック2022」によると、現在マレーシア経済は緩やかな回復に向かって進んでおり、経済が徐々に再開していることから緩やかなペースではあるものの今年第4四半期から回復が見込まれると指摘。コモディティ価格の上昇と主要貿易相手国の景気回復にともなう需要回復による輸出増によって恩恵を受けるが、ロックダウンによる第3四半期のマイナス成長が予想されることを考慮し、今年通年の国内総生産(GDP)成長予想をプラス3.9%としている。
またリンギ安と生産再開に下支えされた輸出が引き続き経済回復を後押しするとし、世界的なデジタル化推進と半導体不足の中にあって、年初7カ月で20.4%増加した電気・電子セクターが輸出の中心となると指摘。ただ新型コロナ変異株の出現や世界経済回復の不均衡が輸出全体のリスクになっているとし、来年まで続くとみられるサプライチェーンのボトルネックも製造業の伸びを阻害する可能性があるとしている。
財政に関しては歳入不足の中での財政支援策が財政赤字を増やすことになるとした上で、通貨リンギについては世界的な原油価格の高騰とマレーシアの健全な貿易黒字に下支えされていると分析。ただ財政見通しの悪化による国際信用格付機関によるマレーシアのソブリン信用格付けの格下げの可能性を含む下振れリスクなどで上振れする可能性は限定的だと指摘している。
金利については、マレーシアが確実に回復モードに入るまで中央銀行バンク・ネガラ(BNM)が、翌日物政策金利(OPR)を過去最低の1.75%で当面維持すると予想している。
(ザ・サン、10月22日)

海上輸送運賃が7倍に、輸出品の競争力が低下=荷主協会

【クアラルンプール】 マレーシア全国荷主協会(MNSC)が実施した調査によると、海上輸送運賃が新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大前と比較して最大で7倍上昇しており、過去最高の水準となっている。
アンディー・ソー会長によると、サプライチェーン(供給網)の混乱が起きた上、船舶やコンテナ不足が起きたことで、海上運賃が上昇した。そのため荷主の間では上昇したコストを吸収したり、消費者への転嫁を余儀なくされたという。その結果、マレーシアからの輸出品の価格が高騰し、世界的な競争力が低下しているという。この状況がいつ正常化するか見通しが立っていないため、荷主は複数の輸送業者に依頼したり、他の荷主とコンテナや船舶スペースを共有したり、海上輸送ではなく、空路や陸路、鉄道などを使用した輸送の検討を行うなど対策を講じている。
MNSCは、国内の物流大手との間で海上輸送以外の代替案について協議した。また運輸省や物流業界関係者との間で連携して正当な料金に戻せるよう取り組んでおり、海外当局に対しても輸送量を拡大するよう働きかけを実施。また政府に対して、マレーシア対外貿易開発公社が運営する市場開発基金(MDF)が給付する運輸費用の補助金が年末で打ち切られることから、延長を求めている。
(マレーシアン・リザーブ、10月20日)

製造業などで7.7万人分の人手が不足=全国商工会議所

クアラルンプール】 マレーシア全国商工会議所(NCCIM)は、新型コロナウイルス「Covid-19」から経済が回復する中、製造業や建設業など特定のセクターが労働力不足に直面しており、会員企業835社で合計7万7,721人分の人手が足りていないと明らかにした。
NCCIMの緊急調査によると、不足が指摘されている7万7,721人分の労働力の77.1%を製造業が占めており、建設業が11.2%、その他サービス業が8.9%を占めた。
NCCIMのロウ・キエンチュエン会長は、2年近く続いた再三の操業規制と緩和によるオンオフ状態の中で外国人労働者の雇用期間切れや他のセクターからの労働者の横取りなどで労働者不足が起きていると指摘。こうした問題を迅速に解決するよう政府に要請した。
このほか複数の業界団体から得られたデータによると、農園が7万人の外国人労働者を必要としているほか、ゴム手袋産業が2万5,000人、家具製造が3万人、建設が20万人、製造業が2万5,000人、サービス業が4万5,000人、プラスチック産業が6,293人を必要としているという。
外国人労働者の数は現在110万人で、2018年の190万人から比べて80万人減少している。国内の失業者25万人で埋めたとしても、残り50万人以上の人員が不足するという。
(ザ・スター、10月21日)

経営者の70%が在宅勤務と出社を併用する意向=調査

【クアラルンプール】 マレーシア経営者連盟(MEF)が会員を対象に実施した調査によると、今後「在宅勤務と出社勤務を組み合わせたハイブリッド型の勤務形態を採用する」と回答した経営者は約70%に上った。
一方、▽「固定時間での出社勤務」と回答したのは27.7%▽「労働時間を柔軟にする」が20%▽「シフト勤務」が19.1%▽「完全に在宅勤務にする」が15%ーーという結果となった。
サイド・フセイン会長は、本調査は、今後新型コロナウイルス「Covid-19」と共存していく上で必要となる新しい労働環境に対する経営者の考え方を明らかにしたものだとし、MEFは、人的資源省などの政府機関と協力の上、労働法や労働規制が労使双方の新しいニーズに沿っているか確認していくと述べた。また、経営者に対し、より生産的であり、ハイブリッド型勤務も可能な仕事を創出するため、労働環境やデジタル化について再検討し、予算を確保した上でインフラを整備していく必要があると強調。通信事業者に対しても高速かつ安定した通信環境の提供を求めた。
■経営者の62%が「人員数を維持する」と回答■
今後6カ月間の人員計画については、「現在の人員体制を維持する」と回答したのは61.9%、「新規人員を採用する」が31.1%、「人員を削減する」が7%だった。
同会長は、雇用に関して「しばらく様子を見る」という経営者もいるが、多くの企業が再雇用を検討し始めているため、今後雇用数が徐々に増加していくと予想。すべての国民に対し、気を緩めることなく標準的運用手順(SOP)の遵守を求めると述べた。
(エッジ、10月19日)

シノファームワクチン、国内販売を開始

【クアラルンプール】 製薬のデュオファーマ・バイオテックは、シノファーム(中国国家医薬集団)製の新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンの国内販売を開始したと発表した。
デュオファーマ・バイオテックの完全子会社であるデュオファーマ(マレーシア)が、正規代理店としてワクチンの国内販売・流通を行う。9月に初回納入分のワクチンを受け取った。国のワクチン接種プログラムに使用される他、全国のクリニックや民間病院に供給する。
デュオファーマ・バイオテックのレオナルド・アリフ社長は、デュオファーマは、政府のワクチン接種プログラムを支援するとし、ワクチン流通経路を増やすことで、ワクチン接種率向上に貢献したいと述べた。
シノファーム製ワクチンは、7月に医薬品管理庁(DCA)から条件付きで承認を得ている2回接種ワクチン。18歳から59歳までが接種対象となっている。中国製のワクチンとしては初めて世界保健機関(WHO)の緊急使用リスト(EUL)に加えられたワクチンで、65カ国・地域以上で使用されている。
(エッジ、ザ・スター、10月15日)

 

マレーシアを電気電子産業の域内ハブへ=ムスタパ首相府相

【ペタリンジャヤ】 マレーシアは電気・電子(E&E)産業の域内ハブとなることを目指している。ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)が14日、E&E分野の展望に関するウェビナーで明らかにした。
ムスタパ氏は、「E&E部門はマレーシアの産業発展に重要な役割を果たしており、半導体製造の後工程では世界の13%を占めている」と述べた。また、E&E製品は輸出の40%を占め、貿易総額も今年の年初8カ月間で4,770億リンギに達しているとし、2025年までにE&E部門がGDPのうち1,200億リンギを占めることになると予測した。
一方、E&E業界は課題に直面しているという。ムスタパ氏によると、今後さらなる成長を続け、国際競争力を維持するためには、熟練人材の不足や国内での研究開発が不十分といった問題について取り組む必要がある。そのことから政府はE&E業界の成長のためにより良い環境を整えることを約束していると強調した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月14日)

マレーシアは転換期、年内に経済は完全再開=財務相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル財務相は、現在マレーシアが新型コロナウイルス「Covid-19」のダメージから回復に向かう転換期にあると指摘。感染拡大防止のために制限を受けてきた経済が年内には完全再開するとの見通しを示した。
バーチャル形式で行われた「インベスト・マレーシア2021」で行った講演の中でザフルル氏は、▽第2四半期の国内総生産(GDP)の力強い回復▽8月の失業率が4.6%に改善▽8月の製造売上高が前年比6.8%増▽8月の輸出額が同23%増▽8、9月の外国人投資家による株式市場投資額が20億リンギの純流入▽上半期の外国直接投資(FDI)が前期比70%増 ーーなどを例示。国家回復計画(NRP)の成果で広範囲で経済に回復の芽吹きが感じられると述べた。
その上で、2022年のマレーシアGDP成長予想を世界銀行と国際通貨基金(IMF)がそれぞれ5.8%、6.0%と予想していることを挙げて、来年の経済成長がパンデミック前に戻るのに先だって年内には経済が完全に以前の状態に戻るとの見通しを示した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ザ・スター、10月14日)

サバ州、11月から州外からの旅行者を受入れ

【コタキナバル】 サバ州のハジジ・ノール首相は、11月1日から新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種完了を条件に州外からの旅行者を受け入れると発表した。
サバ州では成人のワクチン接種率は10月11日時点で70%にとどまっているが、先ごろ連邦政府が州を跨いだ移動を11日付けで認めると発表したことを受け、同州政府が対応を検討していた。サバ州はまた、州内の地区間移動についても10月14日付けで認める。
規制緩和の対象となるのは、ワクチン接種を完了した成人、少なくとも1回の接種を受けた12ー18歳、ワクチン接種を完了した成人が付き添っている12歳未満のこども。ワクチン接種証明書と3日間有効なRT-PCRまたはRTK抗原検査の陰性結果の提示が求められる。
連邦政府のイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、全国の成人のワクチン接種率が90%の基準値に達したことで州間移動を認めると発表したが、「1963年マレーシア協定」の下で独自の入境規制を行う権限が認められているサバ州は州間移動に対して慎重な姿勢をみせていた。
(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、10月13日)

カード決済市場、2025年までに3,220億リンギ規模に成長

【ペタリンジャヤ】 マレーシアのカード決済市場は、2025年までに3,220億リンギまで成長する見込みだ。英国データ分析会社のグローバルデータが予想を発表した。
カード決済額は、2020年には新型コロナウイルス「Covid-19」感染症拡大に伴うロックダウン、ソーシャルディスタンス規制、実店舗の閉鎖などによって24.9%減少したが、経済状況の改善およびワクチン接種率の向上により、2021年には8.5%の成長が見込まれるという。
クローバルデータのシニアアナリストであるラビ・シャルマ氏によると、銀行サービスの拡充や電子決済に対する消費者意識の向上、加盟店の増加などにより、この数年間でカード決済が浸透した。中央銀行バンク・ネガラ(BNM)の統計によると、2020年には非接触型カード取引が前年から33%増加し、カード決済全体の50%を占めた。パンデミックが成長を一時的に阻害したものの、カード決済市場は継続的に成長しており、決済インフラが改善され、感染予防の面からも非接触・オンライン決済に対する需要が高まっていることから、今後数年間カード決済市場は成長し続けることが見込まれている。
マレーシアではクレジットカードおよびプリペイドカードが、2020年のカード決済総額の73.1%を占め、デビットカードは26.9%だった。今後、コロナに関する規制緩和により個人消費が増加することで、カード取引が増加すると考えられ、2021年の決済額は、クレジットカード・プリペイドカードで5.5%増、デビットカードで24.4%増が見込まれるという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月11日)

ランカウイ「トラベルバブル」観光収入は2490万リンギ

【アロー・スター】  ランカウイ島で9月16日から試験運用されている「トラベル・バブル」の観光収入は、10月6日時点ですでに2,490万リンギに上っている。ケダ州のムハンマド・サヌシ州首相が明らかにした。
同氏によると、6日現在、6万504人の観光客がランカウイへ訪問。船便では、クアラ・ケダとクアラ・ペルリスから1日2便のフェリー、クアラ・ペルリスから2便のRORO船(トラックが貨物を積載したまま運搬できる貨物船)が運航し、1日平均16便の飛行機も運航している。今後11ー12月頃には、海外からの高い要望を受け、外国人観光客にランカウイが開放される予定もあるという。
同氏は、ランカウイ開発局(LADA)がランカウイ観光の復活のため、新型コロナウイルス「Covid-19」標準的運用手順(SOP)認証「マイセーフ・ランカウイ」を導入し、主要観光産業である▽ホテル・リゾート▽飲食▽宿泊▽小売・食料品▽旅行代理店▽観光名所ーーがそれに自主的に参加したことが実を結んだと強調。LADAはさらに、観光関連企業が事業を再開できるよう、トラベルバブルホットラインやECサイトを設置するなど、LGS(ランカウイ・グレート・セール)キャンペーンを進めていると述べた。
LGSの今年度版であるLGS2021では、ランカウイのあらゆるセクターを対象として、デジタルプロモーション、従来型プロモーションの両方を行っていく。観光客はLGSサイトの情報を見ることでランカウイを訪れる前から旅行計画を立てられ、さらにオンラインで事前予約すれば、現地のチケットカウンターに並ぶことなく、観光名所を訪れることができるようになるとした。
(ザ・サン、10月11日、ベルナマ通信、10月10日)