中銀バンクネガラ、政策金利を2.75%に引き下げ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は8日に定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き下げて2.75%とすることを決定した。OPRは2023年5月以降、3.00%に維持されていた。

BNMは声明の中で、OPRの引き下げは「緩やかなインフレ見通しの中でマレーシアの着実な成長軌道を維持するための予防措置」と位置づけた。国内経済は堅調だが、世界経済の成長見通しは関税動向をめぐる不確実性や地政学的緊張によって下押しされ、世界金融市場や商品価格のボラティリティを高める可能性があると指摘。そうした外的動向をめぐる不確実性がマレーシアの成長見通しに影響を与える可能性があるため、と説明した。

OPRの引き下げは、新型コロナウイルス流行中の2020年7月に過去最低の1.75%にして以来5年ぶり。今回、OPRの政策金利範囲も調整され、上限金利と下限金利はそれぞれ3%と2.5%になった。

堅調な国内経済に関しては、持続的な国内需要と輸出の伸びに支えられ、第2四半期も経済活動が引き続き成長し、特に雇用と賃金の伸び、そして所得連動型政策措置が家計支出を支えるだろうと予測。投資活動の拡大や、電気・電子機器への継続的な需要、活発な観光活動がマレーシアの輸出見通しを押し上げる可能性があるとした。

また2025年のインフレ率は緩やかな水準にとどまるとの見通しを示した。世界的な商品価格によるインフレ圧力は限定的で、国内のコスト環境は緩やかに推移。こうした環境のもと、今後の国内政策改革がインフレに及ぼす影響は全体的に抑制されるとした。

リンギに関しては、国内の良好な経済見通しと構造改革が、資金流入を促進するための継続的な取り組みと相まって、リンギを持続的に支え続けるものの、外的要因に左右されがちなため動向を注視しながら、国内成長とインフレ見通しを取り巻くリスクのバランスを評価していくとした。

イスラム銀がマスターカードと提携、送金解決法を導入

【クアラルンプール】 イスラム銀行のバンク・イスラム・マレーシアはマスターカードの送金ソリューション「マスターカード・ムーブ」の導入を発表した。国内送金のほか、マスターカードの世界ネットワークを利用した国外送金が可能だ。

利用できるのは法人客。第3四半期からeバンカー・プロのプラットフォームでサービスが利用できる。同ソリューションでは200カ国余りへの送金が可能で、利用通貨は150余り。資金の動きは追跡可能で、支払いも、銀行口座、カード、デジタル財布への入金、また現金など、市場により柔軟に対応できるという。

バンク・イスラムのシャリファ・サラ最高事業責任者(CBO)によれば、顧客は15分で電信為替による外国への送金を遂行することができる。

今年2月、同行が扱った越境送金は3,919件で、額は計1億6,900万リンギ。マスターカード・ムーブの導入で20%の取引増を見込んでいる。
(フィンテックニュース、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、6月30日)

JB・シンガポールRTSリンクの第1号列車が到着、7月から試験

【シンガポール】 2026年末までに開業予定のジョホールバル(JB)とシンガポールを結ぶ高速輸送システム(RTS)の第1号列車(4両編成、全長76.5メートル)の到着を祝う式典が6月30日にシンガポール鉄道試験センター(SRTC)で開催された。

式典にはマレーシアのアンソニー・ローク運輸相、シンガポールのジェフリー・シオウ運輸相代行、ジョホール州のオン・ハフィズ・ガジ首相らが出席した。第1号列車は中国中車(CRRC)株洲電力機車が製造したもので、4月3日にジュロン港に陸揚げされた。7月からSRTCで信号システムやホームドアなど、他のシステムとの連携を確認するためのオフサイト性能試験が行われる予定で、これらの試験は2025年第4四半期に完了する見通しだ。

SRTCでの試験後、RTSリンク本線に移され、実際の運行を模擬したオンサイト試験が2026年第3四半期まで実施される。CRRCは合計8編成を納入する契約を結んでいる。

他の7編成のうち4編成は現在、ペラ州バトゥ・ガジャにあるCRRCの工場で組立中。残りの3編成も同工場で組立される予定だ。これらは完成後にジョホールバルのワディ・ハナ車両基地へ直送され試験が行われる。最後の納入時期は12月までの予定となっている。

RTSリンクはシンガポールのウッドランズ・ノース駅とジョホール州のブキ・チャガル駅間、約4キロメートル(㎞)を最高時速80㎞で約5分で結ぶ。1編成当たりの定員は607人で、一度に最大1,087人を運ぶことができる。始発は午前6時、終電は午前0時で、運行間隔は最短3.6分。ピーク時には片道1時間あたり最大1万人を輸送できる。

シンガポールの交通運営会社SMRTとマレーシアの公共交通機関会社プラサラナの合弁会社、RTSオペレーションズ(RTSO)が運営する。RTSOによると、RTSリンクシステムの設置作業は56%完了しているという。
(チャンネル・ニュース・アジア、ストレーツ・タイムズ電子版、6月30日)

TNGeウォレットに、ペトロナスの給油所での支払い機能を統合

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)傘下のセトル(Setel)・ベンチャーズは、TNGデジタルと提携。TNGが運営する決済サービスのタッチ・アンド・ゴー(TNG)eウォレットのアプリに、セトル独自のポンプ&ペイ機能を組み込み、全国1,000か所以上のペトロナスの給油所でシームレスな支払いができるようになった。

セトルはこれまでペトロナスの給油所で使える独自のアプリを開発してきた。アプリ上で車を停めた給油機の番号や給油量を選び、支払いまで完結できるもので、今回、その機能をTNGeウォレットのアプリに統合。TNGeウォレットのアプリの「Petronas via Setel」から利用できる。

セトルのアブドラ・アイマン・アワルディン最高経営責任者(CEO)は「今回の提携により、シームレスなモビリティと小売体験を提供するという当社の目標をさらに推進することができた」としている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、カーシフ、6月23日)

配車のグラブ、KLIA予約送迎にEV導入

【セパン】 配車サービス大手のグラブ・マレーシアは24日、クアラルンプール新国際空港(KLIA)の送迎専用で電気自動車(EV)予約サービスを開始した。

新サービスのため、比亜迪汽車(BYD)の7人乗り多目的車(MPV)「M6」10台が導入された。アプリの空港送迎の予約オプションから、「EV専用」が選べるようになる。専用のEVラウンジ(レベル3)も導入された。料金は、KLIAから市内中心部まで同種の車で105リンギの時間帯に、EVを選ぶと134リンギと、やや割高になるという。

このサービスはグラブと、▽BYDの正規販売代理店のBYDサイム・モーターズ▽インソン・ホールディングス傘下のインソン・グリーンテック▽シンガポールの電気自動車(EV)充電設備企業パワーアップ・テック――の4社の提携で実現した。今後、ほかの国内の主要空港でも普及させていくという。

この日は、アンソニー・ローク運輸相らが出席のもと、サービス開始の式典が行われた。グラブ・マレーシアのカントリーオペレーション&モビリティ担当ディレクター、ラシッド・シュコール氏は「KLIAのような認知度と需要の高い路線を優先することで、EVの実用性と快適性を実証し、利用者の認知度を高めていきたい」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、ポールタン、6月24日)

IHG、マレーシア初ブランドのvocoを来年末にクチンに開業

【クアラルンプール】 英国系IHGホテルズ&リゾーツは17日、サラワク州にホテル「voco(ボコ)クチン」を2026年末に開業すると発表した。同社プレミアムブランドのvocoのマレーシア初進出になる。

同ホテルは全321室で、クチンの中心部から車で15分、クチン国際空港から5分の場所に位置する。1,300人収容可能な宴会場を含め2,400平方メートル以上の会議室なども備える。

vocoは、2018年に創設されたブランドで、2022年開業のシンガポール、翌年開業の日本・大阪をはじめ、現在25カ国超で100軒のホテルを展開し、急成長している。今年後半にはタイにも初進出が予定されており、さらに95軒の計画を含め東南アジアなどでの事業拡大を目指していく。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、6月19日)

KLIAエアロトレイン、7月1日に運行再開へ

【セパン】 老朽化に伴う改修工事のため運休していたクアラルンプール国際空港第1ターミナル(KLIA1)のメインターミナルとサテライトターミナルを結ぶKLIAエアロトレイン・サービスは、7月1日午前10時に運行を再開する予定だ。

アンソニー・ロ―ク運輸相はメディア向け説明会の中で、システム試験の最終段階に入ったと述べ、空港運営のマレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)の職員と緊急対応チームが参加する緊急対応計画(ERP)訓練もすでに実施したと公表。「今後数日間にわたり最終テストを数回実施する。中でも最も重要なのは緊急事態発生時の対応を確認するための緊急対応訓練だ」と述べた。

新しいエアロトレイン車両は3両編成で、1回の運行で270人の乗客を運ぶことができる。2編成の列車を交互に運行し、3編成目は予備となる。オフピーク(深夜零時―午前5時)は1編成のみの運行となる。

1998年に建設されたエアロトレインは老朽化のために度々故障を起こしたことから改修工事が行われていたが、工事は再三にわたって遅延。運行は2023年3月から停止されていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、6月21日)

東南アジア最大級のヘルスケアイベント、7月にKLで開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 東南アジア最大級のヘルスケアイベント、インターナショナル・ヘルスケア・ウィーク(IHW)2025が7月16―18日、クアラルンプール(KL)のマレーシア国際貿易展示センター(MITEC)で開催される。

IHW2025には、国内外の900社超が約1万5,000点の医療機器やサービスを展示。50カ国以上から2万1,000人の専門家らの来場が見込まれている。マレーシアはアジア太平洋地域における主要なヘルスケアハブになっているとして、今回の開催地に選ばれたという。主催は世界中で展示会を開催する英インフォーマ・マーケッツで、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)が戦略的パートナーになっている。

また、IHWに合わせ、国際的な団体、ヘルスケア情報管理システム協会(HIMSS)がAPACヘルスカンファレンスを開催。地域の医療関係者らが一堂に介し、AI(人工知能)を活用した医療システムやデジタルヘルスケア、今後の課題などについて話し合う。

詳しくは、https://inthealthcareweek.com/

エアアジア、KLーパレンバン及びスマラン線を近く就航

【パレンバン】 エアアジア・マレーシアは、クアラルンプール新国際空港(KLIA)とインドネシアのパレンバン(スマトラ島)およびスマラン(ジャワ島)を結ぶ新たな直行便2路線を開設すると発表した。これによりエアアジアのマレーシアーインドネシア間の便は週188便となる。

いずれもデイリーの運航。就航予定日はパレンバン線が7月17日、スマラン線が9月5日となっている。

パレンバン線のスケジュールは往路の「AK462」便はKLIA発が9時35分、パレンバン着が10時5分。復路の「AK461」便はパレンバン発が10時30分、KLIA着が午後13時となっている。またスマラン線のスケジュールは往路の「AK452」便はKLIA発が9時25分、スマラン着が10時35分。復路の「AK451」便はスマラン発が11時15分、KLIA着が14時40分となっている。

2路線の就航により、エアアジア・マレーシアのインドネシアへの乗り入れ先は、ジャカルタ、バリ(デンパサール)、メダン、ジョグジャカルタ、バンダ・アチェ、マカッサル、パダン、ペカンバル、バリクパパン、ラブアンバジョ、ロンボク、ペナンからジャカルタ、メダン――の13都市となる。
(ビジネス・トゥデー、6月17日、エアアジア発表資料)

マレーシアは5年内にエネルギー純輸入国に転落=ペトロナスCEO

【クアラルンプール】 国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のムハンマド・タウフィク社長兼最高経営責任者(CEO)は、マレーシアは電力需要の増加に伴い、今後5年以内にエネルギー純輸入国になる可能性があると述べた。

タウフィク氏は「エネルギー・アジア会議2025」に合わせて行われた記者会見で、「電力需要増加は急速な経済発展、中間層の増加、そして人工知能(AI)などの技術への依存度の高まりによって引き起こされている」と指摘。現在の電力供給インフラでは、年率6.5%と急増している需要に対応しきれない可能性があると警告した。

タウフィク氏は、「電力需要はもはや産業界や一般家庭からだけでなく、データセンターやAI駆動システムからも増加しており、既存の供給だけではこれを支えることは不可能だ」と言明。ペトロナスは既にこのシナリオに備えており、マラッカとジョホールに続く3番目の再ガス化ターミナルの建設に取り組んでいると述べた。

さらにタウフィク氏は、マレーシアが東マレーシアから液化天然ガス(LNG)を輸出し続けているものの、半島マレーシアでの需要がいずれ供給を上回ると指摘。「現在、半島マレーシア東海岸沖のガス田だけでなく、タイとの共同開発地域からも安定的にガスを供給できているが、沿岸部や電力・非電力需要を満たしてきた約20億立方フィートのガスもやがて不足するだろう。今後4―5年で期待されるガス改革にもよるが、我々はLNGへの依存度を高めていくことになる」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、6月17日)