中国カンシノ製ワクチン、7月末までに供給開始予定

【クアラルンプール】新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種調整担当大臣を兼任するカイリー・ジャマルディン科学技術革新相は、中国の康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)が製造しているワクチンについて、7月末にも1回目の供給が行われる見通しだと明らかにした。

カイリー大臣は、詳細を調整中であると説明。一方で米ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンについては、ワクチンを公平に分配する国際的な枠組み「COVAXファシリティ」を通じて供給されることが決まっているが、COVAXからまだ日程の通知がないと明らかにした。

保健省は15日、条件付きで両方のワクチンの登録を承認した。

カンシノのワクチンについては、ソリューション・グループが保健省に350万回のワクチンを供給する契約を交わしており、ソリューションは現在、充填・完成させるための施設をクアラルンプールにおいて建設中だ。第3四半期にも1回目の供給を予定している。施設の面積は2万平方フィートで、8月までに稼働を開始する。施設では1カ月当たり350万回分のワクチンを生産できるという

(マレー・メイル、6月22日、マレーシアン・リザーブ、6月21日)

私立病院のサンウェイメディカルが一般向けワクチン接種を担当

【ペタリンジャヤ】 私立病院サンウェイ・メディカル・センター(サンウェイメディカル)は、セランゴール州ペタリン地区のヘルスケア・オーガナイザー(HCO)として、サンウェイ・ピラミッド・コンベンション・センター (SPCC)で一般向け新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種を担当する。

SPCCでは、3月10日よりワクチン接種を開始しているが、これまで公的機関が担ってきた接種を民間のサンウェイメディカルが担当することになる。ワクチン接種の加速化のため、サンウェイ・ヘルスケア・グループ傘下の医療機関従事者を動員する。

サンウェイメディカルはすでにペタリン地区の2つの公的ワクチン接種センターおよびサンメド・コンベンションセンターを運営している。サンメド・コンベンションセンターは3月より最前線のセクター従事者向けのワクチン接種センターに転用されている。

サンメド・コンベンションセンターとSPCCを合わせた接種数は1日3,000回となる見込みだが、5,000回まで徐々に増やしていく予定。ペタリン地区では160万人へのワクチン接種が目標とされている

SPCCでのワクチン接種の詳細については、専用ウェブサイト( https://www.sunway.city/kualalumpur/lindung-diri-lindung-semua/ )まで。

(マレーシアン・リザーブ、6月21日)

「ロックダウン延長は経済を駄目にする」、独商工会など

【クアラルンプール】ムヒディン・ヤシン首相が発表した国家復興計画では経済活動を制限するロックダウンの長期施行が盛り込まれており、在マレーシア・ドイツ商工会議所のダニエル・ベルンベック最高責任者は「ロックダウンをさらに12週間続ける内容であり、多くの経済部門に深刻な打撃を与え、解雇、債務不履行、さらには倒産が増える」と述べた。

マレーシアから部品供給を受けている外国の企業が調達先をほかの国に変更するする恐れがあり、投資家がマレーシアへの投資計画を取り止める可能性もあるという

欧州商工会も、復興計画はロックダウンを長引かせるものであり、経済回復が少なくとも12週間、阻害されると指摘。現在施行中の完全ロックダウンは暫定措置とし、6月末に見直すのが望ましいとした。

また国際サプライチェーンにあって、注文に応じられないマレーシア企業があるためマレーシアの名声が低下しているという。

マレーシア製造業者連盟(FMM)は、今回のロックダウンが産業部門に与える影響は深刻とし、政府に支援措置を要請した。

(マレーシアン・リザーブ、6月17日)

国家復興計画、アナリストから不安視する声

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」の出口戦略として政府が打ち出した国家復興計画について、多くのアナリストから不安視する声が上がっている。

TAセキュリティーズは、政府が3つの主要指標がすべて正常に満たされた場合にのみ次のフェーズに移行するとしている点に言及。政府が第2フェーズへの移行を7月から8月の間、第3フェーズへの移行を9月から10月の間、第4フェーズへの移行を11月から12月の間との見通しを立てているが、計画通り進まない場合はそれぞれのフェーズ移行が先延ばしとなり特に下半期の経済見通しが不透明なままになっていると指摘している。

また政府がフェーズ1に当たる現在の完全ロックダウン(MCO3.0)における1日当たりの経済損失を10億リンギと低く見積もっている点(TA試算は15億リンギ)に触れ、今後のフェーズの遅れがさらに下半期の経済にも影響を及ぼすとした上で、新たな景気対策が早々に打ち出されることも期待できないと批判的な見方を示している。

OCBCバンクは政府がこれまでの通年国内総生産(GDP)成長予想をプラス6—7.5%で維持していることに触れ、フェーズ1がこれ以上延長されないと仮定すれば、政府予想の下限を2ポイント引き下げることになるとしプラス4%を予想している。

サンウェイ大学ビジネススクールのイア・キムレン氏は、まったく計画がないよりはましだが多くの仮定と骨格のみだと指摘政府がこれを元に経済成長を促すための戦略と対策を考え出す必要があるとしている。

また世界的な半導体不足を例に挙げ、グローバルなサプライチェーンの中にあって食糧、エネルギー、その他の主要なニーズについて過度に海外に依存しないよう経済の再構成を考えるべきだとしている。 (ザ・サン、ベルナマ通信、6月16日)

官民連携の産業ワクチン接種が開始、職場での感染を抑制

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」の官民連携の産業ワクチン接種プログラム(PIKAS)が16日に開始した。

PIKASの第1期では製造業のサブセクターの従業員が対象で15万回分のワクチンが割り当てられている。これまでに約500社から約10万6,000人がワクチン接種を申し込んだ。

半導体メーカー、米系テキサス・インツルメンツ(TI)で行われたワクチン接種を視察したムヒディン・ヤシン首相は、15日に発表した国家復興計画(PKP)の第1段階では、集団免疫の達成を目標に掲げていると言明。PIKASにより予防接種の促進に繋がるとして期待を示した。また職場が主な感染源となっていることに触れ、特に工場や宿舎で感染者を多く出していると指摘。雇用主が「1990年労働者住宅・設備法」(第446法)を順守していないことの表れだとした。

アズミン・アリ上級相(通産相兼任)によると、TIでは2,371人の従業員のうち16日は300人が接種を受けた。17日にはペナン州のブキ・ジャウィ・ゴルフ・リゾートでワクチン接種がスタートする。21カ所の工場で働く約1万6,402人がワクチン接種を受ける予定だ。18日にはジョホール州ペンゲランにおいてペトロナスの従業員5,123人へのワクチン接種が開始する。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、6月17日、フリー・マレーシア・トゥデー、6月16日)

HSBCマレーシア、12月31日付で13支店を閉鎖

【クアラルンプール】 HSBCマレーシアは15日、12月31日付で13カ所の支店を閉鎖すると発表した。

HSBCが発表した声明によると、閉鎖するのは▽ビントゥル▽ラブアン▽アローセタル▽キャメロンハイランド▽クアラ・トレンガヌ▽テルク・インタン▽バトゥ・パハ▽ベントン▽ラウブ▽イナナム(サバ州)▽セナワン▽スンガイブロー▽ゴンバックーーにある支店。

閉鎖の理由についてHSBCは、マレーシアにおいて未来を見据えた変革を行い、デジタルバンキングにおけるプレゼンスを強化を図るとして、支店数を減らすことを決めたと説明。2021ー2023年にかけてデジタル化や新技術の導入に1億6,000万リンギを投資する計画もあるとした。

顧客は最寄りの支店やATM、テレフォンバンキング、「HSBCマレーシア・モバイル・バンキング・アプリ」や「HSBCオンラインバンキング」などのデジタルバンキングを利用することで、継続してサービスを利用することができる。HSBCは閉鎖予定の支店の利用者には、最寄りの支店に関して通知すると説明。口座番号などは変更しないとした。

銀行員労働組合(NUBE)は3日、HSBCが過去6年間で3回目となる自主的分離スキーム(VSS)および相互分離スキーム(MSS)の実施を計画していると主張。約600人が職を失うとして懸念を表明していた。

(フリー・マレーシア・トゥデー、マレーシアン・リザーブ、6月15日)

不動産のヨンタイ、新型コロナの不活性ワクチンを受け取り

【クアラルンプール】不動産開発のヨン・タイは、子会社のYTBヘルスケア(YTBH)が11日に、中国のバイオテクノロジー会社、深セン康泰生物製品(SZKT)が開発した新型コロナウイルス「Covid-19」の不活化ワクチンの第1弾を受け取ったと発表した。

国家医薬品規制庁(NPRA)は3日、同ワクチンの輸入臨床試験を承認しており、マレーシアで第3相臨床試験をすることが可能となっている。YTBHは第3相臨床試験を実施し、数カ月データを取った後、当局にワクチン承認に向けて登録申請をする予定だ。

ヨンタイは、SZKTとの間で今後5年間(延長可能)のワクチン独占販売契約を交わしており、年間2,000万回分のワクチンをマレーシア国内で提供する計画だ。政府はSZKTのワクチンの生産工場と研究センターを設立することを希望しているという。

SZKTのワクチンの臨床試験はコロンビアやアルゼンチン、パキスタン、フィリピン、ウクライナなどでも実施されている。 (エッジ、6月11日)

職場でのワクチン接種、16日に開始

【クアラルンプール】新型コロナウイルス「Covid-19」のワクチン接種の加速を狙いとした職場での接種が16日に始まる。製造業のうち、医療機器、食品加工、ゴム手袋など社会生活に必須の部門の企業から着手する。

接種計画への企業また従業員の参加は任意。12日の通産省の声明によると、職場接種は業界団体の要請に応じたもので、接種加速は集団免疫の確立に役立つという。

接種は無料。民間の医療従事者が接種に当たる。これら医療従事者への謝礼など付随的費用は会社負担とする。

社員が少なくとも1,000人いる会社、あるいは複数社を合わせ1,000人以上が接種対象になる職場が職場接種を実施できる。職場接種の経費は1人当たり推定15リンギ余りと接種センター(同45リンギ)より安く行える。

(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、6月12日)

アリババクラウド、KLにイノベーションセンター設立

【クアラルンプール】 中国の電子商取引大手アリババグループの子会社でクラウドサービスを提供するアリババクラウドは、クアラルンプールにアリババクラウド・イノベーションセンターを設立すると発表した。同社としては中国以外で初の国際的イノベーションセンターとなる

同センターは、同社の「プロジェクト・アジアフォワード」の一環として設立される。このプロジェクトは、今後3年間で10億米ドル(411憶リンギ)を投じ、東南アジアと香港で100万人のデジタル人材の育成、10万人の開発者の支援、10万社のテクノロジー系新興企業の育成を目的としたもの。

アリババクラウドによると、マレーシアでは、現地パートナーのハンズプロフィット社と協力の上、スタートアップ企業の成長支援を行なっていく。支援対象となるのは、フィンテック、銀行、インターネット、小売、情報技術(IT)などの業界のスタートアップ企業。ブランディングへの協力、オフィススペースや専門家との交流機会の提供を行なうだけではなく、中国とのビジネス機会も提供されるという。

同社は「プロジェクト・アジアフォワード」により、インドネシアで3つ目のデータセンターを立ち上げ、サービス提供を開始している。今年の年末までにフィリピンでも最初のデータセンターを立ち上げる。

(マレー・メイル、デジタル・ニュース・アジア、6月8日)

業務継続可能な事業の線引き明確化、中小企業が要求

【クアラルンプール】 ロックダウン期間中に業務を継続できる業種に関する線引きが明確さを欠いていることから産業界で混乱が続いており、中小企業団体からは、このままでは中小企業の大口クライアントである大手製造業のマレーシア撤退に繋がる恐れがあるとの声が上がっている。

マレーシア中小企業(SME)協会のチン・チーソン副会長は、いくつかの大手製造業者が海外向けに約束している製品供給を維持するため、生産拠点をマレーシアからインドネシアもしくはタイに移転することを計画していると言明。操業できる業種の線引きが曖昧であるため、投資家がロックダウン中に事業を許可されるかどうかについて確信が持てないでいるとし、速やかに明確な必須リスト及び非必須リストを公表することが必要だと述べた。

チン氏は、欧米の商工会議所の会員の一部にマレーシア撤退の動きがあると述べ、それを思いとどまらせるために真剣に取り組む必要があると指摘。通産省やその他の関係省庁からの操業許可に時間がかかっており企業が不確実性に直面しているとし、早期に是正する必要があるとした。

チン氏によると、昨年3月の最初の行動制限令(MCO)以降、10万社が倒産しており、現在行われているロックダウン期間が伸びて6週間を越えるような場合、最大で25万人が解雇される可能性があるという。

マレーシア国民大学(UKM)のエコノミスト、ジャマル・オスマン氏は、政府の財政支援がなければ完全ロックダウン下でマレーシアが被る経済損失は1日当たり2億5,600万リン上るとの試算を示し、100万人以上が失業する可能性があるとしている。

(フリー・マレーシア・トゥデー、6月11日)