JICAと公正取引委、2回目の競争法セミナーを共催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力機構(JICA)マレーシア事務所と日本の公正取引委員会(JFTC)は、2回目となる企業結合規制をテーマとする「競争法セミナー」を9月25ー27日の日程で共同開催すると発表した。

マレーシア競争委員会(MyCC)の職員が対象。MyCCが企業結合規制の導入を柱とするマレーシア競争法の改正作業を進めている中、改正法の施行に備えて、MyCC職員にJFTCの知見を提供し、競争法の執行能力を向上させることを目的としたもの。MyCCは年内の改正法の成立・公布を目指しており、企業結合規制関連部分の施行は成立・ 公布から1年後となっている。 施行後は、一定規模以上の企業結合計画については事前にMyCCに届け出を行う必要がある。

「競争法セミナー」は今年3月の開催に続くもので、JFTCの職員3人が講師として来馬、MyCCからは職員約40人が参加予定だ。マレーシアでは、2010年に競争法が制定され、翌2011年に競争法の執行機関である MyCCが設置された。JICAは2021年1月から1年間、2022年11月からは2年間、MyCCに競争法のアドバイザー専門家を派遣している。

ペトロナスと商船三井など、液化二酸化炭素運送船開発で契約

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は22日、商船三井(本社・東京都港区、MOL)およびMISCとの間で、液化二酸化炭素(LCO2)運送船の開発・収益化に向けて投資を行う合弁会社設立に向けて条件概要書(タームシート)を締結したと発表した。

ペトロナスが発表した声明によると、同契約は完全子会社のペトロナスCCSベンチャーズが交わした。ペトロナスは2022年2月にMOLと覚書を締結しており、2023年6月にはLCO2運送船の設計基本承認(AiP)を取得。次の段階に進めるため主要な条件について原則合意し、今回のタームシートの締結に至った。

ペトロナスは、MOLおよびMISCがそれぞれ持つ専門知識や豊富な資源、共通の価値観により、強力な相乗効果が見込めるとした上で、それらの強みを組み合わせることで、LCO2開発を促進し、安全かつ持続可能な方法でLCO2運送を実現できるとの見解を示した。
(ザ・サン、9月25日、マレーシアン・リザーブ、エッジ、9月24日)

リバーエレテック、マレーシア子会社の清算を決議

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 リバーエレテック(本社・山梨県韮崎市)は20日、マレーシアペラ州にある全額出資子会社、リバー・エレクトロニクス(イポー)を清算すると発表した。同日のリバーエレテック取締役会で解散を決議した。必要な手続きが完了次第、清算結了となる見込み。

リバー・エレクトロニクス(イポー)は、1990年7月に抵抗器の生産増強を目的として設立されたが、主力事業が抵抗器から水晶製品へと変化する中、安定的な収益を確保することが困難だと判断。グループの経営資源の最適配分化と経営の効率化について検討した結果、解散、清算の手続きに入ることを決めた。

テラドローン、マレーシア・インドネシアで農業ドローン市場に参入

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 テラドローン(本社・東京都渋谷区)は21日、マレーシアおよびインドネシアにおける農業ドローン市場に本格参入するため、子会社テラドローン・インドネシアを通じてドローンを用いたアブラヤシ農園の農薬散布事業を行うシンガポール企業アヴィールテックの事業を買収すると発表した。マレーシアでの事業展開に向け、新法人テラドローン・アグリも設立する。

グローバルで持続可能な農業の実現を目指し、「空のインフラ構築」を加速させる。具体的には、両国において効率的なアブラヤシの栽培支援に注力する。環境への影響を最小限に抑え、農業労働者の作業負荷を軽減していくことにより、環境・社会・統治(ESG)投資の観点からの価値も提供できるとしている。

テラドローンはまた、新事業を展開する中で知見を蓄積し、顧客の具体的なニーズをより深く理解することにより、日本を含む海外での展開を検討している。ドローンを活用した技術で農業の未来を形成していく方針だ。

エクスチェンジTRXの商業施設、11月29日オープン

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」における開発事業「エクスチェンジTRX」の商業施設が、11月29日にオープンする。開発母体のオーストラリア系レンドリースが20日に発表した。

レンドリースによると、商業施設の正味賃貸可能面積は130万平方フィートで、入居率は95%、400店舗の入居が決まっている。アンカーテナントはマレーシア初出店となる日本の西武百貨店。4フロア、店舗面積25万平方フィートで100の新ブランドを含む、400ブランド以上の商品を扱う。

他にも、▽香水・化粧品の仏ゲラン▽資生堂傘下の米化粧品ドランク・エレファント(世界初実店舗)▽スキンケアのラ・プレリー(スイス)▽サングラスのジェントル・モンスター(韓国)▽アパレルのマリメッコ(フィンランド)▽ヨガアパレルの米アローヨガ▽日仏ライフスタイルのメゾンキツネおよびそのコーヒー・バーであるカフェ・キツネ▽シンガポールのレストラン、ティプシー・フラミンゴーーなどが入居する。屋上には10エーカー(4.05ヘクタール)の屋上公園も設置する。

レンドリース・マレーシアのリテール部門責任者兼エクスチェンジTRXプロジェクト責任者のミッチ・ウィルソン氏は、高いテナント入居率は、エクスチェンジTRXの新しい小売コンセプトに対する国内外ブランドからの強い信頼の表れだとし、KLの新たな中心地となり、小売業の未来を再構築していくと述べた。
(エッジ、9月20日)

MISCと日鮮海運、LNG運搬船の売却・用船契約を締結

【クアラルンプール】 海運大手の政府系MISCは、船主大手の日鮮海運(本社・愛媛県今治市)との間で、液化天然ガス(LNG)運搬船2隻の売却・用船に係わるパートナーシップ契約を締結した。

同契約により、MISCはLNG運搬船の所有権を日鮮海運に譲渡し、イーグルスター・マリン・ホールディングス社およびシナジー・マリン社と用船契約を締結する。2隻のうち1隻は、今年第4四半期にも日鮮海運に引き渡される予定だ。

MISCのラジャリンガム・スブラマニアム社長兼最高経営責任者(CEO)は、海運部門の商業および運営規模を拡大しながら、ガス資産およびソリューションからの収益を最大化するという同社が掲げる2030年事業戦略の一環として、今回の契約に至ったと説明。一方で、日鮮海運の阿部克也代表取締役社長は、イーグルスター・マリン・ホールディングス社およびシナジー・マリン社の協力の下、LNG船の安全運航に努めるとした上で、今後はLNG船やその他の分野でのMISCとの関係拡大に期待しているとした。
(LNGインダストリー、ザ・スター電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、9月20日)

日本・マレーシア、通貨スワップ協定を更新

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本銀行とマレーシア中央銀行バンク・ネガラは19日、日本・マレーシア二国間通貨スワップ協定(BSA)を更新したと発表した。

日本・マレーシア両国は、2020年に締結した交換上限額を30億米ドルとする協定を更新、9月18日付けで発効した。同協定は日本とマレーシア当局が、相互に米ドルと自国通貨を交換すること、またマレーシア当局が日本円とマレーシア通貨リンギを交換することを可能とするもので、今回の改正においては、直近のチェンマイ・イニシアティブ(CMIM)契約書の改正に沿った修正が組み込まれている。

日銀は声明の中で、日本とマレーシアは今回の協定延長が、両国間における更なる金融協力の深化に資するとともに、アジア域内の金融安定に貢献することに合意するとしている。

スズキ、KMSBモーターズと二輪車用部品の供給契約を締結

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 スズキ(本社・静岡県浜松市)は18日、マレーシアのKMSBモーターズと二輪車生産用部品の供給契約を締結したと明らかにした。締結式は15日にスズキの鈴木俊宏社長も出席してプトラジャヤの首相官邸で行われ、アンワル・イブラヒム首相が立ち合った。

KMSBモーターズは、スズキブランドの二輪車をマレーシアで生産販売しているスズキマレーシアの親会社であるAFYモビリティ・インダストリーズのグループ企業。今後KMSBは、独自の二輪ブランド「AFAZ」を立ち上げる計画だ。
スズキは、「AFAZ」ブランドの排気量110ー150cc機種用のエンジンや車体関連部品を、2024年前半より順次供給する予定。供給部品は、スズキの東南アジアの工場で生産されるという。

鈴木社長は式典で、「スズキは二輪車の販売に加え、KMSBへの部品供給を通じて、マレーシアの二輪車市場と産業の発展に貢献していく」と述べた。

ジェトロ、食品見本市に日本食品サンプルショーケースを出展

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は、マレーシア最大級の総合食品見本市「フード・ホテル・マレーシア(FHM)2023」(隔年開催)に日本食品サンプルショーケースを出展すると発表した。

前回2019年に続いて5回目の出展となる今回は、中間層市場向け商品を中心にバイヤーからニーズの高い25社、約150商品を展示紹介する。商品提案、試食提供、見本市終了後のオンライン商談などを通し、日本食品の更なる販路拡大を支援する。

主な商品は、菓子類(ビスケット、ゼリー、ケーキ、飴など)、飲料(果物ジュース、コーヒーポーション、アーモンドミルクなど)、レトルト食品(インスタントスープ、冷凍食品など)、健康食品(低糖質麺、コラーゲン飲料、グラノーラなど)、調味料(ドレッシング、ソース、つゆ、たれ、鍋スープなど)。

ジェトロは、「日本からマレーシアへの農林水産・食品輸出額は、経済成長に伴う富裕層・中間層の所得向上や健康志向の高まりを背景に、年々拡大しており、2022年には過去最高額となる234億円に達した。更なる日本産食品の市場拡大に向けては、マレーシアの人口の約6割を占めるマレー系を中心とした中間層市場のターゲット化を本格化していくことが求められている」としている。

FHM2023の会期は9月19日ー22日で、会場はクアラルンプール・コンベンション・センター(KLCC)。前回のFHM2019では、1,545社が出品し、60カ国から約3万人が来場した。

日本支援の電気バスの実証走行、タイピンで開始=JICA

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力機構(JICA)は14日、「低公害型公共交通向け中型電気バスシステム普及・実証事業」を通じて導入した電気バスの運行がペラ州タイピンで正式に始まり、同日、出発式が行われたと明らかにした。

「JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業」の枠組みで、電気自動車(EV)関連事業を手掛けるピューズ(本社・神奈川県横浜市)が実施しているもので、タイピンの協力の下で電気バスの実証走行を行う。

実証走行を行うのは、歴史的遺産が集中するタイピン・ヘリテージ・エリアの自然・歴史遺産を巡る観光コースの整備が進められているタイピン・ヘリテージ・トレイル。運行ルートは11.5キロメートル、名所は40カ所で、途中バス停は3カ所設けられており、電気バス用急速充電器(1基)は、タイピン動物園に設置されている。

今回の実証事業では、▽マレーシアの車両基準に準じて製造した電気バスの実証運行を通じた、環境面(CO2排出削減効果の評価など)および財務面(ディーゼルバスと比較した費用の評価など)における有効性の検討▽電気バス事業の運営・管理体制構築(運行・維持管理マニュアルの策定及び研修実施)▽電気バス事業モデル確立と普及活動ーーの3点を目的としている。