日本からの水産物輸入に対する規制は未定=農業食糧安全相

【セルダン】 モハマド・サブ農業食糧安全相は25日、マレーシア政府は、日本からの水産物の輸入禁止については決定していないと明らかにした。福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出開始の影響を受け、中国が輸入禁止措置を発表していた。

モハマド大臣は、保健省や環境問題の専門家が潜在的な危険性があるかどうかを調査している段階で、現時点では決定に至っていないと説明。調査の結果、万が一何らかの脅威が明らかになった場合に輸入に関する何らかの措置を行うことを検討すると述べた。

処理水放出に関しては、マレー語紙「ベリタ・ハリアン」は、マレーシア・トレンガヌ大学(UMT)のハスリザル・シャアリ准教授による「処理水に含まれる放射線量が非常に低く、人体への直接的な影響も非常に低いと考えられる」、「中国のように日本からの水産物を阻止する措置を講じる必要はない」とのコメント、また同大学のモク・ウェンジェ博士による「近隣海域で獲れる魚介類に大きな脅威を与えることは当面ないが、万が一安全性が心配であるなら、輸入サンプルで放射能濃度を検査することもできる」とのコメントを掲載している。

■「コメの安全保障に注力」、インドの輸出停止受け■
一方、モハマド大臣は、世界最大のコメ輸出国であるインドが20日に国内価格を引き下げる目的でコメの主要品目の輸出停止を決定し、ベトナムがそれを受けて国内備蓄の確保を指示したことについて、政府は食料供給やコメの安全保障に注力していると述べた。マレーシアは現在、コメの35%を輸入に頼っているため、コメの供給確保に向け、新技術や研究などにより早期に準備を整える必要があるとしている
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベリタ・ハリアン、8月26日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、8月25日)

処理水放出、マレーシアもサバ州沖に監視システム設置

【ジョージタウン=マレーシアBIZナビ】 福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出が24日に開始されたことを受け、チャン・リーカン科学技術革新相は25日、サバ州沖合にガンマ線スペクトル水監視システムを1カ所設置したことを明らかにした。原子力認可委員会(AELB)が状況を常に監視しているが、現時点では何ら異常数値は検出されていないという。

チャン氏によると、サバ州沖に設置したシステムは早期検出システムとして24時間放射能レベルの上昇をリアルタイムで監視するもので、こうしたシステムを設置したのはシンガポール、ベトナムに次いで3カ国目。同省では場所は決定していないものの、さらに4台設置する予定だという。

チャン氏は「日本政府が処理水の海洋放出を開始したことに対し、マレーシア国民が懸念を抱いていることは承知している」と述べた上で、国際原子力機関(IAEA)が入手したデータは放出水が安全範囲内であることを示していると言明した。

マレーシアではこれまでのところ、処理水放出に関する主要メディアの報道は抑制的で、海外ニュースとして中国や香港における抗議活動を報じる一方で、専門家による安全性を訴えるインタビュー記事や論文記事を掲載するなど国民の懸念に配慮した報道が多くみられる。

日本工営、KLで交通課題解決に向けたMaaS実証事業を実施へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ID&Eホールディングス(本社・東京都千代田区)傘下の日本工営(本社・東京都千代田区)は、「日ASEAN(東南アジア諸国連合)におけるアジアDX促進事業第4回公募」(事務局・日本貿易振興機構)で、自社事業が採択されたと発表した。

鉄道システムのエンジニアリング・コンサルタントである、グループ企業ASAPモビリティ(本社・セランゴール州シャアラム)を協働先とし、「クアラルンプールにおける端末交通と公共交通との統合による MaaS実証事業」を2023年9月から2024年8月に実施する。

公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアが推進する「公共交通の統合による利便性向上」を最終的な目標とし、オンデマンド交通の統合による効果を検証するほか、公共交通の統合に向けたデータ連携基盤(MaaSプラットフォーム)の要件を検討する。具体的には、▽オンデマンド交通と既存公共交通とを統合したデジタル乗車券の発行▽公共交通に加え、オンデマンド交通を追加したルート検索サービスの提供▽公共交通の利用実態等のデータを集約した運行最適化ダッシュボードの構築ーーを行う。

日本工営では、これまでにもインドネシアやシンガポールなどの地域において、MaaS技術を取り入れた交通課題への新事業の検討・提案を行ってきており、本実証で得た知見を活用することで公共交通機関の利用者を拡大するソリューション提供を実現し、クアラルンプールにおける交通渋滞の緩和をはじめとする交通課題解決を目指す方針だ。

コンビニ最大手のセブンイレブン、生鮮食料品を充実

【ペタリンジャヤ】 コンビニエンスストア最大手のセブン・イレブン・マレーシアは、提供する生鮮食料品を充実させるため、フランチャイザーのセブン・イレブン・インターナショナル(7IN)と戦略的提携を結ぶと発表した。セブン・イレブン・マレーシアはベルジャヤ・コーポレーションが所有しており、7INから地域独占販売権を与えられ店舗を展開している。

セブン・イレブン・マレーシアは7INから技術・知見の供与を受け、生鮮食料品の生産、配送拠点となる施設を建設する。

セブン・イレブン・マレーシアはまた、日本のフジフーズ(本社・千葉市)とも提携し、革新的な機器の導入、品質の改善、新商品開発のための研究・開発の強化、環境への負荷軽減などで協力を得る。

フジフーズは食品加工会社で、セブン・イレブンに納入するおにぎり、サンドイッチ、弁当などを製造している。

新施設は11月に稼働の予定で、セブン・イレブン・マレーシアは新商品を年内にも投入する。

セブン・イレブン・マレーシアのタン・ウーミン共同最高経営責任者は「最善と思われる業務慣行を取り入れ、生産業務を最適化する」と述べた。
(ザ・サン、8月25日)

三井不動産、マレーシアで物流施設事業に参画

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 三井不動産(本社・東京都中央区) は24日、マレーシア三井不動産(本社・クアラルンプール)を通じて、現地物流会社であるPKTロジスティクス・グループと共同事業契約書を締結し、ケダ州クリムにおける物流施設事業「クリム・ロジスティクス・ハブ」への参画を決定したと発表した。

同事業はPKT社とマレーシア三井不動産との合弁会社クリム・ロジスティクス・ハブを通じて推進する。同事業は、三井不動産グループ初のマレーシアにおける物流施設事業となる。

「クリム・ロジスティクス・ハブ」は、2棟で構成され、延床面積は約3万6,000平方メートルとなる。第1期では平屋建て・鉄骨造の物流施設を1棟建設する。面積は約2万2,000平方メートルで、2023年9月の竣工を予定している。第2期は約1万4,000平方メートルで、2024年以降に着工する予定だ。

東南アジアにおける物流施設事業は、タイ・バンコク近郊における海外第1号物件に続き、マレーシアが2カ国目の事業展開となる。三井不動産はマレーシアにおいて、これまで分譲住宅事業、賃貸住宅事業および商業施設事業を推進しており、今後も更なる事業拡大を目指していく方針だ。

イポーのイオンモールに爆破予告、38歳の男を逮捕

【イポー=マレーシアBIZナビ】 ペラ州にある「イオンモール・イオン・クレバン店」で23日午後、爆破予告電話を受けて従業員と顧客が一時避難する騒ぎがあった。同店は同日の残りの営業を中止したが、安全が確認されたとして翌24日午前10時から営業を再開した。

イオンモールの従業員が爆破予告の電話を受けたことから、23日午後4時50分ごろ警察に通報した。午後5時半に従業員と客に対して建物から避難するよう命令が出され、王立マレーシア警察(PDRM)ペラ州警察本部の爆弾処理班や消防レスキュー局による爆発物の捜索が行われた。結局、不審物は見つからず、同日午後10時半に避難命令は解除された。

警察はこれと並行して脅迫電話に関する捜査を進め、23日午後9時半に同州タセクに住む38歳の男を逮捕し、犯行時に使用したと思われる通信デバイスも押収した。有罪となった場合は7年の禁固刑が課せられるという。

日本から活魚の輸入はないと確認、処理水放出で=副農業相

【クアラルンプール】 チャン・フーンヒン副農業食糧安全相は24日、福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出が24日より開始されたことを受け、マレーシア漁業局は現在、日本から活魚を輸入していないことを確認したと述べた。

チャン氏は自身のフェイスブックで、日本からの輸入水産物の安全性を確保するため、農業食糧安全省は状況を積極的に監視していると説明。保健省や検疫検査サービス局(MAQIS)、漁業開発局などの関連機関と緊密に連携し、健康証明書のチェックや輸入後の放射能検査など、食品安全問題のレベルを注意深く監視しているとし、国民に冷静さを保つよう促した。

国際原子力機関(IAEA)や国連の原子力監視団は7月、処理水の海洋放出計画は国際基準を満たしており、人々や環境への潜在的な影響は無視できるレベルだとして承認している。
(マレー・メイル、8月24日)

日本からの一部輸入食品に厳しい検査措置、処理水放出受け

【クアラルンプール】 福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出が24日より開始されることを受け、マレーシア保健省は23日、日本からの輸入食品のうちリスクが高いと考えられるものに対し、入国地点で放射性物質に関するレベル4(監視)の検査を行うと発表した。

ムハンマド・ラジ事務次官は、保健省のデータによると、2022年1月から2023年6月までの日本からの輸入品で最も多かったのは魚介類・水産加工品で、次いで果物、野菜、加工食品、飲料が続き、総額8億8,011万5,437リンギ相当にのぼったと述べた。保健省は消費者の懸念を考慮し、食品の安全性が保証されるよう、入国時や地元市場での監視を常に行っていくとしている。

ムハンマド・ラジ氏によると、2011年の福島第一原子力発電所事故後の2011年5月から2012年4月にも同省の食品安全品質課が日本からの輸入食品のモニタリングを実施。また、2019年にも特別モニタリングプログラムを実施し合計102検体を分析したが、全検体で規定値を超えていないことが確認されたという。

処理水の放出計画については、マレーシア中華大会堂総会(華総)のTC・ゴー会長が先ごろ、「安全基準に則っているとする日本政府の主張は疑わしい」として反対を表明した上で、華総として放出計画に反対する国際社会と連携するようマレーシア政府に要請すると述べていた。
(ザ・スター、8月24日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、8月23日)

サイムダービーがUMWの買収を計画、トヨタ事業を傘下に

【シンガポール】 多角経営のサイム・ダービーは24日、政府系ファンドのペルモダル・ナショナル(PNB)からUMWホールディングスの株式61.2%を買収し、UMW傘下のUMWトヨタ・モーターとダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)を傘下に収める計画を明らかにした。

サイム・ダービーは同日、PNBとの間で条件付き株式購入契約(SPA)を締結しており、11月の臨時総会で株主の同意を得る予定だ。2024年2月までの買収完了を目指す。買収額は35億7,000万リンギ。買収資金は銀行からの借入金と内部資金で賄う。買収条件が解除されれば、UMWの上場を廃止し、UMWの残余株38.8%の公開買い付け(GO)を行う考えだ。

サイム・ダービー・グループのジェフリ・サリム・デビッドソン最高経営責任者(CEO)によると、サイム・ダービーは、自動車事業子会社のサイム・ダービー・モーターズを通じて高級車ブランドのBMW、ロールスロイス、ポルシェを取り扱っており、買収が実現すれば取り扱い車種のポートフォリオが拡大し、同グループが国内シェアの60%を掌握することになる。UMWはすでに52%の国内シェアを獲得しており、買収によって55%に拡大すると期待されるという。

またサイム・ダービーの自動車事業の収益バランスはマレーシア、中国、豪州で現在15対37対35となっているが、これがUMW買収によって均等になるため、サイムは地政学的なリスク・ヘッジになると期待している。

ジェフリCEOは、買収完了後もPNBがサイム・ダービーの筆頭株主であるため、資本比率の観点からブミプトラ(マレー人と先住民の総称)の出資基準は維持されると指摘。さらにトヨタとプロドゥアのベンダーとサプライヤーのエコシステムも維持されると述べた。

これに先立ちロイターは、PNBがサイム・ダービー・モーターズとプロドゥアの合併について検討していると報道。両社の合併が実現すれば100億リンギ規模の巨大自動車メーカーが誕生すると伝えていた。

サイム・ダービー・モーターズは最近、中国・比亜迪汽車(BYD)の電気自動車(EV)販売独占契約を締結したほか、子会社であるイノコムが中国・奇瑞汽車(チェリー自動車)の現地組立を開始していた。
(ベルナマ通信、ロイター、ザ・スター、エッジ、8月24日)

ホンダのSUV「WR-V」、発売1カ月で2200台を納車

【ペタリンジャヤ=マレーシアBIZナビ】 ホンダ・マレーシアは22日、新型Aセグメント・スポーツ車(SUV)、「WR-V」について、7月13日の発売以来1カ月で2,200台を納車したと発表した。

同社は、「WR-V」の最初の予約者であるヌレイン・ビンティさんへの引き渡しセレモニーを開催。ヌレインさんにはホンダのアクセサリー、ウルトラ・ガラス・ボディコーティング、オフィシャルグッズ(合計5,000リンギ相当)が贈られた。

吉村宏信 社長兼最高経営責任者(CEO)は、ホンダ・ブランドへの信頼および新型「WR-V」への支援に感謝するとし、「WR-V」は7月にホンダ車で2番目に売れたモデルとなり、その中でもハイスペックの「RS」バリアントが「WR-V」の総販売台数中60%を占めていると述べた。

ヌレインさんは、「WR-V」の若々しくエネルギッシュな外観に感銘を受けたとし、コンパクトなデザインでありながら車内が広々としているのが気に入っており、毎日の通勤が快適になるだろうと述べた。

「WR-V」のバリアントは▽1.5L S▽1.5L E▽1.5L V▽1.5L RSーーの4種で、保険なし価格はそれぞれ▽8万9,900リンギ▽9万5,900リンギ▽9万9,900リンギ▽10万7,900リンギーーとなっている。