閣僚2人辞任も「内閣改造の議論なし」=アンワル首相

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は、人民正義党(PKR)党役員選に敗北した閣僚2人が28日に辞表を提出したことに関連し、現時点で内閣改造や後任人事に関する議論は行われていないと述べた。アンワル首相は両閣僚の辞表を受け取ったこと、休暇に入ることを承認したことを公表していた。

辞表を出したのはラフィジ・ラムリ経済相とニック・ナズミ・ニック・アハマド天然資源・環境持続可能性相。それぞれ23日に行われた人民正義党(PKR)副党首選、党首補選で敗北していた。ラフィジ氏とナズミ氏の辞任はそれぞれ6月17日付け、7月4日付けとなっている。

アンワル首相は記者団に対し、辞表を出した2閣僚はまだ休暇中であることから制度上の問題から現時点で交代させることはできないと述べた。当面は2省では閣僚不在状態となる。

政治アナリストであるマレーシア科学大学のシヴァムルガン・パンディアン氏は、PKR内のラフィジ派の他の大臣や副大臣も辞任する可能性があると指摘。また上院議員としての任期が12月に満了するテンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相の地位についても検討する必要があると述べている。
(ボルネオポスト、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、5月29日)

コタキナバル―ラブアン旅客フェリー、3年ぶりに運航再開

【コタキナバル】 サバ州コタキナバルと連邦直轄地ラブアンを結ぶ旅客フェリーが、3年間の運休を経て27日再開した。運航再開の式典にはハジジ・ノール州首相が出席した。所要時間は3時間。

同フェリーはジェセルトン・ポイント・ターミナルの安全上の懸念、燃料補助金の削減、新型コロナ・パンデミックにより2023年に運休していたもので、再開にあたってコタキナバル側のターミナル港をジェセルトン・ポイントからコタキナバル港に移し、新ターミナルの改修工事に130万リンギを投じた。

エコノミークラスの往復運賃は、マレーシア人が45リンギ、外国人は90リンギ。ファーストクラスは、マレーシア人が55リンギ、外国人は100リンギとなっている。5月28日から6月3日までは毎日1便運航(コタキナバル発午前8時)し、その後は毎週金曜、土曜、日曜に運航する。

コタキナバルから乗船する場合、利用者はジェッセルトン・ポイントでチケットを購入し、ジェッセルトン・キーからコタキナバル港のCIQターミナル行きのシャトルバスに乗る。CIQターミナルで税関・出国審査を受けて乗船する。
(マレー・メイル、5月27日)

米国との関税交渉、「10%以下は困難」=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 米国がマレーシアに課すと宣言している24%「相互関税」について、米国との交渉の先頭に立つテンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相はブルームバーグの取材に対し、これまでのようなゼロ関税に戻すことは困難との見方を示した。

米国は2025年7月8日までの90日間を猶予期間とし、10%の基本関税率を適用するとしている。マレーシアは報復関税措置ではなく交渉による解決を図っているが、ザフルル氏は「米国も公言しているように10%の税率については交渉の余地がなく、最低水準のようだ」とコメント。「我々にとって関税が24%を下回る、あるいは基本関税率の10%を下回れば、我が国の産業と輸出業者にとって朗報となるだろう」と述べた。

マレーシアは関税引き下げについて米国と断続的に協議を続けており、トランプ政権はマレーシアに対し、貿易不均衡や非関税障壁の是正、米国の技術が他国や投資に流出するのを防ぐことを要求している。米国はマレーシアに対し、中国への半導体積み替えと称する行為を取り締まるよう圧力をかけており、これを受けて投資貿易産業省は5月6日以降、米国向け非特恵原産地証明書の発行を同省のみで行うと発表している。

米国通商代表部(USTR)のデータによると、米国とマレーシアの貿易赤字は昨年248億ドルに達した。
(ブルームバーグ、ザ・スター電子版、エッジ、5月27日)

ASEAN首脳会議、GCCと中国を交え連携強化を確認

【クアラルンプール】 クアラルンプールで開催されていた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が27日、閉幕。この日は、ASEANと、湾岸協力会議(GCC)、中国の3者による首脳会議が初開催され、アンワル・イブラヒム首相は「今日の多極化した世界において協力のパターンを再構築できたことは大きな成功」と強調した。

今回のASEAN首脳会議では、2回目となるASEAN・GCCの首脳会議、さらに中国を交えての3者での初の首脳会議が相次いで開かれた。ASEANの国内総生産(GDP)は現在、3.8兆米ドル(15.9兆リンギ)で世界第5位の経済圏で、さらにGCC、中国を合わせたGDPは25兆米ドル(104兆リンギ)に達し、総人口は21億人を超える。

アンワル首相は「すでに我々には強固な連携がある一方で、未開拓の大きな潜在力も秘めている」と述べ、それぞれの独自の特性を活かしながら、より強靭で繁栄した未来に向け、貿易、投資、持続可能な開発における3者の協力を拡大させていくとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、ベルナマ通信、5月27日)

ラフィジ経済相・ナズミ天然資源相が辞任、党役員選での敗北受け

【クアラルンプール】 ラフィジ・ラムリ経済相とニック・ナズミ・ニック・アハマド天然資源・環境持続可能性相が28日、辞表を提出した。両氏はそれぞれ23日に行われた人民正義党(PKR)副党首選、党首補選で敗北していた。

ラフィジ氏は「私は説明責任と国民の信任に基づく新しい政治文化を推進するために政界入りした。先のPKR副党首選挙での敗北は、PKRが掲げる国民のための政策を私が政府のプログラムとして実現していくための党からの信任を失ったことを意味する。民主主義の原則を掲げる国の慣例に従い、党内選挙で敗北した党幹部は、勝利者にその座を譲るべきだ」と述べた。

現職の副党首だったラフィジ氏は、党役員選でアンワル・イブラヒム首相の実娘で現職の指名党首補であるヌルル・イザ・アンワル氏に大差で敗れた。選挙に先立ってラフィジ氏は敗れた場合には閣僚職を辞任すると述べ、下院議会議員及び一般党員としての職務に注力する考えを示していた。

一方、ニック・ナズミ氏は、閣僚入りにあたってPKR党首補の経歴が考慮されたことを認識しているとした上で、「党首補のポジションを守れなかったため、大臣を辞任することにした」と辞任理由を説明した。

現職のニック・ナズミ氏は、12人が出馬した党首補選(定員4人)では得票数5位にとどまった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、5月28日)

次世代モバイル回線構築でUモバイル、テレコムマレーシアと提携

【クアラルンプール】 2つ目の第5世代(5G)移動体通信ネットワークを構築するUモバイルはネットワーク整備を迅速に進めるため、テレコム・マレーシア(TM)と提携することで合意し10年契約を交わした。契約総額は24億リンギ。

契約では、TMはUモバイルに専用回線などバックホールを提供し、データセンター利用権も与える。バックホールとは基地局とコアネットワークを繋ぐ回線。TMの光回線は延べ74万キロに及び、国内最大。Uモバイルは来年7月末までに人口密集地の80%で5Gが利用できるようにする。

ファーミ・ファジル通信相が立ち会った締結式でUモバイルのウォン・ヒアントゥック最高経営責任者(CEO)は「信頼性の高い5Gサービスを保証し、超高速サービスをユーザーに提供する」と語った。

1つ目の5G網は政府系デジタル・ナショナル(DNB)が敷設する。ファーミ氏は「TMの光回線を利用することでUモバイルは利用料金を抑えることができる」と手ごろな料金設定に期待を表明した。DNBとの回線共有もUモバイルに要請した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、エッジ、5月23日)

ニトリ、ケダ州初のアマンセントラル店を6月5日に開業

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ニトリホールディングス(本社・札幌市北区)は26日、ケダ州アロースターに「ニトリ・アマンセントラル店」を開業すると発表した。

開業日は6月5日。同社にとってケダ州初進出となり、クアラルンプール、セランゴール州、ジョホール州、ペナン州、ネグリ・センビラン州に続くもので、マレーシアでは12店舗目という。ショッピングモール「アマンセントラルモール」内に位置し、店舗面積は約500坪。営業時間は午前10時から午後10時となる。

ニトリグループの店舗としては1,037店舗目で、同社は「今後も積極的に海外における出店を進めていく」としている。

ナザ、ペタリンジャヤに初のスズキ旗艦店をオープン

【ペタリンジャヤ】 自動車販売会社、ナザ・イースタン・モーターズは、セランゴール州ペタリンジャヤにスズキ・カーズ・マレーシア初のフラッグシップ・ショールームをこのほどオープンした。

連邦高速道路沿いの大規模自動車販売店、ナザ・オートモールに隣接しており、店舗面積は約470平方メートル。5ドア・ジムニー、3ドア・ジムニー、スイフトスポーツなど、マレーシアで販売されるスズキの最新車種を展示するほか、専用サービスカウンター、ライフスタイルラウンジ、キッズコーナー、個室の相談室などが備わっている。

新ショールームのオープンに合わせて、スズキは新規および既存オーナー向けの限定的な中間プロモーションとロイヤルティプログラムも展開している。
(ジグホイールズ、ポールタン、5月26日)

ASEAN首脳会議開幕、今後20年間の指針のKL宣言を採択

【クアラルンプール】 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が26日、クアラルンプール(KL)で開幕。今後20年間の地域の発展と協力の指針となる「クアラルンプール宣言」を採択した。

会議冒頭にアンワル・イブラヒム首相があいさつ。前回クアラルンプールで開催時の2015年に合意された「ASEAN共同体」に触れながら、最近の米国による一方的な関税導入により世界貿易システムは更なる緊張にさらされているとし、今後の20年を見据え「ASEAN共同体ビジョン2045(ACV2045)」策定の重要性を強調した。

クアラルンプール宣言は「ASEAN2045:我々の共通の未来」と題されており、ASEANの団結、安定、持続可能な開発へのコミットメントを再確認した。ACV2045を核とする内容で、▽ASEANの地域的リーダーシップの強化▽デジタル経済とグリーン経済への注力▽政策立案における、女性、若者、社会的弱者などインクルージョン(包摂性)の向上▽持続可能性とレジリエンスの中心議題化――などを優先事項に設定。政治的安全保障、経済、社会文化、インフラとデジタルの連結性を4つの柱とし、それぞれの戦略計画について合意した。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、5月26日)

第1四半期の財政赤字は17%減少、政府債務はGDP比63%

【クアラルンプール】 マレーシアの財政赤字は3月末時点で219億リンギで、前年同期の264億リンギから17%減少した。財務省が第1四半期経済報告の重要項目として発表した。

歳入は3%増の721億リンギで、売上・サービス税(SST)の急増と個人所得税の増加が貢献した。歳出は2.5%減の942億リンギで、ディーゼル油補助の合理化と原油価格の低下が主因。法定機関への交付金の最適化も減少に貢献した。

3月末時点の政府債務は国内総生産(GDP)比で62.6%の1兆2,800億リンギ。うち97.8%は国内債務で、対外債務は2.2%にとどまった。
(エッジ、5月22日)