出光興産、ペトロナスとSAFサプライチェーン構築を共同検討

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 出光興産(本社・東京都千代田区)は5日、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)との間で、持続可能な航空燃料(SAF)のサプライチェーン構築・強化に向けた共同検討に関する覚書(MoU)を締結したと発表した。

両社はMoUの下で、SAFの安定的かつ効率的なサプライチェーンを構築するため、バイオ原料のより大規模な確保、生産コスト分析、安全・安定性などの実現可能性調査を実施する。また、その一環としてポンガミア(種子からの油収量効率の高い、非可食のマメ科植物)やジャトロファ(種子が油分を多く含む落葉低木)など、非食用油原料の供給可能性調査も行う。さらに、SAFの流通・販売網を確立し、航空業界がより安定的にSAFを確保できるよう取り組んでいく。

出光興産は、「2030年までにエアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換える」という日本政府および航空業界の目標実現に向け、年間50万キロリットルのSAF生産体制の構築に取り組んでいる。

「蔦屋書店」マレーシア2号店、KL中心部に27日にオープン

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、本社・東京都渋谷区)が展開する書店チェーン「蔦屋書店」のマレーシア2号店が、クアラルンプール(KL)市中心部のショッピングモール「インターマーク・モール」に10月27日にオープンする。

1号店は昨年7月、KL郊外の大型ショッピングモール「パビリオン・ブキジャリル」内にオープンしている。KL中心部への初進出となる2号店も、1号店同様、ライフスタイル提案型書店として書籍や文具などの販売を行い、カフェを併設する。営業時間は午前8時ー午後8時。

蔦屋書店のマレーシアでのフランチャイズ展開は、CCCが商社の双日(本社・東京都千代田区)と設立した合弁会社(JV)ツタヤ・ブックス・マレーシアが手掛けている。CCCは2030年代初頭までにマレーシア国内で55店舗を展開することを目標に掲げている。

日本産農水産物の輸入には制限なし=農業食糧安全相

【クアラルンプール】 モハマド・サブ農業食糧安全相は4日、日本からの農・水産物の輸入に関して何ら制限を課していないと明らかにした。

モハマド・サブ氏は、マレーシア保健省(MOH)が放射線検査の実施など食品の安全性を常に監視しており、日本から輸入された水産物を食べても安全であることを確認していると言明。「我々は日本産のすべての魚介類を最も注意を要するレベル4に格付けしている。よって日本産魚介類は安全なので食べて欲しい」と呼びかけた。モハマド・サブ氏は同日、マレーシア訪問中の宮下一郎農林水産相と会談した。

福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出が8月24日より開始されたことを受け、マレーシア保健省は日本からの輸入食品のうちリスクが高いと考えられるものに対し、入国地点で放射性物質に関するレベル4(監視)の検査を行うと発表していたが、これまでのところ基準を超えた数値が検出されたとの発表はない。

日本・東南アジア諸国連合(ASEAN)農林相会合のために訪馬した宮下農水相は、会合の中で強靭で持続可能な農業・食料システムの構築に向けて「日ASEANみどり協力プラン」を提案し、採択された。宮下農水相はまたマレーシアの小売店における日本産水産物フェアに参加して、トップセールスを行った。
(ベルナマ通信、10月4日、日本農林水産省発表資料)

オンラインバンキングの不正取引被害件数は58%減少=中銀総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)のアブドル・ラシード総裁は3日、国家詐欺対策センター(NSRC)に寄せられたオンライン・バンキングの不正取引被害件数が、過去5カ月間で58%減少したと明らかにした。

金融犯罪・テロ資金供与に関する国際会議でアブドル総裁は、金融詐欺を防ぐため2022年12月に開始した5つの対策が奏功したとした上で、2022年10月に発足したNSRCには、1万9,000件以上の詐欺被害に関する報告が寄せられ、4万3,000件の「マネーミュール口座」(オンライン・バンキングで不正に引き出した現金を犯人等に送金するために利用される口座)を特定し、6,000万リンギ以上の資金が凍結されたと明らかにした。

今後について、アブドル総裁は、特定、報告、資金の回収までのプロセスを合理化するために「国家詐欺ポータル」を2024年半ばまでに立ち上げると発表した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、9月4日、マレー・メイル、9月3日)

世界の金融包摂指数ランク、マレーシアは18位に上昇

【ペタリンジャヤ】 「2023年世界金融包摂指数」(調査対象・世界42カ国・地域)ランキングで、マレーシアは前年の20位から2ランクアップして18位となった。

世界金融包摂指数は、総合金融機関のプリンシパル・ファイナンシャル・グループと経済ビジネス研究センターが毎年発表しているもので、経済活動に必要な金融サービスをあらゆる人々が利用できるようにする金融包摂について、公的データや調査結果に基づき、3つの柱(政府、金融システム、雇用者支援)によって42市場をランクづけしたもの。

マレーシアは、「政府支援」で22位(前年は24位)、「金融システム支援」で17位(同23位)と上昇し、「雇用者支援」は前年と同じ5位を維持した。1位はシンガポール(同1位)、2位は香港(同4位)。日本は27位(同22位)だった。

プリンシパル・マレーシアのムニラ・カイルディン代表兼最高経営責任者(CEO)は、マレーシアがランキングで上昇し、金融包摂を実感する人の数が増えているのは心強いとし、デジタル化の推進でさらに金融包摂を進められると言明。プリンシパルもイーウォレット・ソリューションの提供でデジタル化に参加できるのを誇りに思うとし、今後も金融ツールへの認識を広げるために活動を続けていくと述べた。
(ザ・スター、10月4日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、10月3日、プリンシパル発表資料)

今後も生活費軽減策を継続=アンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は、国内のインフレが緩和しているが、国家生活費行動会議は、「慈悲(ラーマ)プログラム」や「アグロ・マダニ・セールス」を通した生活費軽減策を継続することを決定したと明らかにした。
国家生活費行動会議の議長を務めたアンワル首相は、生活費軽減策を継続する理由について、国民の生活費上昇に対処するという公約に沿って行うと説明した。また、「マレーシア・マダニ」による福祉の強化のため、連邦政府や州政府など全ての政府機関と非政府組織に協力を呼びかけると述べた。

また会議では、国民が直面している生活費の負担軽減をさらに議論するため、3件の検討文書と2件の通知文書が提出されたと言明。その中には鶏肉や鶏卵、医薬品、砂糖などに関するものが含まれていたとし、鶏肉や鶏卵については2022年2月から実施されている価格規制に関して話し合ったと明らかにした。医薬品については、価格表示メカニズムにより、医薬品販売の透明性を高めることができると指摘。また砂糖に関しては、供給に混乱が生じる可能性を認識しているとし、これらの問題を閣議に提出するとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月4日、ボルネオポスト、10月3日)

「B10」バイオディーゼル使用義務、産業部門への拡大を検討

【クアラルンプール】 ファディラ・ユソフ副首相兼農園一次産業相は3日、パーム油混合比率を10%としたバイオディーゼル「B10」の使用義務について、対象を現行の運輸部門だけではなく、産業部門まで広げることを検討していると明らかにした。

ファディラ大臣は、最終決定がいつになるかについては明言しなかったが、混合比率20%の「B20」の導入も進めており、全国的に実施されれば、粗パーム油(パーム原油)の消費量が年間100万トン以上に増加するとした。

バイオディーゼルに関しては、アンワル・イブラヒム首相が8月に発表した「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」第2期に、2030年までの大型車への「B30(パーム油30%混合)」バイオディーゼル利用義務づけが含まれている。

「B30」に関しては、2020年2月に発表された「国家自動車政策(NAP2020)」で2025年を目標とする導入計画が発表され、2021年9月発表の「第12次マレーシア計画」でも再度言及されていた。
(ロイター、10月3日)

三菱HCキャピタル、マレーシアとタイ孫企業を直接子会社化

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 三菱HCキャピタル(本社・東京都千代田区)は2日、子会社の三菱HCキャピタル・アジア・パシフィック(本社・シンガポール)から、同社のマレーシア、タイ子会社2社および孫会社1社の株式を取得し、直接の子会社とすることを決定したと発表した。

東南アジア諸国連合(ASEAN)地域におけるグループ内の資本関係を整理し、ガバナンス体制の強化および事業運営の合理化・効率化を図る。マレーシアでは、三菱HCキャピタル・アジア・パシフィックの100%子会社でリース業・金融業に携わる三菱HCキャピタル・マレーシア(本社・クアラルンプール)を日本の三菱HCキャピタルの直接の子会社とする。タイでは、 子会社への出資およびコンサルティング業務に携わるMHCマネジメント(タイ) およびリース業・金融業の三菱HCキャピタル(タイ)の2社を子会社化する。関係局からの許認可などを経て年内に再編を完了する予定だ。

ジャヤグローサー、サンウェイピラミッドに仮店舗を開設

【ペタリンジャヤ】 スーパーマーケット・チェーンのジャヤ・グローサーはセランゴール州のショッピングモール「サンウェイ・ピラミッド」に仮設のポップアップ店舗をオープンした。

16年間営業したイオン店舗が7月末に閉店し、その跡地にジャヤ・グローサーが新旗艦店として入居することが決定している。ポップアップ店舗は、来年第4四半期の旗艦店正式オープンまでの仮店舗となる。

ポップアップ店舗は2区間に分かれており、1区間は食料品売り場ですでに営業を開始している。もう1区間はベーカリーの「ベイカーズ・サン」と豪州スーパーマーケット・チェーンのコールスなどからの輸入商品を扱う売り場で、10月8日週にオープンする予定。

ジャヤ・グローサーのアデリーン・フー最高経営責任者(CEO)は、大規模な改装工事には時間を要するため、改装を待つ間に顧客が買い物を続けられる選択肢を直ちに提供したいと考え、ポップアップ店舗を開設したと述べた。
(ザ・サン、10月3日)

DHLエクスプレス、来年マレーシアで平均4.9%値上げ

【クアラルンプール】 国際宅配大手のDHLエクスプレスは2日、マレーシアにおける配送料を2024年1月1日付けで平均4.9%値上げすると発表した。

DHLエクスプレスのマレーシアおよびブルネイ担当のジュリアン・ネオ取締役は、「世界のマクロ経済状況は全体的に安定し始めているが、不確実性は依然として残っている」と指摘。「毎年の料金調整により、ソリューション改善に向けた投資の継続、ネットワーク全体の柔軟性の向上、強靭で持続可能な物流ソリューションを提供するための環境整備に重点を置くことができる」と説明し、理解を求めた。

DHLエクスプレスは、インフレや為替動向、規制や安全対策に関連する管理コストを考慮して配送料を毎年調整しており、現地の状況に応じて見直し額は国ごとに異なる。DHLエクスプレスが配送サービスを行っている220以上の国・地域で、こうした規制措置の見直しが国際機関や当該国政府によって定期的に行われているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、10月3日)