レカム、電気製品部品販売会社の子会社化が完了

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 情報通信機器のレカム(本社・東京都渋谷区)は1日、電気製品部品販売を手掛けるマレーシア企業、シン・リ エン・ワー・エレクトリック(SLWE)の子会社化が完了したと発表した。

レカムは今年6月12日にSLWE全株を買収して子会社化すると発表。6月14日に株式譲渡契約の締結式を行った。SLWEの資本金は100万リンギ。マレーシアの電気製品部品販売において40年以上の経営経験を有し、卸売業者、小売店、ECプラットフォームを含む幅広い流通ネットワークを通じて400社近い顧客を抱えており、グローバルブランドであるシュナイダーやハネウェルなどのトップディストリビューターとしてマレーシア市場における地位を確立している。

これに先立ちレカムは2021年、SLWEの子会社だったシン・リエン・ワー・ライティング(SLWL)をSLWEより買収しており、今回のSLWEの買収により、両子会社による売上高は年間40億円に上るとみている。SLWLはマレーシア国内でフィリップス・ブランドの照明機器販売において約30%のシェアを持つトップ・ディストリビューター。

アコムマレーシア、KLで個人向け融資事業を開始

【クアラルンプール =マレーシアBIZナビ】 消費者金融大手アコム(本社・東京都港区)は、マレーシア連結子会社アコムマレーシア(ACM)が1日付けで個人向け融資事業を開始したと発表した。

マレーシアは全国的に生活水準が高く、安定した経済成長と人口増加が見込まれ、今後も旺盛な消費性資金の需要が期待できるため、進出を決定した。アコムのノウハウや海外子会社の運営で培ったこれまでの経験を活かし、マレーシアにおいても、健全な消費者信用市場の発展に貢献できるとしている。

マレーシアの貸金業では、1店舗ごとに1事業ライセンスが必要となるため、当面の間は、クアラルンプールの本社1拠点で事業を運営する。また、2020年11月より開始された、貸金業のオンライン契約を可能とする事業者認可制度に認可申請中で、認可が得られ次第、オンライン完結のサービスも提供していく。

ACMの大澤正人社長は、「2017年から本格的にマレーシア市場の調査を開始し、非常に魅力的な進出国であると認識していた」とコメント。新型コロナウイルス感染症の影響により計画が中断したこともあったものの、開業の日を迎えられたことを嬉しく思うとし、ACMのミッションである「マレーシアの豊かな暮らしの実現と、マレーシア経済・金融ビジネスの発展に貢献する」に基づき、事業を推進していくと述べた。

大量遅延発生でマレーシア航空謝罪、機内食契約打ち切りで

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア航空の親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)が8月31日付けで機内食サービスのブラヒムズ・フード・サービシズ(BFS)との契約を打ち切った影響から翌9月1日には大量のフライト遅延が発生し、マレーシア航空が謝罪する騒ぎとなった。

マレーシア航空によると、機内食の問題により約20%のフライトが予定通り離陸できず、フライトが遅延した。雨天とクアラルンプール新国際空港(KLIA)の駐機場の変更によって問題がさらに悪化したという。マレーシア航空は「調整上の問題が発生したが、関連パートナーと積極的に対処している」としており、同日午後12時の時点で、ほぼ80%の便が予定通り離陸したと明らかにした。

これに続きマレーシア航空は3日、影響が出ている便に関しては特別食の対応ができないため乗客による食事の機内持ち込みを認めると発表した。ただし自己加熱式の食事やハラル(イスラムの戒律に則った)以外の食事の持ち込みは禁止で、液体は100ミリリットル以下といった航空会社の既存の持ち込み規定に従う必要があるという。

マレーシア航空はBFSとの契約打ち切りに当たり、新たな機内食サービスへの移行のために影響を受ける一部の便では当面、クラスとフライト時間に応じて事前にパックされた代替食が支給されると発表。影響を受ける乗客に対し、電子メールやショート・メッセージ・サービス(SMS)で最新情報を受け取ることができるよう、自社ウェブサイト上の「マイ・ブッキング」で連絡先を更新するよう促した。なおBFSと関係のないその他の便は現在、機内食を提供しているポス・アビエーションが引き続きサービスを提供するとしている。

中国の最新標準地図、マレーシア外務省が抗議

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中国が8月28日に発表した「2023年度版標準地図」にサバ州とサラワク州沖の広範囲の排他的経済水域(EEZ)が含まれていることが分かり、マレーシア政府が受け入れられないと抗議の声を上げている。

同地図には、台湾を含む南シナ海の大部分が含まれており、マレーシアのほか、ブルネイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアの主張するEEZや領海が中国領と描かれている。

マレーシア外務省は8月30日に声明を発表し、中国の地図には法的拘束力はなく、マレーシアは中国の主張を認めないと言明。「マレーシアは1979年の新地図において謳っている原則を堅持し、マレーシアの領海やEEZ内に対する主権、管轄権などの外国の主張を一貫して拒否してきた」と述べた。その上で「マレーシアは、南シナ海に関する問題は本質的に複雑かつデリケートなものと考えている」とし、「この問題は、1982年海洋法に関する国連条約(UNCLOS 1982)を含む国際法の規定に従って、対話と協議を通じて平和的かつ合理的な方法で処理されなければならない」と指摘した。これに続いてザンブリー・アブドル・カディル外相が翌8月31日、中国に正式に抗議する予定だと明らかにした。

サバ・サラワク州沖で活動している国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のテンク・タウフィク最高経営責任者(CEO)は、「ペトロナスの探査・採掘活動はマレーシアの主権領域の範囲内であり、ペトロナスはマレーシアのエネルギー安全保障のためにマレーシアの権利を精力的に擁護する」と述べた上で、「中国の影響力がその主張を超えて拡大していることを注視している」と警戒感をにじませた。

フィリピンは8月31日、「フィリピン領土や海域に対する中国の主権と管轄権を正当化しようとする今回の試みには、国際法上の根拠がない」と言明。国際法及び、中国側が主張する境界線には法的根拠がないとした2016年の仲裁判断に基づき、責任ある行動をとり、義務を順守するよう中国に求めた。

同地図にはまた、インド北東部のアルナチャルプラデシュ州、アクサイチン地域が中国領として描かれており、インド政府は28日、中国に抗議した。

マレーシア航空、8月末で機内食のブラヒムズとの契約打ち切り

【クアラルンプール】 マレーシア航空の親会社であるマレーシア・アビエーション・グループ(MAG)は、8月31日付けで機内食サービスのブラヒムズ・フード・サービシーズ(BFS)との契約を打ち切ったと発表した。

BFSは26年にわたり、マレーシア航空に機内食サービスを提供していた。英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」は今年6月、マレーシア航空が「都合による解約」条項を新契約に追加したことにBFSが反発し、契約の延長が危ぶまれていると報道していた。財務省が間に入り、交渉継続のため6月末から8月末まで、2カ月間の契約延長を求め、両社は合意していたという。

MAGはBFSとの契約終了で影響を受ける路線については、グループ企業の協力を得て代替の機内食を提供すると言明。空港ラウンジを運営するMASアワナなどから食料品・飲料を調達し、航空機地上支援会社のアエロダラット・サービシズが機内積み込み業務を行うとした。クアラルンプール国際空港(KLIA)敷地内に臨時配送センターも設置したという。その他の路線については、現在機内食を提供しているポス・アビエーションが引き続きサービスを提供するとしている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月31日、エッジ、8月30日)

フォレストシティの開発、完成しない可能性も=アナリストら

【クアラルンプール】 経営悪化が囁かれている中国の大手デベロッパー、碧桂園控股(カントリー・ガーデン)がジョホール州沖の人工島で開発中の「フォレスト・シティ」プロジェクトについて、不動産アナリストは、不動産価値が下落しており、完成しない可能性もあるとの見解を示している。

シンガポールを拠点とするカリル・アディス・コンサルタンシーの創設者である不動産専門家のカリル・アディス氏は、カントリー・ガーデンの経営難がフォレスト・シティの流通市場を混乱させていると警告。フォレスト・シティの1ベッドルームのアパートは、当初2020年に1平方フィートあたり約1,200リンギ(257ドル)で発売されたが、現時点での転売価格は1平方フィートあたり541リンギ(116ドル)まで下落していると述べた。フォレスト・シティは15%しか完成しておらず、カントリー・ガーデンの経営難により開発計画がさらに遅れる可能性もあるとしている。
マレーシア不動産業者協会のタン・キエンアウン会長も、カントリー・ガーデンの経営難はフォレスト・シティの資産価値に「間違いなく影響を及ぼす」とし、プロジェクトが継続されても当初の計画通りには完成しないだろうと述べた。

フォレスト・シティはジョホール海峡を埋め立て造成した4つの人工島(面積は合計30平方キロ)に、20年かけ商業ビル、住宅を総合的に建設する総工費1,000億米ドルの大規模開発。中国政府が2016年に発表した資本持ち出し規制により中国人バイヤーのキャンセルが相次いだこと、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大の影響などから経営に打撃を受けていた。アンワル・イブラヒム首相が先に救済措置の一環として、投資誘致に向け、金融特区を設けると発表していた。
(ベナル・ニュース、8月29日)

新産業マスタープラン2030を発表、330万人の雇用創出目指す

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は1日、向こう7カ年の「新産業マスタープラン2030」(NIMP2030)を発表。目標達成に向けて7年間で推定950億リンギの投資が必要になると述べた。330万人の雇用創出を目指す。

「NIMP2030」は経済の複雑化、国内の産業連携の強化、世界のバリューチェーンにおけるマレーシア産業の上位位置づけなどの戦略を通じて、長期的かつ持続可能な成長に向けたマレーシアの産業能力と回復力を構築することが目標。投資の大部分をプライベートエクイティ(PE)、資本市場、金融市場からの民間投資で賄い、残り10%あまりをNIMP産業開発基金とNIMP戦略的共同投資基金を通じて、政府が支援する。

具体的には、製造業の付加価値を2030年までに6.5%増の5,875億リンギに増やすことを目指す。 (空白削除)「NIMP2030」により、電気・電子(E&E)、化学、電気自動車(EV)、航空宇宙、医薬品、鉱物・金属などの先端材料など影響の大きい分野において61%の増加を見込む。雇用に関しては、2023年から年率2.3%の成長が見込まれ、2030年までに330万人分の雇用創出を図る。これらの施策により、製造セクターの給与中央値が年率9.6%上昇し、2021年の1,976リンギから2030年には4,510リンギへ128%増となるとしている。

また目標を達成するため、▽経済の複雑性を促進し、産業を変革し、より洗練された製品を生産する▽テクノロジーやデジタルトランスフォーメーション(DX)を取り入れ、革新や生産性の向上に取り組む▽持続可能な実践と環境に優しい取り組みを通じてネットゼロを推進する▽サプライチェーンの安全保障を実現することで経済の安全性や包括性を守るーーの4つのミッションを掲げている。

「NIMP2030」のその他のインセンティブについては、10月に予定されている2024年度予算案で発表される。

アンワル首相が独立記念日に向けた演説、団結の重要性を訴え

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は8月30日、就任後初の独立記念日に向けた演説を行い、マレーシアを偉大な国へ変えるための行程においてマレーシアの独立を守る必要があるとして国民に団結の重要性を訴えた。

プトラジャヤ国際コンベンション・センター(PICC)で、7,000人以上の観衆を前に演説したアンワル首相は、マレーシアには、他国と競争できる技術者や専門家になれるような豊富な労働力があるため、マレーシアを偉大な国へと変えることができると強調。大志をもって団結し、持続可能な「マダニ経済」を構築し、様々な民族かつ宗教で構成される国民の公平性を保障しなくてはならないとした。その上で、大志を実現するための条件の一つが、心と魂が「自立」していることであり、植民地主義や時代遅れな考え方から解放された社会を形成することにより「国民を解放する」と述べた。

またアンワル首相は、マレーシアの発展を確実にするには、社会のあらゆる階層が搾取されたり、人々が個人的な利益を得ることに必死なエリートたちの道具にされたりすることがないよう、「自由の精神」を持って前に進み続けなくてはならないと強調。過去20年間は停滞してきたが、マレーシアが今後偉大な国となるためには民族間の団結が不可欠だとし、現政権は誰も阻害することなく全てのマレーシア人の人権を守ることを保証した上で、憲法に明記されているブミプトラ(マレー人と先住民の総称)の権利や国教としてのイスラム教を引き続き守り続けるとした。
(ザ・スター、8月31日、ベルナマ通信、8月30日)

国内最高層ビル「ムルデカ118タワー」、70%の入居が決定

【クアラルンプール】 国内最高層であり、ドバイのブルジュ・ハリファに次いで世界で2番目に高いビルとなる商業ビル「ムルデカ118タワー」の約70%で、入居企業がすでに決まっている。所有企業である政府系PNBムルデカ・ベンチャーズのアブ・アジズ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。

アジズCEOはメディア向け視察会で、親会社の国営投資会社ペルモダラン・ナショナル(PNB)が年内に入居し、その後、銀行最大手のマラヤン・バンキング(メイバンク)などが1年以内に入居すると説明。アンカー・テナントであるメイバンクは33フロアを占有する予定だとした。

ムルデカ118タワーは、複合開発「ムルデカ118」の一部で、賃貸可能面積は約170万平方フィート。現在97.8%が完成している。8ー96階がオフィススペースとなり、97ー112階に5つ星ホテルの「パークハイアット・クアラルンプール」が入居する。115階と166階には展望台「ザ・ビュー・アット118」、117階にはカンファレンスセンター、118階には多目的イベントスペースを設ける。
アジズ氏はまた、ムルデカ118開発の一環として、65階建てのムルデカ・レジデンス・イースト・タワーと63階建てのムルデカ・レジデンス・ウエスト・タワーの住宅棟2棟と、サービスアパートであるオークウッド・プレミアの建設を来年までに開始し、2027年の完成を目指すと述べた。
(エッジ、8月29日)

スタートアップ企業、25年までに5千社の育成目指す=首相

【ペタリンジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は、2025年までに新たに5,000社のスタートアップ企業育成を目指すと明らかにした。

28日に開催された国家デジタル経済評議会で議長を努めたアンワル首相は、産業界と政府機関の協力促進のためにイニシアチブ「シングル・ウィンドウ」を導入し、目標達成を目指すと言明。また、2030年までに世界のスタートアップ・エコシステム・ランキングでトップ20カ国入りを目標とし、クアラルンプールを域内のスタートアップ企業およびデジタルの拠点とすると述べた。

同日の国家デジタル経済評議会では、個人の生体的特徴を認証情報として利用する「国民デジタル・アイデンティティ(IDN)」システムの導入を加速することも合意した。システムの導入は国民登録局(NRD)が行う。これにより、柔軟性や安全性を兼ね備えたデジタル環境の中でオンライン取引ができるようになるという。
アンワル首相は、デジタル変革計画の推進を目指し、持続可能なデジタル開発を保証するために公共部門のデジタル化プログラムを強化し続けると述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、8月28日)