サバ州、年内に州独自の航空会社を設立へ

【ペタリンジャヤ】 サバ航空(SAASB)のケニー・チュア会長は、サバ州政府独自の地域内航空会社が来年までに設立される見込みだと明らかにした。年内にエアバスやボーイングなど、航空機3機のリース契約を締結する予定だとしている。

チュア会長は、交渉は段階的に進んでいるとし、同様に州独自の航空会社設立を目指し、マレーシア航空(MAS)傘下のMASウィングスの買収を決定したサラワク州よりも早く就航できる可能性があると言明。サバ州はかつて連邦政府の資金に頼りすぎていたが、今では外国からの投資を誘致できるとし、ライセンスや航空技術者、パイロット、空港も準備できているため、航空会社と貨物ターミナル・ハブがあれば運航が開始できると述べた。新航空会社の名称としてサバ航空、エア・ボルネオ、ボルネオ航空という3つの名称を検討しているという。

チュア会長は、新航空会社では既存の航空会社と競争できる、ローコストなビジネスモデルを採用するとし、クアラルンプールーコタキナバル間は現在、マレーシア航空、ファイアフライ、エアアジア、MYエアラインが就航しているが、サバ州住民、特に学生や公務員は、割引価格で新航空会社を利用することができるようにするとした。また、SAASBはコタキナバルのタンジュン・アルにあるエアアジア・ターミナル2を引き継いで貨物ターミナルとして再利用する予定だが、その前に土地問題の解決の必要があるとしている。

英字紙「ボルネオ・ポスト」によると、今年5月にサバ州独自の航空会社設立に向けた動議がサバ州議会に提出されたという。アジズ・カプラウィ元副運輸相も新航空会社設立を歓迎し、サバ州の観光産業の成長を促進し、中国や台湾などとの接続性も改善できると述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、8月27日)

日本からの水産物輸入に対する規制は未定=農業食糧安全相

【セルダン】 モハマド・サブ農業食糧安全相は25日、マレーシア政府は、日本からの水産物の輸入禁止については決定していないと明らかにした。福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出開始の影響を受け、中国が輸入禁止措置を発表していた。

モハマド大臣は、保健省や環境問題の専門家が潜在的な危険性があるかどうかを調査している段階で、現時点では決定に至っていないと説明。調査の結果、万が一何らかの脅威が明らかになった場合に輸入に関する何らかの措置を行うことを検討すると述べた。

処理水放出に関しては、マレー語紙「ベリタ・ハリアン」は、マレーシア・トレンガヌ大学(UMT)のハスリザル・シャアリ准教授による「処理水に含まれる放射線量が非常に低く、人体への直接的な影響も非常に低いと考えられる」、「中国のように日本からの水産物を阻止する措置を講じる必要はない」とのコメント、また同大学のモク・ウェンジェ博士による「近隣海域で獲れる魚介類に大きな脅威を与えることは当面ないが、万が一安全性が心配であるなら、輸入サンプルで放射能濃度を検査することもできる」とのコメントを掲載している。

■「コメの安全保障に注力」、インドの輸出停止受け■
一方、モハマド大臣は、世界最大のコメ輸出国であるインドが20日に国内価格を引き下げる目的でコメの主要品目の輸出停止を決定し、ベトナムがそれを受けて国内備蓄の確保を指示したことについて、政府は食料供給やコメの安全保障に注力していると述べた。マレーシアは現在、コメの35%を輸入に頼っているため、コメの供給確保に向け、新技術や研究などにより早期に準備を整える必要があるとしている
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベリタ・ハリアン、8月26日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、8月25日)

処理水放出、マレーシアもサバ州沖に監視システム設置

【ジョージタウン=マレーシアBIZナビ】 福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出が24日に開始されたことを受け、チャン・リーカン科学技術革新相は25日、サバ州沖合にガンマ線スペクトル水監視システムを1カ所設置したことを明らかにした。原子力認可委員会(AELB)が状況を常に監視しているが、現時点では何ら異常数値は検出されていないという。

チャン氏によると、サバ州沖に設置したシステムは早期検出システムとして24時間放射能レベルの上昇をリアルタイムで監視するもので、こうしたシステムを設置したのはシンガポール、ベトナムに次いで3カ国目。同省では場所は決定していないものの、さらに4台設置する予定だという。

チャン氏は「日本政府が処理水の海洋放出を開始したことに対し、マレーシア国民が懸念を抱いていることは承知している」と述べた上で、国際原子力機関(IAEA)が入手したデータは放出水が安全範囲内であることを示していると言明した。

マレーシアではこれまでのところ、処理水放出に関する主要メディアの報道は抑制的で、海外ニュースとして中国や香港における抗議活動を報じる一方で、専門家による安全性を訴えるインタビュー記事や論文記事を掲載するなど国民の懸念に配慮した報道が多くみられる。

星ストアハブ、セルフストレージ施設を8カ所オープンへ

【クアラルンプール】 シンガポールのセルフストレージ・サービス大手のストアハブは、向こう2年間でセルフストレージ施設をマレーシアに8カ所オープンする計画だ。

24日にはマレーシアで4カ所目となるセルフストレージ施設「ストアハブ・オールド・クラン・ロード」をクアラルンプール(KL)のプチョンにオープンした。これによりマレーシアにおけるストレージユニット数は1,000ユニットを超え、総床面積は8万5,000平方フィートに達している。

デビット・チン最高投資責任者によると、首都圏クランバレー、ペナン州、ジョホール州南部を含む地域での開設を計画している。ストアハブが提供するストレージの広さは10ー400平方フィート以上で、月額料金は95.50リンギからとなっている。

同社グループは、事業拡大の一環として、マレーシアのセルフストレージ企業であるフレキシ・ストレージの過半数株を取得し、フレキシ・ストレージの施設を「ストアハブ・ストレージ・マレーシア」に変更している。

ストアハブはシンガポールで18カ所の施設を運営しており、日本や豪州、中国、香港、韓国、タイなどの15都市に進出している。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月25日、ベルナマ通信、8月24日)

議員航空機事故死のパハン州補選、10月7日に投開票

【プトラジャヤ】 選挙委員会(EC)は24日、先の航空機事故でジョハリ・ハルン議員が死去したパハン州議会ペランガイ選挙区の補欠選挙の日程を発表。公示日を9月23日、期日前投票日を10月3日、投開票日を10月7日とすると明らかにした。

ジョハリ議員(享年53)は8月17日、乗っていた小型ジェット機がセランゴール州シャアラムのエルミナウェスト・タウンシップの道路に墜落して、他の乗客乗員7人と走行中の自動車、オートバイの運転者2人と共に死亡した。事故原因についてはまだ明らかになっていない。

2022年11月に行われた州議会選挙では4人の争いとなったが、国民戦線(BN)所属のジョハリ氏が得票率57.71%で、与党連合・希望同盟(PH)及び野党連合・国民同盟(PN)候補らを破って当選していた。ジョハリ氏は同州地方自治・住宅・環境・グリーン技術委員会の議長(国政の閣僚に相当)を務めていた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月25日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、8月24日)

日本工営、KLで交通課題解決に向けたMaaS実証事業を実施へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ID&Eホールディングス(本社・東京都千代田区)傘下の日本工営(本社・東京都千代田区)は、「日ASEAN(東南アジア諸国連合)におけるアジアDX促進事業第4回公募」(事務局・日本貿易振興機構)で、自社事業が採択されたと発表した。

鉄道システムのエンジニアリング・コンサルタントである、グループ企業ASAPモビリティ(本社・セランゴール州シャアラム)を協働先とし、「クアラルンプールにおける端末交通と公共交通との統合による MaaS実証事業」を2023年9月から2024年8月に実施する。

公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアが推進する「公共交通の統合による利便性向上」を最終的な目標とし、オンデマンド交通の統合による効果を検証するほか、公共交通の統合に向けたデータ連携基盤(MaaSプラットフォーム)の要件を検討する。具体的には、▽オンデマンド交通と既存公共交通とを統合したデジタル乗車券の発行▽公共交通に加え、オンデマンド交通を追加したルート検索サービスの提供▽公共交通の利用実態等のデータを集約した運行最適化ダッシュボードの構築ーーを行う。

日本工営では、これまでにもインドネシアやシンガポールなどの地域において、MaaS技術を取り入れた交通課題への新事業の検討・提案を行ってきており、本実証で得た知見を活用することで公共交通機関の利用者を拡大するソリューション提供を実現し、クアラルンプールにおける交通渋滞の緩和をはじめとする交通課題解決を目指す方針だ。

コンビニ最大手のセブンイレブン、生鮮食料品を充実

【ペタリンジャヤ】 コンビニエンスストア最大手のセブン・イレブン・マレーシアは、提供する生鮮食料品を充実させるため、フランチャイザーのセブン・イレブン・インターナショナル(7IN)と戦略的提携を結ぶと発表した。セブン・イレブン・マレーシアはベルジャヤ・コーポレーションが所有しており、7INから地域独占販売権を与えられ店舗を展開している。

セブン・イレブン・マレーシアは7INから技術・知見の供与を受け、生鮮食料品の生産、配送拠点となる施設を建設する。

セブン・イレブン・マレーシアはまた、日本のフジフーズ(本社・千葉市)とも提携し、革新的な機器の導入、品質の改善、新商品開発のための研究・開発の強化、環境への負荷軽減などで協力を得る。

フジフーズは食品加工会社で、セブン・イレブンに納入するおにぎり、サンドイッチ、弁当などを製造している。

新施設は11月に稼働の予定で、セブン・イレブン・マレーシアは新商品を年内にも投入する。

セブン・イレブン・マレーシアのタン・ウーミン共同最高経営責任者は「最善と思われる業務慣行を取り入れ、生産業務を最適化する」と述べた。
(ザ・サン、8月25日)

三井不動産、マレーシアで物流施設事業に参画

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 三井不動産(本社・東京都中央区) は24日、マレーシア三井不動産(本社・クアラルンプール)を通じて、現地物流会社であるPKTロジスティクス・グループと共同事業契約書を締結し、ケダ州クリムにおける物流施設事業「クリム・ロジスティクス・ハブ」への参画を決定したと発表した。

同事業はPKT社とマレーシア三井不動産との合弁会社クリム・ロジスティクス・ハブを通じて推進する。同事業は、三井不動産グループ初のマレーシアにおける物流施設事業となる。

「クリム・ロジスティクス・ハブ」は、2棟で構成され、延床面積は約3万6,000平方メートルとなる。第1期では平屋建て・鉄骨造の物流施設を1棟建設する。面積は約2万2,000平方メートルで、2023年9月の竣工を予定している。第2期は約1万4,000平方メートルで、2024年以降に着工する予定だ。

東南アジアにおける物流施設事業は、タイ・バンコク近郊における海外第1号物件に続き、マレーシアが2カ国目の事業展開となる。三井不動産はマレーシアにおいて、これまで分譲住宅事業、賃貸住宅事業および商業施設事業を推進しており、今後も更なる事業拡大を目指していく方針だ。

経営難にある碧桂園のジョホール開発事業、とん挫の可能性

【クアラルンプール】中国の不動産開発大手、碧桂園の経営難が報じられており、マレーシア子会社のカントリー・ガーデン・パシフィックビュー(CGPV)がジョホール州で手掛ける3件の住宅開発事業が途中挫折する可能性が出てきた。

碧桂園は8月6日に期限を迎えた約33億円相当の社債の利払いを履行できなかった。30日間の猶予期間内に支払わなければデフォルトになる。8月10日には1ー6月期の純損益が450億ー550億元(1元=20円)の赤字になる見通しも示した。

CGPVはフォーレスト・シティー、ダンガ・ベイなど3件の集合住宅を建設中だが、碧桂園は海外事業を処分する動きに出ており、シンガポールのテレビ局チャンネル・ニュース・アジアがジョホール州の不動産関係者の話として報じたところによると、建設が停止される可能性がある。

フォーレスト・シティーでは一部で入居が始まったが、ゴーストタウン化しており、住宅所有者によれば、住宅価値は70万リンギから40万リンギに下がった。ダガン・ベイの物件も売り出し時より50ー60%値下がりしたという。

ダガン・ベイでは住宅購入者の区分所有権登録が円滑に行われておらず、碧桂園が破たんした場合、購入者は所有者であることを示す証拠の提出という余分な手間が必要になりそうだ。
(マレー・メイル、8月23日)

イポーのイオンモールに爆破予告、38歳の男を逮捕

【イポー=マレーシアBIZナビ】 ペラ州にある「イオンモール・イオン・クレバン店」で23日午後、爆破予告電話を受けて従業員と顧客が一時避難する騒ぎがあった。同店は同日の残りの営業を中止したが、安全が確認されたとして翌24日午前10時から営業を再開した。

イオンモールの従業員が爆破予告の電話を受けたことから、23日午後4時50分ごろ警察に通報した。午後5時半に従業員と客に対して建物から避難するよう命令が出され、王立マレーシア警察(PDRM)ペラ州警察本部の爆弾処理班や消防レスキュー局による爆発物の捜索が行われた。結局、不審物は見つからず、同日午後10時半に避難命令は解除された。

警察はこれと並行して脅迫電話に関する捜査を進め、23日午後9時半に同州タセクに住む38歳の男を逮捕し、犯行時に使用したと思われる通信デバイスも押収した。有罪となった場合は7年の禁固刑が課せられるという。