RE企業のリニコラ、住友商事と大規模バイオエネ開発で覚書締結

【クアラルンプール】 再生可能エネルギー(RE)企業リニコラ・ホールディングスは13日、マレーシアとインドネシアで大規模バイオエネルギーを共同開発することで、住友商事と覚書(MoU)を締結したと発表した。

計画では、パーム油生産時の残渣からバイオメタン、液化バイオメタン(LBM)、バイオメタノールなどのRE燃料の生産を目指す。リニコラは、タイの産業用電力会社Bグリム・パワーの支援を受けている。

覚書の調印式は、大阪・関西万博のマレーシアパビリオンで12日に行われた。住友商事のインドネシアエネルギーソリューション第2ユニット長の村松⾼市氏は「両社の専門知識とリソースを組み合わせ、低炭素エネルギーソリューションの新たな基準を確立することを目指す」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、5月13日)

自動車研究所が新規格を発表、次世代自動車を認定

【クアラルンプール】 マレーシア自動車・ロボット工学・IoT研究所(MARii)は、次世代車両(NxGV)規格をマレーシア自動車ショーで発表した。環境への負荷が軽い、また自動運転など将来に向けた移動手段への移行を後押しする産業規格で、取得は任意。

NxGV規格は、燃費、少なくともレベル3の自動運転、またコネクティビティーで一定の条件を満たした車両を認証する。主に電気自動車と、ハイブリッド車など燃費効率が高い自動車(EEV)が対象。レベル3の自動運転とは、特定の条件下で完全に自動運転が可能な段階。

より競争力のある次世代車両のエコシステム構築が狙いで、国家目標である二酸化炭素の排出削減にも貢献する。発表式で投資貿易産業省のハナフィ・サクリ副次官は「自動車の規格は排ガス削減にとどまらず、接続性、自動化をも包含したものでなければならない」と述べた。接続性とは、車両をインターネットなどのデバイスと接続し、様々な情報を送受信する機能のこと。
(モタオート、5月12日、ビジネス・トゥデー、5月13日)

新興農業企業CULTA、独自開発の高級イチゴをKLなどで発売

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 農業ベンチャー企業CULTA(本社・東京都小金井市)は12日、自社開発の独自品種を用いたプレミアムイチゴブランド「サクラドロップス」を、マレーシアのスーパーマーケットで販売を開始したと発表した。

サクラドロップスは高糖度と、輸送時などでの鮮度保持力を備えているのが特徴。2017年創業のCULTAでは、ゲノム情報を活用し交配育種の高速化に取り組んでおり、サクラドロップスもその技術を応用して開発された。現在、全国11都府県で計16軒の生産者に生産を委託し、収穫されたイチゴは原則全量を買い取り、一部を輸出している。

マレーシアで販売しているのは、スーパーマーケット・チェーンのジャヤ・グローサー3店舗と、クアラルンプール(KL)市タマンデサの「デ・マーケット」。日本円換算で約1,500―2,500円の価格帯で販売されているという。シンガポールでも発売しており、CULTAは今後、東南アジア市場でのさらなる展開を目指し、現地販売パートナーや、国内の生産者との連携を強化していく。

日本など4カ国のブリキ製品に反ダンピング課税

【クアラルンプール】 マレーシア政府は、日本、中国、インド、韓国の4カ国から輸入されたブリキ製品に対する反ダンピング調査をこのほど完了し、これらの国からの当該輸入品に向こう5年間、反ダンピング関税を課すことを決定したと発表した。

反ダンピング調査は、サドゥル・ティマ・マレーシア(ペルスティマ)が提出した申立てを受けて昨年8月14日に開始された。調査の結果、対象商品が輸出国での販売価格よりも低い価格でマレーシアに輸入されており、ダンピングに該当すると判断した。これを受けてこれらの輸入品には、2025年5月11日から2030年5月10日までの5年間、反ダンピング関税を課す。反ダンピング関税率は次の通り。
中国:2.42ー22.83%
インド:7.73ー20.84%
日本:0.00ー13.53%
韓国:21.60ー35.43%

これを受けて日本鉄鋼連盟の今井正会長は、日本鉄鋼業界はアンチダンピング調査への対応を通じ、日本製ブリキがマレーシア国内産業に損害を及ぼした事実はないことを主張してきたものの、マレーシア投資貿易産業省がダンピング認定したことは遺憾だとし業界としては詳細を精査し今後の対応を検討するとの声明を発表した。
(ザ・スター電子版、ビジネス・トゥデー、5月13日)

ユニクロ、ネグリセンビラン州初の路面店「セレンバン2」店開業

【クアラルンプール】 今年マレーシア進出15周年を迎えるカジュアル衣料のユニクロ(マレーシア)は9日、ネグリ・センビラン州初の路面店となる「セレンバン2」店をオープンした。

新店は、敷地面積1,413平方メートル、延床面積1,231平方メートルの大型店。バリアフリー設計で、メンズ、ウィメンズ、キッズ・ベビーウェアなどすべてを展開する。開店記念の限定商品などを求め、初日から多くの人でにぎわった。営業時間は午前10時―午後10時。

セレンバン2は、不動産開発のIJMランドが1995年から開発を手掛け、3,800エーカーの敷地に6万2,000人以上の住民が暮らす。ユニクロの新店の近くでは、44階建て778戸の住居棟と商業の複合施設の建設も進められており、IJMのチャイ・キアンスーン最高執行責任者(COO)は「ユニクロの出店は、セレンバン2が地域のライフスタイル拠点としての魅力を増していることの反映」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、シチズンズ・ジャーナル、5月9日)

配車サービスのインドライブとマキシムに営業停止命令=陸運局

【クアラルンプール】 公共陸運局(APAD)は、配車サービスのインドライブとマキシムに対し、違法な運行があったとして7月24日までに営業を停止するよう命じた。アンソニー・ローク運輸相が9日明らかにした。

営業停止となる2社はいずれもロシア発祥で、APADはそれぞれ2022年と2023年に、必要とされる免許を持たない運転手が運行していた疑いなどで家宅捜索。無免許に加え、義務付けられている車両検査の不履行や、保険未加入の運転手がいるなどとして、配車サービスの業界団体からも営業取り消しの強制措置を強く求める声が上がっていた。

ローク氏は「2社は不服申し立てはできるが、最終的な判断は運輸大臣である私に委ねられる」と付け加えた。APADには現在、配車サービスで21社が登録されているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、5月9日)

与党連合・人民正義党の役員選、アンワル党首が無投票再選

【クアラルンプール】 与党連合・希望同盟(PH)の中核党・人民正義党(PKR)の党役員選挙の候補者指名が5月9日正午に締め切られ、党首選ではアンワル・イブラヒム党首(首相)の無投票再選が決まった。党規約に準じてアンワル党首の任期はこれが最後となる。

ナンバー2である副党首選は、現職のラフィジ・ラムリ副党首(経済相)とアンワル首相の実娘で現職の指名党首補であるヌルル・イザ・アンワル氏による激戦の様相を呈している。

党首補選には合計12人が出馬する。現職のチャン・リーカン氏(科学技術革新相)、ニック・ナズミ・ニック・アハマド氏(天然資源・環境持続可能性相)、アミヌディン・ハルン氏(ネグリ・センビラン州首相)、アミルディン・シャリ (セランゴール州首相)が再出馬する。党首補の定員は4人だが、党最高評議会からの指名で増員される。

青年部部長は現職のムハンマド・カミル・アブドル・ムニム氏が無投票で当選を決めた。婦人部部長選は、現職のファドリナ・シデク氏(教育相)とロズィア・イスマイル氏(アンパン地区選出下院議員)の一騎打ちとなった。

PKRは全国党大会を2025年5月21―24日の日程でジョホールバルで開催する予定で、党役員選挙の投票日は5月23日に予定している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、5月10日)

「MH17便撃墜の責任はロシア側に」国際民間航空機関が認定

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ウクライナ東部上空を飛行していたマレーシア航空MH17便が撃墜され乗員乗客298人が死亡した11年前の事件について、国際民間航空機関(ICAO)理事会は12日、責任はロシアにあると認定した。ロイター通信などが報じた。

アムステルダム発クアラルンプール行きのMH17便は2014年7月14日、親ロシア派分離主義者とウクライナ軍の激しい戦闘の中、ロシア製の対空ミサイルで撃墜され、それぞれ196人、38人の国民が死亡したオランダとオーストラリアの両国が2022年、ロシアを相手取ってICAOに提訴していた。両国政府はICAO理事会が今後数週間のうちにどのような賠償が適切かを検討すると述べた。

オランダの裁判所は2022年11月、撃墜に関与したロシア人男性2人とウクライナ人男性1人を欠席裁判で殺人罪で有罪とした。ロシア側はこの判決を批判し、身柄引き渡しは行わないと主張して対立している。

オランダのフェルドカンプ外相は「MH17便のすべての犠牲者とその家族、そして愛する人たちのために、真実を明らかにし、正義と責任追及を実現するための重要な一歩だ」と述べた。オーストラリアのペニー・ウォン外相はICAOの決定を歓迎した上で、ICAOに対し救済策を迅速に決定するよう求めた。

中銀が預金準備率を引き下げ、銀行に資金流動性を供給

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は8日、預金準備率を16日付で2%から1%へ引き下げると発表した。銀行の資金流動性を増やすのが目的で14年ぶりの低水準となる。

準備預金制度の下、金融機関は顧客から受け入れている預金の一定比率以上の金額をBNMに預け入れることが義務付けられており、この比率が預金準備率。前回の準備率改定は2020年3月で、BNMは3%から2%へ引き下げていた。

BNMは声明で、準備率引き下げは金融システムへの十分な流動性の供給が目的で、銀行は金融市場の変動が増す中、資金流動性をよりよく管理できるとした。今回の改定で190億リンギの流動性が銀行システムに供給されるという。

BNMはまた、準備率改定は金融政策の変更を意味するものではなく、金融政策は翌日物政策金利が唯一の指針だと改めて強調した。
(BNM報道資料、エッジ、マレーシアン・リザーブ、5月8日)

丸紅などの合弁MRO、スバン空港に新整備施設を開設

【シャアラム】 丸紅などの合弁による航空機整備専門会社カーボンMROサービシズ(KMRO)は8日、セランゴール州のスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)で、拡張した整備施設の開設式を行った。

今回、主に格納庫を改装し、単通路のナローボディー機2機の整備を同時に行うことができるようにした。マレーシア民間航空局(CAAM)からすでに、ボーイング737とエアバスA320の両方の機種の整備を行うための認定を受けている。

また、傘下に新たにカーボン・エンジン・サービシズを設立。航空機エンジンに関する包括的なサービスを提供する。

KMROは2023年に、丸紅と、航空機整備などを手掛けるマレーシアのディビエーショングループの合弁で設立された。ディビエーショングループのケビン・テオ社長によると、1年以内に最大で航空機30機のMRO(保守・整備・オーバーオール)契約獲得を目標に、格納庫の稼働率の現在の10%からの向上を図る。

開設式には、丸紅執行役員の岡崎徹エアロスペース・モビリティ部門長らが出席。岡崎氏は、マレーシアは東南アジアの中心に位置し航空産業の発展に理想的とし「アジアにおけるプレゼンスを高め、マレーシアの航空産業の発展に貢献する」と述べた。

同じく式典に出席した投資貿易産業省(MITI)のハナフィ・サクリ副事務次官(産業担当)は日馬の協業による今回の取り組みを歓迎するとともに、米国の相互関税対象から航空宇宙産業を除外するよう交渉を行っていることを強調した。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、5月8日、ザ・スター、5月9日)