ペラ州議会補選、与党連合支援候補が当選

【クアラルンプール】 現職議員の死去に伴うペラ州議会アイル・クニン選挙区の補欠選挙の投開票が26日に行われ、与党連合・希望同盟(PH)と共闘する国民戦線(BN)に所属するモハマド・ユスリ・バキル氏(統一マレー国民組織=UMNO)が得票率60.7%で圧勝した。

統一マレー国民組織(UMNO)所属のイシュサム・シャハルディン議員(享年59)の死去を受けて実施されたもので、ユスリ氏はPHの支援もあり、野党連合・国民同盟(PN)が推したアブドル・ムハイミン・マレク氏(汎マレーシア・イスラム党=PAS)、諸派のマレーシア社会党(PSM)が推すバワニ・カニアパン氏を大差で破った。投票率は58.06%で2022年の前回選挙時から16.79%も下がり、選挙民の関心は薄かった。

2022年の総選挙ではBNが擁立したイシュサム氏のほか、PH、PN、PSM、政治連合「祖国運動」(GTA)が擁立した5人の候補者による争いとなり、イシュサム氏が38.73%の得票率で当選していた。

故イシュサム氏は元プロサッカー選手で、ペナンで行われたサッカーの試合中に倒れ、2月22日に亡くなった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、4月27日)

電子タバコ、セランゴール州が販売禁止を検討

【シャアラム/ペタリンジャヤ】 セランゴール州政府は電子タバコの販売禁止に乗り出す方針で、州公衆衛生・環境委員会の主導で、連邦政府機関を含めた利害関係者の会合を開く。ジャマリア・ジャマルディン委員長が明らかにした。

アヨブ・カン副警察長官が最近、電子タバコ吸引器具が合成薬品の吸引に乱用されているとし、各州政府に電子タバコの販売を規制するよう求めたことがきっかけ。これを受けセランゴール州のアミルディン・シャリ首相が、規制強化の用意があると発言していた。

セランゴール州当局は電子タバコ吸引器具の免許を交付しているが、電子タバコ製品(リキッド)は規制対象に含めていない。電子タバコではリキッドを気化し、冷えて霧状になったものを吸引する。

電子タバコを最初に禁止した州はジョホール州で、2016年に施行した。トレンガヌ州も8月から禁止する計画だ。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ビジネス・トゥデー、マレー・メイル、4月25日)

マレーシアのインターネット世帯利用率は96.8%

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は24日、2024年の情報通信技術(ICT)の利用およびアクセスに関するレポートを発表。世帯における利用率は携帯電話が99.5%、インターネットは96.8%で、ともに前年から微増だったが、有料テレビに関しては67.1%と、前年から9.9ポイントの減少となった。

テレビ、ラジオの利用率も携帯電話と同じく99.5%、コンピューターが92.2%だった。個人の利用率でみると、インターネットが最も高く98.0%、携帯電話が99.5%、コンピューターが80.7%で、いずれも前年から0.1―0.3ポイントの微増となった。都市部と農村部で比較すると、コンピューターが都市部では86.5%だったのに対し、農村部では64.3%と、差が大きかった。

またインターネットの主な利用目的として、最も多かったのはソーシャルネットワークが99.7%(前年99.4%)で、動画・音楽のストリーミングやオンラインゲームが94.3%(同93.9%)、商品やサービスの情報収集で93.0%(同92.8%)と続いた。

GDP予想は下方修正の必要も拙速は避ける=中銀総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のアブドル・ラシード総裁は、米ワシントンで開催中の世界銀行・国際通貨基金(IMF)春季会合で、関税、貿易の先行き不透明感から、国内総生産(GDP)成長予想を下方修正する必要が生じるとの認識を示した。しかし修正は急がず、世界貿易の展開を見定めるという。BNMは4.5-5.5%の成長予想を立てていた。ロイターが伝えた。

トランプ米国大統領が発表した関税措置をめぐり、テンク・ザフルル投資貿易産業相とアミル・ハムザ第2財務相が訪米中で、ジェイミーソン・グリア通商代表と会談する。交渉がまとまらなければ、マレーシアの対米輸出は7月から24%の関税が適用される。

現在3%に設定している政策金利についてアブドゥル・ラシード氏は「経済成長に望ましい水準であり、インフレ見通しを考慮している。重要なのは物価の安定で、金融政策が不確実性を増幅する事態は望まない」と述べた。
(エッジ、ザ・スター電子版、4月24日)

鉄道資産所有会社が日立レールと覚書、技術者千人を育成

【ペタリンジャヤ】 公共輸送機関の資産を所有する国営プラサラナ・マレーシアは日立レールの協力のもと、鉄道およびスマートモビリティー領域の技術者を育成するプログラムに着手する。5年間で1,000人を受け入れる。覚書締結が23日、行われた。

授業は11月に開始の予定で、電気バス作業、所有車両の保守、サイバーセキュリティーが重点分野。参加者には国が認めた技能証書が授与される。学習期間は9-12カ月で、座学、技術研修、現場学習で構成。1年間に200人を受け入れる。

日立レールは日立製作所の鉄道システム事業を担う会社。実際の支援には日立レールGTSが当たる。

プラサラナのアズハルディン最高経営責任者(CEO)は「鉄道だけでなく、人も創る。輸送システムの転換を主導する技術を身に着けさせる」と述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、ザ・サン電子版、4月23日)

国際宇宙港プロジェクト、パハン州が実現可能性調査を実施へ

【クアンタン】 パハン州政府は、同州開発公社(PKNP)が誘致を目指している国際宇宙港プロジェクトについて、向こう1年にわたる実現可能性調査の実施に合意した。実現すれば東南アジア初となる国際ロケット発射場となる。

同州投資・産業・科学技術・イノベーション委員会のモハマド・ニザル・モハマド・ナジブ委員長(国政の閣僚に相当)が州議会の質疑で明らかにした。同州政府はペカンのネナシに所有する土地を候補に挙げており、プロジェクトが実現した場合、早ければ3―5年で完成する見込みだ。

モハマド・ニザル氏は、計画が承認されれば2,350人の雇用を創出し、特に観光・研究分野において経済波及効果をもたらすと期待されていると言明。またPKNPが4月15日に中国長城工業集団(CGWIC)および航空宇宙産業開発に関与するレスタリ・アンカサと、マレーシアの宇宙技術分野の発展における戦略的協力関係構築に向けて基本合意書に署名したと明らかにした。

PKNPとレスタリ・アンカサは、パハン州における国際宇宙港プロジェクトの実現可能性調査および計画段階の一環として、5月に中国海南省文昌宇宙都市への実務訪問を行う予定。同州政府は現在、ゲベン、クアンタン、ペカンの3地域をカバーする航空宇宙都市開発に関する2つの提案を評価している。

マレーシアにおける国際ロケット発射場建設構想については、2023年12月に当時のチャン・リーカン科学技術革新相がパハン州とサバ州が候補に挙がっていると述べたと報じられた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、4月24日)

米のダンピング防止関税は域内に打撃=製造業連盟

【クアラルンプール】 米国商務省がマレーシアを含む東南アジア4カ国から輸入される太陽光電池に高率の反ダンピング関税を決定したことについて、マレーシア製造業者連盟(FMM)のソー・ティエンライ会長は「製造拠点である域内に深刻な影響を与える」と懸念を表明した。マレーシアは太陽光電池や電池を並べたパネルを生産し、米国や欧州に輸出してきた。

マレーシア半導体工業協会のウォン・シューハイ会長は、ソーラーパネルを生産しているのは主に中国系企業で、生産拠点を、関税率の低い、より中立的な国に移転せざるを得なくなると述べた。

米商務省の措置は、中国企業が生産した不当に安い太陽電池が、マレーシア、カンボジア、タイ、ベトナム経由で米国に大量に輸入され、国内産業に悪影響を与えているとの苦情に対処したもの。マレーシアに対する関税率は34.4%。

ソーFMM会長は「メーカーの生産計画に支障が生じる。投資の再考も必要になる。関税回避のため生産拠点の移転を余儀なくされる企業も出る」と述べた。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、4月23日)

イケア、ダマンサラ店の屋上に太陽光パネルを設置

【クアラルンプール】 スウェーデン系家具メーカー、イケア・マレーシアは、セランゴール州のダマンサラ店の屋上1万2,000平方メートルに2,668枚の太陽光パネルを設置した。

今回の太陽光パネルの設置で、年間2メガワット時(MWh)の発電量が見込まれ、同店のエネルギー需要の25%を賄うとともに、年間約1,330トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減するという。

イケア・マレーシア全体では、今回の分を合わせ2万枚超の太陽光パネルを設置し、年間発電量は6.3MWhに達した。また、イケアは2030年までに自宅への商品配送を全て持続可能な輸送手段で実現するという目標を掲げており、電気自動車を拡大していく。
(ビジネス・トゥデー、ザ・サン、4月22日)

IMFがGDP成長予想を下方修正、マレーシアは4.1%へ

【クアラルンプール】 国際通貨基金(IMF)はマレーシアの今年の国内総生産(GDP)増加率予想を、1月に立てた4.7%から4.1%へ下方修正した。米国政権による関税措置が主因だ。世界経済についても成長予想を3.3%から2.8%へ修正した。

IMFはインドネシア、フィリピン、タイなど域内諸国のGDP成長予想も下方修正した。IMFが理由として挙げたのは、2月以降に複数回にわたり米政権が発表した、貿易相手国に対する関税引き上げ措置で「4月2日の、ほぼすべての貿易相手国に対する関税引き上げの適用で世界の主要株式指標は暴落し、債券利回りは上昇した」とした。

世界経済は「重要な分岐点にある」とIMFは指摘。新型コロナウイルス禍ですべて国の工業生産は急減したが、回復は国によって異なったという。

中国での生産は急増し、欧州連合(EU)の小国や東南アジア5カ国(マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ)では増加した。しかし日本やEUの大国ではウイルス禍以前の水準に戻るのに困難を伴ったという。
(ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、ザ・スター電子版、4月23日)

フェローテックが第2工場を起工、1千人の雇用創出を予定

【クリム=アジアインフォネット】 フェローテックホールディングス(本社・東京都中央区)は22日、ケダ州クリム・ハイテク・パークで第2工場建設の起工式を行った。投資額は10億リンギ(2億2,600万米ドル)。これにより、同社のマレーシアへの総投資額は19億リンギに達する。

子会社、フェローテック・マニュファクチャリング・マレーシア(FTMM)が運営する第2工場は、面積が約8万平方メートルで、年内に完成する見通し。インダストリー4.0規格に沿って700台以上のコンピュータ数値制御(CNC)工作機械、スマート生産ライン、モノのインターネット(IoT)対応システム、予知保全機能を備える。

1,000人以上の高付加価値雇用の創出、フェローテックの半導体部品の精密製造能力強化が見込まれる。東南アジアにおけるフェローテックの事業基盤を強化し、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカを含むグローバル市場への迅速な納品、顧客サービスの向上、そしてイノベーションの推進を可能にすると期待されるという。

FTMMはマレーシアの半導体等装置関連製品の量産拠点として2022年設立。半導体等装置関連事業製品の製造販売(金属加工、ロボット組立、石英・セラミックス加工製造等)および化学洗浄、アルマイト、メッキなどの表面処理特殊工程に関するサービスを手掛けている。