AIを身に付けた大卒者3万人を輩出、高等教育省計画

【クアラルンプール】 高等教育省は人工知能(AI)技術を身に付けた大卒者を2025―30年の5年間で3万人、輩出する計画だ。下院議会における議員の質問にザンブリー高等教育相が回答した。

現在、11の公立大学の学士・修士・博士号課程で30の特別プログラムを提供しているが、AIをすべての学生が学べるよう、公立大の学士課程の80%にAIの要素を組み入れる。

ザンブリー氏は「AIは多様な学びの領域を横断しており、専門分野とみなすべきではない」と説明した。

人材育成を強化するためマレーシア工科大学にはAI学部を設け、ほかの2大学にはAI関連学部を設ける。また学業のあらゆる段階で学生がAI能力を高められるよう、就業実習型学習プログラムなどを大学に導入する。

AIが学生の創造性などに与える影響を考慮し、AIツールへの過剰な依存を防ぐべきとの質問に対し、ザンブリー氏は「AIへの過剰依存は創造性、批判的思考、さらには道徳的価値観に影響する可能性がある。技術の利用と人としての能力開発のバランスが必要だ」と述べた。
(マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、10月9日)

2027年度予算案発表、最低賃金2000リンギに引き上げ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は9日、下院議会に2027年度(27年1月1日ー12月31日)予算案を提出した。最低賃金引き上げや低・中所得層への現金給付、個人所得税控除の拡大などを盛り込み、経済成長と生産性向上、社会的包摂を重視する内容となった。

最低賃金は現行の月額1,700リンギから2,000リンギに引き上げ、2027年6月から適用する。年間売上高が5,000万リンギ未満の中小零細企業は最低賃金引き上げの対象外となる。

2010年以来見直しが行われてこなかった個人所得税の控除上限も、9,000リンギから1万2,000リンギに引き上げる。個人所得税控除の対象が拡大され、医療費、両親や祖父母の介護費、スポーツ用品費、教育費、技能訓練費、ライフスタイル経費などが対象となる。

■個人所得税、中小企業の法人所得税を減税■
個人所得税比率を1ポイント引き下げる。課税所得額7万―10万リンギの税率は18%に、10万―15万リンギは24%となる。一方、100万リンギ以上の高所得者に対する税率は一律30%とする。控除上限引き上げと個人所得税率の引き下げにより、約500万人の納税者に最大1,600リンギの追加可処分所得がもたらされると見込む。

中小零細企業(MSME)の法人所得税率は、課税所得の最初の15万リンギに対して14%、15万―60万リンギに対して16%にそれぞれ1ポイント引き下げる。

学歴や資格、スキルに見合った適正な給与が支払われていない現状を改めるため、準熟練労働者および新卒者の最低月給を2,500リンギとする制度を導入する。また政府系投資会社(GLIC)と政府系企業(GLC)について、生活賃金の基準を月額3,100リンギから3,400リンギに引き上げる。

環境税制優遇措置を2030年12月31日まで延長し、グリーンテクノロジープロジェクト、電気自動車充電ステーション、または自社利用のためのグリーン資産に投資する企業は、引き続き投資額の最大100%の税額控除を受けられる。

外国人の「カテゴリーI」就労パス保持者の配偶者を対象に、扶養家族パスを所持している場合、2027年1月1日から一定の条件の下でマレーシアで就労することを認める。またデジタルノマド向けビザ「DE Rantau Nomad Pass」の所有者を対象に、最長2年間の滞在制限(初回12カ月+更新12カ月)に達した際、特定の条件を満たすことで、さらに2年間の滞在・リモートワークの延長を認める。

生活支援策では、最大1,300万人を対象に、支援金「スンバンガン・アサス・ラフマ―(SARA=基礎的慈悲の寄付)」の給付金として100リンギを年2回支給する。また 「思いやり現金給付(STR)」の全受給者に対し、最大月150リンギの給付を実施する。

■予算規模は過去最高の4598億リンギ■
予算規模は前年度から3.6%増の4,598億リンギで過去最高となった。経常支出は3,768億リンギ、開発支出が830億リンギで、総予算の30.2%を教育省、保健省、国防省に配分する。

歳入は前年度比4.7%増加の3,808億リンギとなる見通し。持続的な歳入改善と支出効率化に支えられた財政健全化により、財政赤字は約790億リンギに減少する見込みで、対GDP比は前年度の3.6%から3.3%へ縮小する見込みだ。

補助金なし「RON95」4.67リンギに引き上げ、8日から

【クアラルンプール】 財務省は7日、8―14日の1週間の燃料小売価格を発表。レギュラーガソリン「RON95」の補助金なし価格を、前週の1リットル当たり4.52リンギから15セン引き上げ、4.67リンギとした。補助金適用外の「RON97」の価格も15セン引き上げ、5.00リンギから5.15リンギとなった。

一方、補助金なし「ユーロ5 B10」および「B15」ディーゼル、「ユーロ5 B7」ディーゼルの小売価格は据え置き、それぞれ5.27リンギ、5.47リンギとなった。

補助金付きの「RON95」の価格は1.99リンギ、「B10」および「B15」ディーゼル価格は2.10リンギで引き続き据え置く。

財務省は、原油価格が高いことに加え、中国が10月に入り国内在庫を優先し燃料輸出の大部分を停止したことなどから、国際市場で精製石油製品の供給が逼迫し、価格が高止まりしていると指摘。国内の燃料供給は十分に確保されているものの、引き続き注意が必要だとした。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、ポールタン、10月7日)

SSTを維持しつつGSTの仕組みの一部を取り入れ=副財務相

【クアラルンプール】 政府は売上・サービス税(SST)を維持しつつ、企業間取引で税が累積する「カスケード効果」や二重課税を防ぐために物品・サービス税(GST)の仕組みの一部を取り入れる方針だ。リュー・チントン副財務相が7日、下院議会で答弁した。

SSTを維持するのかGSTとのハイブリッド型に移行するのかとの野党議員の質問に対し、リュー氏はSSTを基本としながら、GSTの「適切な要素」を取り入れると説明。SSTを維持する理由として、制度が分かりやすく50年以上にわたり運用されてきたことを挙げた。

その上でリュー氏は、GSTは約48万社が徴税事業者となる必要があるのに対し、SSTでは約8万社にとどまると説明。またGSTでは税負担が消費者に直接転嫁されやすいとして、企業の累積課税を抑えながら消費者への影響も抑えるバランスを目指す考えを示した。

リュー氏によると、2026年の税収は同日までに1,296億リンギとなり、前年同期の1,191億リンギから9%増加した。法人所得税の増加に加え、飲食、保険、物流部門からのSST収入増が寄与した。政府は26年通年で3,431億リンギの税収を目標としている。

アンワル・イブラヒム首相は8月18日、SSTを維持しながら、税制の効率化につながるGSTの要素を取り入れる案を検討する考えを示していた。一方、アハマド・ザヒド副首相は9月11日の統一マレー国民組織(UMNO)党大会における政策演説でGST再導入を主張している。

GSTは2015年4月に税率6%で導入されたが、政権交代に伴い18年6月にゼロ税率化され、同年9月にSSTへ移行した。
(ザ・サン、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、10月7日)

マラッカ州議会選挙日程が決定、11月14日に投開票

【プトラジャヤ】 選挙委員会(EC)は7日に特別会議を開催し、9月23日付けで解散したマラッカ州議会(定数28)選挙の公示日を10月31日、期日前投票日を11月10日、投開票日を11月14日とする選挙日程を発表した。

各党派の解散前の議席数は、BNが20議席、国政与党連合である希望同盟(PH)は5議席、野党連合・国民同盟(PN)が3議席だった。同州議会は今年12月30日に任期満了を迎える予定だったが、7月のジョホール州議会選、8月のネグリ・センビラン州議会選でBNが連勝した勢いを駆って前倒し解散を決めた。

2021年の前回マラッカ州議会選挙では、BNが単独過半数となる21議席を獲得して州政府を樹立し、PHは5議席、PNは2議席にとどまった。しかし得票率はBNが38.39%、PHが35.83%、PNが24.31%と1、2位が接近しており、13選挙区の得票が1,000票未満の僅差だった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・サン、フリー・マレーシア・トゥデー、10月7日)

食品・飲料にA―Dの栄養評価表示制度、保健省が年内導入へ

【クアラルンプール】 保健省は早ければ年内にも、食品や飲料を対象とする新たな食品表示制度を導入する方針だ。栄養評価に基づきA―Dまでの4段階で評価し、包装の前面に表示するもので、予防的な健康施策の一環として位置づけている。

同省健康改革室の責任者、ヤップ・ウェイアウン氏が9月30日、「年末の官報掲載を目指している」と明らかにした。また、飲料に関して同様の評価制度「ニュートリ・グレード」を2022年から導入しているシンガポール政府とも、共同で委員会を設けて協議していると説明。両国は食品環境が似ていることから、協力して制度の導入を進めていくという。

例えば、糖分を多く含むなど栄養面でCやD評価になった製品について、学校での販売を制限したり、広告を規制したりする措置が導入される可能性がある。ヤップ氏は「人々のより健康的な食品選択への助けになると同時に、食品・飲料業界に対して、製品をより健康的なものにするための成分見直しを奨励する効果がある」と説明している。
(マレー・メイル、10月1日)

アンワル首相の政党からまた議員辞職、今年に入って4人目

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相が党首を務める与党連合・希望連盟(PH)の構成党、人民正義党(PKR)のリー・チアンチュン下院議員(ペタリンジャヤ選挙区)が2日、国会議員を辞職すると発表した。PKRの国会議員辞職は今年に入って4人目となる。

リー氏は、9月30日に党中央から党員資格を3年間停止するとの決定を受け、翌10月1日にはジョハリ・アブドル下院議長と面会して辞職を伝え、すでに辞職届を提出したという。10月5日にはPKRからも離党する。

リー氏は、都市再開発法(URA)、外国人労働者の採用制度、売上・サービス税(SST)、STPM修了者の大学入学を巡る不公平、セランゴール州の非イスラム教礼拝施設に関する指針などについて、党の方針に対して公然と意見を述べてきたことが党員資格停止の理由になった可能性があるとの見方を示した。

リー氏は、「党員資格を停止され議員として職務を十分に遂行できない状態でありながら、議員報酬を受け取り続けることは受け入れられないため議員辞職を決めた」と説明。また、アンワル政権の進む方向にも疑問を呈し、企業買収を巡る「企業マフィア」疑惑など、政府が関係する一連の問題を批判し、「連立政権を維持するために妥協することが正当化されるのか疑問を抱いている」とも述べた。

PKRでは昨年の党役員選挙を巡る党内対立が続いており、今年に入って副党首選で敗れたラフィジ・ラムリ元経済相、ニック・ナズミ元天然資源・環境気候変動相、ラフィジ氏の盟友であるウォン・チェン下院議員が議員辞職・離党を発表した。

今回の辞職により、下院でのPKRの議席は27、希望連盟(PH)は75となる。統一政府の議席数は149となり、憲法改正に必要な3分の2の148票をわずか1票上回る水準となった。これにより、司法長官と検察官の職務分離や、首相在任期間を10年に制限する案など、3分の2以上の賛成を必要とする憲法改正をアンワル政権が進める上で、議席確保がより難しくなる可能性がある。次期国会は10月5日に再開し、12月8日まで開会する予定。

セランゴール州政府、鉄道産業ハブを整備

【シャアラム】 セランゴール州政府は、東南アジアにおける鉄道車両の現地組立、システム統合、人材育成の拠点として「セランゴール鉄道産業ハブ」を整備する。州政府傘下の投資誘致機関インベスト・セランゴールが22日、発表した。

ハブの開発は3段階に分けて行われる。第1段階としては、同州フル・セランゴールの工業団地内にある政府系の規格策定・認証機関SIRIMの3万6,000平方フィートの施設を活用。マレーシア鉄道産業規格に基づく技術的検証や適合性評価などを実施する。

第2段階では、SIRIMに隣接する8ヘクタールの敷地で組み立て・試験活動を拡大。第3段階では、その工業団地から約2キロ離れた場所に、51ヘクタールの鉄道専用工業団地を新たに整備する。

ハブの中核機能を担う企業として、▽MMCグループ傘下のエンジニアリング会社、MMCエンジニアリング▽自動車などの革シートカバー製造ペッカ・グループ傘下のペッカ・レザー▽列車運転シミュレーター開発のエクセル・アイテック――の3社が、SIRIMに関心表明書(LOI)を提出している。
(ビジネス・トゥデー、ザ・スター、ザ・サン、9月29日)

マハティール元首相夫人のハスマ氏死去、100歳

【クアラルンプール】 マハティール・モハマド元首相の妻、シティ・ハスマ氏が28日午前9時25分ごろ、クアラルンプールの国立心臓病研究所で亡くなった。100歳だった。

同氏はセランゴール州クラン出身で、女性医師の草分けとして医療、公衆衛生、社会福祉の分野で長きにわたり活躍した。

シンガポールの医科大学時代に知り合ったマハティール氏と、大学卒業翌年の1956年に結婚。マハティール氏が首相を務めた2期計24年あまりにわたり、ファーストレディーとして夫を支えた。夫妻の間には4人の実子と、3人の養子がいる。

今年7月にはマハティール氏が101歳、ハスマ氏が100歳を迎え、8月には夫妻がともに100歳以上となったことを記念する認定式が開かれた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、ザ・サン、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、9月28日)

東海岸鉄道をタイ国境まで延伸へ、マレーシア・中国が提案合意

【杭州】 アンワル・イブラヒム首相は24日、訪問先の中国・杭州で記者会見を開き、東海岸鉄道(ECRL)をクランタン州コタバルからタイ国境のランタウ・パンジャンまで延伸する提案について、中国側と合意したと明らかにした。

アンワル首相は、延伸区間はタイとの直接的な鉄道輸送網につながるほか、これまで開発が遅れていたクランタン州の遠隔地域の経済活動を刺激する効果が期待されると強調。タイのアヌティン首相との協議でも、同提案について前向きな反応を得たと述べた。

ただ、延伸計画はまだ最終決定されたものではなく、アンワル首相は今後、関係機関や利害関係者との協議を進めた上で、閣議に諮るとしている。今回の発表では、延伸区間の距離や事業費、完成時期などの詳細は明らかにされていない。

現在のECRLは全長665キロメートルで、コタバルとセランゴール州ポートクランを結ぶ計画。20駅を設置し、このうち10駅は旅客専用、残る10駅は貨物と旅客の双方を扱う。

アンワル首相は同日、中国の李強首相との首脳協議にも臨み、両国および東南アジア諸国連合(ASEAN)が直面する戦略的課題などについて協議した。米中間の関税や貿易圧力については、マレーシアは中立の立場を維持し、米国との直接対話を続けていると説明した。

アンワル首相は杭州で開催された「第5回グローバル・デジタル貿易博覧会」におけるマレーシア館開設式にも出席。同館では15の出展者がデジタル貿易、人工知能(AI)、クラウドサービス、スマートヘルスケア、越境電子商取引などを紹介した。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、9月24日)