フルタイム配車運転手へのガソリン補助金割当量を800リットルに

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は4日、レギュラーガソリン「RON95」の新補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」に基づくフルタイムの配車サービス運転手の月間割当量を、規定の走行条件を満たすことを条件に800リットルに引き上げると発表した。

空港タクシーも補助金支給対象に加える。下院議会の答弁に立ったアンワル首相は、月間割当量が600リットルでは不十分だというフルタイム運転手の意見を考慮したものだと説明。800リットルは走行距離5,000キロメートルに相当すると述べた。

フルタイム配車運転手の割当量引き上げは今回で2度目。政府は既に10月13日に約5万8,000人を対象に月間割当量を月300リットルから600リットルに引き上げていた。

アンワル首相はまた、ガソリン補助金統制制度(SKPS)に基づくRON95の補助金対象車両に空港タクシーを含めることを決定したと明らかにした。

アンワル首相によると、一般受給者の補助金付きRON95の月平均使用量はわずか98リットルで月間割当量の300リットルのわずか33%に過ぎず、上限を超えたのは受給者のわずか0.7%程度にとどまっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、エッジ、11月4日)

拡大ASEAN国防相会議、小泉大臣らが協力深化を確認

【クアラルンプール】 拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)が1日、クアラルンプールで開催され、カレド・ノルディン国防相や、日本からは小泉進次郎防衛相らが出席。ASEANと日本の防衛協力を深化させることなどを確認した。

会議冒頭で、カレド氏が「防衛協力においても、日本はASEANにとって最も重要な国の一つ」と強調。小泉氏は、自然災害時の人道支援や、海洋安全保障などに重点を置き、「繁栄し続けるインド太平洋という未来に向け、ともに取り組んでいきたい」と述べた。

また小泉氏は、12日のマレーシア滞在中、中国の董軍国防相や、米国のヘグセス国防長官、韓国の安圭伯国防相ら計8カ国の防衛相らと相次いで個別会談を実施した。董氏には、中国軍による東シナ海や太平洋での活動活発化に深刻な懸念を伝える一方、日米韓の3氏で記念撮影を行い、結束をアピールした。

一方、カレド氏も会議の合間にヘグセス国防長官と二国間協議に臨んだ。40年以上にわたる二国間防衛関係と地域平和と安定への共通のコミットメントを再確認し、南シナ海などでの協力をさらに強化する新たな覚書(MOUに署名した。

(マレーシアン・リザーブ、1031日、111日、防衛省発表資料)

ASEAN関連首脳会議、半導体関税・地域の安定などが議題に

【クアラルンプール】 ドナルド・トランプ米国大統領は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議に出席するため26日にマレーシア入りするが、一連の会議では半導体関税、貿易、投資、安全保障、地域の安定が議題に上ると予想されるという。エドガード・カガン駐マレーシア米国大使がベルナマ通信との会見で明らかにした。

カガン氏は「米国企業による巨額の投資が半導体分野でなされており、マレーシアは米国にとり極めて重要なパートナーだ。トランプ氏の滞在中、関税が議題に取り上げられる」と述べた。

米国へのマレーシアからの半導体輸出が引き続き関税除外の措置を受ける可能性について、カガン氏は「コメントできる立場にないが、マレーシアは米国にとり半導体における極めて重要なパートナーだ」と重ねて強調した。

トランプ大統領が参加首脳と個別会談を持つ可能性を問われたのに対し、カガン氏は「米国大統領が海外を訪問する時、主催者と会うのが決まりだ」とアンワル・イブラヒム首相との会談の可能性を示唆した。
(エッジ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月23日)

SIMカード購入制限を来年から強化へ、外国人は2枚まで

【クアラルンプール】 政府は、オンライン詐欺や不正利用の増加を受け、携帯電話用のプリペイドSIMカードの購入を、マレーシア人の場合は通信会社1社につき2枚まで、外国人の場合は全社合計で2枚までに制限する方針だ。テオ・ニーチン副通信相が22日、下院議会質疑で明らかにした。

テオ氏によると、規制強化の新ガイドラインは2026年第1四半期の施行を目指している。マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)を通じ、見直しに向けた公聴手続きを進めている。現在は、通信会社1社につき5枚まで購入が可能。

近年、オンライン詐欺や、人工知能(AI)を使った偽情報、ソーシャルメディアアカウントの不正利用が問題になっており、特に外国人の場合、捜査時の追跡が難航しがちという。ユーザーの年齢と身元確認の強化も検討しているという。
(マレー・メイル、エッジ、10月22日)

トランプ大統領が26日に来馬、ASEAN首脳会議に出席へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ドナルド・トランプ米大統領は、第47回東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に出席するため、10月26日にマレーシアを訪問する。ファ―ミ・ファジル通信相兼政府報道官が明らかにした。トランプ大統領にとり昨年11月の2期目の就任以降初めてのマレーシア訪問となる。

ASEAN首脳会議は10月26日から28日まで開催され、ASEAN加盟10カ国すべてと、米国、中国、日本、インドを含む対話パートナー国の首脳が一堂に会する予定となっている。同首脳会議では地域経済協力、持続可能な開発、安全保障問題などが議論の中心になるとみられる。

先に就任した高市早苗首相もASEAN首脳会議に出席する意向を示しており、ホストであるアンワル・イブラヒム首相も「高市首相の首脳会議出席を楽しみにしている」との声明を発表している。

トランプ大統領は訪馬後、27日から3日間にわたって日本に滞在する予定。その後は韓国で10月31日から11月1日にかけて開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する予定だ。

トランプ大統領の訪馬に合わせてマレーシアの市民社会団体と政治団体の連合は、26日午前中にアンパン・パークで「トランプ、あなたはマレーシアで歓迎されていない」と題した抗議デモを計画している。同デモはマレーシア統一民主同盟(MUDA)、祖国戦士党(ペジュアン)、マレーシア・イスラム青年団(ABIM)、マレーシア・イスラム組織諮問評議会(MAPIM)など、20以上の参加団体の支援を受けている。

家庭からの電子廃棄物、企業責任でリサイクル法制化

【クアラルンプール】 政府は、電子廃棄物(eーwaste)管理に関する法的枠組みを策定中だ。拡大生産者責任(EPR)を導入し、メーカーや小売業者などに一般家庭からの廃棄物の回収・リサイクルの責任を負わせる。

今回の枠組みでは、家庭から出されるテレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、パソコン、携帯電話の6つが主な対象となる。EPRは、製品の製造から廃棄までのライフサイクル全体にわたり、生産者(メーカー、小売業など)が責任を負う考え方。日本では、2000年に制定された「循環型社会形成推進基本法」などを通じ導入されているが、マレーシアではこれまで法的には盛り込まれていなかった。

電子廃棄物の処理業者には「1974年環境品質法」に基づくライセンス取得と、環境影響評価(EIA)の提出を義務づけるという。政府は今後、環境局(DOE)を通じ、企業や一般などからパブリックコメントを募るなど、最終的な法制化を進める。

また、天然資源・環境持続可能性相を兼任するジョハリ・アブドル・ガニ農園一次産業相は、電子廃棄物の輸入はすでに禁止されていることを改めて強調。加えて、国際協力機構(JICA)を通じて日本政府が技術支援を提供すると言明した。
(ビジネス・トゥデー、10月16日)

高度人材や投資家向けのビザ要件など見直しへ

【クアラルンプール】 政府は高度人材や投資家向けのビザ要件などを見直す方針だ。2026年度予算案でアンワル・イブラヒム首相が明らかにした。

まず、高度人材向けの居住者パス(RPーT)について、従来は雇用パス(EP)を通じ3年間のマレーシアでの就労実績が確認されていたが、今後は確認不要になる。引き続き収入要件などはあるが、RPーTが認められれば、10年間、滞在・就労が可能になる。

また、今年4月に導入された投資家向けビザについては、これまでは希望者からの申請に基づく形だったが、今後はマレーシア投資開発庁(MIDA)がより積極的に関与し、電気・電子(E&E)など主要産業の潜在的投資家にビザ取得を働きかけていくという。このマルチエントリービザは、有効期間は6カ月で、必要に応じて6カ月間の延長が可能とされてきたが、延長手続きの簡素化を進め、最長12カ月の滞在をより容易にする。

さらに、東南アジア諸国連合(ASEAN)内での熟練人材の移動促進に向け、「ASEANビジネス・エンタイティ」(ABE)制度を導入。他国で取得した資格の認証簡素化など、中規模企業を中心に地域展開を支援していく。

また、マレーシア国民の配偶者と死別や離婚した外国人で子供がいる場合、居住者パスを申請すれば、5年間の滞在・就労が可能となる。従来は滞在資格を失い身分が不安定になりがちだったため、人道的な配慮が講じられることになった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月9日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、10月10日)

サラワク州で500ヘクタールのカカオ農園を開発=農園一次産業省

【クアラルンプール】 農園・一次産業省は、第13次マレーシア計画(13MP、対象期間2026-30年)に基づき、サラワク州をマレーシアの主要生産拠点とするため新たに500ヘクタールのカカオ農園を開発する方針だ。チャン・フーンヒン副大臣が下院議会質疑で明らかにした。

チャン氏によると、サラワク州政府およびマレーシア・カカオ委員会との協力により、サラワク・カカオ開発プログラムが来年開始される見込み。同省は、請負業者の選定、参加者の登録、アウトソーシングによるカカオ栽培の開発など、植栽活動に3年間で1ヘクタールあたり3万5,000リンギを充当する。

同省は13MPに基づき、サラワク州内の600ヘクタールに及ぶ既存の小規模農家800戸に対しても、1ヘクタールあたり年間3,000リンギの予算で農業資材と機材を提供する予定だ。

同省は第12次マレーシア計画(12MP、対象期間2021-25年)にて、マレーシア・カカオ委員会を通じてサラワク州で700万リンギ相当の5つの主要プログラムを既に実施しており、これにはアサジャヤ・セブヤ・シムンジャン地域を対象とする生産効率向上のためのカカオ増収プログラム、高級フレーバーおよびオーガニックカカオ栽培資材開発プログラム、311.4ヘクタールに及ぶ329戸の農家を対象とした近代化プログラムが含まれる。
(ザ・サン、ベルナマ通信、10月9日)

「RON95」補助金、新たに漁業従事者など3.1万人を対象に

【プトラジャヤ】 先ごろ施行されたレギュラーガソリン「RON95」の新たな補助金制度「BUDI95」について、財務省は新たに3つのグループに対象を拡大すると発表した。これにより全国で3万1,000人以上が恩恵を受ける見込みだ。

新たに「BUDI95」の対象となったのは、マレーシア漁業開発公社(LKIM)に登録されている1万7,900人以上の漁業従事者、サバ州港湾局に登録されている4,300人以上の個人船舶所有者、道路運輸局(RTD)に登録されている9,700人以上の新規運転免許証取得者。政府はサバ州とサラワク州を中心に無免許ボート利用者に関する追加データをまとめているという。

財務省はまた、公共陸運局(APAD)と配車サービス(e-hailing)事業者との間で、フルタイム配車サービス運転手の月間燃料利用限度額を300リットル以上に引き上げる協議が進められていることを明らかにした。配車サービス運転手については財務省が先ごろ、10月15日から補助金の追加受給資格を与えることに合意したと発表していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、10月7日)

レギュラーガソリンの価格メカニズム見直しへ=国内取引物価省

【サイバージャヤ】 国内取引物価省(KPDN)は、レギュラーガソリン「RON95」の自動価格設定メカニズム(APM)の料金見直しを近く発表する見通しだ。今後、所得者層ごとにRON95の補助金額が変わる可能性を踏まえ、負担の増加が見込まれるガソリンスタンドの経営を支援する狙いがある。

APMは全国のガソリン価格を統一的に販売するための制度。RON95の販売価格(補助金なし)は、現在のAPMでは、▽原油価格▽ガソリンスタンドの運営コスト▽石油会社の利益率▽ガソリン販売業者の利益率▽その他調整――の5つの要素で構成され、原油価格以外は固定値が設定されている。

今回、この固定値の部分を見直す見通し。KPDNは石油会社やガソリンスタンド協会と協議し、すでにAPMの見直し案を財務省に提出済みという。

RON95の新補助金制度「BUDI95」では、現状はマレーシア国民は一律の補助金付き額で販売されているが、今後所得者層ごとに補助額が変わる可能性がある。そうなると、ガソリンスタンドは管理コストが増え、経営への影響が懸念される。

また、BUDI95の対象外の外国人などは、APM見直しの影響を直接受けることになる。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、10月3日)