パハン州政権奪取ならゲンティンのカジノ廃止=イスラム党

【テメルロー】 イスラム原理主義政党、汎マレーシア・イスラム党(PAS)パハン州支部は、2028年2月までの実施が予定されている次期総選挙で、同州政権を奪取した際には賭博ビジネスを禁止すると言明。同州屈指の観光地、ゲンティン・ハイランドのカジノを廃止する方針を明らかにした。

州支部のアンダンスラ・ラブ副支部長は、いかなる決定も関連する法的枠組みに従う必要があり、州政府の権限内に限定されると言明。「たとえばゲンティン・ハイランドのカジノは法律上、州政府で自由にできない可能性があり、連邦政府の介入が必要になる可能性がある。そのため我々の行動が制限される可能性がある」と速やかに実現できるかは定かでないとの見方を示した。

クランタン州とトレンガヌ州は、それぞれ1990年と2020年に、あらゆる形態のギャンブルを禁止した。ケダ州は2023年以降、認可ギャンブル活動を事実上すべて禁止し、ペルリス州も今年3月から、ギャンブル施設への営業許可の発行を停止し、事実上の廃業に追い込んだ。

パハン州は現在、国政与党連合を結成している国民戦線(BN)と希望同盟(PH)の連立政権が率いている。 2022年11月の前回総選挙(GE15)では、BNは17議席、PHは8議席を獲得し、PASが中心となった野党連合・国民同盟(PN)も17議席を獲得した。

(マレー・メイル、エッジ、9月15日)

南シナ海のEEZ内の探査は継続=アンワル首相

【ウラジオストク/クアラルンプール=アジアインフォネット】 南シナ海の排他的経済水域(EEZ)内でマレーシアが進めている石油・ガス探査について今年2月に中国から抗議文が送られてきた件で、アンワル・イブラヒム首相は、中国の主張に関係なく探査を継続する意向を示した。

ロシアを公式訪問中のアンワル首相は、マレーシアの探査活動は自国の領土内で行われており、友好関係にある中国に対して挑発的・敵対的な意図はないと強調。「我々は自国の海域で活動し、自国の領土内で石油掘削を含む経済的優位性を確保する必要がある」とした上で、「我々は(中国との)協議の可能性を否定したことはない。しかしそれは我々の領海での活動を停止しなければならないという意味ではない」と正当性を主張した。

8月29日付けで中国が抗議文を在中国マレーシア大使館に送付したと報じたのは、南シナ海を巡って中国と対立を深めるフィリピンの「デイリー・インクワイアラー」紙。これを受けてマレーシア外務省は、中国外務省との外交機密文書の漏洩があったとして調査する考えを明らかにした。

報道を受けてアンワル首相は、詳細は伏せた上で、中国がマレーシアに対して石油探査活動を停止するよう1、2通の抗議文書を送ってきたことを認めたが、マレーシア政府は引き続き北京に自国の立場を説明していくと強調した。アンワル政権は経済面を中心に親中政策をとっており、国内的には南シナ海問題では弱腰との批判にも晒されている。

南シナ海について中国は、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、台湾、ベトナムが主張するEEZのほぼ全域の主権を主張している。国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は、マレーシアの南シナ海のEEZ内で石油・ガス田の開発を行っており、近年、中国の巡視船と何度も接触している。

ハーグの常設仲裁裁判所は2016年、中国が主張する南シナ海の約90%に対する権利は国際法上根拠がないとの判決を下したが、中国側はこの判決を認めていない。

露プーチン大統領、BRICSサミットへアンワル首相を招待

【ウラジオストク】 第9回東方経済フォーラム(EEF)出席のためロシア極東を訪問したアンワル・イブラヒム首相は4日、ロシアのプーチン大統領から10月22―24日の日程でロシア・カザンで開催される次期BRICSサミットへの招待を受け、これを受諾したことを明らかにした。

プーチン大統領からの招待は、ワーキングディナーの最中に直接本人から伝えられたもので、アンワル首相は自身のフェイスブック上で、「ロシアにとってマレーシアがいかに重要であるかを明確に証明するもので、BRICSに参加するという我々の最終目標に向けた重要な一歩だ」と述べた。

BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、イラン、エジプト、エチオピア、アラブ首長国連邦で構成される政府間組織で、アンワル首相は先にBRICSへの参加の意向を示しており、7月に参加申請書を送付したとされる。

アンワル首相はまたロシアとの二カ国会議中に、マレーシアが議長国を務める2025年東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議にプーチン大統領を招待したことを明らかにした。

アンワル首相の訪露はこれが初めてで、プーチン大統領との会談もこれが初めて。

(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、9月4日)

マレーシア、「BRICS」加盟を正式申請

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は28日、マレーシアが新興国の連合体「BRICS」への加盟を正式に申請したことを明らかにした。

首相官邸は声明で、「BRICS」議長国であるロシアに加盟申請書を送付したと公表。ロシアのラブロフ外相は、マレーシアの申請書を受け取ったことを確認したと述べた。スプートニク通信によると、ラブロフ外相は「我々はこの意向を積極的に支持し、議長国として支持する」と述べたという。

アンワル首相は6月18日、ブラジルのルラ・ダシルバ大統領に対し、マレーシアの「BRICS」加盟の意向を伝えたことを公表。7月28日にはマレーシアを訪問したロシアのラブロフ外相の会談の中で「BRICS」加盟が議題に上ったという。

経済協力プラットフォームとして2009年に設立された「BRICS」は、当初ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国で構成され、その頭文字をとって「BRICS」と呼ばれるようになった。2010年には南アフリカが加盟、2024年1月にはイラン、エジプト、エチオピア、アラブ首長国連邦が加盟し9カ国体制となっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、7月30日、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、ベルナマ通信、7月29日)

BRICSに加えOECD加盟も検討中=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル投資貿易産業相は、経済協力開発機構(OECD)を含むいくつかの国際機関への加盟を検討中であることを明らかにした。国際機関への加盟については、先ごろアンワル・イブラヒム首相がBRICS(ブリックス)加盟を希望していることを明らかにしている。

22日の上院議会での質疑に応じたザフルル氏は、マレーシアは自国の経済発展やすべての貿易相手国、特に世界の経済大国との良好な関係のバランスを保つため、独立性、原則性、実利性を重視した外交政策を続けると言明。「マレーシアは多角的アプローチをとり、国の利益が常に守られるようにする」と国際機関加盟を進める理由を説明した。

その上でザフルル氏は、マレーシアが貿易国として常にすべての相手国との経済協力の強化に重点を置いてきたことはこれまでの東南アジア諸国連合(ASEAN)や国連、イスラム協力機構(OIC)で積極的役割を果たしてきたことで証明されると強調。BRICS諸国の国内総生産(GDP)総額は26.6兆米ドルと推定され、世界のGDPの26.2%を占めるとし、BRICS加盟の動きも国や国民の利益のために経済を推進する取り組みに沿ったものだと述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、7月22日)

BRICS加盟手続きを近く開始へ=アンワル首相

【ドーハ/ペタリンジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は中国の李強首相によるマレーシア訪問を前に、中国メディア「大報版」との会見に応じ、BRICS(ブリックス)加盟を希望していることを明らかにした。加盟の意向を議長国ブラジルに伝えており、ブラジルの対応をまって加盟手続きを開始するという。

ブリックスはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国の英語の頭文字を並べたもので、著しい経済成長が見込まれる新興国の代表。2024年にサウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラン、エジプト、エチオピアの5カ国が加盟し、10カ国体制になった。

アンワル氏は中国の台頭を「世界に抑制と均衡が存在するとの、かすかな希望の光をもたらした」と称賛。習近平国家主席はアジアの価値復活の重要性を認識していると指摘した。さらに「初めて習主席と会った際、引き付けられた。文明を語ることができる、傑出した指導者のひとりだ」と語った。

アンワル氏はまた国際貿易における米ドル支配を批判したルーラ・ブラジル大統領の発言に賛意を表明。「マレーシア、中国間貿易に無関係の通貨が支配的地位にいる。国際通貨として利用されている、というだけの理由で」と語った。
(アルジャジーラ、フリー・マレーシア・トゥデー、6月18日)

MM2H申請業者の認可取消、サラワク州も強く反発

【サントゥボン】 外国人の長期滞在を奨励する「サラワクーマレーシア・マイ・セカンドホーム(サラワクMM2H)」プログラムを独自規格で行っているサラワク州政府は、連邦政府・観光芸術文化省(MOTAC)が突然、申請代行業者のライセンスを全国的に取り消す通達を出したことへの反発を強めている。

サラワク州のカリム・ラーマン・ハムザ観光・クリエイティブ産業・舞台芸術相は、MOTACが同州に対して自身の意向を押し付けていると非難。突然の取消通達のためにサラワクMM2Hが機能不全に陥ったとし、同州が独自で行っているサラワクMM2Hプログラムと連邦政府のMM2Hプログラムとの関係を完全に断つことも辞さないと警告した。

その上でカリム氏は、サラワク州には移民問題に関する自治権があり、観光についてはすでに連邦政府の専管リストから外され、連邦と州政府の両方が管轄権をもつ並行リストに載せられていることを尊重しなければならないと言明。より規格が緩いサラワクMM2Hでは申請が90%増加した一方で、規格を厳格化した半島部のMM2Hでは90%減少したが、それは連邦政府の政策ミスであってサラワク州のミスではないと反論した。

サラワクMM2Hでは申請者の最低定期預金額が15万リンギであるのに対し、連邦政府のMM2Hは100万リンギといったように、サラワクMM2Hの規定は大幅に緩やかになっている。

MOTACは5月27日付けで、サバ・サラワク州を含む全国でMM2H申請を扱うすべての認可代行業者に業務停止を命じる通達を出した。このためサラワク州と同様に独自規格の「サバMM2H」の実施に向けて準備してきたサバ州は6月からの実施予定を延期するとし、MOTACを強く批判している。
(ザ・バイブス、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、6月7日)

「国家半導体戦略」第1期発表、5千億リンギの投資誘致目指す

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は28日、投資貿易産業省(MITI)が主導する「国家半導体戦略(NSS)」の詳細を発表。NSS第1期に250億リンギを割り当て、5,000億リンギの投資を誘致することを目指すと明らかにした。

アンワル首相は同日開幕した、半導体産業の国際展示会「セミコン東南アジア2024」の基調講演で、NSS第1期では、集積回路(IC)設計、先端パッケージング、製造装置を中心とした国内直接投資(DDI)と、ウェハ・ファブ(ウェハを集積回路にする施設)、製造装置を中心とした外国直接投資(FDI)の誘致を目指すと言明。第1期ではさらに設計と先端パッケージングで、売上高10ー47億リンギの現地企業を少なくとも10社、売上高10億リンギの半導体関連企業を100社設立し、賃上げを実現したいと述べた。

研究・開発(R&D)面では、世界トップクラスの大学や企業のR&Dセンターを擁する、半導体の世界的R&D拠点となることを目指す。NSS運用に250億リンギの財政支援を行い、高スキルエンジニア6万人も育成する。

NSS第1期では基盤構築を目的とし、現状では多くの人手が必要となっている、半導体製造後工程アウトソーシング(OSAT)の近代化を支援する。第2期では先端技術への移行を目指し、最先端のロジックとメモリーチップの設計、製造、テストを支援する。第3期では、世界トップクラスのマレーシア半導体設計、先端パッケージング、製造装置企業の発展を支援すると同時に、米アップルや中国ファーウェイ(華為技術)、同レノボなどの先端チップのバイヤーを誘致し、マレーシアでの先端製造を追求する。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、5月28日)

対象を絞った補助金、まずディーゼル油を対象に実施へ=首相

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アンワル・イブラヒム首相は21日夜にテレビ演説を行い、対象を絞った補助金制度について、まずはディーゼル油を対象にマレー半島部に絞って実施すると発表した。すべての利用者を対象としていたこれまでの補助金制度を見直すことにより、年間40億リンギの補助金が節約される見通しだ。

ディーゼル・エンジン車が普及しているサバ・サラワク州は市民生活への影響が大きいため対象外とする。実施時期については、関係省庁から後日発表されると述べるにとどまった。アンワル首相は、水道や電気代に対象を絞った補助金を導入した際と同様に大部分の国民には影響はないとの見方を強調した。

新制度の対象となる半島部では、モノやサービス価格の急激な上昇を抑えるため、商用ディーゼル車を使用する業者向けに補助金を支給する。補助金が支給されるセクターはディーゼル補助金管理制度(SKDS)に基づくバスやタクシーなどの10種類の公共交通車両と23種類の貨物輸送車両、漁業者が含まれる。また小規模農家、コメ農家、小規模販売業者など自家用ディーゼル車の所有者には現金支援を行う。

アンワル首相は、新たな補助金制度では商売、農業、鉱業、畜産業、漁業などでディーゼルを使用する必要がある下から40%の低所得者層(B40)および40%の中間所得者層(M40)を対象としており、20%を占める高所得者(T20)や380万人いるとされる外国人には付与しないと述べた。

首相の中央アジア3カ国訪問、24億リンギ相当の潜在的輸出確保

【クアラルンプール】 投資貿易産業省(MITI)は、5月15ー19日に行われたアンワル・イブラヒム首相の初のキルギス、カザフスタン、ウズベキスタンの中央アジア3カ国公式訪問により、24億リンギ相当のモノとサービスに関する潜在的な輸出を確保できたと発表した。

アンワル首相と共に3カ国を訪問したテンク・ザフルル投資貿易産業相によると、潜在的な輸出セクターは、電気・電子(E&E)、パーム油・パーム油製品、日用消費財(FMCG)、エネルギー・産業ソリューション、食品・飲料(F&B)、家具、 ハラル(イスラムの戒律に則った)製品・サービス、石油・ガス(O&G)、建材および建設、専門サービス、宝飾品などで、カザフスタンとウズベキスタンにおける個別の円卓会議で産業界の代表が確約した。

カザフスタンの首都アスタナでは同国のオルジャス・ベクテノフ首相とアンワル首相が共同議長を務め、鉱業、O&G、エネルギー、建設、FMCG、観光などの分野を代表するカザフスタン企業12社の著名なビジネスリーダー26人とマレーシア代表団による円卓会議が開催された。

ウズベキスタンのサマルカンドでは、同国のジャムシド・ホジャエフ副首相とアンワル首相が共同議長を務め、製薬、建設、不動産、O&G、小売、流通、金融サービスなどのウズベキスタンの大手企業やマレーシア企業の代表200人以上が参加するハイレベル・ビジネス・フォーラムが開催された。

このほかアンワル首相は、マレーシアの団体とカザフスタンおよびウズベキスタンの団体との間で8件の覚書(MoU)締結式に立ち会った。覚書の1つは、マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)とウズベキスタン商工会議所(CCIU)の間で交わされたもので、貿易促進、訓練・教育、研究開発に関する協力に向けたもの。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月21日)