【クアラルンプール=マレーシアBIZ】 マレーシア投資開発庁(MIDA)は8日、日本など世界13カ国でオーディオ製品および楽器を手掛けるミュージック・トライブが、国外企業の拠点設立を誘致する優遇措置「プリンシパル・ハブ(PH)」のインセンティブの下、マレーシアに本社を設立すると発表した。
第4次産業革命(インダストリー4.0)による完全ロボット化の製造施設を、ケダ州クリム・ハイテクパーク(KHTP)に建設する。面積は20.23ヘクタール(50エーカー)。土地取得は4週間で完了した。建設に当たりマイクロソフトとシーメンスと協働で完全な「デジタルツイン」または仮想表現を設計している。2021年末までに操業を開始する。
ミュージック・トライブは同プロジェクトの下、グローバル・デジタルトランスフォーメーション(DX)の先導およびグローバル・リーダーシップ、監督機能の統合を図る。また拡張現実(AR)および仮想現実(VR)による顧客体験を向上させることを目的とした最先端のデジタルプラットフォームの実装を担当する新しいデジタルリーダーシップチームを配置する。
同プロジェクトについてアズミン・アリ上級相(兼通産相)は、MIDAが掲げる「ライトハウス・プロジェクト」(人工知能・付加製造・インダストリー4.0を推奨するイニシアティブ)に沿ったものとコメント。国際企業の戦略的で質の高い投資を誘致する国家の努力の証だと述べた。マレーシアは、熟練した人材、業界のエコシステム、ビジネスサポートにおいて、国際企業の投資先として適切な水準にあると評価した。また同プロジェクトの実装が成功し最新テクノロジーが採用されることで、最終的に世界トップの製造国になることを目指すとした。
同プロジェクトはデザイン、製造、eコマース、マーケティング、アフターサービスに至るまでのサプライチェーン全体をデジタル化することを目的としており、研究開発(R&D)、サプライチェーン、自動化、eコマース、マーケティング、金融などの分野で雇用機会の創出が見込めるとの見解を示した。
マレーシアでの事業展開についてミュージック・トライブの創設者であるウリ・ベリンガ最高経営責任者(CEO)は、政府のサポート、顧客との近接性、人材、サプライチェーンを本社設立先に選んだ理由として説明した。