ショッピングモールの客足、50ー70%に回復

【クアラルンプール】 復興のための行動制限令(RMCO)への移行に伴い、ショッピングモールでの客足が50ー70%回復している。
マレーシア・ショッピングモール協会(PKK)のテオ・チアンコック会長は、シンガポール紙「ストレーツ・タイムズ」の取材に対して、行動制限令(MCO)が施行された3−5月の小売業界の損失額は18億リンギに上るが、客足の回復に伴い、売り上げは最大40%回復していると明らかにした。
またマレーシア全土に7つのショッピングモールを運営するサンウェイ・モールズ・アンド・テーマパークスのHCチャン最高経営責任者(CEO)も、すべてのモールで来店客数が60ー70%戻りつつあり、テナントの売り上げが30ー40%回復しているとコメント。娯楽やレジャー・セクターで営業が再開されたことで更なる集客が見込めるとした上で、2020年末までに客足が75ー85%まで回復するとの楽観的な見方を示した。
8月31日までのRMCO施行期間においてマレーシア政府は、▽人数制限▽体温チェック▽連絡先追跡の登録ーーなど条件に企業活動の再開を認めている。
新型コロナウイルスの影響でマレーシアの国内総生産(GDP)成長率は鈍化が見込まれており、世界銀行は先ごろ、今年通年の成長率予想をマイナス3.1%に下方修正した。
(マレー・メイル、7月1日、ストレーツ・タイムズ、6月26日)

起業しやすい新興都市ランキング、KLは11位に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 米調査会社スタートアップ・ゲノムが発表した「2020年スタートアップ・エコシステム・ランキング」で、今後の成長が期待できる新興都市ランキングでクアラルンプール(KL)が11位となった。
今回の調査では、マレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)が協力して、KLのベンチマーク(パフォーマンス)を測定した。KLのエコシステムの価値は153億米ドル(655億リンギ)で、世界平均を上回り3位となった。また初期の資金調達額は9,900万米ドルで、世界平均の430万米ドルを上回った。スタートアップ企業がKLを選ぶ理由としては、生活費の低さ、生活の質の高さ、人材、ビザの発行プロセスの迅速性、政府の支援などが挙がった。
トップはムンバイで、2位はジャカルタ、3位はチューリッヒ、4位はヘルシンキ、5位は広州市となった。そのほか東南アジアからはマニラが31ー40位、バンコクが51ー60位、ホーチミンが71ー80位に入った。

与党連合と友党が会議、ムヒディン内閣支持で一致

【プトラジャヤ=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は、1日に与党連合・国民連盟(PN)及び友党の党首と非公開会議を行ないムヒディン内閣を支持していくことで一致したと明らかにした。
ムヒディン首相はフェイスブックに20枚の写真と共に投稿し、「すべての党首はムヒディン政権への支持を表明し、政治的安定、国民の幸福、国の繁栄のための理解と協力を約束した」としている。近々の実施が囁かれている総選挙に向けた話し合いが行なわれたとみられる。

 会議は2時間にわたって行なわれ、PN構成党からは統一プリブミ党(PPBM)のハムザ・ザイヌディン書記長、統一マレー国民組織(UMNO)のアハマド・ザヒド総裁、汎マレーシア・イスラム党(PAS)のハディ・アワン党首、マレーシア華人協会(MCA)のウィー・カション党首、マレーシア・インド人会議(MIC)のヴィグネスワラン・サナシー党首が出席。
友党からは▽アバン・ジョハリ(サラワク・ブミプトラ保守党=PBB党首)▽シム・クイヒエン(サラワク統一人民党=SUPP党首)▽ティオン・キンシン(民主進歩党=SPDP党首)▽ジェームズ・マシン(サラワク人民党=PRS党首)▽マキシマス・オンキリ(サバ統一党=PBS党首)▽ジョセフ・クルップ(サバ団結党=PBRS党首)▽ジェフリー・キティンガン(サバ国土連帯党=STAR党首)——の各氏が出席した。
野党側が統一首相候補人選でマハティール・モハマド前首相と希望同盟(PH)リーダーのアンワル・イブラヒム人民正義党(PKR)党首が対立しており、PN構成党内からは野党の足並みが揃わないうちに解散・総選挙を行なうべきとの声が上がっている。ムヒディン首相も選挙準備を進めるようPPBM支部に指示したとされる。

海外在住の日本人へのメッセージ

パナソニック・マネジメント・マレーシアの副社長で、最近までマレーシア日本人商工会議所(JACTIM)の会頭を務めていた井水啓之さん。マレーシアに23社あるパナソニック・グループ会社を束ねる司令塔として、マレーシアの4年間を含めてこれまで複数の国で働いて来られた井水さんに日本人が海外で働く上での助言をいただいた。

日本人とマレーシア人はいい組み合わせ

マレーシアで素晴らしいなと思うところは大きく二つあって、一つは豊富な日本食など日本と変わらないレベルの生活を送るためのいろいろな環境が整っており、しかもコストが安いことですね。

日本人とマレーシアという組み合わせもなかなかいいものがあって、生真面目でルールを守る日本人とおおらかさのあるマレーシア人、でもアジアに共通するセンシティビティというか、シャイな部分など共有しているし、いい組み合わせではないかと思います。

私個人として気をつけている点ですが、自分が外国人であるということ、常に謙虚にマレーシア人から学びたいという気持ちを大切にしています。マレーシアは親日的な国ですし、マレーシアから教わることも多いです。

世界を俯瞰する

二つ目は、自分の目標でもあるのですが、世界を知る、俯瞰するということ、世界で起こっていることを客観的に歴史や宗教も踏まえて自分なりに理解するということが、ここにいるとやりやすいという点です。

一部の大メディアに情報を依存しているような状態にあった日本における生活に比べて、もっとフレキシブルに広い見方や考え方に接することができるようになりました。
是非もっとたくさんの日本の皆さんにマレーシアに来て頂いて、マレーシアからみた世界、日本を学んでいただきたい。そうすればより豊かな人生を送れるんじゃないかなと思います。
マレーシアに来て4年半になりますが、私はマレーシアが大好きですしマレーシアに感謝しています。

政府と企業の距離の近さ

もう一つのマレーシアのいいところは、政府と企業の距離が近いということです。私は4年間マレーシア政府とダイレクトなコミュニケーションを続けてきましたが、今回の新型コロナウイルス「Covid-19」のような状況にあって凄く役に立っています。

新型コロナ感染対策では標準的運用手順(SOP)を巡って大変でした。日本は省令を決めようとするなら、几帳面に関連するものをみんなで議論して詰めていきますが、マレーシアは事前調整をせずに先にボーンと発信してから、産業界の声を聞きながら、調整していく傾向があります。

つまり、マレーシアの良いところは、産業界と直接、会話をするところです。東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でみてもそこは素晴らしい点だと思います。大臣にも直接会えるし、事務次官とも会える。こちらの話を聞いてくれる。政府と距離が近い。これは素晴らしいと思います。

日本人の価値観を伝える

そうはいっても価値観や仕事の進め方が日本人とマレーシア人では大きく違います。やはりそういうところで我々がお手伝いできるところがあるかと思います。日本で勉強してきた5Sの重要性とか、意味をマレーシア人に伝えていきたいですね。内村鑑三や松下幸之助が言っていたことですが、まず道徳が良くなければ政治が良くならない。政治が良くならなければ経済が良くならない。
第二次世界大戦以降、日本人は経済が良くならないと道徳が良くならないと思い込んでいるかもしれませんが、経済を良くしようと思えば政治が良くならないといけないと思います。

その政治を良くしようと思ったら、やはり国民の道徳観、モラルが非常に大事であり、日本人の強みは昔からそこにあったはずなんです。5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)が大事だというのはその辺りの考え方に立脚している訳なんですが、道徳観念が、しっかりしていないとアウトプットが出て来ないと思います。

確かに合理化などは進んでいくと思いますが、人間としての価値観とか産業人、企業人としての心がけのようなものをもっていないといけないと思います。なので我々の役割はこうしたことを伝えていくことだと思います。またそうしていけばマレーシアはもっと良い国になるのではないかと思いますね。

中・長期的なビジョンの大切さ

私は30年間人事をやってきました。大きな事業構造改革に人事責任者として関わる仕事が多かったんですが、合併・買収(M&A)も3回経験しましたし、新しい工場展開、工場の閉鎖、人員削減などをずっとやってきました。そうしたことをやってきて、その時々にそれなりにやり遂げたという達成感は確かにありました。

しかし今考えると目先のことをやってきたのではないかと思うんです。人事の分野で事業を小さくしたり、統合したりといったことをやってきましたが、いざ振り返るとなんだったんだろうなと思うことが多々あります。

そういうことを踏まえて、反省点としては中長期的なビジョンをもって進めてこられなかったという点があります。この会社をどういう会社にしたいのか、そうした会社にするには人事がどうあるべきなのか、何をもって達成したのかという評価基準、KPIを設定して、中長期的ビジョンに立って人事マネジメントができなかったと感じています。

文化と組織と人の掛け算

事業が強くなるというのは、「文化」と「組織」と「人」の掛け算ではないかと思うんです。多様性のある文化と自立した多様な知見をもった人が集まって能力を如何なく発揮して、共に助け合いながらモノを作っていく、競争していくという価値を創出できるような会社であったのかと。そういうことについてもっと目指すべきではなかったのかなと思います。

パナソニックではベーシック・ビジネス・フィロソフィ(BBP=経営理念)と呼んでいるのですが、会社の経営理念というものが唯一、グループ全体をグローバルで束ねていけるものなんですね。この価値観をしっかりローカルの人たちと共有することはとても大事なことなんです。実際それなりにローカルの幹部が育っている会社はうまくいっています。やはりローカルを動かすのは現地の習慣や言語でみてもローカルです。

日本人は、技術は教えられるかもしれませんが、マネジメントするのは簡単ではない。やはりしっかりしたローカルを育てて、彼らに任せて経営していくというのが大事です。技術移管も大事なんですが、それだけではしっかりした経営はできないと思います。

そして我々は日々の仕事を通じてヴァリューを教える。お金を稼ぐよりコンプライアンスを守る、ルールを守ることの方が大事なんだと教えないといけない。なぜそれが大事なのかということを教えることが日本人の役割ではないかと思います。

MM2H申請手続き、7月6日から入管が担当

【クアラルンプール】 出入国管理局は、観光芸術文化省が主導してきた外国人の長期滞在を奨励する「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」プログラムについて、7月6日からは同局が全面的に取り扱うと発表した。
これまではプログラムの新規申請や更新については観光芸術文化省が受け付け、出入国管理局に回されてパスポートにステッカーが貼られることになっていた。今後はプトラジャヤの出入国管理局本部に出向いて申請する必要がある。海外にいるビザ保有者がマレーシアに戻るための申請のみ観光芸術文化省が受け付けるという。
MM2Hプログラムの申請代行業者によると、観光芸術文化省の申請センターが最近になって閉鎖され、新規申請が出来ない状態になっている。今後の取り扱いに関しては後日発表されると通知されたという。
外国人移民向けの情報提供などを行なっているザ・エクスパット・グループ(TEG)のアンドリュー・デイビソン最高経営責任者(CEO)は、最近では申請の90%が却下されていたが、申請センターの閉鎖により申請自体がまったく出来ない状態になっていると述べていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、7月1、2日)

編集後記 07.03

多数の方のご協力のもと、弊社のホームページを7月1日に無事開設することができました。
感想記事の提出にご協力頂いた購読者様、インタビューにご協力頂いた企業のトップの方々、方針変更にご理解を頂いた購読者様、ウェブ関連での取引先、デザイナー、記事を執筆する弊社編集など実際に動いてみて想像以上の方々と関わりがあり、時間を要する期間でした。同時に、一人ではできることも限られると痛感もしました。
この場をお借りして、関わって頂いたすべての方に感謝申し上げます。

また、マレーシアではRMCOへ移行し、飲食店でのイートイン、コンドミニアムでの運動などできなかったことが許可されるようになりました。

移動制限前には、見えているようで見えていなかった「つい当たり前となっていた」ことに気づかされることの多いこの頃です。
今の初心や、感謝できる気持ちを大切に、これからの仕事に生かしていきたく、こちらの記事に記載しました。(い)

新型コロナ感染者が新たに3人、入院中感染者数は85人に減少

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は2日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から3人増えて8,643人になったと発表した。

新規感染者のうち1人は海外で感染し帰国したマレーシア人。2人は国内で感染したマレーシア人と外国人だった。また新たに62人が退院し回復者数は8,437人に増加。これにより入院中の感染者数は85人となった。死者数は19日連続でゼロだった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は1日、同日の新規感染者において国内感染者がゼロだったことを受け、「新しいミッションは向こう28日間において国内感染者数ゼロを維持することだ」と言明。国民全員が標準運用手順(SOP)を順守し続ければ、同ミッションを達成できると確信していると主張した。