国境再開は慎重に検討する必要=イスマイル上級相

【プトラジャヤ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は8月28日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大の懸念が再び高まっているため人の行き来を認めることに関しては慎重に扱う必要があるとし、国境再開に関する判断は規制緩和を進めるに当たって最後の決定になると述べた。
タイやインドネシアからの労働者の入国を認めるために国境を再開することを検討したが、国境を再開した国で感染者が増加していたり、感染者が入国するケースがみられると強調。27日に行われた特別閣僚会合では、国境再開には慎重に臨むことで合意したと明らかにした。
エアアジア・グループのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)が先ごろ、東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々に向けて感染拡大の抑制に成功したとみなされる「グリーンゾーン国・地域」に対して国境の解放を求めていたことについては、イスマイル氏は、グリーン・ゾーンと見なすことができる国はないと強調。政府はこれまで、日本、シンガポール、豪州、ブルネイ、ニュージーランド、韓国を「グリーンゾーン国」としていたが、数カ国では感染者が増加しているとして再検討する必要があるとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月29日、ベルナマ通信、8月28日)

復興のための行動制限令の延長、シンクタンクが批判

【クアラルンプール】 連邦政府が復興のための行動制限令(RMCO)を年内延長する方針を決めたことについて、シンクタンクの民主主義経済問題研究所(IDEAS)は、すでに新型コロナウイルス「Covid-19」がコントロール下に置かれているとして疑問を呈した。
IDEASの学術教育的イニシアチブであるセンター・フォー・マーケット・エデュケーション(CME)は「過去2か月、新規感染数の7日間の平均は常に15人未満で、1日当たりの死者数は同0.14人未満となっている」と指摘。大量感染は起きておらず、重症化も少ないことを意味しているとした。
またノール・ヒシャム保健省事務次官が言及したような「スーパースプレッダー」の存在についても感染者数からも疑問であり、シンガポールの研究者もこれを否定していると指摘。むしろRMCO延長による経済への影響の方が遥かに大きく、失業者の増加といった被害の方が甚大になる可能性があるとした。
その上で、規制緩和と感染拡大のリスクのトレードオフを考慮した健全な分析に基づく政策を実施すべきだと指摘。経済は生命で成り立っているいるため、感染死だけでなく国境閉鎖政策によって失われる可能性のある人命についても考慮すべきだとした。
(フリー・マレーシア・トゥデー、8月29日)

新型コロナ感染者は新たに6人、うち2人がケダで感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は31日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から6人増えて9,340人になったと発表した。

新規感染者のうち4人はシンガポールからの入国者。残り2人はケダ州で感染した。新たに6人が退院し治癒者数は9,054人に増加した。死者数は2日連続で1人増えて127人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は30日、2つのクラスターが新たに発生したと明らかにした。一つ目はセランゴール州クラン港の船の乗組員(外国人)から発生した「MVグレン・クラスター」で、同乗組員と海運会社に勤めるマレーシア人の2人が感染した。二つ目はケダ州アロースターにあるスルタナ・バヒヤ病院から検出された「テラガ・クラスター」。感染者は病院の従業員2人で、新型コロナの診察や治療は行っていなかったという。病院の従業員および家族374人が検査を受けたが、同感染者以外の372人は陰性だったため、病院は通常通り開院している。

海外で感染した入国者について、ノール事務次官によるとインドネシアで感染した入国者が最も多く295人(32.6%)に上ったことが分かった。これにエジプト(93人、10.3%)とシンガポール(70人、7.7%)が続いた。28日までに10万6,793人が入国し、うち904人の感染者が検出された。

復興のための行動制限令、年末まで延長

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は8月28日、復興のための行動制限令(RMCO)を12月31日まで延長すると発表した。

 行動制限令(MCO)を緩和したRMCOは8月31日までとなっていたが、海外からの新型コロナウイルス「Covid-19」第2波の流入懸念が消えないことから、これまでの国境管理を続ける。ナイトクラブやエンターテインメントセンター営業、外国からの観光客の入国は引き続き禁止する。観客を入れたスポーツイベントも禁じる。国家災害管理局(Nadma)が管理する新型コロナ基金も12月31日まで延長される。
ムヒディン首相は「国民の日常活動は通常どおり続行でき、標準的運用手順(SOP)を順守によって国民生活が阻害されることはないと確信している」と言明。感染拡大地域に対してはこれまで通り、対象を絞ったMCOで対処すると述べた。
連邦政府は3月18日にMCOを発令し、5月4日から条件付きMCO(CMCO)に移行し、大部分の経済活動を緩和。6月10日からはほとんどの社会活動を認めるRMCOに移行していた。