「安倍首相はビジョン持つリーダー」ムヒディン首相が評価

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 安倍晋三首相が8月28日に辞任を発表したことを受け、ムヒディン・ヤシン首相は「ビジョンを持つリーダーであり、マレーシアと日本の双方向の関係拡大における大きな役割を果たした」と評価した上で安倍首相の病状を気遣った。

ムヒディン首相は自身のフェイスブック上で、「安倍政権を通じてマレーシアと日本はより緊密な関係を築いただけでなく、多くの新しい協力の機会を模索することができた」と指摘。東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係についても、「日本との関係が彼(安倍首相)の指導の下で有意義な成果を残した」とした上で、「安倍首相の辞任はマレーシアの人々を含む多くの人々を驚かせた。安倍首相がすぐに元気になることを祈った」と述べた。

安倍首相の辞任は、中国寄りの華字紙「星州日報」や「南洋商報」も29日付けでトップで報じた。

配車「グラブ」で改造アプリ横行、客を横取り?

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 配車サービス「グラブ」の運転手の間で、先にとった予約が違法ツールや改造アプリを使用した別の運転手に横取りされるケースが起きている。グラブ運営会社も事態を認識しており、こうしたケースが起きた場合に会社に報告して欲しいと呼び掛けている。

被害を受けたある運転手によると、こうした「横取り」行為は30リンギ以上の長距離で起きるという。予約を受けた直後15—30秒でキャンセル通知が送信されてくるケースが過去2カ月に4回あった。最初は単に顧客によるキャンセルだと思っていたが、他の運転手も同様な目に遭っていることが分かったという。

「グラブ」プラットフォームは、顧客や運転手の位置などのさまざまな要因に基づいて配車を決めている。「アジアワン」によると、シンガポールでもマレーシアと同様に改造アプリが使用されとみられる事例が発生しているという。

JTB、5日間のオンライン就業体験プログラムを開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 JTBグループの目的型旅行(SIT)に特化したJTBガイアレック(本社・東京都豊島区)は、将来国際的に活躍するグローバル人材育成を後押しすべく、日本とマレーシアをオンラインでつないで行う5日間の就業体験プログラムを9月1日から発売すると発表した。
JTBマレーシア・クアラルンプール(KL)支店とオンラインでつなぎ、現地スタッフおよびマレーシア政府観光局(ツーリズム・マレーシア)によるレクチャー&ワークショップでマレーシア旅行の需要やムスリム旅行に必須のハラル(イスラムの戒律に則った)市場について学ぶことができる。同プログラムでは旅行業の視点から「社会課題に対する関心と教養」、「コミュニケーション能力」、「問題解決力」などの国際的素養を身に着けることを目的としている。
参加費用は2万5,000円。▽11月2ー6日(申し込みは10月2日まで)▽2021年2月15ー19日(同2021年1月25日まで)▽2021年3月1ー5日(同2021年1月29日まで)▽2021年3月15ー19日(同2021年2月12日まで)ーーのスケジュールで、4回開催する。最少催行人員は5人で、18歳以上が対象。参加にはウェビナーツールの「ズーム」または「マイクロソフト・チームズ」をインストールする必要がある。

新型コロナ感染者は新たに6人、うち2人が国内感染者

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は2日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から6人増えて9,360人になったと発表した。

新規感染者のうち4人はインドネシアとシリアからの入国者。残り2人はケダ州とパハン州で感染した。新たに4人が退院し治癒者数は9,079人増加。死者数はゼロで128人を維持した。

保健省のノール・ヒシャム事務次官によると、サバ州ラハダトゥで新たなクラスター「ベンテンLDクラスター」が発生した。ラハダトゥ警察に拘留中の被疑者が関連しており、感染者数はマレーシア人1人と不法滞在の外国人6人の合計7人に上った。これまでに50人がスクリーニング検査を受け、うち43人は陰性だった。

ケダ州で拡大する「タワル・クラスター」において、感染力が10倍高い新型コロナの変異株「D614G」を保有する感染者が3人検出された。現時点で国内最大規模となっている「タワル・クラスター」は3次感染にまで拡大しており、感染者数は75人に上った。ノール事務次官は「D614G」が同クラスターの急速な拡大を促したとの見解を示した。

「現代の奴隷制度」ドリアン農家が州政府に反発

新型コロナウイルス「Covid-19」流行でドリアンの国内需要が減っている中、2019年に無加工ドリアンの輸出が始まった中国がドリアンの販売を牽引しており、第1四半期の輸出額は9,400万リンギに達している。金のなる木には人が集まるもので、パハン州ラウブでは州政府と農家が政策を巡って対立を続けている

同地区には高級ドリアン品種「ムサン・キング」を生産する農家が多くあるが、合法化の名目で州政府によって「現代の奴隷制度」の下に置かれそうになっていると主張。「ムサン・キングを守る会(Samka)」を称して政策撤回を求めている。

発端は、パハン州政府と同州スルタン王族の合弁会社、RPDP-PKPPが同州ラウブにマレーシア最大のドリアン処理センターの建設計画を発表したこと。需要が急拡大している中国向けドリアン生産を一手に手掛ける計画だった。

パハン州政府は6月24日にラウブの5,357エーカーの土地30年間のリース及び使用権をRPDP-PKPPに与えたが、これに基づきRPDP-PKPPはリース地のドリアン農家がこれまで違法に土地を使用していたと主張し、立ち退きを拒否する農家に対して、8月9日を回答期限として10年単位でのサブリース契約に応じるよう迫っているという。

Samkaによると、RPDP-PKPPからは今年1エーカー当たり6,000リンギの地代、ドリアン生産量に基づく1エーカーあたり最高2万リンギの支払いを求められている。サブリース契約は毎年一定量のドリアンをRPDP-PKPPへ販売する義務、農民によるドリアンの自由売買・自家用消費の禁止、無許可での農園への出入禁止——などが盛り込まれているという。

Samkaはこれまでパハン州政府に土地所有権の確認とライセンス申請を繰り返し行なっていたが、州政府からはなんら反応がなかったと主張。これまでにドリアン農家がパハン州政府に課されていたのは1エーカーあたり50リンギだけだったとし、RPDP-PKPPの新たな要求は法外且つ不平等なものだと反発している。

Samkaメンバーら200人あまりは24日、抗議活動を行い「荒地の時は誰も耕そうとしないが、一旦開墾されればそれを利用しようと人が争う」と甘い汁だけ吸おうとする州政府を批判。農園拡大にこれまで苦労してきた自分たちの権利を尊重すべきと訴えた。

一方、RPDP-PKPP側は、ドリアン生産の企業化について大口輸出先の中国がドリアンがマレーシア適正農業慣行(MyGAP)認定農場産のものしか輸入を認めていないためだとして正当化している。

同問題に関わっているパハン州議会のチョウ・ユーフイ議員は、ブランド化され急増している「ムサン・キング」の需要に応えるためにドリアン農家が低品質のドリアン栽培を強いられる可能性があると指摘。最終的にマレーシアのドリアンに対する評価を下げる恐れがあるとしている。

なおクアンタン高等裁判所は、ドリアン農家の差し止め請求を受理。10月28日の司法審査のヒアリングが行なわれるまでの期間、農家に対する取り締まりを禁じると命じた。農家はこれで一息ついた格好だが、農家の権利が今後認められるかどうかは不透明だ。

(マレーシアBIZナビ編集部)

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ムヒディン内閣支持率、下降傾向も69%維持=世論調査

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 世論調査のムルデカ・センターが実施した最新の世論調査で、ムヒディン・ヤシン内閣の支持率が69%に達していることが分かった。

 同調査は7月15日から8月10日にかけて電話を通じて聞き取る形で実施され、21歳以上の男女3,415人が回答した。ムヒディン首相の支持率は5月には72%だったが、6月には74%にアップ。その後は横ばいを続け、8月時点では69%に下がった。
8月時点の支持率を民族別でみると、マレー系が93%、インド系は65%で、華人は33%だった。マハティール・モハマド政権末期の2月との比較では、マレー系、インド系は政権支持率が大幅に上がった(2月はそれぞれ36%、25%)が、華人だけは低下した(2月は39%)。
政党(党派)別の支持率は、国民連盟(PN)が51%、国民戦線(BN)が40%、汎マレーシア・イスラム党(PAS)が39%、国民コンセンサス(Muafakat Nasional)が37%、統一プリブミ党(PPBM)が28%、希望同盟(PH)が25%だった。
現政権のパフォーマンスについては、新型コロナウイルス「Covid-19」対策に関して「満足している」との回答は93%、弱者支援については68%、経済マネジメントについては61%と高めだったが、雇用創出については41%、汚職との戦いについては38%にとどまった。
国の方向性については、「正しい方向に向かっている」は5月時点では58%だったが、8月は51%に下がった。国が直面している最大の問題については、58.8%が経済を挙げ、保健・衛生が10.1%、犯罪・治安や民族問題、政治問題はひと桁台にとどまった。