アンワル氏の政権奪取宣言、「マハティール派は支持せず」

【クアラルンプール】 先ごろマハティー・モハマド前首相が結党を宣言した新党・祖国戦士党(ペジュアン)のムクリズ・マハティール党首(前ケダ州首相)は、同党が新政権樹立のために希望同盟(PH)率いるアンワル・イブラヒム元副首相を支持することはないと言明した。
ムクリズ氏は、これまでアンワル氏及びアンワル氏が党首と務める人民正義党(PKR)と新政権樹立に向けた会談に呼ばれたことがないと言明。にも関わらずアンワル氏が下院議会で過半数の支持を得ていると主張していることは奇妙だと述べた。
ムクリズ氏は、マハティール支持派がペジュアンのほか、サバ遺産党(ワリサン)、キナバル進歩統一組織(UPKO)、マレーシア統一民主同盟(MUDA)をあわせて18議席有していると指摘。恐らくアンワル氏が主張する過半数にはマハティール派は入っていないのだろうと述べ、もし過半数獲得が事実であれば証拠を示すべきだと主張した。
アンワル氏は先ごろ、下院議会で全体の3分の2近い過半数の支持を獲得したと主張。アブドラ国王とも謁見の許可を得ているとして、自身を首班とした政権交代が実現すると発表していた。ただ肝心のアブドラ国王は病気で入院中で謁見のメドはたっていない。
アンワル氏は過半数支持獲得の根拠として統一マレー国民組織(UMNO)議員の大量くら替えを示唆しているが、くら替え議員と名前の挙がった19人のうち少なくとも4人はくら替えを否定している。
(マレー・メイル、9月27日)

ビジネス向け「グリーンチャネル」導入を=中国商工会議所

【クアラルンプール】 マレーシア・中国商工会議所(MCCC)は26日、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大の抑制に成功したとみなされる「グリーンゾーン国」の現地企業、駐在員、外国人投資家のマレーシアへの入出国を認める「グリーンチャネル」の導入を政府に提案した。
MCCCのタン・ユーシン会頭は、開発、不動産、製造などあらゆる面での投資において現地でのやり取りや視察を行う場合があるため、ビジネスマンが28日以上の隔離およびその費用を負担していると指摘。標準運用手順(SOP)を遵守する限り企業は独自の判断を下すことができるとし「グリーンチャネル」の導入は問題にならないと主張した。経済回復と新型コロナ抑制の2つのバランスが取れた対策を実施するためには複数の政策を講じる必要があるとの考えを示した。
MCCCは同日、経済成長を促すため中小企業(SME)におけるデジタル変革の促進および、個人税と法人税を削減し国民への負担を軽減する財政援助を提供するよう政府に要請した。
MCCCによると先ごろ行われた年次総会では、経済、政治、社会、女性起業家、教育における10つ議案が可決された。SMEの国際市場への進出支援や、国のインフラストラクチャの改善に向けた効果的なロジスティクス対策を政府に提案する予定だ。
(マレー・メイル、ベルナマ通信、9月26日)

マハティール首相、次期総選挙への不出馬を表明

【ランカウイ】 マハティール・モハマド前首相は、次期総選挙が予定通り2023年に行われた場合には98歳となると述べ、高齢を理由に出馬しない意向を明らかにした。
マハティール首相は自身の選挙区であるランカウイで行われた記者会見で、先ごろ立ち上げた新党・祖国戦士党(略称・ペジュアン)の党員には助言という形で、これまでの経験を共有する考えを示した。
またマハティール前首相は、野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相が下院議会で過半数の支持を得たと宣言するなど政局が不安定な状態が続いていることに関連し、議会が解散し総選挙が行われる可能性があると指摘。通常であれば国民に判断を委ねるために総選挙を実施するべきだが、現状で実施すれば新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者が増加し死者が増える可能性が高まるとして、政治を優先するのか人々の健康や生活を優先するのか難しい問題に直面していると指摘した。
(ベルナマ通信、9月26日)

新型コロナ感染者が新たに115人、2日連続で3桁に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は28日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から115人増えて1万1,034人になったと発表した。新規感染者数が2日連続で3桁となった。
新規感染者のうち112人が国内感染者で、3人が海外で感染した帰国者だった。新たに54人が退院し治癒者数は9,889人に増加した。死者数はゼロで134人を維持した。
保健省のノール・ヒシャム事務次官は27日、クアラルンプール(KL)で新たなクラスター「セタパク・クラスター」が発生したと明らかにした。1人目の感染者は9月17ー20日間においてサバ州センポルナを訪れており、9月21日に喉の痛みと発熱の症状が出たという。20人の接触者が検出され、うち3人が陽性だった。
イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は25日、ケダ州アロースターの一部エリアを対象とした、事実上のロックダウン(封鎖)である一部地域対象の強化行動制限令 (TEMCO)を発令した。これによりジャラン・セベラン・ペラにあるアパートメント「トンカン・ヤード・フラッツ」が10月7日まで閉鎖される。周辺地域では94人の住民がスクリーニング検査を受けており、うち9人(5世帯)の感染が確認された。

格安航空エアアジア、デジタル部門の拡大資金を調達へ

【クアラルンプール】 世界屈指の格安航空エアアジアはデジタル部門子会社、エアアジア・デジタルの業務拡大を目的に資金調達に乗り出す。

 23日の記者会見でトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、転換社債か株式の発行を予定していると明らかにした。
会見に同席したカマルディン・メラヌン会長によれば、旅行・ライフスタイルプラットフォームのデジタル化など業務の多様化で新型コロナウイルス「Covid-19」禍による収入減を緩和することができたという。
カマルディン氏は「航空市場の制約が解除され、以前どおり自由になればデジタルビジネスは拡大し、当社の中核部門になる」と語った。
エアアジアは物流部門のテレポート、機内食部門のサンタン向けにも債務証券を通じ資金を調達している。サンタンは店舗運営にも乗り出しており、年内マニラに出店する。
(マレーシアン・リザーブ、9月24日)

ホームセンターのミスターDIYがIPO開始、1部上場へ

【クアラルンプール】 ホームセンターを経営するミスターDIYグループ(M)は24日、新規株式公開(IPO)を開始した。マレーシア証券取引所1部に上場する。
売り出し株を含め9億7,449株を発行し、推定5億米ドル(21億リンギ)の資金を調達する。売り出し株(約3億株)は内外の機関投資家向け。新株式のうち一般公募分は1億2,553万株。
行動制限令(MCO)の施行で売り上げは急減したが、解除後は急回復しており、アドリアン・オン最高経営責任者(CEO)は声明で「店舗網を拡大する。資本市場から資金を得ることで成長戦略に弾みがつく」と語った。
同社はミスターDIYブランドの店舗を国内で640店、ブルネイで4店経営している。ほかに、おもちゃのミスター・トイと、食品・飲料・家庭雑貨を2リンギか5リンギの均一価格で売るミスター・ダラーをチェーン展開している。
CIMB、メイバンク、RHB、クレディ・スイス、JPモルガン、UBSなど内外の投資銀行が幹事を務める。
(エッジ、ベルナマ通信、9月24日)

低中所得層向け生活支援第二弾、財政赤字拡大への懸念も

【クアラルンプール】 ムヒディン・ヤシン首相は23日、新型コロナウイルス「Covid-19」禍の影響を受けた低・中所得者向け支援策の第二弾「Kita Prihatin(私たちの関心事)」(総額100億リンギ)を発表したが、アナリストらは経済成長を押し上げる効果を認める一方、財政赤字拡大を懸念している。
CGS・CIMB証券は、予算赤字は対国内総生産(GDP)比で0.7%増加するとの見通しを表明した。
ケナガ・インベストメント・バンクは財政赤字予想を対GDP比6.8%から7.5%へ修正。政府債務についてはGDP比62.6%を予想している。債務の法定上限は60%。ケナガは今年のGDP予想(5.9%の減少)を維持したが、金融緩和、財政措置を根拠に、下半期の回復に期待を寄せている。
Amバンクは貸し付け動向から経済が回復しているとの見方を示した。7月の貸付指数は前年同月比7.7%の上昇で、上昇が加速しており、行動制限令(MCO)の緩和に伴い、経済回復に弾みがついているとした。
中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は翌日物政策金利を1.75%まで下げた際、金融緩和の打ち止めを示唆したが、政情の混乱で施策の実行が遅れた場合、BNMは金融政策を見直す可能性があるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月25日、ベルナマ通信、9月24日)

UMNOから総選挙前倒し論、アンワル氏政権奪取宣言受け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相が下院議会で過半数の支持を得たと宣言した件で、大量の議員がPHにくら替えしたとされる統一マレー国民組織(UMNO)内で、総選挙前倒し論が強まっている。

 ネット上ではムヒディン・ヤシン首相に対する不満から、アンワル氏支持を表明しているとされる19人のUMNO所属議員の名前が流出している。アハマド・ザヒド・ハミディ総裁も「多数の議員がくら替えしたとの情報を受けている」とくら替えを容認する発言を行なっており、汎マレーシア・イスラム党(PAS)との提携は望んでいるが、ムヒディン首相率いる国民連盟(PN)の一部にはならないと言明している。
アハマド・マスラン書記長は、与党政府が130人以上の議員の支持を固めて強力な権限を持つことが重要だとした上で、現在の与野党の議席数が接近する状況を是正するためにも解散・総選挙を実施すべきとの考えを示した。長老であるナズリ・アジズ元総裁補も「民意を知るためには総選挙がベスト」と述べた。
なおアンワル氏は過半数の支持を得ている旨を説明するための謁見許可をアブドラ国王よりすでに得ていると述べているが、肝心の国王が入院中。ロイター通信は、王宮側の話として国王が医師団から経過観察のために7日間の入院を進言されているためアンワル氏の謁見は当分実現しないだろうとの見方を伝えている。法律学者によると正式な首相任命権は国王にのみあり、単に過半数の支持を得たからといって組閣できないという。

新型コロナ感染者は新たに111人、うち97人がサバで感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は25日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から111人増えて1万687人になったと発表した。
新規感染者のうち97人がサバ州で感染。うち74人がセンポルナの「バンガウバンガウ・クラスター」、14人がラハダトゥ警察署の「ベンテンLDクラスター」に関連していた。海外で感染した帰国者は4人だった。新たに30人が退院し治癒者数は9,696人に増加した。死者数はゼロで133人を維持した。
1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す基本再生産数(R0、R nought)について保健省のノール・ヒシャム事務次官は24日、国内全体で1.34になったと明らかにした。最もR0が上昇したのは9月7日で1.72に上った。R0は1.6を超えると感染者が急増する事態を示す。感染が拡大するサバ州のR0は1.37で、ケダ州が1.15となった。

電子商取引は今後も顕著に増加、コマースアジア見解

【クアラルンプール】 電子商取引向けマネージドサービスを東南アジアで提供しているコマース・ドット・アジアは、6カ月前に導入された行動制限令(MCO)をきっかけに急増した電子商取引はこの先も顕著に増加すると予想している。
ゼネラルマネジャーのアアリヤ・ソラヤ氏によると、マレーシア人は電子商取引を買い物手段として受け入れるようになっており、ソーシャルメディアの利用も増加した。
コマース・ドット・アジアの統計によると、MCO施行前と比べマレーシア人はソーシャルメディア利用時間が70%増えた。
コマース・ドット・アジアが管理を請け負っている電子商取引サイトでの8月の取引は前年同月比1,380%の増加だった。マレーシア人は特に健康に関心があるようで、健康関連の売り上げは800%増だった。
電子商取引の急増は一夜にして起こった変化で、早期に電子商取引を採用した企業が優位な立場を確立したという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月24日)