KL市が住宅開発条件見直しへ、10日の大規模洪水受け

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 10日にクアラルンプール(KL)市内で起きた大規模洪水を受けて、KL市役所(DBKL)は住宅開発に関する条件見直しを検討する。
ノル・ヒシャム市長は、洪水防止用の溜池の拡大を計画しているとした上で、新たな住宅開発においては開発地域に溜池を併設することを義務づけると強調。また住民に対しては排水溝にゴミを捨てないよう求めた。洪水の原因についてアヌアル・ムサ連邦直轄地相は、増水した川の水を他の河川や溜池に迂回させるための排水溝が詰まったことが原因だと指摘していた。
KL市内の洪水は午後1時ごろに始まった集中豪雨により発生。スンガイ・クランが氾濫したため▽レブ・アンパン▽カンポン・バル▽セタパク▽ジャラン・ガーニー▽セマラック——の5カ所で浸水し、一部の地域では3メートルまで達した。
午後2時過ぎにはゴンバック川の水を迂回させるゴンバック分水路、ケロー分水路、カンポン・ベレンバン溜池が稼動し、午後4時40分になってようやくSMARTトンネルがカンポン・ベレンバン溜池からタマンデサ溜池への排水を開始した。
10日午後は、ゴンバック・シンパン・ティガでは平均200ミリ、ゴンバック周辺およびKLでも100ミリを超える集中豪雨となり、ゴンバック川やクラン川、ブヌス川は危険水域を超える水位に達していた。

中国企業がマレーシア人1400人分の個人データを収集か

【クアラルンプール】 豪メディアが中国のデータ処理会社、深セン振華数拠信息技術が世界各国の240万人分の個人データを収集して工作活動に使っており、その中にマレーシア人1,400人が含まれていると報じた。これを受けイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、調査に乗り出す考えを示した。
豪ABC放送などによると、振華数拠が集めていたデータの対象には安倍晋三首相を含む各国の政治家や外交官が含まれており、生年月日、住所、婚姻状況、写真、政治的属性、ソーシャルネットのアカウントなどが含まれていたという。振華数拠は否定しているが、主な顧客である中国人民解放軍や中国共産党と密接な関係にあるとされる。
サブリ上級相は「マレーシアには2010年個人データ保護法があり、個人データは保護されるべき」とした上で、「行動をとる前にまず報道内容の真偽をはっきりさせる必要がある」と述べた。
(ベルナマ通信、9月14日)

マクロ指標、最悪期を脱する兆候

コロナ禍で大打撃を受け、4−6月期の実質GDP成長率(経済成長率)は前年同期比マイナス17.1%となり、アジア通貨危機の1998年10−12月期のマイナス11.2%よりも悪い状況を経験しました。ただ、最近のマクロ経済指標をみていると底打ちして上向きとなる要素がみられるようになりました。
まず、失業率をみると今年5月は5.3%と1989年に次ぐ高い数値となりましたが、6月は4.9%、7月は4.7%と回復する傾向を示しています。
鉱工業生産指数も7月は116.2で前年同月比+1.2%となりました。前年同月比でプラスとなったのは2月以来の5カ月ぶりとなります。特に、鉱工業生産指数の計算で最も比重の高い製造業は、6月と7月は連続してプラスの伸びを示しています。
さらに、流通業売上高は4月の前年同月比マイナス36.6%を底として、5月からは前月比ではプラスに転じて、7月は前年同月比マイナス3.5%まで回復してきました。今後、2〜3カ月でプラスに転じる可能性も十分にあるでしょう。
こうした指標を受けて、マレーシア中銀は9月10日の金融政策決定会合で5会合ぶりに金利を据え置くことを決定しました。金融緩和による景気の浮揚を念頭に入れた連続利下げが一服した格好であり、中銀は経済は最悪期を脱したという認識を持っていることが推測されます。
アジア開発銀行は今年のマレーシアの経済成長率を前年比マイナス5.0%と予想しており、ムヒディン首相は活動制限を年内まで延長し、国境開放も急がないと述べています。決して良い状況とは状況とは言えませんが、マクロ指標をみていると上向きとなりつつあることが読み取れることも確かです。

※本連載の内容は著者の所属組織の見解を代表するものではなく、個人的な見解に基づくものです。

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今年のマレーシア経済成長予想を下方修正=アジア開銀

【クアラルンプール】 アジア開発銀行(ADB)は、マレーシアの2020年通年の経済成長予想について6月時点でのマイナス4%からマイナス5%に下方修正した。新型コロナウイルス「Covid-19」封じ込めのために発令された行動制限令(MCO)が予想より長引いたことや、世界経済の低迷が響いた。

 ADBは15日に発表した「2020年アジア経済見通し(ADO)最新版」で「消費、輸出、投資に対する新型コロナ流行の悪影響で、経済は引き続き押し下げられる。旅行や事業活動を制限することで感染拡大を抑える対策が家計支出を圧迫している」と指摘。6月中旬からの規制緩和により下半期はある程度の回復が見込まれており、6月に好調だった卸売・小売業においては既に需要の底打ちが見られるとした。
また政府が打ち出した2,950億リンギ規模の景気対策が国内需要を押し上げるが、継続的なレイオフと賃金カットで労働市場が悪化しておりこれが個人消費を弱めると指摘した。
セクター別では、製造業は国内外の両方で弱い需要による逆風に晒されているとした上で、MCOによる操業規制で生産量が低下したものの規制緩和によって回復に向かっていると指摘。サービス業は特にホスピタリティ産業と小売業が影響を受けたとし、観光業は国内旅行が認められたものの大きくダウンしたインバウンドを埋め合わせることは期待できないとした。
なお2021年については、大きな回復が見込まれるとしてプラス6.5%成長予想を据え置いた。
(ベルナマ通信、9月15日)

新型コロナ感染者が新たに23人、うち13人はサバ州で感染

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は15日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から23人増えて9,969人になったと発表した。

新規感染者のうち13人が国内感染者で、全員サバ州で確認された。残り10人はトルコ、マグリブ、カタール、フィリピン、ハングリー、ナイジェリア、バングラデシュで感染した帰国者だった。新たに6人が退院し治癒者数は9,209人に増加した。死者数はゼロで128人を維持した。

保健省が15日正午に発表した14日付最新の地域別感染者数データによると、感染者数が41人を超えるレッドゾーンは全国で3カ所となった。最も感染者が多いのはサバ州タワウで335人。これに同ラハド・ダトゥ(94人)とケダ州コタセタル(57人)が続いた。▽クアラルンプール(KL)▽ジョホール州▽マラッカ州▽ペルリス州▽クアランタン州▽トレガンヌ州▽ペラ州▽サラワク州ーーは全域で感染者ゼロのグリーンゾーンとなっている。

8月の航空旅客数、前年比84.6%減の143.6万人に

【クアラルンプール=マレーシアBIZ】 マレーシア・エアポーツ(MAHB)によると、8月の国内空港における航空旅客数は前年同月比84.6%減の143.6万人となった。
国際線は前年同月比98.2%減の8.4万人で、国内線は同71.2%減の135.2万人だった。
クアラルンプール新国際空港(KLIA)は49.8万人で、90.8%減少。国際線が97.9%マイナスの8.2万人で、国内線は73.4%マイナスの41.6万人となった。メインターミナルの旅客数は13.9万人で94.7%マイナス、格安航空専用ターミナル(KLIA2)は35.9万人で87.3%減少した。
KLIAを除く国内空港は93.8万人で、75.8%減った。国際線は99.7%マイナスの3,000人、国内線は70.1%マイナスの93.6万人だった。
マレーシアを含め多くの国で国境閉鎖が続いている影響で8月は前年同月比ではマイナスとなったものの、5月からは回復傾向にあり、前月比で増加した。8月はスクールホリデーや祝日があったことで国内線の旅客が回復。またシンガポール間では業務渡航・公務出張者を対象とした「相互グリーン・レーン」(RGL)が開始したことでマレーシア航空やエアアジア、マリンドエアなどが運航を再開したことも旅客数の増加に貢献した。

UMWトヨタ、現地組立版ハイブリッド車の投入を予定

【クアラルンプール】 UMWトヨタ・モーターは近い将来、マレーシア国内の自動車セクターが回復することを見込んでおり、現地組み立て生産のハイブリッド車(HV)を投入する予定だ。
ラビンドラン・クルサミー社長は、同社がHVに注力していると言明。以前までハイブリッド版「カムリ」を販売していたが、来年までにもう1つHVモデルを導入すると明らかにした。
シャムソール・モハド・ザイン・マーケティング部長によると同社は、長期的計画において複数のHVを投入する予定で、HV市場を開発するための政府によるインセンティブが導入されることを期待しているという。
新型コロナウイルス「Covid-19」による影響についてラビンドラン社長は、まだ完全には回復していないとし、短期的復興計画「国家経済復興計画(PENJANA)」に盛り込まれた自動車関連の売上税減税が非常に有効的であると言明。またオンラインショールームやキャッシュレス決済などデジタル化に向けた取り組みを採用したと明らかにした。他には業務効率の向上を図り、一部の業務をディーラーへ移行することで製品開発やマーケティング、ディーラーネットワークサポートなど上流事業に注力しているとした。
自動車セクターの見通しについては、予想される全体的な景気回復と並行して回復に向かうことを確信していると言明。今年通年の販売見通しについてマレーシア自動車協会(MAA)が、行動制限令(MCO)の発令により60万7,000台から47万台に下方修正したと指摘した上で、経済が回復し購買力が向上することを期待していると述べた。
(ザ・スター、9月14日)

マレーシア人の出入国の規制を緩和=出入国管理局

【クアラルンプール】 出入国管理局は12日、復興のための行動制限令(RMCO)期間中(12月31日まで)のマレーシア人の出入国に関する規制を緩和すると発表した。
外交官とその家族、海外の永住者や駐在員などの長期滞在ビザ(査証)保持者、留学生や海外で試験を受ける学生、石油会社や船会社の従業員は事前に出入国管理局から承認を受けることが義務付けられていたが、それを撤廃した。また行動制限令(MCO)期間中に帰国したマレーシア人については、就職や会議、セミナー、展示会の出席などの出張、緊急を要する渡航、留学生に付き添う親の出国も認めるが、出入国管理局から承認を得る必要がある。しかし休暇や海外の親族に会うための渡航は引き続き認めない。MCO中に出国したマレーシア人は承認なしで、入国できる。
(ベルナマ通信、9月12日)

新型コロナ感染者が新たに31人、うち28人は国内感染者

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は14日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から31人増えて9,946人になったと発表した。
新規感染者のうち28人が国内感染者で、それぞれサバ州(15人)、ケダ州(9人)、ネグリ・センビラン州(4人)で確認された。残り3人はインドネシアで感染した帰国者だった。新たに7人が退院し治癒者数は9,203人に増加した。死者数はゼロで128人を維持した。
保健省のノール・ヒシャム事務次官は12日、サバ州クナックで不法滞在の外国人が関連する「ラウト・クラスター」が発生したと発表した。1人目の感染者は8月27日にマレーシアからフィリピンのサンボアンガへ強制送還された男性。男性は9月5日、再びマレーシアに不法入国しその後、男性の妻と子供および隣人の合計3人が感染していたことが分かった。クラスターに関連する49人のフィリピン人がスクリーニング検査を受け、14人が陰性、31人がまだ結果待ちだという。
■ケダ州の ロックダウン 、一部の地域で2週間延長へ■
ケダ州アマンジャヤの一部のエリアを対象とした事実上のロックダウン(封鎖)、一部地域対象の強化行動制限令 (TEMCO)についてイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(国防相)は13日、2つのエリアで発令を解除し、1つのエリアにおいて向こう2週間の延長を行うと明らかにした。
TEMCOが解除されるエリアはケナンガとマワール。延長となったのはメルールで、延長期間は9月14ー27日間の2週間。8月28日から施行された同TEMCOにおいて、265世帯の合計2万2,360人が影響を受けた。今回延長の対象エリアであるメルールには、推定2,529人が居住しているという。

飲食店や小売店、KLも午前2時まで営業を許可

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 飲食店やコンビニなどの小売店の営業時間についてアヌアル・ムサ連邦直轄地相は13日、クアラルンプール(KL)についても午前2時まで認めると発表した。

 飲食店や小売店の営業時間は新型コロナウイルス「Covid-19」感染防止対策の一環として午前零時までに制限されていたが、事業者から経営がなり立たないと規制緩和を求める声が出たため、国家安全委員会(NSC)が午前2時までの規制緩和を決定。イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)が10日付けで発表していた。
しかしKL市役所(DBKL)の危機管理会議は11日、連邦政府とは別に独自判断で午前零時の制限を年末までの復興のための行動制限令(RMCO)期間中維持する方針を決定。これに対してノル・ヒシャム・アハマド・ダーラン市長は混乱を招くとして、アヌアル大臣に連邦政府の決定通りにするよう要請をおこなっていた。ノル・ヒシャム市長は14日付けで実施すると述べた。
なおセランゴール、ネグリ・センビラン、ペナンの各州は13日、飲食店や小売店の営業時間を連邦政府の決定通り午前2時までとすると発表。マラッカ州は午前零時までの制限を維持するとしている。