「GST再導入は時期尚早」首相が貧困層に重荷との見解

【ルムット】 アンワル・イブラヒム首相は、現時点で物品・サービス税(GST)を再導入することは不適切であり、貧困層を含む全ての国民に負担を強いることになるとして、現時点で実施する考えのないことを改めて強調した。

アンワル首相は15日、ペラ州で開催された国民参加型イベントの閉会式で演説し、GSTは一律6%の広範な課税であることから、漁師や小規模農家、清掃員など所得の低い人々にも平等に課税される点を問題視。「GSTは効率的で単純な仕組みだが、失業者や貧困層にも6%の税が課されるのは公正とはいえない」としたうえで、野党がGSTの導入を主張していることについても、「経済状況が改善し、最低賃金が月額4,000リンギを超えるようになれば再検討の余地はあるが、今はその時期ではない」と述べた。

政府は現在、特定の商品に絞って課税する売上・サービス税(SST)制度を継続しており、特に高所得者層が消費する高級輸入品に焦点を当てている。アンワル首相は「地元産のバナナには課税しないが、アボカドやタラのような高価な輸入果物・魚介類には課税している」と説明。これにより得られる税収は、病院や学校、国防といった国民全体に恩恵をもたらすインフラ整備に充てられていると述べた。

さらにアンワル首相は、政府の税収は単に行政運営費に充てるだけでなく、国民生活の向上を目指した開発・福祉政策に活用していると強調。一方でSST制度には改善の余地があることも認め、「政府は国益の観点から、制度の見直しや強化について常に前向きだ」と述べた。
(ベルナマ通信、エッジ、マレーシアン・リザーブ、6月15日)

近大、マレーシアの大学と共同で「雷・災害シンポジウム」開催へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 国際協力機構(JICA)は、JICAの支援のもとで近畿大学がマラッカ技術大学及びのテナガ・ナショナル大学と共同で6月23日にマラッカで「第3回国際雷・災害シンポジウム」を開催すると明らかにした。

2023年6月に開始された「持続可能なエネルギー供給と極端気象災害の早期警報のための電荷分布リアルタイム3Dイメージングと雷活動予測(RTL-3D)プロジェクト」の一環で、シンポジウムではプロジェクトの研究者、マレーシア政府、学術機関、民間パートナーによる雷及び極端気象災害に対する早期警報システムの構築に関する発表が行われる。

RTL-3Dプロジェクトは、マレーシアにおける雷や極端気象による被害の低減を目的とし、先端技術を開発・活用するもの。技術革新により、雷災害が発生する前の予測を可能とし、マレーシアの防災対応能力を向上させることを目指す。目標達成に向け、雷および雷の電荷分布を精度数百メートル以下精度でマッピングする高度なアルゴリズムが開発されている。

RTL-3Dプロジェクトは、JICAおよび科学技術振興機構(JST)による「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」の支援及びマレーシア高等教育省(MOHE)によるマレーシア政府予算の支援を受けており、2028年6月まで5年間実施される。

ジェトロKL、「エナジー・アジア2025」にブース展示

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、 アジアのエネルギー移行に関するシンポジウム・展示会「エナジー・アジア2025」(会期6月16日―18日)に、「マレーシアの脱炭素化に貢献する日系企業の製品・サービスカタログ」の広報ブースを出展している。

脱炭素分野における日本企業の製品・サービスの販路拡大を目的としたもので、同カタログには、各社のウェブサイト、プレスリリース、報道、展示会情報などの公開情報および各社へのヒアリングをもとに収集した、マレーシアで脱炭素化に貢献する日系企業47社の製品やサービスを、マレーシア政府が2023年に発表した脱炭素政策の柱である国家エネルギーロードマップ(NETR)で指定する重要6分野10基幹事業に合わせて、主要カテゴリーごとに分類して掲載している。

同ブースでは、日本企業の製品のマレーシアでの販路拡大を目的として、オンラインカタログサイト「Japan Street」についても紹介している。「Japan Street」はジェトロが招待した海外バイヤー専用のオンラインカタログサイトで、バイヤーは登録するだけで日本企業1万25社・7万2,330製品(6月13日時点)を閲覧、希望に応じてオンライン商談が可能。

経済相のポートフォリオ、現職閣僚が兼任=アンワル首相

【クアラルンプール】 6月17日付で辞任するラフィジ・ラムリ経済相の後任人事について、アンワル・イブラヒム首相は閣外から新たに起用せず、現職閣僚のいずれかに兼任させる方針だと明らかにした。

アンワル首相は記者団に対して、「現時点で内閣改造の必要はないが、どの閣僚に兼務させるか決定する必要がある」と言明。また経済省が元々首相府経済企画局(EPU)の下にあった機能を独立させ省に格上げしてできた経緯から、「解散するのではないか」との憶測が浮上していることについては全面否定し、「内閣の決定権は私が握っており、こうした問題は発生しない」と述べた。

一方、アンワル首相は7月1日付で辞任予定のニック・ナズミ・アハマド天然資源・環境持続可能性相の後任については、最終決定は出ていないと言明。「私は常にニック・ナズミ氏に時間を与え、機会を与えている。可能であれば留任すべきだという私の見解を伝えてきた。」と述べ、留任の可能性が残されていると強調した。

ラフィジ氏とニック・ナズミ氏はそれぞれ、5月23日に行われた人民正義党(PKR)副党首選、党首補選で敗北し、辞表を提出していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、6月16日)