ジェトロKL、東南アジアのハラル市場参入で日系企業を支援

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、日本企業のハラル(イスラムの戒律に則った)市場への参入支援事業を実施するに当たり、参加企業を募集すると発表した。日系企業の販路拡大を支援する。

具体的には▽ジェトロが運営する海外バイヤー専用オンラインカタログサイト「JAPAN STREET」を活用したマレーシアのハラルバイヤー専用カタログの展開▽ハラル専門BtoBオンラインプラットフォーム「DaganHalal.com」へのジャパンパビリオン設置を通じた商談支援▽マレーシア最大規模の食品関連見本市「フード・アンド・ホテル・マレーシア(FHM)」へのジャパンブース設置――の3つの取り組みを通じてハラル商品・サービスを展開する日本企業とマレーシアを中心とした東南アジアのバイヤーのマッチングを支援する。

日本企業または日系企業が対象で、募集期限は8月15日まで、定員は20社程度、参加無料となっている。参加申し込みはウエブサイト(https://www.jetro.go.jp/events/dnb/06ad3ce25752446b.html)にて受け付ける。

8月の電気料金の燃料サーチャージ、1キロワット時1.45セン

【クアラルンプール】 7月に導入された電気料金の自動燃料調整(AFA)メカニズムに基づき、8月1日から31日までの燃料サーチャージは1キロワット時(kWh)あたり1.45センが適用される。ファディラ・ユソフ エネルギー移行・水利転換相が、29日に開かれた下院議会で明らかにした。

AFAは市場燃料価格と為替レートに基づいて毎月、自動的に調整されるもので、8月の燃料サーチャージは、燃料とガスの価格が下落したことを反映しているという。以前の不均衡価格転嫁(ICPT)メカニズムでは、6カ月ごとの調整だったのに比べ、ファディラ氏は「新料金体系では国内消費者への影響を最小限に抑えながら、すべてのユーザー間で公平かつ公正なコスト配分になる」と改めて強調した。

特に非住宅のユーザーにとって、実際の電力供給コストに基づいて料金が請求され、業種による差別を防ぐことにつながるとし、「企業が再生可能エネルギー源を検討することを促すもの」と付け加えた。

また、政府系電力会社のテナガ・ナショナル(TNB)は同日、向こう3カ月のAFA予測を発表。1キロワット時あたり9月は1.23セン、10月は2.65セン、11月は1.95センが見込まれている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、7月29日)

速度リミッター装備していない大型車両、10月1日から運行停止

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は下院議会における答弁で、10月から段階的に導入される大型車両を対象とした速度リミッター(SLD)設置の義務化について、設置していない車両は車両検査で不合格となり、公道走行が禁止されると警告した。

ローク氏はSLDの導入は大型車両の速度を制御し、特にバスやトラックが関与する死亡事故のリスクを軽減するための重要なステップであると述べ、欧州諸国やシンガポールでは既にSLDの導入が義務化されていると強調。「業界関係者の中には追加コストなどを理由に抵抗する人がいることは承知しているが、道路の安全に関しては人命が優先されなければならない」と述べた。

SLD設置の義務化の対象となるのは、車両総重量(GVW)が3,500キログラム(kg)を超える貨物車とGVWが5,000kgを超え且つ定員8人超の乗用車。第1段階は今年10月1日、第2段階は2026年1月1日にそれぞれ開始され、SLDの動作確認が行われる。2026年7月1日に開始される第3段階では、まだSLDが搭載されていない商用車への後付け設置が義務づけられる。
(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、7月29日)

贅沢税の導入を断念、財務省が正式発表

【クアラルンプール】 2023年度予算案演説で発表されたものの2年以上も実施されないままとなっている一部の高額商品を対象とした高額物品税(HVGT、いわゆる贅沢税)について、財務省(MOF)は導入を断念したことを正式に発表した。

下院議会におけるシャムシュルカハル・モハメド・デリ議員(ジェンポル選挙区)からの質問に書面で回答したもので、財務省は「HVGT導入は断念したものの対象となるはずだった品目は売上税制の適用範囲拡大に組み込まれており、贅沢品および裁量的商品には5%または10%の税率が適用される」と指摘した。

HVGTは、税収増の一環として2023年2月に就任直後のアンワル・イブラヒム首相が提出した2023年度修正予算の中で初めて発表されたもので、税率は5%から10%と見込まれ、年間7億リンギの歳入をもたらすと予測されていた。政府は当初、2024年5月1日の実施を目標としていたが、業界関係者、特に宝飾品業界からの強い反対に直面していた。

財務省はHVGT導入を棚上げする一方で、一連の新たな税制改革を通じて政府歳入の大幅な増加を見込んでいる。2024年3月1日に施行されたキャピタルゲイン税(CGT)は、非上場株式の取引量と取引額の現状に基づき年間約8億リンギの歳入を生み出すと予測されている。また2025年7月1日に施行された売上・サービス税(SST)の対象範囲拡大により、2025年には50億リンギ、2026年までに100億リンギの追加歳入が見込まれている。
(エッジ、7月29日)

SSTの建設サービスへの拡大、年内は違反者を罰せず

【クアラルンプール】 アハマド・マスラン副公共事業相は、7月に施行された売上・サービス税(SST)対象の建設資材やサービスへの拡大措置について、年内は新規則を遵守しない業者に対し罰金などの法的措置は取らないと言明した。

マスラン氏は28日の下院議会の質疑の中で、建設業界が改正税制に適応し円滑な移行を図るための十分な時間を確保するためだと説明。また住宅プロジェクトや礼拝所、公衆トイレ、レクリエーション公園といった公共施設に関わる建設サービスに対するSSTの免除など、SSTが建設業界に与える影響を緩和するための措置がいくつか講じられていると強調した。

マスラン氏によると、契約条件により価格改定が認められていない進行中のプロジェクトについては、政府は経過措置として1年間のSST免除を認める。また建設コストの急激な上昇を防ぐため、セメント、砂利、砂といった基本的な建設資材は売上税の課税対象から除外される。

特定の企業間取引(B2B)に関しては、特定のコンプライアンス規則が適用され、元請業者はSSTの対象となるが150万リンギ未満のプロジェクトに関わる下請業者は課税が免除されるという。マスラン氏は150万リンギ未満というSST課税の基準値について、建設業界が300万リンギに引き上げることを求めている件に言及。現時点で引き上げる計画はないと言明した。
(マレーシアン・リザーブ、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、7月28日)

大阪万博で日馬の大学などが31件の覚書を締結=高等教育省

【プトラジャヤ】 マレーシア高等教育省は、大阪・関西万博で21―26日に開催された「高等教育週間」を通じ、31件の覚書(MoU/MoA)が締結されたと発表した。マレーシアの11の高等教育機関が、医学、経済学、イスラム銀行、海洋科学、農学、工学など13の分野で提携したという。

マレーシア北部大学(UUM)は、筑波大学、岡山大学、関西国際大学、京都産業大学、芝浦工業大学の5大学のほか、イスラム文化を発信する「ジャパンダアウセンター」とMoUを締結。学生・職員の交流プログラムや、共同研究などで協力を促進していく。

さらに、マレーシア・プトラ大学(UPM) と立命館大学▽マレーシア科学大学(USM) と大阪大学▽マレーシア工科大学(UTM) と茨城大学▽マレーシア・ペルリス大学(UniMAP)と豊橋技術科学大学▽マレーシア・サラワク大学(UNIMAS)と日本の複数大学などで交わされた。

そのほか、マレーシアの11大学と20の国際企業によるビジネスマッチングや、「マレーシアで学ぶ」をテーマに留学生誘致に向けた取り組みが行われ、期間中10万人以上がマレーシアンパビリオンを訪れたという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月25日、ベルナマ通信、ビジネス・トゥデー、7月27日、マレーシアパビリオン公式インスタグラム)

LRTケラナジャヤ線、システム改修で8月から土日朝の運行変更

【クアラルンプール】 首都圏軽便鉄道(LRT)ケラナ・ジャヤ線は信号システム改修工事のため、8―11月の間を2期に分け、一部の駅で土日(一部祝日含む)の運行が午前9時からとなる。

まず8月9日から9月14日までが、東側のKLCC駅とゴンバック駅の間の10駅で、7,000人への影響が予想される。この間は午前6時から、10駅に加えカンポン・バル駅と、ダン・ワンギ駅までの12駅間でシャトルバスが運行される。シャトルバスも各駅に停車するものと、ワンサ・マジュ駅とダン・ワンギ駅の間の主要6駅だけにとまるものの2ルートが用意される。フィーダーバス13台、バス5台で対応する。また、市内中心部のカンポン・バル駅とKLCC間では5台のバンが運行される。

その後、10月11日から11月22日までは、西側のルンバ・スバン駅とアンパン・パーク駅の間の17駅が対象となる。2万人が影響を受けるとみられる。バス60台を使い、アラ・ダマンサラ駅とダマイ駅を加えた19駅間でシャトルバスが運行されるほか、最初の期間と同様、市内中心部のカンポン・バル駅とKLCC間では5台のバンが運行される。

公共輸送機関を管轄するプラサラナ・マレーシアによると、1998年から使用されている自動列車制御装置(ATC)などを全面的に取り替えるもので、改修の総工費は1億5,000万リンギ。期間中は案内のボランティアが配備される。事前に全駅でチラシが配布されるほか、ラピッドKLの公式ウェブサイト(www.myrapid.com.my)やアプリ、ソーシャルメディアで最新情報を確認するよう呼びかけている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ベルナマ通信、7月28日、ポールタン、7月29日)

行政サービス代行のMyEG、外国人就労許可更新権を喪失

【クアラルンプール】 道路税納付、免許更新など行政サービスのオンライン提供を代行しているMyEGサービシズ(現社名ゼトリックスAI)は外国人労働者の就労許可更新権を失った。

ベスティネットが所有する「外国人労働者集中管理システム(FWCMS)」の使用権がなくなったためだ。公会計委員会が28日公表の報告で明らかにした。

内務省高官によれば、MyEGと政府との契約は2023年5月が期限だったが、財務省が契約延長に同意しMyEGのサービスが継続された。しかし延長は2年契約ではなく、1年プラス1年のオプションで、政府にはオプションを行使しない権限があるという。

同省のマフザン・マフユディン事務次官代理によれば、今年2月からデジタル査証の申請はFWCMSに一本化することも決定された。入管のシステムを利用した申請はできなくなる。
(エッジ、7月28日)

中銀、今年の経済成長予想を4.0―4.8%に下方修正

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラは28日、世界情勢の変化を受けてマレーシアの今年通年の国内総生産(GDP)成長予想を従来の4.5―5.5%から4.0―4.8%に下方修正した。

中銀は3月の経済通貨政策レビューの発表以降、世界経済の状況は大きく変化したと指摘。世界の経済成長見通しは、貿易政策の変化、関税動向をめぐる不確実性、そして地政学的緊張の影響を受けているとした。

その上で、小規模な開放経済であるマレーシアの成長見通しはこれらの動向に左右されるが、第2四半期のGDP成長率の速報値を含む最新の指標は、マレーシアの経済活動の持続的な力強さを示しており、国内需要が好調を維持し続けていることもあってマレーシア経済は依然として堅調を続けるだろうと分析した。

中銀によると、マレーシアでは特に国内関連セクターにおける良好な労働市場環境と政策措置が引き続き民間消費を下支えする見込み。一方、複数年にわたるインフラプロジェクトの進捗、承認済み投資の継続的な高い実現率、国家開発計画に基づく触媒的取り組みによって投資活動の拡大が持続するとみられるという。
(ベルナマ通信、7月28日、中銀発表資料)

野党の反政府集会に1.8万人が参加、アンワル首相退陣求める

【クアラルンプール】 野党連合・国民同盟(PN)構成党、汎マレーシア・イスラム党(PAS)青年部が主催したアンワル・イブラヒム首相退陣を求める大規模集会が26日、クアラルンプール(KL)市内のムルデカ広場で開催された。

主催者側は30万人を目指していたが警察発表によると参加者は1万8,000人だった。警察は3,000人を配して警戒したが大きな混乱はなく、集会は午後5時過ぎに終了した。

午前11時頃からマスジット・ネガラなど5カ所に野党支持者が集まり始め、ムルデカ広場に向けて行進を開始。政府が制定を目指している都市再開発法(URA)や売上・サービス税(SST)の対象拡大、改革の未実施など、政府に対するさまざまな不満を列挙した黒いTシャツを着て、口々に「アンワル辞めろ」と叫んで気勢を上げた。

会場には統一プリブミ党(PPBM、ベルサトゥ)のムヒディン・ヤシン党首(元首相)やハムザ・ザイヌディン副党首ら野党の重鎮が参加。午後5時にはマハティール・モハマド元首相も顔をみせ、皮肉たっぷりにアンワル首相を批判した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、7月26日)