三重大学、トレンガヌ大学との大学間協定を更新

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 三重大学は25日、マレーシア・トレンガヌ大学(UMT)との大学間協定を更新したと発表した。

UMTは水産・海洋分野に強みを持つ国立大学で、生物資源学研究科のある三重大学とは2017年度からサマースクールへの学生派遣や教職員の研修受入れなど、継続的かつ活発な交流を行っており、三重大学にとってアジアにおける重要なパートナー校の一つとなっているという。

大阪・関西万博で開催されていた「高等教育週間」に合わせ、23日に協定更新セレモニーが行われた。今後の更なる連携強化や、学生および教職員の相互交流の発展に向け前向きな議論が交わされたという。

また、2024年6月から大学間協定を締結しているマレーシア・パハン大学(UMPSA)とも、学生の短期・長期派遣の可能性や、共同研究の拡大などについて話し合った。

衣料ブランド「アース ミュージック」のマレーシア1号店が開業

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 カジュアル衣料ブランドの「earth music&ecology(アース ミュージック&エコロジー)」は26日、マレーシア初店舗をクアラルンプール(KL)の三井ショッピングパークららぽーとブキッ・ビンタンシティセンター(ららぽーとBBCC)に開業した。

ブランドを手掛けるストライプホールディングス(本社・岡山市)によると、売り場面積は約35坪。アースは同社の主力ブランドで、ナチュラル感のあるファッションで20―30代の女性を中心に支持されている。マレーシアは日本のファッションスタイルとの親和性が高いとして、進出を決めたという。台湾や香港など、国内外あわせ162店舗(2025年6月末時点)が展開されており、“日本の可愛い”の発信を強化していく。

同社は、ベトナムで「NEM(ネム)」と「HIME(ハイミー)」という2つの独自ブランドを展開するなど、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域での事業拡大を最重要戦略の一つとして掲げている。これまでに台湾やベトナムで培ってきたノウハウを生かし、今後もASEAN地域での成長戦略を推進していくとしている。

【総点検・マレーシア経済】第526回  マレーシアの2025年第2四半期GDP成長率の事前推計値は4.5%と底堅いが…

第526回  マレーシアの2025年第2四半期GDP成長率の事前推計値は4.5%と底堅いが…

7月18日、マレーシア統計局は2025年第2四半期GDP成長率の事前推計値を4.5%と発表しました。これは、第1四半期の4.4%成長を上回っており、予想外の底堅さを見せたと言えます。マレーシアの四半期GDP成長率は2024年第2四半期の前年同期比5.9%をピークに、以降、5.4%、4.9%、4.4%ときれいに0.5ポイントずつ減速してきました。その低下トレンドが止まったことになります。

部門別に見ると、前四半期より減速しているのは製造業(4.1%→3.8%)、鉱業(-2.7%→-7.4%)、建設業(14.2%→11.0%)、加速しているのはサービス業(5.0%→5.3%)、農業(0.6%→2.0%)となります。全体としては減速気味なのは間違いなく、経済に占めるシェアが大きいサービス業が底堅いために踏みとどまっている状況に見えます。

 

同日に公表されたマレーシアの6月の輸出は前年同月比3.5%減で、5月の1.3%減に続いて2カ月連続で減少しました(図1)。このところ大幅に増加していた米国向け輸出についても、2025年3月の50.8%増をピークに6月には4.7%増にまで減速しています(図2)。

これらの状況を総合すると、2025年第2四半期のGDP成長率の意外な底堅さは、トランプ関税への対応による輸出前倒し効果が4月にはまだ残っていたことによるもので、実際には経済は減速トレンドにあるように見えます。

 

傍証としては、7月9日、バンクネガラは政策金利(OPR)を3.0%から2.75%に引き下げました。バンクネガラの金利変更は、2023年5月に2.75%から3.0%に利上げを行って以来2年2カ月ぶりで、利下げの理由については不確実性の中での「予防的(pre-emptive)」なものと述べられています。RON95の改革についても具体的な発表は9月末で多くの国民にとって価格は「下がる」と報じられ、アンワル首相は7月23日に成人への100リンギの給付を発表しています。

 

7月末には第13次マレーシア計画が上程され、8月1日までにマレーシアと米国の関税率の交渉がまとまるかもマレーシアの経済成長率に影響を及ぼす可能性があります。ここ1週間の動きは要注目です。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

新規国際路線、6月に5路線を開設=MAHB

【クアラルンプール】 空港運営会社マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)は、今年6月にクアラルンプール国際空港(KLIA)とペナン国際空港(PEN)に5つの新たな国際航空路線が開設されたと明らかにした。

MAHBの声明によると、新規路線のうち2つは新たな航空会社の乗り入れによるもので、カンボジア航空(KR)はプノンペンとペナンを結ぶ週2便の運航を開始、吉祥航空(HO)は上海とKLIAを結ぶ週4便の運航を開始した。

残り3路線は既存の航空会社による新規路線で、バティック・エア・マレーシアはKLIAと東ティモールのディリを結ぶ週2便の運航を開始。エアアジア・カンボジアはKLIAとシアヌークビルを結ぶ週3便の運航を開始した。またエアアジアはKLIAとオーストラリアのダーウィンを結ぶ週4便の運航を開始した。

6月のマレーシア国内空港の旅客数は850万人で、国際線は420万人、国内線は430万人。スバン空港(スルタン・アブドル・アジズ・シャー空港=SZB)の伸びが最も目覚ましく、前月の13万8,000人から9%増の15万1,000人となった。国際線旅客数は10%増の4万人、国内線は9%増の11万1,000人となった。路線別ではファイアフライ航空(セレター線)、スクート航空(チャンギ線)、トランスヌサ航空(ジャカルタ線)の平均搭乗率が70%を超えた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、7月24日)

アジア開銀がGDP予想を下方修正、貿易・投資見通しの悪化で

【クアラルンプール】 アジア開発銀行(ADB)は貿易、投資の見通しが悪化しているとしてマレーシアの今年の国内総生産(GDP)成長予想を4.9%から4.3%へ下方修正した。来年の成長予想も4.8%から4.2%へ修正した。

ADBは23日公表の報告で「第1四半期のGDP成長は堅調だったが、米国による関税措置が輸出と投資の見通しを悪化させた。同期の外国からの投資(認可ベース)は前年同期と比べ増加したが、国内投資は293億リンギと27.4%減少した」と指摘した。

一方で家計支出は堅調を維持し、5月の失業率は1月の3.1%から3.0%へ低下しており、労働市場は強靭さを維持していると述べた。

ADBは東南アジア全体の今年と来年のGDPについても、増大する貿易上の不透明を理由に、成長予想を下方修正した。
(新華社、フィナンシャル・エキスプレス、7月23日)

米国との関税交渉、「20%以下を目標」投資貿易産業相

【クアラルンプール】 米国との関税交渉の先頭に立っているザフルル・アブドル・アジズ投資貿易産業相は、関税率を20%未満に抑えることを目指しており、譲歩の末で考えられ得る下限を10%と想定していることを明らかにした。

ザフルル氏は8月1日の期限までに可能な限り低い関税率で合意できる見込みだと述べ、交渉が引き続き順調に進んでいると強調。米国との会合は毎日行われていると明らかにした。

その上でザフルル氏は、マレーシアが20%の関税率で妥協するのではないかとの一部の憶測を否定。目標はより低い税率、理想的には最近15%で同意した日本や19%のインドネシアのような国々と同水準の税率を確保することだと述べ、「ある程度の譲歩をすれば20%か19%になるかもしれない。またマレーシア側がすべてを譲歩すれば10%になるかもしれない」と強調した。

米国は7月7日、貿易相手国に新たな課税措置の通知を開始。マレーシアからの輸入品については8月1日から25%の関税を課すとし、4月に発表した24%の相互関税率から1ポイント引き上げられていた。

マレーシアと同じ25%の関税を通告されていた日本については、米国は22日、関税率を15%に引き下げると発表。同様に32%と通告していたインドネシア、20%と通告していたフィリピンに対してもそれぞれ19%に引き下げると発表していた。
(ビジネス・トゥデー、エッジ、7月24日)

興和、緑内障・高眼圧症治療剤がマレーシアで承認取得

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 興和(本社・愛知県名古屋市)は24日、日本で販売している緑内障・高眼圧症治療剤の配合点眼剤が7月3日付で、世界に先駆けてマレーシアにおいて開放隅角緑内障・高眼圧症を適応症として承認を取得したと発表した。

承認を取得したのは「グラアルファ配合点眼液」(一般名:リパスジル塩酸塩水和物・ブリモニジン酒石酸塩)で、有効成分リパスジル塩酸塩水和物と、ブリモニジン酒石酸塩を含有する、世界で初めてのRhoキナーゼ阻害薬とアドレナリンα2受容体作動薬の配合点眼剤。既存の配合点眼剤とは薬理学的な作用点が異なるため、様々な緑内障・高眼圧症治療剤との併用が可能となるという。

バス車内の電気配線の安全証明、来年1月から取得義務化

【クラン】 来年1月から、高速バスなどの車内電気配線が安全基準に適合していることを示す証明証(PPP)の取得がバス所有者に義務付けられる。道路交通局(JPJ) が23日、発表した。

今回の措置は、昨年11月、高速バス内のコンセントを使って携帯電話を充電中に10代の少年が感電死した事故を受けたもの。JPJやエネルギー委員会などの調査の結果、配線不良が原因だったことが判明した。

新たな安全基準は、コンセント、エアコン、エンターテインメントシステムなどの用途で、50ボルトを超える交流電流(AC)を供給する追加電気設備に関し、内部作業シート「IWS(e)」に沿って安全性を確認・保証するよう定めた。IWS(e)はJPJに登録された有資格電気技師の監督のもと、チェック項目に従って作成され、来年1月以降、自動車検査センター(PPKM)での検査時に必須となる。IWS(e)が提出され検査に合格すると、PPPを取得することができる。

すでにJPJに登録されている約6万5,000台のバスについては、1年間を移行期間とし、2027年1月1日までにPPPを取得しなければならない。違反した場合、運行許可の取り消しや陸上公共交通法に基づく罰則の対象となる可能性がある。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、ベルナマ通信、7月23日)

イオンマレーシア、セガマットで3万本の植樹を計画

【クアラルンプール】 イオン・カンパニー(M)(イオンマレーシア)は、森林再生活動の一環として2025年から2027年にかけての3年間で、ジョホール州セガマットの36ヘクタールの土地に3万本の植樹を行う予定だと明らかにした。

イオンマレーシアがマレーシア森林研究所(FRIM)と提携して実施するもので、このほどイオンマレーシアの岡田尚也社長とFRIMのイスマイル・パルラン所長が、両者の協力関係の正式締結に向けた趣意書(LOI)を交換。これを記念してFRIMケポン地区パダン44で植樹会が行われた

イオンマレーシアが主体となって進めてきた「マレーシア・日本友好の森プログラム」では、ペラ州ビドーにおいて2014年から2023年にかけて22.75ヘクタールのスズ鉱山跡地に3万本の熱帯樹の植樹を実施した。セガマットにおける植樹は第2期に当たる。

イオンマレーシアは1991年以来、環境活動の一環として全国で55万7,000本以上の植樹を行ってきた。
(ザ・スター電子版、7月23日)

グリーンシステムへの転換で日馬協力が拡大、会見で四方大使

【クアラルンプール】 英字メディア「ビジネス・トゥデー」はこのほど、四方敬之 駐マレーシア日本大使と会見を行い、化石燃料に依存した社会・経済システムを再生可能エネルギーを中心としたクリーンなシステムへと転換するグリーントランスフォーメーション(GX)およびデジタルトランスフォーメーションを中心に日本政府の対マレーシア方針を聞いた。

四方大使によると、特にGXの領域で両国間の協力は拡大しており、水力利用で多数の日本企業が事業の可能性を探っている。小型モジュール炉など原子力の民生利用では、日本はマレーシアを支援する用意があるという。

都市における交通混雑の問題への対処でも日本はマレーシアと経験を共有したいと希望している。セランゴール州ではバス便予約の日本企業ウィラーが、データに基づいて運行するバスを自宅と駅間の短距離輸送に利用する手法を紹介している。

マレーシアへの直接投資について四方大使は、売上・サービス税(SST)の改定といった突然の政策変更は望ましくなく、投資家は一貫性を望んでいると述べた。

マレーシアはかつてルックイースト政策をとったが、今は相互関係の時代だと大使は指摘。マレーシアの大学で学ぶ日本人が増えていることを取り上げた。
(ビジネス・トゥデー、7月22日)