国家経済行動評議会、エネルギー危機への対応方針を策定

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は14日付けのX(旧ツイッター)上の投稿で、深刻化の一途をたどり長期化が予想される世界的なエネルギー危機への対応について、国家経済行動評議会(NEAC)が明確な方向性を定めたと述べた。

国民の日常生活への影響を最小限に抑えるため、エネルギーと生活必需品の安定供給を確保することを最重要課題とする。国民の福祉を守ることを最優先事項とし、「規律と現実主義」を堅持する。

エネルギー危機への対応は国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の役割と、今後数カ月間の供給確保に向けた早期計画によって推進される。同時に水田農家、小規模農家、自家用車所有者へのディーゼル燃料補助金の増額支援を通じて、コスト上昇を緩和するための対策を強化する。

アンワル首相は、15日から公務員の在宅勤務を実施するなど、エネルギー効率化を通じて需要管理も改善していくと言明。国の燃料供給を脅かす可能性のある漏洩や密輸に対処するための「ティリス」摘発作戦を強化していると述べた。

その上でアンワル首相は、「中長期的には不安定な輸入燃料への依存度を低減する措置として、再生可能エネルギー源への移行に向けた取り組みを加速させている」とし、バイオディーゼルにおけるバイオ燃料の混合比率引き上げに取り組んでいくと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、4月14日)

KTMBの長距離旅客サービス、30%の運賃割引

【クアラルンプール】 マレーシア国鉄(KTMB)は長距離旅客サービスの30%の運賃割引を実施する。公共交通機関の利用促進と、燃油消費の削減を目指す政府の包括的な戦略の一環として、運輸省が14日、発表した。

対象となるのは、高速電車運行サービス(ETS)と、ジョホール州とクランタン州を結ぶ夜行列車(ERT)で、オフピーク時間帯のみ。ETSのビジネスクラスや、ERTの寝台車とファーストクラスは適用外のほか、週末や祝日、学校の休暇時間は利用できない。

旅行期間は10月14日までで、販売期間は今月30日まで。購入時にプロモーションコードを入力して支払いを完了する必要がある。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、4月14日)

ジェトロ、日・マ半導体ビジネスネットワーキングを5月4日に開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、「日本・マレーシア半導体ビジネスネットワーキング(Japan-Malaysia Semiconductor Business Networking)」を5月4日にKL市内のホテルで開催すると発表した。

日本およびマレーシアの半導体関連企業や業界団体などを対象とした、日本・マレーシア両政府が重点支援産業に位置づける半導体分野のビジネス拡大や協業連携促進を目的としたイベントで、マレーシア半導体産業協会(MSIA)との共催となる。

参加対象は日本・マレーシアの半導体関連企業70社程度を見込んでおり、参加予定の日本企業の製品・サービス紹介カタログをジェトロが事前に作成し、ネットワーキングイベント前にMSIA会員企業に周知し効率的なビジネスマッチングを行う。日本企業の参加申し込み締め切りは4月20日(https://forms.office.com/r/XvPJKRKqSDとなっている。

ジェトロは翌5月5日にKL市内で開幕する半導体分野の国際見本市「Semicon South East Asia」にも広報ブースを出展する予定。来場する海外企業とのネットワークの構築、日本企業への商談アレンジを行う。

アンワル首相の6月訪日で調整、脱炭素やエネルギーなど協議へ

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相が6月に訪日する方向で調整が行われている。温室効果ガス削減に関する二国間クレジット制度(JCM)や、環境・エネルギー・技術などの分野における包括的な協力覚書(MoC)の合意を目指している。

国営「ベルナマ通信」によると、四方敬之 駐マレーシア日本大使が13日、天然資源・環境持続可能性省(NRES)のアーサー・ジョセフ・クルップ大臣を表敬訪問。アンワル首相の訪日の主要議題について協議したという。

焦点の1つが希土類元素(レアアース)で、NRESは「日本の技術専門知識の支援を通じた、レアアース産業の持続可能な発展にも重点が置かれた」と説明した。このほか、▽サラワク州における持続可能な航空燃料(SAF)生産を含む脱炭素化技術▽液化天然ガス(LNG)供給によるエネルギー安全保障の強化▽パーム油副産物の加工を通じた循環型経済の発展▽来年横浜で開催される国際園芸博覧会への参加――などについても意見交換が行われた。

クルップ氏は「日馬の協力強化は、イノベーションを促進するだけでなく、グリーン投資と天然資源管理の地域ハブとしてのマレーシアの地位を確実にするものだ」と述べた。
(ベルナマ通信、4月13日)

AI活用対話型顧客サービスが急拡大=インフォビップ

【クアラルンプール】 マレーシアでは、企業と顧客のコミュニケーションにおいて、人工知能(AI)を活用した「対話型サービス」の導入が急速に進んでいる。企業向け通信インフラの世界的大手インフォビップが発表した「メッセージングトレンドレポート2026」で明らかになった。

レポートは、企業と顧客のコミュニケーションについて毎年発表しているもので同社が有する過去20年のデータと照らし最新の動向を分析している。

それによるとこの1年間でモバイルメッセージングアプリを通じたやり取りが240%増加。ワッツアップは40%増加したほか、カスタマーサポートを通じた音声やビデオ通話は38%、メールは20%増加した。

背景には、消費者と企業が対話しながら購買行動を進める「会話型コマース」の普及がある。商品検索、購入、配送確認、カスタマーサポートまでをチャット上で完結させる仕組みで、AI活用により、チャットボットによる24時間対応などにとどまらず、近年は顧客の意図を理解し、商品提案や手続きの誘導まで行う「エージェント型」に進化。これにより、企業は顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションを効率的に提供できるようになっているという。AIエージェントによる会話型インタラクションの91%はワッツアップを通じて行われていた。

また、電話番号に基づくショートメッセージを進化させた「RCS(リッチコミュニケーションサービス)」などの技術も普及。テキストに加え、画像やボタン付きメッセージなどの送信が可能で、双方向で高機能な顧客対応が広がっている。同社は「マルチチャネルコミュニケーション戦略の重要性がますます高まっている」と指摘している。
(ザ・スター、4月13日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月10日)

大創産業、マレーシアで日本人学生向けインターンシップ開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 大創産業(本社・広島県東広島市)は13日、日本の大学生を対象に、同社のマレーシアの大型物流施設を使ったインターンシップを実施したと発表した。

今回は、2月22日―3月1日の8日間、セランゴール州ポートクランの同社のグローバル流通センター(GDC)で行われ、学生19人が参加した。2024年開設のGDCは、合計約3万5,000個の在庫を保管できる施設で、学生たちはラベリング、ピッキング、パッキングなどの倉庫実作業を通じ、コスト意識と効率化などを体感したという。

同社は、国際的な視野を持つグローバル人財の採用強化を目的に、昨年から「グローバルチャレンジ」と題したインターンシッププログラムを展開。これまでにのべ3回35人の学生がマレーシアやタイで学んだという。また3月18日には、「インターンシップ特設サイト」を開設。今年8月にも台湾での開催を予定している。

不動産開発のサンスリア、カンポンバルの再開発を本格化

【クアラルンプール】 不動産開発のサンスリアは10日、クアラルンプール(KL)中心部で長年にわたり開発の手が加えられてこなかったカンポン・バル地区における再開発計画「KLシティ・ゲートウェイ」(KLCG)を、同社主導で本格化させると発表した。

KLCGの対象は、KL中心部とつながるサロマ・ブリッジ北詰め周辺の9.66エーカー。約100エーカー規模とされるカンポン・バルの中でもアクセスに優れたエリアで、軽便鉄道(LRT)の駅にも近く、アンパン・クアラルンプール高架道路(AKLEH)からの直接アクセス整備も計画され、複合型交通指向型開発プロジェクトとして位置づけられている。

開発は2期に分けて進められる予定で、第1期(約7.95エーカー)の総開発価値(GDV)は27億5,000万リンギと推定されている。サービスアパートメント、ビジネススイート、商業・小売区画などで構成され、2034年ごろの完成を目指す。

カンポン・バルは、もともとマレー系住民(ブミプトラ)のための農業・居住地区として整備され、1970年代以降に新経済政策(NEP)などを背景に、周辺の都市化が急速に進む中でも、伝統的居住区として開発されずに残ってきた経緯がある。

2005年になりKLCG社が設立され、開発構想が浮上。2024年にサンスリアがKLCG社の株式の20%を取得して以降、徐々に計画が動き始めた。今回サンスリアはKLCG社の株式を61%まで引き上げた。既存居住者には、対象地区内の代替住戸が提供されるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、4月10日、発表資料)

サバ州政府、日本への直行便再開に向け航空会社と協議へ

【コタキナバル】 サバ州政府は、コタキナバル(KK)と日本の直行便再開に向け、航空会社との協議を進める方針だ。同州のジャフリー・アリフィン観光文化環境相が10日、明らかにした。

ジャフリー氏によると、格安航空会社エアアジア・マレーシアが昨年8月から、コタキナバル―台北―福岡線を運航しているものの、直行便はない。同氏は「直行便は観光セクターの活性化に大きく貢献するため、非常に重要」と指摘した。

具体的には、以前に期間限定などで直行便運航の実績があるマレーシア航空や、エアアジアを中心に協議していく考えを示した。ただし、世界的な燃油価格の高騰などを踏まえ、「路線の再開方法を検討すると同時に、日本との経済・社会関係を強化するための協力活動やプログラムを推進していく」と付け加えた。

同氏はこの日、同州のイスラム文明博物館で開催中の「すしを愛でる」展で行われたイベントに出席。同展は国際交流基金による海外巡回展の一環で、イベントには四方敬之 駐マレーシア日本大使らも出席し、食を通じた相互の文化理解の重要性について言及した。同展は6月7日まで開催されている。
(ザ・スター、ボルネオポスト、4月10日)

マレーシアのタンカー6隻がホルムズ海峡通過、5月までの供給確保

【クアラルンプール】 ホルムズ海峡封鎖で立ち往生していたマレーシアの原油タンカー7隻のうち6隻が海峡を無事通過し、マレーシアに向けて航行中だ。アンワル・イブラヒム首相は、残りの1隻が損傷により港に停泊しているものの、4月と5月の石油供給は確保されていると述べた。1隻は間もなくマレーシアに到着する予定。

アンワル首相は国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のムハンマド・タウフィク最高経営責任者(CEO)から最新の状況について説明を受けたことを明らかにした上で、「4月と5月の石油供給が引き続き安定した状態を維持できることを願っている」と言明。財政圧力の高まりにもかかわらず、現在の燃料価格を維持するという政府の決意を改めて表明し、エネルギー情勢を継続的に監視していると強調した。

アンワル首相は、「ペトロナス元CEOで経済アドバイザーのハッサン・マリカン氏が議長を務める委員会がエネルギー需要全体の見直しを行っており、内閣は現在の経済状況を踏まえ、状況が引き続き管理下に置かれるよう日々の動向を厳密に監視している」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、ザ・スター電子版、4月10日)

【総点検・マレーシア経済】第544回:変わるアジアの半導体GVC

第544回:変わるアジアの半導体GVC

ここ数年、マレーシアの台湾からの輸入が急増しています。最近は、マレーシアからアメリカへの輸出急増が注目されていますが、輸入側の構造も静かに変わりつつあります。2025年、台湾はマレーシアの輸入先として米国を上回り、中国、シンガポールに続く3位になりました。特に、直近2年で台湾からの輸入は84%も増加しています。

マレーシアの台湾からの輸入の約6割は半導体関連です。半導体関連製品は貿易統計で詳細な品目を判別するのが難しいのですが、台湾側のHSコード11桁のデータを分析することで、実態が見えてきました。

台湾がマレーシアに輸出している半導体の品目は主に3つ。HSコードでは8542.3900.120/219/228で、それぞれ、以下のような品目を指しています。

ICウェハー(.120)は半導体が形成されたウェハーです。光沢のある褐色の円盤に半導体がびっしりと形成されているものです。これを切断すると、半導体チップの中核部分が取り出せます。それがICチップ(.219)です。さらに、切り出した半導体チップを複数組み合わせて基板に実装したものがIC中間アセンブリ(.228)となります。

<図1>

近年、台湾からマレーシアへの輸出が急増しているのはICチップとIC中間アセンブリですが、より大幅に増加しているのはIC中間アセンブリです。

<図2>

これは、台湾とマレーシアの後工程の分業関係の変化を示しています。従来は、ICウエハーを台湾で生産し、それをマレーシアに送ってダイシングやパッケージングの後工程で処理していました。それが、ダイシングやモジュールへの組み立てという後工程の一部まで台湾内で行われるようになっています。

こうした分業関係の変化は、主に台湾のTSMCとマレーシアのインテルの協業関係の深まりによるものです。インテルは当初、自社製半導体のコアをすべて自社の前工程で生産していました。しかし、微細化の競争でTSMCに後れを取ったため、GPU/SoCタイルを2023年頃から、CPUタイルを2024年頃からTSMCに外注するようになっています。

マレーシアの台湾からの半導体半製品の輸入が急増する一方で、どこまでをどちらの国の工程で行うかについては、水面下での綱引きがあります。これまで前工程の誘致こそが半導体産業の高度化への道とされていましたが、いつの間にか主戦場は、先進後工程となっているのです。

これは、半導体の実装技術が高度化し、後工程がもはや労働集約的なローテク工程ではなくなっているためです。TSMCはCoWoS(Chip on Wafer on Substrate)という先進パッケージング技術を持っています。一方で、インテルは後工程で2.5Dパッケージング技術EMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)と3Dパッケージング技術Foverosを持っており、ペナン工場に投入しています。

インテルは前工程ではTSMCに対して劣勢が続いていますが、後工程の実装技術ではアドバンテージを持っています。50年前、労働集約的な半導体の組み立て検査から始まったマレーシアのインテルは、今やインテルの屋台骨を支える存在になりつつあるのです。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp