食品廃棄物、約80%の家庭が分別せず=統計局

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 統計局は2日、2025年全国世帯指標調査(NHIS)に基づく家庭の食品廃棄物パターンに関する公式データを発表。家庭一人当たりの年間食品廃棄物排出量は31.9キログラムから97.3キログラムに達していることが分かった。

約80%の家庭が食品廃棄物を分別せず他の家庭ごみと一緒に捨てており、分別しているのはわずか20.7%にとどまった。週に500グラム未満の生鮮食品を廃棄していると答えた世帯は48.2%で、同じく加工食品または調理済み食品を廃棄していると答えた世帯は45.6%だった。

生鮮食品の中では、野菜が最も多く廃棄されており、廃棄された食品の29.1%を占めた。これに果物(22.4%)、魚介類(15.0%)と続いた。加工食品または調理済み食品では、コメが16.7%で最も多く、これに野菜(15.8%)、テイクアウト食品(13.8%)が続いた。

家庭における食品廃棄の主な理由については、「賞味期限切れ」が19.3%で最も高かった。これに「残り物の冷蔵庫や冷凍庫での長期間保存し過ぎ」(18.1%)、「食料品の買いすぎ」(15.2%)、「必要以上に調理する」(15.1%)と続いた。

政府、食料輸入依存度削減へ生産拡大を強化

【コタ・ティンギ】 マレーシア政府は、食料輸入依存度を2050年までに50%削減するという目標に向け、国内の食料生産拡大の取り組みを強化する方針だ。副首相を兼任するアハマド・ザヒド地方地域開発相が4日、明らかにした。

同省はこれまでに、食料安全保障の強化を目的に30年間の長期計画を策定。現在年間約800億リンギに上る食料輸入について、輸入依存度を段階的に引き下げ、2030年までに15%、40年までに30%、50年までに50%の削減を目指している。

具体的には、連邦土地再開発公社(FELCRA)や、ゴム産業小規模農家開発庁(RISDA)、各州の農業機関などとの連携を強化し、政府機関が所有する未利用地や遊休地を農業用地に転用。ブロイラー、採卵鶏、肉牛の飼育など、農業・畜産プロジェクトに活用する。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ビジネス・トゥデー、ザ・サン、7月4日)

ムルデカ118にEV用AC充電器32基、国内最大規模ハブに

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の超高層ビル「ムルデカ118」に、電気自動車(EV)用の交流(AC)充電器32基が整備された。国内最大規模のAC充電ハブになるという。

充電ハブは、インソン・グリーン・テクノロジーズ(YGT)のEV充電部門チャージEVと、ビルを運営する国営投資会社ペルモダラン・ナショナル(PNB)の100%子会社PNBムルデカ・ベンチャーズ(PNBMV)との提携によるもの。各充電器の出力は22キロワット。

同ビルには、マラヤン・バンキング(メイバンク)がすでに本社機能を移転しているほか、商業施設「118モール」は8月28日の開業が有力視されている。PNBMVのイズワン・イブラヒム最高経営責任者(CEO)は「メルデカ118はアクセスに優れた未来志向の拠点であり、EVの推進においても象徴的な役割を果たす」と述べた。
(ビジネス・トゥデー、7月3日、発表資料)

【総点検・マレーシア経済】第550回:マレーシアの原油、代替調達状況は?

第550回:マレーシアの原油、代替調達状況は?

6月26日、アズリナ・オスマン首相府相はペトロナスのガソリンスタンドについて8月末までは安定供給の目処が立ったと発言しました。マレーシアは主にペトロナスのネットワークを使って中東産の原油調達の代替を進めています。

表1はマレーシアの2025年の月平均の国別原油輸入額です。1位〜3位までをサウジアラビア、UAE、オマーンという中東諸国が占めています。マレーシアの原油輸入の中東依存度は約7割でした。

表2はマレーシアの2026年4月・5月の月平均の国別原油輸入額です。原油価格が2025年と比較して約1.6倍になっていますので、それを補正した輸入量の増減を推計して示しています。全体では46%減となっています。

中東諸国で輸入が減少しているのは、UAE(58%減)、サウジアラビア(86%減)で、クウェートについては輸入が0になってランク外となっています。いずれも、ホルムズ海峡封鎖の影響を受ける国々です。一方で、ホルムズ海峡外にあるオマーンについては-16%で輸入量がやや減少した程度に留まっています。

その結果、マレーシアが現在最も原油を輸入しているのはスーダンとなっています。ペトロナスは1999年に現在の南スーダンに進出し、パイプラインでスーダン港から原油を輸出しています。ただ、南スーダンの独立以降は事業環境が悪化し、2024年8月に南スーダンからの撤退を発表しています。しかし、その後も輸入は継続しており、原油調達のルートは残っているようです。

価格調整後の推定輸入量が300%以上増加(4倍超)しているのがアンゴラですが、ペトロナスは同国に2014年に進出しています。南スーダンとは異なり、現在も投資を続けており、今回のホルムズ海峡危機に際して輸入を大幅に増やしたと考えられます。

一見、不思議なのはイラクです。ペトロナスは2009年にイラクのガラフ油田などの権益を取得し、事業を展開しています。ただ、イラクはホルムズ海峡の奥に位置しており、海峡封鎖時には輸出は困難です。2026年4 ・ 5月という時期を考えると、3月にイラン政府とマレーシア政府が交渉をしてホルムズ海峡を通過できた時期の積み出しと考えられます。4月12日には米軍がホルムズ海峡の逆封鎖を発表していますので、イラクからの輸入は今後一旦は止まる可能性があります。

その他、マレーシアはペトロナスが権益を持つブラジル(売却中)や、マドゥロ大統領拘束後に合法的な調達が可能になったベネズエラなど南米諸国、さらに近隣のインドネシアからの調達を増やしています。

もう1点、サウジアラビアからの輸入額は激減していますが、実は2025年の第4四半期には既に月平均輸入額は半減していました。これは、ジョホール州のペトロナスとサウジアラムコの合弁石油コンビナートからのアラムコの撤退が2026年5月25日に発表されたことと関連していると思われます。アラムコはこのコンビナート向けの原油の約70%を供給していたとされ、撤退に向けて前もって輸出量を減らしていたと考えられます。

以上のように、マレーシアは主にペトロナスのネットワークを通じて原油の代替調達を積極的に進めていることが分かります。価格調整後の輸入は46%減と推定されますが、サウジアラビアからの調達を計画的に減らしていたことを考慮すると、ホルムズ海峡危機による実質的な減少率は20%台ではないかと考えられます。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp