コタダマンサラのデータセンター建設計画、住民が反対運動

【クアラルンプール】 セランゴール州ペタリンジャヤ(PJ)の住宅街であるコタ・ダマンサラで計画されているデータセンター建設計画が、住民の反対運動に遭っている。周辺の交通渋滞、道路の安全性、環境への影響、住宅地との近接性などの懸念の声が上がっている。

同データセンター建設計画は、PJ市議会(MBPJ)が1965年国家土地法第197条および第76条に基づき、土地の譲渡および再譲渡の申請及び商業データセンターの建設許可申請を受理したとする公示で明らかになった。同公示では近隣の土地所有者および一般市民に対し、7月9日から7月15日までの期間に反対意見を提出するよう呼びかけていた。

24時間稼働による騒音公害、データセンター機器から発生する熱と電力消費量増加、水使用量が多いとされるデータセンターを住宅街に建設することへの不満の声が多く寄せられており、また通常の異議申し立て期間は14―30日であるところから、7日間では短すぎるとの声も上がっている。

地元スンガイ・ブロー選挙区のR・ラマナン下院議員(人的資源相)は、MBPJの市長に反対意見書を提出したと述べた。反対意見書は7月15日に提出されたが、MBPJからは正式な回答は得られていないという。

コタ・ダマンサラ選挙区のイズアン・カシム州議会議員も、住民と共に正式な異議申し立てを行うと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、7月16日)

大石産業、マレーシアの日本産食品販売子会社を解散

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 大石産業(本社・福岡県北九州市)は17日、中期経営計画の一環として、日本産食品販売を手掛ける全額出資子会社であるフュージョンズ・トレーディング・マレーシア(FTM)の解散を同日の取締役会で決議したと発表した。

FTMは高品質、高付加価値な産品を東南アジアで販売する想定で2024年9月に設立されたが、現地の購買ターゲット層での購買動向の変化、現地市場での他国産品や類似品の市場投入といった苛烈な市場競争、物流費用の高騰にも直面し、当初の事業計画を達成できなかった。

事業開始年度の2024年12月期は1,900万円の赤字、初の通年となる2025年12月期は売上が1,100万円にとどまり、純損失が9,000万円に膨らんでいた。

FTMの資本金は100万リンギ。日本の高品質農産物やその他食品を日本より輸入し、東南アジアにおいて販売を行っていた。現在も事業活動を継続しており、2026年9月に仕入、販売、輸出入事業の停止、2027年6月の清算結了をそれぞれ予定している。

トヨツービンター、ダンロップのマレーシア事業を強化方針

【クアラルンプール】 タイヤブランド「ダンロップ」の独占販売代理店で、豊田通商グループのトヨツー・ビンター・マレーシア(TBM)は今後、販売店ネットワークの拡大、タイヤ製品ラインナップの拡充などを通じ、マレーシア市場での事業展開を強化していく方針だ。

TBMは今年5月、独占販売代理店に指定されたのを受け、7月17日に今後の事業方針を説明するメディア向け説明会を開催した。5月以降、販売店数は約150店舗から200店舗以上となり、ネットワークは30%以上拡大したという。

さらに一部の販売店では、専用販売拠点「ダンロップ・パフォーマンス・センター」の設置も検討。ブランド体験の向上や小売網の強化につなげる。

製品ラインナップでは、乗用車向けの「ブルーレスポンス」、高級車・高性能車向け「スポーツマックス」、多目的スポーツ車(SUV)・ピックアップトラック向け「グラントレック」の各シリーズなど、車種や用途に応じたさまざまな製品をすでに展開している。加えて今年後半には、スポーツタイプなど高性能電気自動車(EV)向け「eスポーツマックス」も投入予定という。

TBMのマーカス・リム社長は「マレーシアは長期的な成長の可能性が非常に大きく、ダンロップにとって重要な市場だ」と述べた。説明会には、「ダンロップ」ブランドを展開する住友ゴム工業のASEAN統括責任者、浅井岳彦氏らも出席し、両社の連携強化をアピールした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ポールタン、オートバズ、カーシフ、7月17日)

【総点検・マレーシア経済】第551回:マレーシアの2026年第2四半期の経済成長率(推計値)は5.8%増

第551回:マレーシアの2026年第2四半期の経済成長率(推計値)は5.8%増

7月17日に発表されたマレーシアの2026年第2四半期の経済成長率(推計値)は前年同期比5.8%で、第1四半期の5.4%からさらに加速しました。これにより、2026年前半の経済成長率は5.6%となり、現在の政府予測である4.0%~5.0%の上限を超えています。予想以上に強い数字で、下半期にホルムズ海峡危機の影響が出てきたとしても、政府予測の達成はほぼ確実、上振れの可能性もあると言えるでしょう。

2026年第2四半期の部門別GDPでは製造業の伸びが7.5%となり、第1四半期の5.9%からさらに加速しています。サービス業についても5.4%(第1四半期:5.6%)で、好調と言える状況が続いています。

2026年第1四半期時点での見通しは、必ずしも明るくありませんでした。月次のGDP成長率は1月~3月に、6.8%、5.2%、4.1%と急速に低下していたからです。筆者は本連載第547回で「もし世界的にホルムズ海峡危機を主因とした原材料のサプライチェーンが大きく混乱した場合、マレーシアの2026年の経済成長率は3%台半ばまで下落することはありうる」と悲観的な見方を示しています。

しかし、その後の状況は予想と全く違う方向で推移しています。ホルムズ海峡危機は引き続き予断を許さないものの、実体経済への影響は最小限に留まっています。生産者物価指数は4月が5.4%上昇、5月は7.8%上昇と大きく上昇していますが、消費者物価の上昇は5月が2.0%、6月が1.9%と低く抑えられています。

2026年5月の輸出は前年同月比45.3%増と爆発的な伸びを見せ、特に米国向けの輸出は97.7%増とほとんど2倍になっています。シンガポール向けが40.4%増、中国向けが27.8%増と全面的に好調です。

バンクネガラは7月9日に金融政策決定会合を開き、政策金利を2.75%に据え置きました。ホルムズ海峡危機は依然としてリスク要因であるものの、堅調な内需と予想以上の輸出の伸びに支えられて経済は好調であるという認識を示しています。

ホルムズ海峡危機が下振れリスクとしては残るものの、2026年のマレーシア経済は未曾有のAIブームに乗って好調に推移していると言えるでしょう。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp