
第569回 マレーシアのイスラム銀行、金融各誌が表彰
Q: 金融各誌がイスラム金融の賞を発表しましたが、マレーシアの受賞は?
A: 欧米を中心に英語で発行されている金融専門雑誌2誌が5月にあいついで「ベスト・イスラム金融機関賞」を発表した。様々な部門が設けられているが、マレーシアのイスラム銀行が受賞した部門を紹介したい。
賞を主催したのは1987年発刊のグローバル・ファイナンスと、もう一つは1967年発刊のユーロ・マネーだ。いずれも、融資や預金などの業務別賞と、国・地域ごとの賞を設けている。選考基準はとしてか指標を導入して優劣を競うというよりも、年間の活動内容や動向を判断材料としているようだ。
まずグローバル・ファイナンスでは、メインバンク・イスラミックが業務別で最優秀資産管理賞を。地域別では最優秀アジア賞と最優秀マレーシア賞の両方を獲得した。最優秀資産管理賞の受賞理由は、顧客に対して最新のアプリを使用しての資産管理や資産運用のアドバイスを積極的に行ったことが評価された。地域部門では、同銀行がマレーシアのイスラム金融資産の30%を保有する最大のイスラム銀行であり、総資産は世界でも5番目に大きいこと、マレーシアはもとよりアジア各地にビジネスを拡大しており、特に昨年はフィリピンでのビジネス展開が評価された。
同様にユーロ・マネーでも、メイバンク・イスラミックが最優秀アジア賞を獲得した。こちらも高評価のポイントとして、総資産が大きいこと、マレーシアだけでなくフィリピンをはじめ各国でのビジネス展開が評価された。また同誌は、ESG(環境・社会・ガバナンス)に力を入れているイスラム銀行として、パブリック・イスラム銀行に最優秀ESPマレーシア賞を授けた。グリーン住宅やグリーン・エネルギーの生産・購入・使用に関わる融資を積極的に行ったことで、マレーシア社会でのESGの普及に貢献したことが、受賞の理由だとしている。
福島 康博(ふくしま やすひろ) 立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。 |