「RON95」補助金、新たに漁業従事者など3.1万人を対象に

【プトラジャヤ】 先ごろ施行されたレギュラーガソリン「RON95」の新たな補助金制度「BUDI95」について、財務省は新たに3つのグループに対象を拡大すると発表した。これにより全国で3万1,000人以上が恩恵を受ける見込みだ。

新たに「BUDI95」の対象となったのは、マレーシア漁業開発公社(LKIM)に登録されている1万7,900人以上の漁業従事者、サバ州港湾局に登録されている4,300人以上の個人船舶所有者、道路運輸局(RTD)に登録されている9,700人以上の新規運転免許証取得者。政府はサバ州とサラワク州を中心に無免許ボート利用者に関する追加データをまとめているという。

財務省はまた、公共陸運局(APAD)と配車サービス(e-hailing)事業者との間で、フルタイム配車サービス運転手の月間燃料利用限度額を300リットル以上に引き上げる協議が進められていることを明らかにした。配車サービス運転手については財務省が先ごろ、10月15日から補助金の追加受給資格を与えることに合意したと発表していた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ベルナマ通信、10月7日)

三井不動産、マレーシアにおける戸建分譲事業に初参加

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 三井不動産(本社・東京都中央区)は、セランゴール州セメニエの大規模マスタープラン開発計画「セティア・エコヒル」における戸建分譲事業に参画すると発表した。同社にとりマレーシアにおける戸建分譲事業参画はこれが初めて。

三井不動産が現地法人のマレーシア三井不動産を通じて参加するのは「セティア・エコヒル」の戸建住宅の最終フェーズとなる総戸数683戸の住宅分譲事業で、敷地面積は約45.8万平方メートル。2026年7月に第1期着工、2028年に竣工をそれぞれ予定している。既存パートナーのSPセティアとの共同事業となる。

開発予定の住宅は、24時間警備員が常駐するゲート付きコミュニティ内に位置することで高い安全性を有するほか、敷地内に緑地や公園を豊富に配置するなど緑豊かな住環境を整備する予定。EV充電やスマートロックの導入など、利便性が高くサステナブルな住宅を開発していくことを目指す。

これにより三井不動産のマレーシアでの住宅分譲事業は計6事業、その他商業施設事業や賃貸住宅事業、物流事業を加えると計10事業となる。

「セティア・エコヒル」では、約272ヘクタールの敷地にて将来計画を含む約7,000戸の分譲住宅のほか、商業施設やインターナショナルスクールなどの開発が計画されている。

JICA、第三国研修「アフリカ諸国向け貿易振興」を開催へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 国際協力機構(JICA)マレーシア事務所は、マレーシア外務省及びマレーシア貿易開発公社(MATRADE)と共同で第三国研修「アフリカ諸国向け貿易振興」を10月8日から10月15日にかけて開催すると発表した。

第三国研修は、ある開発途上国において、他の開発途上国から研修員を受け入れて行われる研修をJICAが資金的・技術的に支援する技術協力の一種。今回の研修は研修実施機関であるMATRADEが受け入れ機関となり、アフリカ諸国から12人(計9カ国)の研修員を受け入れて貿易振興に関する研修を行う予定。研修員の多くは自国の貿易振興を担当している政府職員となる。

研修員は、▽アルジェリア▽アンゴラ▽ブルキナファソ▽カメルーン▽コートジボワール▽ジブチ▽エスワティニ▽エチオピア▽ガーナ▽ケニア▽リビア▽モーリシャス▽モザンビーク▽ナイジェリア▽ルワンダ▽セネガル▽南アフリカ▽タンザニア▽ウガンダ▽ジンバブエ――の20カ国のうち9カ国から選出する。

米ハイアット、アジア太平洋地域で5年間で90軒の開業を計画

【クアラルンプール】 米ハイアットホテルズアンドリゾーツは、マレーシアを含めたアジア太平洋地域で、今後5年間で90軒近くの開業を計画。ラグジュアリートラベル市場を牽引する同地域における事業を強化していく方針だ。

ハイアットは8月、クアラルンプール(KL)の複合ビルKLミッドタウン内の「ハイアットリージェンシークアラルンプール・アットKLミッドタウン」と、超高層ビル「ムルデカ118」内の「パークハイアット・クアラルンプール」を相次いで開業した。

ハイアットは2005年に 「ハイアットリージェンシー・サウジャナ」(現ザ・サウジャナホテル・クアラルンプール)の運営から撤退して以来、20年間、首都圏クランバレーに新規進出をしていなかった。8月開業の2ホテルを加え、現在8軒を運営。このほか、サバ、ペナン、パハン、ジョホール州などでもハイアット傘下のホテルが運営されている。

アットKLミッドタウンは客室306室とサービス住宅104室、パークハイアットは252室となっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月3日)

日野、ユーロ5準拠の小型商用車「300シリーズ」を発表

【セレンバン】 日野自動車のマレーシア販売子会社、日野モーターズ・セールス(HMSM)はこのほど、小型商用車(LCV)「300シリーズ」のEU(欧州連合)排ガス規制「ユーロ5」に準拠した新モデルを正式に発表した。

新モデルは、4輪車と6輪車の2つのタイプがあり、10月1日から新たに6輪車の予約受付を開始した。最高出力は150馬力(PS)、最大トルクは420ニュートンメートル(Nm)。トランスミッションはオートマチック(AT)とマニュアル(MT)が選択できる。排出ガスを効率的に削減し、エンジンの最適な状態を維持する排出ガス浄化装置(DPR)が搭載され、ユーロ5規制にも適合する。また、ドライバーの運転状況などを遠隔で把握・分析できるスマート機能も導入された。

さらに10月から大型車両への設置が義務付けられた速度リミッター(SLD)にも対応するなど、安全性の向上が図られている。

ネグリ・センビラン州センダヤンにある「日野トータルサポート・カスタマーセンター」で行われた発表会には、HMSMの高橋宏史社長らが出席。「このモデルは単なるトラックではなく、変化するニーズを踏まえ、お客様のビジネス成長の支援に向けた我々の答えだ」と述べた。

一部の正規販売店では試乗できるオープンデーが実施されるほか、予約キャンペーンなども展開される。
(カーリスト、10月6日、カーシフ、10月2日)

「日本・マレーシア環境ウィーク」、17日に公式セッション開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本アセアンセンターは、日本の環境省がクアラルンプール(KL)で開催する「日本・マレーシア環境ウィーク」(10月15―17日)において公式セッションを17日に開催すると発表した。

「再生材の未来。廃棄物から高付加価値材への日ASEAN企業連携」と題するセッションは、日本の環境省およびマレーシア政府機関との協力で開催されるもので、日本、マレーシア、そして東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の環境イノベーションや持続可能技術に関心を有する企業や投資家を対象としている。

セミナーでは、付加価値型リサイクルや循環型ソリューションの機会について議論する。日本、マレーシア、ASEANからの専門家や企業による発表に加え、持続可能な未来に向けた協力を深めるためのオープンディスカッションも行う。

アミタホールディングス(廃棄物変換・リサイクル)、J&Tリサイクリング(廃棄物管理・リサイクル)など国内外企業が基調講演を行う。日本アセアンセンターは期間中に会場内にブースを出展する。

レギュラーガソリンの価格メカニズム見直しへ=国内取引物価省

【サイバージャヤ】 国内取引物価省(KPDN)は、レギュラーガソリン「RON95」の自動価格設定メカニズム(APM)の料金見直しを近く発表する見通しだ。今後、所得者層ごとにRON95の補助金額が変わる可能性を踏まえ、負担の増加が見込まれるガソリンスタンドの経営を支援する狙いがある。

APMは全国のガソリン価格を統一的に販売するための制度。RON95の販売価格(補助金なし)は、現在のAPMでは、▽原油価格▽ガソリンスタンドの運営コスト▽石油会社の利益率▽ガソリン販売業者の利益率▽その他調整――の5つの要素で構成され、原油価格以外は固定値が設定されている。

今回、この固定値の部分を見直す見通し。KPDNは石油会社やガソリンスタンド協会と協議し、すでにAPMの見直し案を財務省に提出済みという。

RON95の新補助金制度「BUDI95」では、現状はマレーシア国民は一律の補助金付き額で販売されているが、今後所得者層ごとに補助額が変わる可能性がある。そうなると、ガソリンスタンドは管理コストが増え、経営への影響が懸念される。

また、BUDI95の対象外の外国人などは、APM見直しの影響を直接受けることになる。
(ビジネス・トゥデー、ベルナマ通信、10月3日)

サバ州議会が解散、60日以内に州議会開催へ

【コタキナバル】 サバ州のハジジ・ノール州首相は6日、同州議会の解散について同州のムサ・アマン知事が同意したことを明らかにした。これにより第17回サバ州議会選挙が60日以内に開催されることになる。

下院議会では2019年、定数60だったサバ州議会議席を13議席増やす動議を可決しており、今回の州選挙では全73選挙区で選挙が行われる。ハジジ氏が率いる同州与党連合・サバ国民連合(GRS)は、2022年の総選挙後のアンワル・イブラヒム首相率いる大連立政権の発足に際して、ハジジ氏が当時所属していた統一プリブミ党(PPBM)を離党して大連立発足に協力した経緯もあり、今回の州議選でもアンワル首相率いる希望同盟(PH)がGRSに全面協力する見通しだ。一方、PPBMが所属している野党連合・国民同盟(PN)は、ハジジ氏やGRPに対抗して全選挙区に候補者を擁立するとみられる。アンワル首相にとっても、現時点での大連立政権の支持率を占う試金石となる。

2020年9月の前回州議会選挙では当時、PPBMに所属していたハジジ氏が率いるGRSが38議席を獲得し、サバ遺産党(ワリサン)やPHなどが構成する同州与党連合(ワリサン+)を破って政権奪取に成功し、政権を樹立した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ボルネオポスト、ベルナマ通信、10月6日)

【総点検・マレーシア経済】第531回 緊密化するマレーシアと台湾の貿易関係

第531回 緊密化するマレーシアと台湾の貿易関係

ここ数年の貿易統計を見ると、マレーシアと台湾の貿易関係が緊密化していることが分かります。マレーシアの台湾からの輸入は2020年の461億リンギから2024年にはほぼ2倍の903億リンギに増加し、国別で見ると中国、シンガポール、アメリカに続く第4位となっています。一方、マレーシアから台湾への輸出は2020年の205億リンギから2024年には2.3倍の471億リンギに増加し、国別ではシンガポール、アメリカ、中国、香港、日本に続く6位となっています。

図1はマレーシアと台湾の貿易における半導体(HS8542)の輸出入額と全輸出入に占める比率を示したものです。マレーシアの台湾からの半導体輸入はここ5年で1.6倍に、輸出は2.4倍に増加しています。全輸出に占める半導体の比率は約80%で安定していますが、輸入に占める比率は2020年の80%から2024年には66%に低下し、台湾からの輸入はやや多角化する傾向が見られます。ただし、品目を詳しく見ると、半導体にノートPCやサーバーなど(HS8571)とPC関連の部品(HS8573)を加えると台湾からの輸入の約90%となり、IT関連製品で占められていることは変わりはません。

 

さらにマレーシアと台湾の半導体貿易を詳しく見ると、マレーシアの台湾からの輸入はプロセッサ・コントローラ(45.6%)、IC部品(28.6%)、その他IC(19.2%)と比較的分散しているのに対し、マレーシアの台湾への輸出ではプロセッサ・コントローラが68.4%を占めています。台湾から半導体部品・コンポーネントを輸入し、マレーシアで半導体完成品に組み立てている構造を示唆しています。

 

これは、台湾にTSMCに代表される先端半導体の前工程が集中している一方、マレーシアでは米インテルの後工程や半導体組み立て・テスト(OSAT)の世界最大手である台湾ASE社が進出し、後工程の集積地となっていることとも整合的です。企業レベルでは、例えばインテルはノートPC向けプロセッサのCore Ultra(Meteor Lake)において、GPUやインターフェイス部分の「タイル」の生産をTSMCに委託しています。

 

インテルは近年、前工程の微細化が停滞し、経営不振に陥っています。しかし、9月18日にAI半導体最大手のNVIDIAがインテルに50億ドルを出資することが発表され、AIデータセンター向けのNVIDIA製品にインテルのCPUが統合される方針が示されました。NVIDIAは台湾TSMCの主要顧客でもあることから、前工程を担う台湾と後工程を担うマレーシアの協業関係は今後さらに深まることが予想されます。

 

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

JICA、第三国研修「労働安全衛生管理」を開催

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 国際協力機構(JICA)マレーシア事務所は、マレーシア外務省及びマレーシア労働安全衛生局(DOSH)と共同で第三国研修「労働安全衛生管理」を2025年10月6日―10月17日にかけて開催すると発表した。

第三国研修は、ある開発途上国において、他の開発途上国から研修員を受け入れて行われる研修をJICAが資金的・技術的に支援する技術協力の一種。今回の研修はDOSHが研修機関として、アジア諸国から15人の研修員を受け入れ、労働安全衛生管理に関する研修を実施する。研修員の多くは、自国において労働安全衛生管理を担当する政府職員。

研修員の受け入れ対象国は▽バングラデシュ▽カンボジア▽インドネシア▽ラオス▽ネパール▽パキスタン▽フィリピン▽スリランカ▽東チモール▽タイ▽ベトナム――で、労働安全衛生管理におけるマレーシアの経験と優良事例を共有する