携帯電話利用記録の提出、通信委が携帯各社に要求

【クアラルンプール】 マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)が携帯電話サービス各社に、年初3カ月間の携帯電話通話記録、インターネット利用記録の情報提出を要求していたことが分かった業界筋の情報として香港紙のサウスチャイナモーニングポストが伝えた。

エッジの取材に対しMCMCは当初、返答を控えたが、6日夜、情報提出を要請したことを明らかにした。政策決定に活用するための統計作成が目的だという。

エッジの調査によれば、地方議会、政府省庁、国関係機関が保管する重要情報が、一般市民がアクセスできるサーバー上で公開されたことがあり、政府はこうしたサイバー攻撃、個人情報の漏洩に神経質になっていた。また最近、サイフディン・ナスティオン内相のワッツアップのアカウントがハッキングされる事案があった。

MCMCは、情報通信技術(ICT)と観光分野の政策決定に生かすためだとした上で、個人を特定できる情報は入手していないと釈明した。ICT分野ではブロードバンド利用者数や地域別浸透率などを調べるという。

事業者のうちUモバイルとテレコム・マレーシアは、個人を特定できる情報は提供していないと説明した。

(ベルナマ通信、6月8日、ザ・スター電子版、エッジ、6月6日)

内外4行に行政処分、金融サービス法違反で

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は28日、外資系を含む4銀行を金融サービス法違反で罰金の行政処分に付したと発表した。

処分を受けたのはHSBCとそのイスラム銀行部門(罰金は合計326万リンギ)、マラヤン・バンキング(メイバンク)のイスラム銀行部門、メイバンク・イスラミック(同120万リンギ)、および開発銀行のバンク・ペンバングナン・マレーシア(約49万リンギ)。4行とも罰金は既に納付した。

HSBCは顧客の身元確認を怠った。実質的支配者(受益所有者)の身元確認要件に関する理解の欠如が立ち入り検査で判明した。顧客が制裁対象者でないことを確認する制裁スクリーニングでも過失があったという。

バンク・ペンバングナンでも顧客の身元確認と制裁スクリーニングで怠慢があった。行員の理解不足が原因だ。

メイバンク・イスラミックはBNMが管理する中央信用照会情報システムに対し、3人の顧客情報の提供を怠った。この結果、顧客の信用度を正確に判断できず、同行は損害を被った。
(エッジ、ベルナマ通信、BNM報道資料、5月28日)

IHH子会社 、第一三共に対する損害賠償請求額を約10倍に

【クアラルンプール=アジアインフォネット】  世界最大級の病院グループであるIHHヘルスケアのシンガポール子会社、ノーザンTKベンチャー(NTK)は、東京地方裁判所に起こしていた第一三共株式会社(本社・東京都中央区)に対する損害賠償請求額を200億円から約2,000億円に増額したと明らかにした。

同訴訟は、NTKによる印フォルティス・ヘルスケア(FHL)およびその子会社であるフォルティス・マラー・ホスピタルズ(FMHL)の公開買付による株式取得手続きを第一三共が妨害したとして、NTKが損害賠償の支払いを求めていたもの。

NTKは、外部専門家であるオズボーン・パートナーズによって作成された3つの仮説シナリオに基づく専門家報告書を東京地方裁判所に提出しており、新たな請求額は報告書のシナリオの最大額1,093億インドルピー(約57億リンギ、約1,998億円)に近い金額となる。

IHHは2018年、FHLが実施した投資誘致の入札で落札者となった。NTKは、インドの法令に基づきFHLに対する公開買付を実施することが義務付けられたが、第一三共がこれを不当に妨害し阻止したことでNTKは多大な損害を被ったと主張している。

配車サービスのインドライブとマキシムに営業停止命令=陸運局

【クアラルンプール】 公共陸運局(APAD)は、配車サービスのインドライブとマキシムに対し、違法な運行があったとして7月24日までに営業を停止するよう命じた。アンソニー・ローク運輸相が9日明らかにした。

営業停止となる2社はいずれもロシア発祥で、APADはそれぞれ2022年と2023年に、必要とされる免許を持たない運転手が運行していた疑いなどで家宅捜索。無免許に加え、義務付けられている車両検査の不履行や、保険未加入の運転手がいるなどとして、配車サービスの業界団体からも営業取り消しの強制措置を強く求める声が上がっていた。

ローク氏は「2社は不服申し立てはできるが、最終的な判断は運輸大臣である私に委ねられる」と付け加えた。APADには現在、配車サービスで21社が登録されているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、5月9日)

「MH17便撃墜の責任はロシア側に」国際民間航空機関が認定

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 ウクライナ東部上空を飛行していたマレーシア航空MH17便が撃墜され乗員乗客298人が死亡した11年前の事件について、国際民間航空機関(ICAO)理事会は12日、責任はロシアにあると認定した。ロイター通信などが報じた。

アムステルダム発クアラルンプール行きのMH17便は2014年7月14日、親ロシア派分離主義者とウクライナ軍の激しい戦闘の中、ロシア製の対空ミサイルで撃墜され、それぞれ196人、38人の国民が死亡したオランダとオーストラリアの両国が2022年、ロシアを相手取ってICAOに提訴していた。両国政府はICAO理事会が今後数週間のうちにどのような賠償が適切かを検討すると述べた。

オランダの裁判所は2022年11月、撃墜に関与したロシア人男性2人とウクライナ人男性1人を欠席裁判で殺人罪で有罪とした。ロシア側はこの判決を批判し、身柄引き渡しは行わないと主張して対立している。

オランダのフェルドカンプ外相は「MH17便のすべての犠牲者とその家族、そして愛する人たちのために、真実を明らかにし、正義と責任追及を実現するための重要な一歩だ」と述べた。オーストラリアのペニー・ウォン外相はICAOの決定を歓迎した上で、ICAOに対し救済策を迅速に決定するよう求めた。

KLタワー、17日から一時閉鎖、背景に運営権騒動

【クアラルンプール】 通信省は17日、クアラルンプール(KL)のランドマーク「KLタワー」が同日夜から、保守・改修工事のため、一時閉鎖すると発表した。再開日は未定で、追って発表される。閉鎖はKLタワーの営業開始以来初めてという。

KLタワーを巡っては、投資持株会社リム・ソンハイ・キャピタル傘下のLSHサービスマスター(LSHSM)が4月1日から、運営管理・保守業務を政府から委託された。しかし、これを不服とする旧運営会社のメナラ・クアランプール(MKLSB)と、その親会社が、政府とLSHSMに対する仮差し止めを求めて3月27日に提訴。高等裁判所が4月8日にこれを却下した。しかし、MKLSB側は4月13日にも、タワー完成直後の28年前のタイムカプセルを開封するイベントを、マハティール・モハマド元首相を招いて行うなど、混乱が続いている。

こうした事情を受け、通信省は17日の声明で、今回の一時閉鎖はあくまで保守・改修工事のためとしつつ、KLタワーは政府の所有物であることを強調。MKLSBに対し、2回の立ち退き通知を発行したとし、MKLSBの不法占拠を非難した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、4月17日)

アブドラ元首相が死去、回廊計画など地域経済政策を推進

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アブドラ・バダウィ元首相が14日午後7時ごろ、クアラルンプールの国立心臓病研究所で亡くなった。85歳だった。アブドラ氏は呼吸困難を起こして13日に入院していた。娘婿であるカイリー・ジャマルディン氏(元保健相)が明らかにした。

アブドラ氏は統一マレー国民組織(UMNO)の政治家であったアハマド・バダウィ氏の長男として1939年にペナンで出生。マラヤ大学卒業後、外交官などを務めたのちに66年に政界入りし、78年に初当選。81年にマハティール・モハマド政権下で初入閣(首相府相)を果たした。その後、教育相や国防相、外相、内相などを歴任し、2003年に副首相に指名された。

突然辞任を発表したマハティール氏の指名を受けて、2003年に第5代首相に就任。マハティール政権時代の縁故主義や汚職対策を公約に掲げて2004年の総選挙では圧勝し、穏健なイスラム主義の下で東海岸経済地域(ECER)などの地域経済対策に注力した。またマハティール首相時代に悪化したシンガポールとの関係改善にも尽力した。

しかし政策を巡って元老的立場のマハティール氏との関係が悪化。2008年の総選挙では一転して与党連合・国民戦線(BN)が過半数を失ったことで与党内部での求心力も低下し責任論も浮上、2009年4月に待望論が高まっていたナジブ・ラザク副首相(当時)に禅譲するかたちで辞任した。

政界引退後はほとんど表舞台に出ることはなく、近年では体調悪化が伝えられ、カイリー氏は22年9月、アブドラ氏が認知症を患っていることを公表。家族の名前が分からず会話も困難な状態で、車椅子生活だったという。

パイプライン火災の被災地、ガス1日3.3億立方フィート不足

【クアラルンプール】 セランゴール州プトラハイツで起きたパイプラインの大規模火災の影響で、被災地では1日あたり3億3,000万立方フィートのガスが不足している。セランゴール州インフラ農業委員会のイザム・ハシム議長(国政の閣僚に相当)が8日、記者会見で明らかにした。

イザム・ハシム氏によると、不足している3億3,000万立方フィートのうち、2億立方フィートは州内の4発電所向けで、残り1億3,000万立方フィートは300の工場と、8,000の住宅・商業施設向けという。

影響を受けている発電所は、コンノートブリッジ、プラウ・インダ、スルタン・サラディン・アブドゥル・アジズ(KEV)、プトラジャヤの4つだが、うち2つは石炭や石油といった代替エネルギー源で対応可能という。現在、ガス・マレーシアやペトロナス・ガスと影響を抑えるための対応を協議中で、タンクでガスを運ぶなどの対策が見込まれるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、4月8日)

「マッシモ」の製パン工場が稼働停止、ガスパイプライン火災で

【クアラルンプール】 セランゴール州プトラハイツで1日発生したガスパイプラインの大規模火災で「マッシモ」ブランドの製パン工場の稼働が暫定停止している。

「マッシモ」の製造元であるイタリアン・ベーカーはフェイスブック・ページ上で、一時的に供給が中断されていると発表。「当社工場への液化天然(LNG)ガス供給が影響を受けたため、2025年4月4日から追って通知があるまで、ベーカリー製品の店頭販売が一時的に制限される」と説明した。再開に向けた最新情報については、ソーシャルメディアページで発表するとしている。

ペトロナスのガスパイプラインの漏れが原因で発生した火災は、1日午前8時10分に発生し、午後3時45分までに完全に鎮火した。爆発により周辺の住宅約200軒と店舗88棟が甚大な被害を受け、約305人の住民が避難した。
(ザ・サン電子版、マレー・メイル、4月3日)

10年前不明のマレーシア航空機、今年末から捜索再開の見通し

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は3日、2014年に行方不明となったマレーシア航空MH370便について、今年末に捜索を再開するとの見通しを示した。

MH370便は乗客227人と乗員12人を乗せたボーイング777型機で、2014年3月8日にクアラルンプールから北京に向かう途中で消息を絶った。インド洋南部で3年間にわたりマレーシア政府など関係国による大規模な捜索が行われたが、特定できないまま打ち切られ、「航空史上最大の謎」とされてきた。

2018年にも、米海洋探査会社オーシャン・インフィニティが捜索したが、新たな発見がないまま終了した。

その後昨年末になり、マレーシア政府はオーシャン・インフィニティと再捜索で合意したと発表。残骸が発見された場合のみ、成功報酬として7,000万米ドル(3億1,200万リンギ)をオーシャン・インフィニティに支払うなどとする契約内容で、3月下旬に最終的に契約が完了した。

捜索再開が今年末までずれ込むことについては、ローク氏は天候上の理由とし「政府は捜索活動を継続し、MH370便の乗客の家族が心の整理をつけられるよう尽力していく」と述べた。
(ザ・スター、4月4日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、4月3日)