KLタワー、17日から一時閉鎖、背景に運営権騒動

【クアラルンプール】 通信省は17日、クアラルンプール(KL)のランドマーク「KLタワー」が同日夜から、保守・改修工事のため、一時閉鎖すると発表した。再開日は未定で、追って発表される。閉鎖はKLタワーの営業開始以来初めてという。

KLタワーを巡っては、投資持株会社リム・ソンハイ・キャピタル傘下のLSHサービスマスター(LSHSM)が4月1日から、運営管理・保守業務を政府から委託された。しかし、これを不服とする旧運営会社のメナラ・クアランプール(MKLSB)と、その親会社が、政府とLSHSMに対する仮差し止めを求めて3月27日に提訴。高等裁判所が4月8日にこれを却下した。しかし、MKLSB側は4月13日にも、タワー完成直後の28年前のタイムカプセルを開封するイベントを、マハティール・モハマド元首相を招いて行うなど、混乱が続いている。

こうした事情を受け、通信省は17日の声明で、今回の一時閉鎖はあくまで保守・改修工事のためとしつつ、KLタワーは政府の所有物であることを強調。MKLSBに対し、2回の立ち退き通知を発行したとし、MKLSBの不法占拠を非難した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、4月17日)

アブドラ元首相が死去、回廊計画など地域経済政策を推進

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 アブドラ・バダウィ元首相が14日午後7時ごろ、クアラルンプールの国立心臓病研究所で亡くなった。85歳だった。アブドラ氏は呼吸困難を起こして13日に入院していた。娘婿であるカイリー・ジャマルディン氏(元保健相)が明らかにした。

アブドラ氏は統一マレー国民組織(UMNO)の政治家であったアハマド・バダウィ氏の長男として1939年にペナンで出生。マラヤ大学卒業後、外交官などを務めたのちに66年に政界入りし、78年に初当選。81年にマハティール・モハマド政権下で初入閣(首相府相)を果たした。その後、教育相や国防相、外相、内相などを歴任し、2003年に副首相に指名された。

突然辞任を発表したマハティール氏の指名を受けて、2003年に第5代首相に就任。マハティール政権時代の縁故主義や汚職対策を公約に掲げて2004年の総選挙では圧勝し、穏健なイスラム主義の下で東海岸経済地域(ECER)などの地域経済対策に注力した。またマハティール首相時代に悪化したシンガポールとの関係改善にも尽力した。

しかし政策を巡って元老的立場のマハティール氏との関係が悪化。2008年の総選挙では一転して与党連合・国民戦線(BN)が過半数を失ったことで与党内部での求心力も低下し責任論も浮上、2009年4月に待望論が高まっていたナジブ・ラザク副首相(当時)に禅譲するかたちで辞任した。

政界引退後はほとんど表舞台に出ることはなく、近年では体調悪化が伝えられ、カイリー氏は22年9月、アブドラ氏が認知症を患っていることを公表。家族の名前が分からず会話も困難な状態で、車椅子生活だったという。

パイプライン火災の被災地、ガス1日3.3億立方フィート不足

【クアラルンプール】 セランゴール州プトラハイツで起きたパイプラインの大規模火災の影響で、被災地では1日あたり3億3,000万立方フィートのガスが不足している。セランゴール州インフラ農業委員会のイザム・ハシム議長(国政の閣僚に相当)が8日、記者会見で明らかにした。

イザム・ハシム氏によると、不足している3億3,000万立方フィートのうち、2億立方フィートは州内の4発電所向けで、残り1億3,000万立方フィートは300の工場と、8,000の住宅・商業施設向けという。

影響を受けている発電所は、コンノートブリッジ、プラウ・インダ、スルタン・サラディン・アブドゥル・アジズ(KEV)、プトラジャヤの4つだが、うち2つは石炭や石油といった代替エネルギー源で対応可能という。現在、ガス・マレーシアやペトロナス・ガスと影響を抑えるための対応を協議中で、タンクでガスを運ぶなどの対策が見込まれるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、4月8日)

「マッシモ」の製パン工場が稼働停止、ガスパイプライン火災で

【クアラルンプール】 セランゴール州プトラハイツで1日発生したガスパイプラインの大規模火災で「マッシモ」ブランドの製パン工場の稼働が暫定停止している。

「マッシモ」の製造元であるイタリアン・ベーカーはフェイスブック・ページ上で、一時的に供給が中断されていると発表。「当社工場への液化天然(LNG)ガス供給が影響を受けたため、2025年4月4日から追って通知があるまで、ベーカリー製品の店頭販売が一時的に制限される」と説明した。再開に向けた最新情報については、ソーシャルメディアページで発表するとしている。

ペトロナスのガスパイプラインの漏れが原因で発生した火災は、1日午前8時10分に発生し、午後3時45分までに完全に鎮火した。爆発により周辺の住宅約200軒と店舗88棟が甚大な被害を受け、約305人の住民が避難した。
(ザ・サン電子版、マレー・メイル、4月3日)

10年前不明のマレーシア航空機、今年末から捜索再開の見通し

【クアラルンプール】 アンソニー・ローク運輸相は3日、2014年に行方不明となったマレーシア航空MH370便について、今年末に捜索を再開するとの見通しを示した。

MH370便は乗客227人と乗員12人を乗せたボーイング777型機で、2014年3月8日にクアラルンプールから北京に向かう途中で消息を絶った。インド洋南部で3年間にわたりマレーシア政府など関係国による大規模な捜索が行われたが、特定できないまま打ち切られ、「航空史上最大の謎」とされてきた。

2018年にも、米海洋探査会社オーシャン・インフィニティが捜索したが、新たな発見がないまま終了した。

その後昨年末になり、マレーシア政府はオーシャン・インフィニティと再捜索で合意したと発表。残骸が発見された場合のみ、成功報酬として7,000万米ドル(3億1,200万リンギ)をオーシャン・インフィニティに支払うなどとする契約内容で、3月下旬に最終的に契約が完了した。

捜索再開が今年末までずれ込むことについては、ローク氏は天候上の理由とし「政府は捜索活動を継続し、MH370便の乗客の家族が心の整理をつけられるよう尽力していく」と述べた。
(ザ・スター、4月4日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、4月3日)

犯罪関与の外国人、2021ー24年の間に逮捕者が9600人

【クアラルンプール】 2021年から昨年11月までの間にマレーシア国内で外国人9,684人が暴力犯罪、強盗、窃盗、殺人、強姦、その他の犯罪行為に関与したとして警察に逮捕された。ラザルディン・フセイン監察総監が明らかにした。

国籍別でみると、インドネシア、ミャンマー、バングラデシュ、フィリピン、パキスタンから来た外国人の犯罪率が高かった。合法的に入国した後にオーバーステイで逮捕された者は6,559人に上った。

指名手配された外国人は2,141人で、うち1,414人は刑事捜査局が捜査している事件に関与した容疑で、325人は商業犯罪に、402人は麻薬関連犯罪に関与していた。

ラザルディン氏は、外国人、特に不法移民が関与する犯罪に対処する上で警察が直面する問題として、身元確認、個人の所在特定の困難さ、国際協力の制限などを挙げた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月18日)

1MDBにかかわる流用資金、これまでに298億リンギ回収

【クアラルンプール】 マレーシア汚職摘発委員会(MACC)は17日、国営投資ファンドの1マレーシア・デベロップメント(1MDB)スキャンダルにからみ、流用された資金のうちさらに1,467万リンギの回収に成功したと発表した。

2人の個人(タン・キムルーンとヤク・ユーチー)につながる流用資金で、事件で中心的役割を果たし逃亡中のジョー・ロー容疑者と親しかったとされるタンからは、資産売却などを通じ約1,300万リンギを取り戻した。シンガポール市民であるヤクから回収した資金は約170万リンギヤクは同スキャンダルへの関与でシンガポールにおいて有罪判決を受けた。

1MDBは戦略的投資と経済発展を目的に創設されたが、巨額の資金が流用され、外国の政府高官や金融機関を巻き込んだ詐欺、資金洗浄事件に発展した。流用された資金の総額は420億リンギ(約1兆4,056億円)で、マレーシア当局はこれまでに70%に相当する297億5,000万リンギ(9,956億円)を取り戻した。

回収にはホワイトカラー犯罪を取り締まるシンガポールの商事調査局の協力があった。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月18日、ビジネス・トゥデー、3月17日)

日本人女性がスバンジャヤのコンドで転落死、事件性ない模様

【クアラルンプール】 2月28日午前8時頃、セランゴール州スバンジャヤのSS16地区のコンドミニアムで、地面にうつ伏せで倒れている50代の日本人女性が発見された。女性はその場で死亡が確認された。

地元警察の調べでは、コンドの4階から転落したとみられる。転落原因を調べているが、いまのところ事件性はないという。女性は主婦で、14年ほど前からマレーシアに住んでいた。

日本の外務省のホームページ( https://www.anzen.mofa.go.jp/life/info20210707.html )でも悩みを抱える人向けに相談窓口を紹介している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、ベルナマ通信、2月28日)

KKマートで販売のサンドイッチ、ハラルマークの偽造発覚

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 マラヤ大学(UM)キャンパス内のコンビニ2店舗で売られていたサンドイッチに付けられたハラル(イスラムの戒律に則った)マークへの疑惑が浮上していた件で、イスラム開発局(JAKIM)は製造メーカーがハラル認証を取得していなかったと発表した。

問題のサンドイッチは鶏肉から作ったハムとチーズを挟んだもので、シェイク・アンド・ベイク・カフェが製造し、華人系ミニマートチェーン、KKマートの店舗で販売されていた。パッケージにはKKマートのロゴとハラルマークが入っていたが、実際はハラルではないのではないかとの疑問の声が浮上。疑惑を受けて当該2店舗は1月10日付けで閉鎖されているが、今後「2011年取引表示法」違反で関係者が訴追されるとみられる。

KKマート側はパッケージ上の同社のロゴは許可なくシェイク社が付けていたものだと主張。シェイク社との取引を停止し、法的措置をとると発表したが、統一マレー国民組織(UMNO)のアクマル・サレハ青年部長はKKマートがムスリム消費者を誤解させたと強く非難。華人系政党のマレーシア華人協会(MCA)は「問題を政治化すべきでない」とし、華人に対する非難がエスカレートすることに懸念を示した。

KKマートを巡っては、昨年3月に「アッラー」の文字がプリントされた靴下が販売されていたことが発覚。イスラムに対する誹謗だとの声がイスラム保守派から上がり、KKマートの店舗に火炎瓶が投げ込まれる騒ぎまで起きている。

ダークウェブ上で身分証明書の情報が漏えいか、内相は否定

【クアラルンプール】 国民の約48%に相当する1,700万人の身分証明カード(MyKad)の情報が外部に漏れ、ダークウェブ上で売り出されていると、シンガポールに拠点を置くダークウェブ監視会社ステルス・モールが、Xのアカウント「フュージョン・インテリジェンス・センター」で主張している。

ステルス・モールはその根拠として、ダークウェブに掲載されたとする複数枚の身分証明書カードのスクリーンショットを掲載した。ダークウェブとは、一般的な検索エンジンではアクセスできないインターネット空間で、違法なモノや情報が数多くやり取りされている。MyKadには氏名、住所のほかに生体情報が含まれており、なりすまし、不法な金融口座の開設などに悪用される恐れもある。

しかしマレーシア警察によれば、データ漏えいの被害届けはなく、サイバー犯罪捜査部の調査でも漏えい、情報販売の証拠は確認できなかったという。サイフディン・ナスティオン内相も、国家登録局を含め関係当局が徹底的に調べたが、情報漏出の事実はなかったと述べた。
(ベルナマ通信、フィンテックニュース、12月4日、ザ・スター、ザ・サン、12月5日)