複合放送施設「アンカサプリ・メディアシティ」がオープン

【クアラルンプール】  8億6,000万リンギを投じ2016年に開発がスタートした複合放送施設「アンカサプリ・メディアシティ」がクアラルンプールでオープンした。

政府のデジタルテレビ放送サービス開発計画に沿ったハイテク放送インフラ施設で、敷地面積は6万2,027平方メートル。18階建てのオフィススペース、1,000人収容可能なホール、録音・練習スタジオ、テレビスタジオ3カ所、立体駐車場、広場、屋外放送車両車庫などを備える。

開所式に参加したイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、「アンカサプリ・メディアシティ」はマレーシアのデジタル放送の象徴になるとし、米国ハリウッドや英国BBC、日本や韓国のコンテンツ産業のように、国内文化やライフスタイルを世界に通用する普遍的なコンテンツとして生み出すことが可能となると述べた。また、放送業界の発展は、技術、コンテンツ制作、インフラ・施設という3要素と密接に関係しており、「アンカサプリ・メディアシティ」は、放送業界の成長と発展に向け、有益なエコシステムを提供するための戦略の一環だと述べた。
(ザ・サン、10月27日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、10月26日)

中古車のカーサム、東マレーシアに事業を拡大

【クアラルンプール】 総合自動車Eコマースプラットフォームのカーサムは7日、サラワク州に4カ所の検査センターを開所し、東マレーシアに事業を拡大した。
検査センターはクチン、シブ、ミリ、ビントゥルに設立した。これにより同社の検査センター数は49カ所に拡大した。

検査センターでは、熟練した検査員が包括的な中古車検査を実施し、同社の独自データと価格設定アルゴリズムを活用して、中古車市場で公正な価格で車両を販売する。また買取のみならず、販売も実施する。

22日にクチンで開催された開設式典において、カーサムの共同創立者でありカーサム・アカデミーの最高経営責任者(CEO)のるテオ・ジウンイ氏は、東マレーシアへの進出は同社にとり大きな一歩だと言明。中古車エコシステムの革新を続けながら、全てのマレーシア人がカーサムのサービスを利用できるようにすることを追求していくとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、10月25日、ボルネオポスト、10月24日)

韓国ベーカリー「パリバゲット」、ジョホールのハラル工場着工

【イスカンダル・プテリ】  韓国の人気ベーカリーチェーン「パリバゲット」は、ジョホール州ヌサジャヤ・テックパークにおいて、同社にとり世界初のハラル(イスラムの戒律に則った)対応生産施設「SPCセンター」の建設を開始した。2023年第4四半期までの完工を目指す。

投資額は1億3,000万リンギ。計7つの生産ラインを持ち、1日あたり冷凍生地最大11トンの生産が可能。東南アジア、中東、北アフリカ地域のハラル市場に商品を出荷する。製造、管理、経営職で100人以上の現地人材の雇用機会を創出する見込みだ。

「パリバゲット」を運営するSPCグループのフル・ジンス社長は、20日に開催された鍬入れ式に参加。同センターについて、東南アジアで最初の工場となり、域内での存在感を高めることに貢献するとし、国内メーカーやサプライヤーから食品や原材料を継続的に調達することを約束すると述べた。

ジョホール州のオン・ハフィズ首相は、同州には、質の高い投資を誘致するための適切なエコシステムがあり、SPCの成功が、社会経済的にプラスの影響をもたらすと信じているとし、今後もSPCの成長に向けた支援を続けていくと述べた。

マレーシア投資開発庁(MIDA)は、ジョホール州にSPCがハラル拠点を設立することで、ハラル産業のパイオニアとしてのマレーシアの地位が強化されるとコメント。外国投資が域内ハラル拠点としてマレーシアを選択するようになったことは、マレーシアがハラルビジネス市場で高い競争力や評価を得ていることの証明だと述べた。

パリバゲットは1988年に設立。世界に4,000店舗、製造拠点10カ所を有している。
(ザ・スター、10月25日)

リンギ続落、年末には1米ドル=5リンギの可能性も

【クアラルンプール】 リンギは14日、さらに下落し、9時の取引開始とともに1米ドル=4.6920/6965リンギと過去最低を更新した。アナリストは年末の相場を4.70ー5.00リンギと予想している。

予想の背景にあるのは議会解散による国内政治の先行き不透明と、米国における9月の消費者物価指数(CPI)の上昇幅が8.2%と予想(8.1%)を上回ったことで、米連邦準備制度理事会が年内、さらに2回の利上げを行う可能性が高まったためだ。

英系オンライン証券アクティブトレードのトレーダーは、11月と12月にそれぞれ0.75%の追加利上げの可能性を指摘。年末の米金利を4.5ー4.75%と予想している。
クアラルンプール大学ビジネススクールのアイミ・ズルハズミ准教授は年末の外為相場を1米ドル=4.80ー5.00リンギと予想。マレーシアの政治が安定すれば外国人投資家は戻ってくるとした。ケナガ投銀行のエコノミストも一段のリンギ下落を予想している。

リンギはシンガポール(S)ドルに対しても3.3リンギと過去最低を更新した。シンガポールが再度の金融引き締めに乗り出した結果だ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月15日、ベルナマ通信、10月14日)

富裕層誘致を目的とした長期滞在ビザ、代理店16社を承認

【クアラルンプール】 富裕層受け入れのための長期滞在ビザ「プレミアム・ビザ・プログラム(PVIP)」の申請を受け付ける代理店16社が承認された。16社で合計1万300人分の承認枠を有する。

出入国管理局のカイルル・ザイミー・ダウド局長によると、代理店になるには、100万リンギの払込資本金を持ち、保証金の支払能力があることが条件。PVIP申請費用は20万リンギで、代理店は入国管理局からの承認通知を受け取ってから30日以内にその10%にあたる2万リンギを保証金として収める必要がある。代理店のリストは、同局のウェブサイトやソーシャルメディアから確認可能だ。

PVIPはマレーシア国外の収入が月4万リンギ以上、あるいは年48万リンギ以上の個人(年齢不問)を対象としており、銀行口座残高100万リンギが必要となっている。申請は代理店を通してのみ受け付ける。最長20年間のマレーシア滞在が可能で、滞在中の不動産購入や投資、事業運営なども許可されるが、市民権は得られない。PVIP参加者数は、マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)参加者数と合計してマレーシア人口の1%までだが、第1期では上限2万人まで受け付け、その後申請費用20万リンギについて見直されるという。
(ザ・スター、10月13日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、10月12日)

ペラ州でルム海洋工業都市を開発、ベルギーの港湾公社と協業で

【ペタリンジャヤ】 ペラ州開発公社(PKNP)は、マンジュンにおける「ルム海洋工業都市(LuMIC)」の開発・管理に向けて、ベルギーのアントワープ ブルージュ港湾公社の子会社であるアントワープ ブルージュ国際港湾公社(PoABI)との間で契約を交わした。今後25年間で720億リンギの投資を見込んでいる。

PKNPが11日に発表した声明によると、ルム港工業団地では91社が事業を行っており、年間の売上高は22億リンギとなっている。これまでに1万5,000人分の雇用が創出されたことから、LuMIC開発を実施することを決めた。LuMICは海運や物流関連産業、国際貿易関連産業に焦点を当てた総合海洋産業クラスターとなり、工業団地や倉庫、多目的ターミナルを開発する。投資家には税制優遇措置などのインセンティブを提供する。

LuMIC開発により、ペラ州へ経済波及効果をもたらし、熟練労働者を含む5万1,000人分の雇用創出のほか、不動産やインフラ、観光などの産業成長を促進させ、社会経済開発に繋がると期待されている。
(ザ・スター、ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月12日)

国内経済は世界的な経済減速の影響は受けない=首相

【ジェンポル】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、世界的に経済の成長減速が起きているが、マレーシア経済について、他国に比べて深刻な影響は受けないとの見解を示した。

イスマイル首相は、今年のマレーシアの経済成長率がプラス成長となっており、今後も維持できる自信があると強調。第1四半期の成長率はプラス5%で、第2四半期はプラス6.9%に加速したとした。第2四半期の経済成長率は、東南アジア諸国連合(ASEAN)で最も高く、中国(プラス0.4%)や米国(プラス1.6%)、韓国(プラス2.9%)、シンガポール(4.4%)などの先進国を上回ったと強調。また、外国直接投資(FDI)がマレーシア経済への信頼を示しているとし、今年上半期のFDIは417億リンギで、新型コロナ感染拡大前の223億リンギに比べて増加していると述べた。

またイスマイル首相は、統計などでも経済の良好さが示されており、特に工業購買担当者景気指数(PMI)は予想や景気を判断する上での分岐点となる50を上回る50.3となり、1ー7月の外国人観光客数は320万人だったと強調した。それらの理由を根拠に、来年の世界経済の見通しは依然として不透明だが、他国のように経済減退の影響を受けることはないと確信していると言明。経済成長維持には厳しい状況にあるものの、他国に比べるとそこまで厳しくはないとした。
(ベルナマ通信、10月9日)

通産省が新たな投資政策、革新的ハイテク投資を歓迎

【クアラルンプール】 アズミン・アリ上級相兼通産相は6日、国家投資大望(NIP)に基づき新たな投資政策に着手したと発表した。質の高い、ハイテク分野の雇用創出、さらには国民生活の向上を図る。

新政策は6つの戦略で構成されており、変化の速い世界がもたらす経済、投資面の課題に対処するという。

戦略の内容は▽NIPに基づく統一的投資戦略を策定する▽環境・社会・統治(ESG)面の課題に取り組む▽投資家のニーズを満たす、機敏な投資奨励措置を重視する▽革新的な、波及効果の高いハイテク投資を奨励する▽労働市場のニーズを満たすための人材集団を育成する▽全体的ビジネス生態系の流れをスムーズにし、ビジネスのしやすさ、国際競争力を向上させる▽複数ある投資推進機関の役割・責任を明確にし、スムーズな手続きを実現するーー。

アズミン氏は発表会見で「外国人労働力に依存する形態の外国投資を望まない」と語った。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、10月7日)

マレーシア、CPTPPを批准

【クアラルンプール】 マレーシアは5日、包括的及び先進的な環太平洋経済連携協定(CPTPP)を批准した。

通産省(MITI)の発表によると、マレーシアは9月30日に寄託国であるニュージーランドに批准書を提出。発効は60日後となる。費用便益分析(CBA)では、CPTPPへの加盟により2030年の貿易総額は6,559億ドル、輸出額は3,547億ドル、貿易収支は国内総生産(GDP)の8.5%に達すると予想されている。

MITIは、2033年1月までに全CPTPP加盟国への輸出免税が適用されるとし、加盟国の政府調達市場への参入が促進され、会計士、建築家、エンジニア、医師、看護師などの専門職の移動性も改善されるとした。

CPTPPは、加盟国に優遇措置を与える貿易協定であり、電子商取引、国有企業(SOE)、知的財産権(IP)や貿易の技術的障害に関する協定など、物品及びサービスの貿易および投資を含む貿易の全域を対象としている。11カ国が署名しており、批准済なのは、▽マレーシア▽オーストラリア▽カナダ▽日本▽メキシコ▽ニュージーランド▽シンガポール▽ベトナム▽ペルーーーの9カ国。署名国で批准していないのは、ブルネイとチリの2カ国。英国や中国、台湾も加盟を申請している。
(ザ・スター、10月6日、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、エッジ、10月5日)

「マレーシア経済は危機的ではない」中銀総裁が強調

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のノル・シャムシア総裁は、マレーシア経済について危機的状況にはないと強調。経済回復は順調に進んでおり、成長の勢いを示していると述べる一方、今後の見通しは不確実であり予想不可能だと警鐘を鳴らした。

3日に開催されたフォーラムで行った講演の中でノル・シャムシア総裁は、国境再開が観光関連部門の回復をもたらしており、投資活動と先行き見通しも複数年にわたるプロジェクトの実現によって引き続き支えられていると強調。輸出も2021年初めから2桁の成長を記録しており、これらのポジティブ要素は2023年の経済成長を下支えするだろうと述べた。

ノル・シャムシア総裁はその他のポジティブ要素について▽製造業とサービス業の賃金が今年それぞれ5%、7%上昇していること▽失業率が4%未満であること▽インフレが平均3.1%で安定しており、第3四半期でピークを迎えると予想されることーーの3点を挙げた

一方、先行きについては、困難かつ不確実で予測不可能なものになるとした上で、今後1ー2年はマレーシアが大胆な改革に踏み出すための重要な時期となると指摘。「国として今、経済の基礎、回復力、柔軟性の強化に注力しなければならない」、「域内近隣諸国は積極的に改革を進めている。今行動しなければ取り残される危険がある」と改革を進める必要性を強調した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・スター、ザ・サン、10月4日、エッジ、ベルナマ通信、10月3日)