マレーシアの高所得国入り、早ければ2026年にも=経済相

【プトラジャヤ】 ラフィジ・ラムリ経済相は、マレーシアの国内総生産(GDP)成長率が今後年率4ー5%で推移し、通貨リンギが上昇すれば、早ければ2026年には高所得国のステータスを獲得できるとの見通しを示した。

ラフィジ氏は15日に開かれた昨年の経済実績に関する記者会見の中で、「経済成長率が2、3年内に5%を超えれば、高所得国ステータスへの到達はより早くなるだろう」と言明。米ドル換算で高所得国入りの水準が1人当たりのGDPが1万5,200米ドルであることを考慮すると、別の要因はリンギの為替水準にあるとし、「今後1ー2年でリンギの価値が現在の1米ドル=4.3リンギの水準よりも高くなれば、より早く高所得国に到達するだろう」と述べた。

ラフィジ氏は2022年の経済実績に関しては、年率8.7%を記録した高いGDP成長率はマレーシア経済の回復力を反映しているとした上で、経済実績の全体像を把握するには、四半期ごとの成長とともに通年の成長でみていく必要があると指摘。世界経済の成長が2022年の3.4%から2023年には2.9%に減速すると予想されていることから、マレーシア経済にも影響を与える可能性があると懸念を表明し、政府はより困難な経済環境に備える必要があると述べた。

その上でラフィジ氏は、国民経済の2つの主要な要素、すなわち生活費と収入に焦点を当てた経済プログラムが今後の経済計画の主な焦点となると指摘。「雇用に関連する政策は、アンワル首相が議長を務める国家経済行動評議会(NEAC)で議論され、全労働者の所得拡大という目標に向け国家政策を調整することになる」と述べた。NEACの初会合は3月に開催される予定だという。
(エッジ、ベルナマ通信、2月15日)

現時点でGST再導入の計画はない=アンワル首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は14日の下院議会質疑の中で、現時点で物品・サービス税(GST)を再導入する計画はないと言明。 財政問題に対処するためにはGSTの代わりに富裕層への補助金削減を計画していると明らかにした。

アンワル首相は国家債務の現状と政府の取り組みに関する質問に対し、政府債務総額が1.5兆リンギを超えて国内総生産(GDP)の82%に達しているとし、償還費が昨年は410億リンギ、今年は460億リンギに上ると言明。税制のうちでGSTが最も透明で効率的であることを認めた上で、貧困層と一般市民の生活コストに影響を与える基本的な問題を優先する必要があるとして、現時点でのGST再導入は適切でないとの考えを示した。

その上でアンワル首相は、国民に負担をかけずに歳入を増やすための1つの方法は国内外の投資家をターゲットにすることだと指摘。12月に発表した電気料金の値上げを例に挙げ、一般大衆ではなく多国籍企業(MNC)や超富裕層を対象とした補助金カットによる公共支出の削減を進める考えを示した。

■補助金削減策について省庁間で折衝中■
対象を絞った補助金制度については、フジア・サレー副国内取引物価相は、補助金の対象となる項目や受け取り対象となる層、政策を実行するためのメカニズムを決定するための折衝を財務省および経済省との間で行っていると言明。生活コスト上昇対策に関しては、生活費に関する国家行動評議会が、商品やサービスの価格上昇対策と国民の収入増加の両面から取り組んでいると述べた。

サバ州がロケット発射施設建設を計画、事業化調査を実施へ

【コタキナバル】 サバ州は、赤道直下にあるという立地条件を活用し、ロケット発射施設の建設を開始する計画で、近く事業化調査を実施する方針だ。

サバ州のアリフィン・アリフ科学技術革新相は、州政府が事業化調査を許可し、ソブリン・センガラン社との間で調査開始意向書を締結したとし、調査結果が肯定的である場合、世界で16番目のロケット発射施設を持つことになると述べた。将来的には航空宇宙関連企業300ー500社を設立し、90人分の高給職を含む5,000人の雇用機会創出を目指す。

初期段階として、マレーシア国立宇宙局と密接に連携する州機関サバ・スペース・インダストリアル・コーポレーション(SSIC)を立ち上げる。ソブリン・センガランは、環境や安全性、インフラなどの観点から発射施設が建設可能かどうかの実現可能性調査を実施する。候補地を決定するための調査期間は3ー6カ月程度を見込む。

ソブリン・センガランのエズラ・エフェンディ副社長は、サバ州では発射時の高角速度が可能となり、欧州などと比較して20%の余裕を持てるので、費用の20%削減あるいは積載量の20%増加が可能だと言明。ロケット名は、ウクライナ企業ユジノエが製造する7番目のサイクロンロケットになることから「サイクロン7」になるとし、ユジノエが技術面も担当すると述べた。
(マレー・メイル、2月14日)

財政赤字改善目指すもGST再導入は当面見送り=アンワル首相

【シンガポール】 アンワル・イブラヒム首相は、巨額な財政赤字の削減に段階的に取り組む方針であるものの、貧困者の負担を増やすような増税や物品サービス税(GST)の復活は今のところ考えていないと述べた。

就任後初のシンガポール公式訪問中にブルームバーグTVのインタビューに答えたもので、アンワル首相は「マレーシアの国家債務が上限に達しており、徐々に引き下げる必要がある」と言明。その上で「低所得層に影響を与える場合、税制や新たなイニシアチブを導入しなければならないという大きな問題を抱えている」と指摘。GSTが依然として最も透明で効率的な税制であることを認めた上で、政府は2018年に希望同盟(PH)政権によって廃止されたGSTの復活を急いでいないと述べた。

マレーシアは財政刺激策の実施に向けた予算確保に向けて、それまで55%だった国内総生産(GDP)比の債務上限を新型コロナウイルス「Covid-19」パンデミック初期の2020年に60%に引き上げ、2021年にはさらに65%まで引き上げた。現在の財政赤字は対GDP比61%となっている。

アンワル首相は先ごろ、国債と借入金を合計した国家債務の合計が1993年当時の960億リンギから2022年には1.5兆リンギに拡大しているとして、早急に対処する必要があると述べていた。

2023年度予算案の修正案は2月24日に下院議会に提出される予定。
(ブルームバーグ、1月30日)

今年はリンギレートが安定に向かう=アナリスト予想

【クアラルンプール】  米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを鈍化させるとの見方が強まっていることから、アナリストらはこれまで乱高下していたマレーシア通貨リンギの対米ドル為替レートも年間を通じて安定に向かうと予想している。

独立系シンクタンク、エミール・リサーチのジェイソン・ロー・ソンウェイ氏は、リンギの為替レートについて2023年度中に安定推移する可能性が高く、1米ドル=4.15リンギまで上昇する可能性もあるが、 FRBの利上げが減速するという見通しから4.50リンギは超えないと予想。「この予想は米国のインフレ率が年間ベースで6カ月連続減速し、昨年6月に約9%でピークに達した後、12月に6.5%に落ち込んだことに基づいている」と述べた。2022年12月の米国消費者物価指数は前月比0.1%減で、2年半以上ぶりの下落となった。コアインフレ率の上げ幅は2021年12月以来最小となった。

1月20日午後6時時点のリンギの対米ドル為替レートは、前日の終値4.3050/4.3100リンギから 4.2830/4.2875リンギに上昇した。

メイバンク・インベストメント・バンクのアナリストは先ごろ、リンギ為替レートの見通しが今年度はプラスに傾くはずだとした上で、第1四半期に4.40リンギ前後で変動した後、第2、3四半期に4.25から 4.15リンギのレベルとなり、年末には4.05リンギまで上昇すると予想。UOBのエコノミストは、2023年末までに4.35リンギまで上昇する可能性が高いとしている。

またスタンダードチャータード・アジアの外国為替ストラテジストは、コモディティ価格の上昇に支えられるリンギに対し中立的な見通しを保持していると述べ、「6月までに4.25リンギ、年末には4.40リンギ、年間を通じては4.20ー4.40リンギになると予想している」と述べた。
(ザ・サン、1月25日)

不動産開発のシェンタイ、マラッカでの複合ビル群開発は順調

【クアラルンプール】 不動産開発会社のシェン・タイ・インターナショナル(STI)は、マラッカの複合ビル群「セール・マラッカ」の開発は順調で、州内経済を活性化し、雇用を創出するとしている。

マラッカ海峡そばに位置し、土地面積は27.5エーカー、総開発費用は65億リンギ。2019年12月に着工し、完工まで10年間を要する見込み。61階建てビル9棟で構成され、メインタワーには、国内初のファッションブランドホテルが入居する。別棟には5ー6つ星ホテルや日本の禅をイメージしたホテル、レジデンスなども入居する予定で、そのうち1棟は70%が売約済だ。コンベンション・エキシビションセンター、100万平方フィートの高級ショッピングモール、小売店、飲食店、エンターテイメント施設、文化施設などが入居し、ショッピングモールには日本のブランドが多く入る予定。

STIのレオン・サーレイ創業者兼社長は、拠点設置、ホテル・飲食店の開設による観光促進、中小企業支援、物流改善、海外から国内拠点移転の促進に取り組んでおり、「セール・マラッカ」の開発により州や国全体に海外からの直接投資やビジネスをもたらし、経済を活性化できると説明。また、マラッカをファッション拠点にする取り組みも実施中で、ファッション、アート業界での仕事紹介やファッションショーも開催しているとした。
(ザ・サン、1月19日)

中銀バンクネガラ、政策金利を2.75%で据え置き

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラは19日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を2.75%で維持することを決定した。2020年7月から1.75%で維持していたが、昨年5月から4会合連続でそれぞれ0.25ポイント引き上げていた。

中銀は声明の中で、現在の金融政策のスタンスは依然として緩和的であり、引き続き経済成長を支えることが可能だと説明。今後もインフレ率や経済成長のリスクとのバランスを考慮して金利を調整するとした。

国内経済については、内需に下支えされて国内経済が好調に成長していることが最新の統計で示されていると指摘。昨年通年の成長率は予想の6.5ー7.0%を上回ることが見込まれるが、今年の成長率は世界経済の減速の影響も受けて緩やかな水準に止まる見込みだとした。

また雇用や所得の前向きな見通しに下支えされて、家計支出の増加が見込まれており、国境再開に伴う外国人観光客数の増加が観光産業の成長を押し上げると予想。投資活動も複数年にわたって実施されている大型プロジェクトに支えられるとしたものの、世界経済の成長が予想を下回る可能性、主要経済国による積極的な金融引き締め策、地政学的な紛争の激化、サプライチェーンの再混乱が引き続き成長リスクとなるだろうとし、今年のインフレ率については、需要とコスト圧力の高まりにより高い状態が続くが、上昇率は穏やかになるとの見込みを示した。

世界経済については、コスト圧力の上昇、利上げ、中国での新型コロナウイルス 「Covid-19」に関わる混乱などが成長に影響を与えていると指摘。インフレ率の上昇率は緩やかになってきているが、今後も利上げが行われると予想した上で、今後も地政学的緊張の高まり、主要経済国の成長が予想を下回る可能性などが下振れリスクとなるとした。

25年までに200億リンギのEV投資誘致を目指す=通産相

【クアラルンプール】 通産省は、2025年までに電気自動車(EV)への投資誘致額を200億リンギ、2030年までに400億リンギとすることを目標として掲げている。

テンク・ザフルル通産相は12日に開催された、情報通信技術(ICT)のアートロニックと米ビーノの電動自転車「リーボ」の現地組立に向けた覚書締結式のスピーチにおいて、EVエコシステムとサプライチェーンについて、ソフトウェア、技術、設備、エンジニアリングなどを含んだ全体として見る必要があり、EV産業強化に向けた取り組みについては、関係省庁や民間企業が参加するEVタスクフォースでの議論を行うと述べた。

ザフルル通産相は昨年12月、▽2025年までに公共EV充電設備1万基を設置▽EVおよびハイブリッド車が市場総需要量(TIV)に占める割合を2030年までに15%、2040年までに38%にするーーという目標を発表していた。
(ザ・スター、1月13日、エッジ、ベルナマ通信、1月12日)

高級チョコ製造のバリー、PJにビジネス拠点を開設

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 スイスの高級チョコレート・メーカーのバリーカレボーは、セランゴール州ペタリンジャヤにアジア太平洋地域ビジネス・エクセレンス・センター(APAC BEC)を開設した。

財務・会計、情報管理・技術、顧客サービスなどの機能全般のサポートを行う。強固な製造基盤、文化の多様性、多言語能力を評価し、マレーシアへの設置を決めた。

現在100人が勤務しているが、今後数カ月で150人に増員する予定。会社の成長について慎重ながら楽観的であり、マレーシアへの投資を継続する方針だ。現在、国内製造拠点から57カ国に約20億リンギ相当の製品を供給している。

マレーシア人の一人当たりの年間チョコレート消費量は約0.5キログラムでまだ伸びしろがあり今後も高需要が見込まれることから、拡張のための投資を継続する方針だ。高品質な製品を求める国内食品メーカーが増加しており、同社はそのアウトソーシング先にもなっている。

バリーカレボーは30年以上前にマレーシアに進出し、累計投資額は約13億リンギ。ジョホール州パシル・グダンとセランゴール州ポート・クランに製造拠点2カ所と研究開発(R&D)センターを持つ。従業員数は600人以上で、間接雇用、サプライヤー、協力会社などを含む従業員の85%近くがマレーシア人。

プロドゥア、2022年の販売台数は過去最高の28万2019台

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)は5日、2022年通年の自動車販売台数が48.2%大幅増の28万2,019台となり、過去最高となったと明らかにした。

2022年の販売目標(24万7,800台)も上回った。推定市場シェアは39%。年間生産台数も前年比49.5%大幅増の28万9,054台だった。

ザイナル・アビディン社長兼最高経営責任者(CEO)は、2022年は大規模洪水からの回復、労働者不足、半導体不足、原材料価格の急騰などの障害があったが、適切な計画や、自社だけでなく地元エコシステムの貢献や関係者とともに課題を克服することができたと述べた。2023年も生産能力の拡大に注力し、原材料や燃料価格、為替、金利などが許容範囲内に収まっている限り、販売価格を維持すると言明。現在は、売上・サービス税(SST)減免措置期間中に予約した顧客向けの納車を優先しており、今年の目標は今月末に発表するとした。

同社は今後も新技術の導入や事業運営への革新的な投資を続け、サプライヤーや販売店に対しても、競争力や生産性向上に向け、新技術への投資を継続するよう働きかける方針だ。