【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は14日の下院議会質疑の中で、現時点で物品・サービス税(GST)を再導入する計画はないと言明。 財政問題に対処するためにはGSTの代わりに富裕層への補助金削減を計画していると明らかにした。

アンワル首相は国家債務の現状と政府の取り組みに関する質問に対し、政府債務総額が1.5兆リンギを超えて国内総生産(GDP)の82%に達しているとし、償還費が昨年は410億リンギ、今年は460億リンギに上ると言明。税制のうちでGSTが最も透明で効率的であることを認めた上で、貧困層と一般市民の生活コストに影響を与える基本的な問題を優先する必要があるとして、現時点でのGST再導入は適切でないとの考えを示した。

その上でアンワル首相は、国民に負担をかけずに歳入を増やすための1つの方法は国内外の投資家をターゲットにすることだと指摘。12月に発表した電気料金の値上げを例に挙げ、一般大衆ではなく多国籍企業(MNC)や超富裕層を対象とした補助金カットによる公共支出の削減を進める考えを示した。

■補助金削減策について省庁間で折衝中■
対象を絞った補助金制度については、フジア・サレー副国内取引物価相は、補助金の対象となる項目や受け取り対象となる層、政策を実行するためのメカニズムを決定するための折衝を財務省および経済省との間で行っていると言明。生活コスト上昇対策に関しては、生活費に関する国家行動評議会が、商品やサービスの価格上昇対策と国民の収入増加の両面から取り組んでいると述べた。