QRコード決済の相互運用、タイ、インドネシアとの間で開始

【クアラルンプール】 マレーシアとタイ、マレーシアとインドネシアとの間で、QRコードを利用した即時決済の相互運用が開始された。マレーシア人はタイ、インドネシアで、タイ、インドネシア人はマレーシアでの即時決済が可能になる。
3カ国中央銀行間の合意に基づくもので、マレーシアでは銀行間決済システムのペイネットが作成したコード「ドゥイットナウQR」が使用される。
マレーシアではパブリック・バンクとレーザー・マーチャント・サービシズが、加盟店とクレジットカードの利用契約を結ぶ加盟店契約会社になった。タイからはカシコン銀行とサイアム商業銀行、インドネシアからは、インドネシア銀行、マレーシア系CIMBニアガ、BPDバリ銀行などが参加する。
参加国の旅行者は訪問先で、モバイルバンキングのアプリかイーウォレットで、加盟店のQRコードを読み取れば即時決済ができる。通常の両替より利用者に有利な為替レートで決済する。
(マレーシアン・リザーブ、2月3日)

東海岸経済地域、今年の投資誘致目標額は140億リンギ

【クアンタン】 東海岸経済地域開発委員会(ECERDC)は、今年、マレー半島東海岸経済地域(ECER)に140億リンギの投資を誘致し、そのうち70億リンギを実現することを目標としている。同時に外国直接投資(FDI)と国内直接投資(DDI)の割合を50:50にすることも目指す。
ECERDCはECER地域(トレンガヌ州、ケランタン州、パハン州、ジョホール州メルシン地区)開発を目的とする「ECERマスタープラン」の実行機関であり、これまでに総額277億リンギの投資を誘致。2021年にはパンデミックの中、当初目標の120億リンギを上回る134億リンギの投資誘致に成功し、47億リンギが実現された。中国、日本、ヨーロッパ、韓国、インド、中東などの企業からECERへの注目が集まっているという。2018年から実施している「ECER 2.0マスタープラン(EMP2.0)」では、2025年までに700億リンギの民間投資を獲得する目標を掲げており、そのうち500億リンギは製造業、150億リンギは観光業、30億リンギは石油・ガス・石油化学、20億リンギは農業となっている。
バイドザウィ・チェ・マット最高責任者は、税制優遇措置や昨年の投資流入の勢いを維持することで今年の投資目標も達成できるし、昨年の好調な実績はマレーシアに対する投資家の信頼を反映したものであり、行動制限が緩和された今年はより投資家が動きやすくなると言明。現状では外国人投資家は入国できないものの、ウェビナーなどでプロモーションを行っているため、より多くのFDIを獲得できると強調した。EMP2.0の目標についても、高給の雇用機会を創出できる質の高い投資を重視しており、工業団地や東海岸鉄道線(ECRL)、セントラル・スパイン・ロード(CSR)などのインフラ整備が進んでいることからも達成できる可能性が高いと述べた。
(ベルナマ通信、2月1日)

カナダ系スコシアバンク、年内にもマレーシア撤退

【クアラルンプール】 マレーシアで49年の歴史を持つカナダ系バンク・オブ・ノバスコシア(スコシアバンク)が、年内に撤退する模様だ。情報筋の話として「エッジ」が伝えた。すでに従業員にも撤退方針が伝えられているという。
マレーシア事業の清算計画は、最新の未監査財務諸表の中でも示唆されており、2021年7月の取締役会で清算計画を承認し、従業員の退職金(2,105万リンギ)、有形固定資産の減損(260万リンギ)、その他の引当金(262万リンギ)からなる合計2,626万リンギの清算コスト計上を承認していたことが明らかにされている。
スコシアバンクは1973年にマレーシアで業務を開始し、1994年に現地法人となった。小口金融業務に重点を置いていた2007年には5つの支店を有していたが、現在はクアラルンプール(KL)市内の1カ所だけとなっている。8年前には50億リンギあった資産額も2021年7月には12.8億リンギに減少していた。
当初カナダの親会社はマレーシア事業売却を志向しており、2017年5月には台湾の国泰金控に2億2,500万米ドルで売却する計画が浮上していたが、条件が満たされなかったことを理由にその後破棄されていた。
市場の小さなマレーシアでは多数存在する銀行間の競争が厳しく、外資系では2018年にはアブダビ国立銀行、2016年にはロイヤル・バンク・オブ・スコットランドが撤退している。
(エッジ、2月1日)

シャアラムのiシティー、グリーンスマートビルを建設へ

【クアラルンプール】 セランゴール州シャアラムで「iシティー」の開発を行うアイは26日、子会社であるiシティー・プロパティーズを通じ、チャイナ・モバイル・インターナショナル(マレーシア)(中国移動国際有限公司、CMIM)と提携し、国内初のスマートグリーンビルの建設を行うと発表した。
 iシティーのモニカ・オン取締役によると、提携契約に基づき「コーポレートタワー」を建設し、ビル内に第5世代(5G)インターネット対応のカメラやセンサーを設置、環境、エネルギー消費、人の動線を監視し、データを収集する。人工知能(AI)技術をビル構造に組み込むことで、照明や空調などの電気機器で使用するエネルギーを天候やビル内の人数に応じて自動的に調整でき、セキュリティや清掃スタッフの配置もより効果的に管理できるようになる。十分なデータを収集すれば、ピークの時間帯に必要な人員数を前もって特定し、ビル管理者に通知することが可能。今年は5Gの導入が予定されており、iシティー内でのAIの機能強化に取り組むという。
総額100億リンギをかけて開発されているiシティーは、5Gに対応したデータ転送速度400Gの高速ネットワークを国内で唯一備えており、マレーシア版シリコンバレー「MSC(マルチメディア・スーパー・コリドー)マレーシア」ステータスを取得している。昨年、「ダブルツリー・バイ・ヒルトン」はiシティ内に移転した。ゲストのロビー到着時に客室を約25度に予冷するシステム、バイオメトリクスを利用した照明やカーテンの制御、スマートドアロックシステムなどのインフラが整備されていることから移転を決めたという。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月27日)

連続赤字のエアアジア、監視銘柄「PN17」に指定へ

【クアラルンプール】 3期連続の赤字が確実となった格安航空会社エアアジア・グループが、速やかな財務改善が求められる監視銘柄「P17」に分類されることが決まった。
ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)は13日、エアアジアから出されていた救済期間(1月7日まで)の延長申請を却下した。エアアジアはブルサより却下されたことを明らかにした上で「本件に関して近く追加発表を行う」との声明を発表した。
エアアジアについては、監査を担当したアーンスト&ヤングが2019年末締めの会計年度(19年)について今後の経営維持に重大な懸念を示す意見書を付け、ブルサはエアアジアに対して「P17」指定を回避するための18カ月の救済期間を2020年7月8日に与えていた。
ブルサは新型コロナウイルス「Covid-19」の影響を受けた企業の救済を目的に、2020年4月に経営問題を抱える上場企業に対する措置を猶予すると発表していたが、2021年11月にはさらなる猶予措置は取らないと言明していた
(エッジ、中国報、1月13日)

MSCをマレーシアデジタルに改称、対象地域を全国に拡大

【ドバイ】 政府はMSC(マルチメディア・スーパー・コリドー)マレーシアをマレーシア・デジタルに改称し、優遇措置も強化する。
ドバイ国際博覧会のマレーシア館行事として行われるマレーシア・デジタル経済週間の開始式でアヌアル・ムサ通信マルチメディア相が発表した。
MSCは情報と知識の開発促進を目的とする政府指定の地域で、首都中心部からクアラルンプール国際空港にかけての範囲。プトラジャヤ、サイバージャヤが含まれる。マレーシア版シリコンバレーとの位置付けだ。デジタル経済は国内総生産(GDP)の22.6%を占めている。
時代に即した内容に改める意図もある名称変更で、マレーシア・デジタル経済公社のマハディル・アジズ最高責任者によると、優遇措置の種類を増やし内外からの投資を促す。指定地域以外での投資も優遇措置の対象とする。
デジタル技術の進歩の速さを考慮し、迅速に優遇措置提供の手続きを行う。
(ベルナマ通信、マレーシアン・リザーブ、マレー・メイル、1月12日)

プロトン、洪水被害で停止していた「X70」の生産を再開

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは11日、昨年12月の洪水の影響で停止していたSUV「X70」の生産をペラ州タンジュン・マリム工場で再開したと発表した。プロトンの施設は被災しなかったが、一部の部品供給業者が被災したため、部品供給や生産に混乱が生じていた。
サプライチェーンの安定にはまだ時間がかかると見込まれるが、4日にはSUV「X50」の生産を再開しており、さらに「X70」の生産を再開することで復旧に向けた第一歩が踏み出せたという。
販売会社プロトン・エダルのロスラン・アブドラ最高経営責任者(CEO)は、プロトンは部品供給業者と協力の上迅速に供給ラインを復旧させているものの、手間や時間が掛かっているとし、できる限り最短ですべてのモデルの組み立て再開を目指すと述べた
プロトンのスタッフは、復旧作業を促進するため、部品供給業者の施設においてボランティアで清掃作業を行ない、また、洪水で自宅が被災した同僚を支援するなどの活動も行なっているという。
(ポールタン、1月11日)

ペトロナス、サラワク州沖でガス田を発見

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)は7日、サラワク州沖でガス田を発見したと発表した。
ガス田を発見したのは、サラワク州北西170キロメートル離れたバンギリアンの浅瀬。ペトロナス傘下の油田探査会社であるペトロナス・チャリガリが「SK411」鉱区において11月に発見し、掘削を開始。掘削深度が1,850メートルに達したところ、厚さおよそ200メートル天然ガス貯留層を発見した。
「SK411」は、ペトロナス・チャリガリ(90%)とE&Pマレーシア(10%)2社が参画する生産分与鉱区となっている。
ペトロナスは、昨年3月と5月にもガス田を発見。計3カ所のガス田を見つけたとして、天然ガスやクリーンな化石燃料を安全に安定提供できることを楽しみにしているした。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、1月7日)

運輸セクター向け「B20」使用、年内義務化へ

【クアラルンプール】 マレーシア・パーム油委員会(MPOB)は5日、連邦政府が2022年末までにパーム油由来のメチルエステルの含有率を20%に高めたバイオディーゼル「B20」使用義務化を計画していると発表した。
運輸セクターでの「B20」の使用義務化については、2020年1月に実施すると農園・一次産業省から発表されていたが、新型コロナウイルス「Covic-19」の感染拡大に伴う行動制限令(MCO)の影響や景気対策を優先させる必要性から再三延期されていた。
農園・一次産業相のラヴィ・ムタヤ事務次官は、段階的に全国展開を進めていくと述べた。
マレーシアは2019年以降、輸送セクター向けに「B10」、工業セクター向けに「B7」のバイオディーゼル使用促進政策を進めてきた。「B20」は2020年2月に発売されたもので、最終的には全国3,400カ所あるすべての給油所で「B10」を置き換える予定。国産パーム油の利用促進を図ると共に、温室効果ガスを年間380万トン削減できると期待されている。
(ロイター、1月5日)

国内初のEV組立工場、ブミプトラ企業がマラッカで設立へ

【マラッカ】 ブミプトラ(マレー人および先住民族の総称)企業のフィールドマンEVは、10億リンギを投資してマラッカ州に、国内初の電気自動車(EV)組立工場を建設する計画だ。
フィールドマンEVから同州へのEVおよび電動リクシャーの納車式が4日に開催。納車式に臨席したマラッカ州のスライマン・モハメド・アリ首相は、EV工場について、ジャシンにあるエルカイ・リパット・カジャン工業団地の200ヘクタールの用地に建設されると明らかにした。フィールドマンEVは、中国の自動車会社である長安汽車から、マレーシアおよび東南アジア向けの右ハンドルEVの独占販売権を取得していると説明。長安汽車の技術を取り入れたEVが製造・販売されることで、マラッカ州の自動車産業の発展につながる上、長期的な経済波及効果を見込んでいると述べた。
フィールドマンEVの取締役であるラズミシャー・オスマン氏は、工場の建設により5,000人分の雇用機会や、自動車産業の川下部門向けの事業機会を創出することができると説明。EVの技術移転により、同州の経済成長を後押しすることができるとの見解を示した。
フィールドマンEVは、パーム油、プラスチック製造などを行うフィールドマンにより、再生可能エネルギー資源事業を行う子会社として2018年に設立された。2018ー2026年の事業計画の下でEV技術および組立の開発を行うことを目標に掲げている。
(マレー・メイル、エッジ、フリー・マレーシア・トゥデー、1月4日)